転生してもオタクはなおりません。

しゃもん

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49.次代様の実力をご報告します。

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 セバスは大学に向かう花子はなこ様を見送ってからすぐに”白の宮殿”の当主が待つ応接間に向かった。
 軽いノックをして応接間に入ると”白の宮殿”の現当主がフィーアに入れられた紅茶を飲んでいた。
「こちらになります。」
 セバスは先ほどの”白の宮殿の次代就任式”で起こった出来事を収めたデータをフィーアに渡した。
 フィーアはすぐに頷くと壁に触って画面を出すとそれにセバスから渡されたデータを映し出した。
 画面には先ほど訓練室で起こった出来事が事細かに録画されていた。
 歴代最速で終わった”白の宮殿の次代就任式”だったため画面はすぐに真っ黒になった。

「こ・・・これはなんなの?」
 現当主のマリアが紅茶のカップを握ったままわなわなと震えていた。
「セバス。あなたまさか・・・。」
 どうやら余りのことに何か偽造をしたのではないかと疑われているようだ。
「偽造や細工をしても私には全く利益になりません。」

 コホン。
 マリアは小さな咳払いをすると徐に持っていたカップをテーブルに置く。
「今の言葉は忘れなさい。これほどの力です。すぐに花子はなこさんの伴侶候補を準備しなさい。」
「選抜方法はいかがしますか?」
「本人に一任します。あの娘に選ばせなさい。」
「畏まりました。」
 セバスは一礼して部屋を去ろうとすると背後から声がかかった。

「今回は私から候補の選出はしません。その代わり・・・。」
「その代わり?」
「セバスと異母兄ブラウンから一人ずつ候補を選出するように。それとすでに信子のぶことブランからは候補者があがっていますからその人物も加えるようにしなさい。」
 セバスは黙って礼をすると今度こそ部屋を出た。

 それにしても今回の”白の宮殿の次代就任式”には度肝を抜かれた。
 こればかりは録画内容を偽造したのかという現当主の言葉も一応反論したが無理もない。

 セバスは”白の宮殿”の組織にいる者で疑問に思うものには後で花子はなこ様の訓練相手として体で納得させようと黒い笑みを浮かべながら廊下を進んだ。
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