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55.思いがけない試合結果
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「先ほどの試合は何だったのかな。」
異母兄が食後のお茶を飲みながら三位決定戦の試合結果を見て呟いた。
「確かにそうですね。今のような力があるのなら先ほどの試合はなんだったんだと疑いたくはなります。」
憤懣やるかたない表情をしたキサラギが食器を下げながらも画面を睨みつけた。
「八百長かと思えそうだけどそこはどうなんだいムツキ?」
異母兄が紅茶を注ぎ入れてくれたムツキに視線を向けた。
「単に今持っている武器と先ほどの持っていた武器の性能の違いでしかありません。」
ムツキはいささかぶっきらぼうな口調で異母兄に説明しながらもワゴンにティーポットを置くとそれを壁際にある棚に運んだ。
運ばれた棚が軽い稼働音と共にすぐにどこかに移動していった。
「まあそうだね。でもそうすると彼もまだまだ甘いってことになるね。」
異母兄があたらしい紅茶を飲み干すとそれをテーブルに置いた。
甘いってなにが?
ムツキとキサラギの二人は異母兄の言葉に頷いていたが花子には三人の会話がまったく理解できなかった。
「そろそろ向かいませんと試合に遅れます。」
キサラギの言葉に異母兄と花子は席を立つと食堂を出て決勝戦が行われる会場に向かった。
「それじゃ私たちは応援席から応援しているからがんばってね、花子。」
「はい。」
花子は素直に頷くと三人と別れて試合会場に入って行った。
「ムツキ。ここはいいからツヴァイに連絡をとって彼の予定をおさえておいてくれないか。」
花子の姿が会場に消えると異母兄から矢継ぎ早に指示が飛んだ。
「ツヴァイの予定ですか。」
「ああ、どちらが勝つにしろたぶん今回は祝勝会が王宮で行われることになるからね。でも今度は花子のパートナーを私がやることは出来ないからツヴァイには護衛としてじゃなくパートナーとして出席させることになるのでその点を考えるように伝えておいてくれないか。」
ムツキはハッとしは表情の後すぐに小さく頷いて彼らの前からいなくなった。
「じゃあキサラギ。私たちは応援席でめいいっぱい応援しようか。」
「はい。」
彼らが応援席に着いた瞬間に試合開始の鐘が甲高く鳴り響いた。
カーンカーンカーン。
試合会場では先ほどの試合の三倍の魔道具を持ったカイトと片手に和紙だけを持った花子が対峙していた。
「へえ、それで勝とうなんて流石に俺を舐め過ぎじゃない。」
「いえ、いたって本気です。」
「まあどっちにしろ負ける気はないから。」
カイトは試合会場に持ち込んだ魔道具を起動した。
魔道具から細かな振動と一緒に小さな銀色の魔力を帯びた粉が零れ落ちていた。
カイトは零れ落ちる魔力を纏った粉をそのままにしながら数十個の魔道具を同時に操って次々に魔法を花子に放った。
花子は放たれた魔法を和紙に流した魔力でこちらも次々に防御用の盾を具現化してはじき返した。
そして花子が具現化した盾ではじき返された魔法はそのまま魔道具に跳ね返りそのたびに魔道具が粉砕されていった。
あっという間にカイトが持っていた魔道具が片手で数えられるくらいに減った。
それでも花子は手を抜かずに残りの魔道具も壊しに動いた。
カイトがゼイゼイと苦し気な呼吸を何度もしながらそれでも残りの魔道具で反撃しようとした。
あとひとつ。
花子の魔法が最後の魔道具を壊そうと放たれた。
それを待ってましたとばかりにカイトは手に持った最後の魔道具で花子が放った魔力ごとその力を吸い込んだ。
吸い込まれた魔道具からはキラキラした魔力が零れそれらは先ほど花子によって壊された魔道具の周囲に散っていた銀色の欠片に流れこんだ。
その流れ込んだ魔力はキラキラと光を帯びそれらは何かの模様を描き始めた。
すぐに描かれた模様が試合会場に浮かび上がった。
なにこれ。
花子は慌ててその浮かび上がった模様から離れたが模様は煌めく星の流れのように光ると彼女の姿を追尾して襲い掛かった。
とっさに防護壁を張ったがその光はその防御壁を通り抜けた。
えっ!
通り抜けた模様は取り囲むだけで何も起こらなかった。
ただ花子の周囲に浮かんでいた。
ただ単に浮かんでいた模様に一瞬動きが遅れた彼女に浮かんでいた模様が光り出した。
その瞬間にビリビリとした痺れが全身に走った。
彼女は意識を飛ばしてそのまま試合会場に頽れた。
静寂を会場が包み込み頽れた花子とまだ立っているカイトが会場にいた。
立っているカイトが片手を挙げたことで試合が終了した。
「勝者 カイト=南条。」
審判の声に試合終了が告げられた。
「今のはなんだ?」
異母兄のつぶやきにキサラギが会場に散らばった細かな破片をしばらく観察してから口を開いた。
「推測ですが花子様が粉砕した魔道具の欠片をあらかじめ漏れていた魔力で引き付けて最後にあの魔道具を導火線のようにしてマヒ系の魔法を発動したのではないかと思われます。」
「ではなんであの防御壁で防げなかったんだ。」
「防御壁に触れたときは模様でしたのでまだ魔力を帯びていなったのではないでしょうか。」
だから先ほどの花子が作った魔力での防御魔法では防げなかったのか。
「考えたものだね。」
キサラギも素直に頷いた。
やれやれ。
南条家の長男は確かキンソン家の令嬢と婚約していたね。
祖母のご機嫌が悪くなってしまうな。
あんなに努力した花子のがんばりだけど彼女の願いはかないそうにないかな。
異母兄はがっかりするだろう花子を心配しながら応援席から立ち上がると彼女のもとに向かおうとした。
すぐに通路に出て医務室に向かおうとしたところでカイトの兄と鉢合わせした。
「やあブラウン。久しぶりだね。」
「ああ久し振り。今日は一人なのかい?」
「君こそ婚約者はどうしたんだい?」
「今日は異母妹の応援に来ただけだよ。」
「僕もだ。」
「へえ君がそんなに弟思いだなんて知らなかったよ。」
「今日は悪かったね。僕の弟が君の妹を負かしてしまって。今度から女の子にはもう少し手加減するようにいっておくから。」
「気をつかわせて悪いからそれはいいよ。私のほうこそ新入生歓迎会では君の婚約者に恥をかかせたようで悪かったね。妹には弱いものには優しく接するようにいっておくよ。」
フン。
ミッシェルは苦々しい顔で踵を返すとメイドを引き連れてその場に背を向けて出て行った。
「さすがです。」
「ありがとう。じゃあ今度こそ花子の様子を見にいこう。」
「はい。」
キサラギとブラウンは花子が運び込まれたであろう医務室に向かった。
異母兄が食後のお茶を飲みながら三位決定戦の試合結果を見て呟いた。
「確かにそうですね。今のような力があるのなら先ほどの試合はなんだったんだと疑いたくはなります。」
憤懣やるかたない表情をしたキサラギが食器を下げながらも画面を睨みつけた。
「八百長かと思えそうだけどそこはどうなんだいムツキ?」
異母兄が紅茶を注ぎ入れてくれたムツキに視線を向けた。
「単に今持っている武器と先ほどの持っていた武器の性能の違いでしかありません。」
ムツキはいささかぶっきらぼうな口調で異母兄に説明しながらもワゴンにティーポットを置くとそれを壁際にある棚に運んだ。
運ばれた棚が軽い稼働音と共にすぐにどこかに移動していった。
「まあそうだね。でもそうすると彼もまだまだ甘いってことになるね。」
異母兄があたらしい紅茶を飲み干すとそれをテーブルに置いた。
甘いってなにが?
ムツキとキサラギの二人は異母兄の言葉に頷いていたが花子には三人の会話がまったく理解できなかった。
「そろそろ向かいませんと試合に遅れます。」
キサラギの言葉に異母兄と花子は席を立つと食堂を出て決勝戦が行われる会場に向かった。
「それじゃ私たちは応援席から応援しているからがんばってね、花子。」
「はい。」
花子は素直に頷くと三人と別れて試合会場に入って行った。
「ムツキ。ここはいいからツヴァイに連絡をとって彼の予定をおさえておいてくれないか。」
花子の姿が会場に消えると異母兄から矢継ぎ早に指示が飛んだ。
「ツヴァイの予定ですか。」
「ああ、どちらが勝つにしろたぶん今回は祝勝会が王宮で行われることになるからね。でも今度は花子のパートナーを私がやることは出来ないからツヴァイには護衛としてじゃなくパートナーとして出席させることになるのでその点を考えるように伝えておいてくれないか。」
ムツキはハッとしは表情の後すぐに小さく頷いて彼らの前からいなくなった。
「じゃあキサラギ。私たちは応援席でめいいっぱい応援しようか。」
「はい。」
彼らが応援席に着いた瞬間に試合開始の鐘が甲高く鳴り響いた。
カーンカーンカーン。
試合会場では先ほどの試合の三倍の魔道具を持ったカイトと片手に和紙だけを持った花子が対峙していた。
「へえ、それで勝とうなんて流石に俺を舐め過ぎじゃない。」
「いえ、いたって本気です。」
「まあどっちにしろ負ける気はないから。」
カイトは試合会場に持ち込んだ魔道具を起動した。
魔道具から細かな振動と一緒に小さな銀色の魔力を帯びた粉が零れ落ちていた。
カイトは零れ落ちる魔力を纏った粉をそのままにしながら数十個の魔道具を同時に操って次々に魔法を花子に放った。
花子は放たれた魔法を和紙に流した魔力でこちらも次々に防御用の盾を具現化してはじき返した。
そして花子が具現化した盾ではじき返された魔法はそのまま魔道具に跳ね返りそのたびに魔道具が粉砕されていった。
あっという間にカイトが持っていた魔道具が片手で数えられるくらいに減った。
それでも花子は手を抜かずに残りの魔道具も壊しに動いた。
カイトがゼイゼイと苦し気な呼吸を何度もしながらそれでも残りの魔道具で反撃しようとした。
あとひとつ。
花子の魔法が最後の魔道具を壊そうと放たれた。
それを待ってましたとばかりにカイトは手に持った最後の魔道具で花子が放った魔力ごとその力を吸い込んだ。
吸い込まれた魔道具からはキラキラした魔力が零れそれらは先ほど花子によって壊された魔道具の周囲に散っていた銀色の欠片に流れこんだ。
その流れ込んだ魔力はキラキラと光を帯びそれらは何かの模様を描き始めた。
すぐに描かれた模様が試合会場に浮かび上がった。
なにこれ。
花子は慌ててその浮かび上がった模様から離れたが模様は煌めく星の流れのように光ると彼女の姿を追尾して襲い掛かった。
とっさに防護壁を張ったがその光はその防御壁を通り抜けた。
えっ!
通り抜けた模様は取り囲むだけで何も起こらなかった。
ただ花子の周囲に浮かんでいた。
ただ単に浮かんでいた模様に一瞬動きが遅れた彼女に浮かんでいた模様が光り出した。
その瞬間にビリビリとした痺れが全身に走った。
彼女は意識を飛ばしてそのまま試合会場に頽れた。
静寂を会場が包み込み頽れた花子とまだ立っているカイトが会場にいた。
立っているカイトが片手を挙げたことで試合が終了した。
「勝者 カイト=南条。」
審判の声に試合終了が告げられた。
「今のはなんだ?」
異母兄のつぶやきにキサラギが会場に散らばった細かな破片をしばらく観察してから口を開いた。
「推測ですが花子様が粉砕した魔道具の欠片をあらかじめ漏れていた魔力で引き付けて最後にあの魔道具を導火線のようにしてマヒ系の魔法を発動したのではないかと思われます。」
「ではなんであの防御壁で防げなかったんだ。」
「防御壁に触れたときは模様でしたのでまだ魔力を帯びていなったのではないでしょうか。」
だから先ほどの花子が作った魔力での防御魔法では防げなかったのか。
「考えたものだね。」
キサラギも素直に頷いた。
やれやれ。
南条家の長男は確かキンソン家の令嬢と婚約していたね。
祖母のご機嫌が悪くなってしまうな。
あんなに努力した花子のがんばりだけど彼女の願いはかないそうにないかな。
異母兄はがっかりするだろう花子を心配しながら応援席から立ち上がると彼女のもとに向かおうとした。
すぐに通路に出て医務室に向かおうとしたところでカイトの兄と鉢合わせした。
「やあブラウン。久しぶりだね。」
「ああ久し振り。今日は一人なのかい?」
「君こそ婚約者はどうしたんだい?」
「今日は異母妹の応援に来ただけだよ。」
「僕もだ。」
「へえ君がそんなに弟思いだなんて知らなかったよ。」
「今日は悪かったね。僕の弟が君の妹を負かしてしまって。今度から女の子にはもう少し手加減するようにいっておくから。」
「気をつかわせて悪いからそれはいいよ。私のほうこそ新入生歓迎会では君の婚約者に恥をかかせたようで悪かったね。妹には弱いものには優しく接するようにいっておくよ。」
フン。
ミッシェルは苦々しい顔で踵を返すとメイドを引き連れてその場に背を向けて出て行った。
「さすがです。」
「ありがとう。じゃあ今度こそ花子の様子を見にいこう。」
「はい。」
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