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33.王都の英雄と聖女
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四人の活躍で思った以上に早く魔獣討伐が出来、そのせいか一般市民への被害もでなかった。
「裕也クンこれ食べて。お腹空いたでしょ。」
「朱里ありがとう。」
裕也は朱里が持って来てくれたパンを立ったまま齧り付いた。
かなり魔法を連発したせいか物凄くお腹が空いていた。
二人はお互い顔を見合わせながらパンを食べた。
「ブラッドリイ様、どうぞ。」
魔術師団長がブラッドリイにパンを差し出した。
「ああ、助かる。ところで伝令から他の魔獣報告は来ているか?」
「はい、第二陣は明日の明け方ではないかと連絡が来ています。」
「そうか。ではこのまま”北の城壁”を防御するため当分ここにいた方が得策か。」
「はい、最低三日間は連続で討伐任務に当たることになりそうです。」
「なんで三日なんだ?」
「シェルたちが”北の砦”から魔獣を殲滅しながらこちらに向かって来ていますので三日後、合流する頃には全ての魔獣の討伐が確認できるはずです。」
「いやはや、あいつらは相変わらず型破りだな。」
「そうですね。こっちは全員で頑張って討伐しているのに向こうは余裕で殲滅ですから。」
「うむ。気持ちはわかるが結果良ければすべてヨシじゃ。」
「確かに。」
魔術師団長とブラッドリイの二人も立ったまま食事を済ませるとちょうどそこに城壁の下から誰かが駆け上がって来た。
「おじい・・・じゃなかった、ブラッドリイ様。」
ノルマが城壁に続く階段を白い女性用の衛生服を着て駆けがってきた。
「どうした?」
「し・・・下で負傷兵の治療をしているんですがまだ治癒魔法を使える人の到着が間に合わなくて手伝ってほしいじゃなくて、手伝って下さい。」
「ふむ。ちょうど食事を食べ終えたし他の治癒魔法士が王宮から到着する間なら問題ないぞ。」
「助かります。」
ノルマとブラッドリイの二人は負傷兵がいるところに向かおうと階段を降りようとした。
そこに後ろから朱里が二人の所に息せき切って駆け寄ってきた。
「わ・・・わたしも一緒に治癒させて下さい。」
ブラッドリイは朱里の顔色を見ながら思案した。
本人が想っている以上に疲れているはずなのにどうやら興奮してそれを認識できていないようだ。
さて、どうしたものか。
このままどこかで休むように言ってもこの娘のことだ、気になって休むどころではないか。
そこにいきなり駆け出した朱里を追って裕也もやってきた。
ブラッドリイは心配そうにやって来た裕也にも一緒に来るように告げると四人は負傷兵が担ぎ込まれている建物へ向かった。
そこはうめき声で溢れていた。
ノルマとブラッドリイの二人はすぐに彼らに気づいてこちらにやって来た衛生兵に重症者を奥のベッドに寝かせるに指示をした。
すぐに衛生兵は頷くと二人がかりでシーツを使って奥のベッドに負傷兵を寝かる。
ノルマが治療薬の準備をしているうちにブラッドリイは負傷兵に近づくと治癒魔法で患者を治していった。
一人治療し終えた所で朱里がやっと我に返った。
「あのーブラッドリイ様。手伝います。」
小さな声で朱里が声を掛けるとブラッドリイが新たに運ばれてきた患者の足の噛み傷を治す様に朱里に指示した。
「はい。」
朱里は真剣な顔で杖を出すと治癒魔法を開始した。
ブラッドリイほどではないが徐々に傷が治っていく。
それと比例して朱里の強張っていた表情も徐々に明るくなっていった。
それを見た裕也も安心してノルマに声をかけて魔法薬の瓶を取りに行ったりして彼らを手伝った。
数時間でかなりの人数を治療し終えたところにやっと王宮から大量の魔法治療薬を抱えた治癒士たちが到着した。
ブラッドリイと朱里は彼らに交代するように建物を出た。
すると今まで気を張っていたせいか朱里が倒れそうになり、それを後ろから出て来た裕也が支えた。
「大丈夫か?」
「裕也クン。」
朱里は裕也が支えてくれたことで安心したのかフッと力が抜けてそのまま気を失った。
「朱里!」
裕也は倒れ掛かって来た彼女を咄嗟に抱き上げた。
「たんにつかれただけだろう。ついて来なさい。」
ブラッドリイは二人を近くの建物にある一室に案内した。
そこにはベッドが一つだけ置かれ隅にテーブルと椅子が二客置いてあった。
裕也は朱里の靴を逃がせるとベッドに横に寝かした。
毛布を掛けて立ち上がるとブラッドリイに注意を受けた。
「念のためお前もここにいるようにしなさい。ここは平和な国ではないし戦場だ。馬鹿なことを考える奴らはいくらでもいるからな。食事と毛布は後で届けさせる。明日は夜明け前にまた城壁の上に集合だ。」
ブラッドリイはそれだけ告げるとその部屋から出て行った。
ブラッドリイに言われるまでそんなことを全く考えていなかった裕也は気を引き締めてバシッと両頬を手で叩くと疲れていてふらつく足で立ち上がると椅子をベッドの傍に持って来てそこに腰を降ろした。
トントントン
ブラッドリイが出て行ってからしばらくするとノルマが2人分の食事と毛布を持って来てくれた。
「ありがとうございます。」
裕也はノルマにお礼を言うと彼女が持って来てくれた食事を早速食べた。
先ほど齧ったパンより温かいせいかこっちの方がおいしく感じる。
手早く食事を済ませるとブラッドリイに言われた通りドアにカギをかけてから椅子に座り直すと毛布に包まってそのまま眠りについた。
「裕也クン。裕也クン。」
裕也は肩を揺さぶられて目が覚めた。
「朱里!」
「ごめん裕也クン。気がつかなくて休めなかったんじゃない?」
朱里が心配そうな顔で覗き込んで来た。
「大丈夫だよ。」
本当は椅子に座ったまま寝たせいで体が少しばかりギシギシ言っていた。
「裕也クン、もう一回座って。」
朱里は椅子から立ち上った裕也をもう一度椅子に座らせると杖を出して治癒魔法を使った。
朱里が治癒魔法を使うと患部がほんのり温かくなってそれに伴い裕也の疲れはすぐになくなった。
「ありがとう朱里。」
「さっきより良くなった?」
「ああ、すごく良くなったよ。そう言えばお腹空かないか。明け方には城壁に来るようにブラッドリイ様に言われているんだ。ちょうどいい時間だから食事をして城壁に向かおう。」
「うん。」
朱里は素直に頷くと裕也について部屋を出た。
二人は食事を終えるとすぐに城壁に向かった。
昨日あれだけ倒した魔獣が今日もまたそこかしこに溢れていた。
「凄い数ですね。」
思わず呟いた裕也の言葉にブラッドリイは振り向いた。
「仕方ない。だが三日間の辛抱だ。今日も昨日と同じ隊形で魔獣を討伐する。」
「同じって朱里もですか。」
「当然じゃ。」
「ですが朱里はまだ未成年・・・。」
「裕也クン。確かに私は未成年だけど魔法が使えるんだからやるよ。それに昨日みたいに裕也クンをまた守りたいんだ。」
「朱里。」
裕也は朱里の自分を守りたいという言葉とここに置いて行かないでという不安な気持ちを察して彼女の手を握ると彼女の顔をまっすぐに見て告げた。
「わかったよ、朱里。一緒に戦おう。」
二人の姿に少し呆れながらもブラッドリイは一応彼らを安心させるため声を掛けた。
「あまり心配するな裕也。朱里のことは儂も守ってやるから心配ない。」
「そうですね。それに気が捕られて魔獣に食べられない様にブラッドリイ様のことは私が守りまりましょうか。」
魔術師団長がちょうど城壁の階段を登ってきたところだった。
「魔術師団長。儂を年寄り扱いするな。」
「そんなつもりはありませんが念のためです。」
「フン。まあいい。ではそろそろいくかのぉー。」
「「はい。」」
「そうですね。」
四人は城壁の外で魔獣討伐を始めた。
裕也は昨日より聖剣の扱いになれたせいか昨日以上に魔獣を倒せた。
朱里も同じように魔獣を倒していく。
そんな二人の姿を城壁の上から見ていた街の商人の口からいつの間にか市民は二人を”王都の英雄と聖女”と呼ぶようになっていった。
「裕也クンこれ食べて。お腹空いたでしょ。」
「朱里ありがとう。」
裕也は朱里が持って来てくれたパンを立ったまま齧り付いた。
かなり魔法を連発したせいか物凄くお腹が空いていた。
二人はお互い顔を見合わせながらパンを食べた。
「ブラッドリイ様、どうぞ。」
魔術師団長がブラッドリイにパンを差し出した。
「ああ、助かる。ところで伝令から他の魔獣報告は来ているか?」
「はい、第二陣は明日の明け方ではないかと連絡が来ています。」
「そうか。ではこのまま”北の城壁”を防御するため当分ここにいた方が得策か。」
「はい、最低三日間は連続で討伐任務に当たることになりそうです。」
「なんで三日なんだ?」
「シェルたちが”北の砦”から魔獣を殲滅しながらこちらに向かって来ていますので三日後、合流する頃には全ての魔獣の討伐が確認できるはずです。」
「いやはや、あいつらは相変わらず型破りだな。」
「そうですね。こっちは全員で頑張って討伐しているのに向こうは余裕で殲滅ですから。」
「うむ。気持ちはわかるが結果良ければすべてヨシじゃ。」
「確かに。」
魔術師団長とブラッドリイの二人も立ったまま食事を済ませるとちょうどそこに城壁の下から誰かが駆け上がって来た。
「おじい・・・じゃなかった、ブラッドリイ様。」
ノルマが城壁に続く階段を白い女性用の衛生服を着て駆けがってきた。
「どうした?」
「し・・・下で負傷兵の治療をしているんですがまだ治癒魔法を使える人の到着が間に合わなくて手伝ってほしいじゃなくて、手伝って下さい。」
「ふむ。ちょうど食事を食べ終えたし他の治癒魔法士が王宮から到着する間なら問題ないぞ。」
「助かります。」
ノルマとブラッドリイの二人は負傷兵がいるところに向かおうと階段を降りようとした。
そこに後ろから朱里が二人の所に息せき切って駆け寄ってきた。
「わ・・・わたしも一緒に治癒させて下さい。」
ブラッドリイは朱里の顔色を見ながら思案した。
本人が想っている以上に疲れているはずなのにどうやら興奮してそれを認識できていないようだ。
さて、どうしたものか。
このままどこかで休むように言ってもこの娘のことだ、気になって休むどころではないか。
そこにいきなり駆け出した朱里を追って裕也もやってきた。
ブラッドリイは心配そうにやって来た裕也にも一緒に来るように告げると四人は負傷兵が担ぎ込まれている建物へ向かった。
そこはうめき声で溢れていた。
ノルマとブラッドリイの二人はすぐに彼らに気づいてこちらにやって来た衛生兵に重症者を奥のベッドに寝かせるに指示をした。
すぐに衛生兵は頷くと二人がかりでシーツを使って奥のベッドに負傷兵を寝かる。
ノルマが治療薬の準備をしているうちにブラッドリイは負傷兵に近づくと治癒魔法で患者を治していった。
一人治療し終えた所で朱里がやっと我に返った。
「あのーブラッドリイ様。手伝います。」
小さな声で朱里が声を掛けるとブラッドリイが新たに運ばれてきた患者の足の噛み傷を治す様に朱里に指示した。
「はい。」
朱里は真剣な顔で杖を出すと治癒魔法を開始した。
ブラッドリイほどではないが徐々に傷が治っていく。
それと比例して朱里の強張っていた表情も徐々に明るくなっていった。
それを見た裕也も安心してノルマに声をかけて魔法薬の瓶を取りに行ったりして彼らを手伝った。
数時間でかなりの人数を治療し終えたところにやっと王宮から大量の魔法治療薬を抱えた治癒士たちが到着した。
ブラッドリイと朱里は彼らに交代するように建物を出た。
すると今まで気を張っていたせいか朱里が倒れそうになり、それを後ろから出て来た裕也が支えた。
「大丈夫か?」
「裕也クン。」
朱里は裕也が支えてくれたことで安心したのかフッと力が抜けてそのまま気を失った。
「朱里!」
裕也は倒れ掛かって来た彼女を咄嗟に抱き上げた。
「たんにつかれただけだろう。ついて来なさい。」
ブラッドリイは二人を近くの建物にある一室に案内した。
そこにはベッドが一つだけ置かれ隅にテーブルと椅子が二客置いてあった。
裕也は朱里の靴を逃がせるとベッドに横に寝かした。
毛布を掛けて立ち上がるとブラッドリイに注意を受けた。
「念のためお前もここにいるようにしなさい。ここは平和な国ではないし戦場だ。馬鹿なことを考える奴らはいくらでもいるからな。食事と毛布は後で届けさせる。明日は夜明け前にまた城壁の上に集合だ。」
ブラッドリイはそれだけ告げるとその部屋から出て行った。
ブラッドリイに言われるまでそんなことを全く考えていなかった裕也は気を引き締めてバシッと両頬を手で叩くと疲れていてふらつく足で立ち上がると椅子をベッドの傍に持って来てそこに腰を降ろした。
トントントン
ブラッドリイが出て行ってからしばらくするとノルマが2人分の食事と毛布を持って来てくれた。
「ありがとうございます。」
裕也はノルマにお礼を言うと彼女が持って来てくれた食事を早速食べた。
先ほど齧ったパンより温かいせいかこっちの方がおいしく感じる。
手早く食事を済ませるとブラッドリイに言われた通りドアにカギをかけてから椅子に座り直すと毛布に包まってそのまま眠りについた。
「裕也クン。裕也クン。」
裕也は肩を揺さぶられて目が覚めた。
「朱里!」
「ごめん裕也クン。気がつかなくて休めなかったんじゃない?」
朱里が心配そうな顔で覗き込んで来た。
「大丈夫だよ。」
本当は椅子に座ったまま寝たせいで体が少しばかりギシギシ言っていた。
「裕也クン、もう一回座って。」
朱里は椅子から立ち上った裕也をもう一度椅子に座らせると杖を出して治癒魔法を使った。
朱里が治癒魔法を使うと患部がほんのり温かくなってそれに伴い裕也の疲れはすぐになくなった。
「ありがとう朱里。」
「さっきより良くなった?」
「ああ、すごく良くなったよ。そう言えばお腹空かないか。明け方には城壁に来るようにブラッドリイ様に言われているんだ。ちょうどいい時間だから食事をして城壁に向かおう。」
「うん。」
朱里は素直に頷くと裕也について部屋を出た。
二人は食事を終えるとすぐに城壁に向かった。
昨日あれだけ倒した魔獣が今日もまたそこかしこに溢れていた。
「凄い数ですね。」
思わず呟いた裕也の言葉にブラッドリイは振り向いた。
「仕方ない。だが三日間の辛抱だ。今日も昨日と同じ隊形で魔獣を討伐する。」
「同じって朱里もですか。」
「当然じゃ。」
「ですが朱里はまだ未成年・・・。」
「裕也クン。確かに私は未成年だけど魔法が使えるんだからやるよ。それに昨日みたいに裕也クンをまた守りたいんだ。」
「朱里。」
裕也は朱里の自分を守りたいという言葉とここに置いて行かないでという不安な気持ちを察して彼女の手を握ると彼女の顔をまっすぐに見て告げた。
「わかったよ、朱里。一緒に戦おう。」
二人の姿に少し呆れながらもブラッドリイは一応彼らを安心させるため声を掛けた。
「あまり心配するな裕也。朱里のことは儂も守ってやるから心配ない。」
「そうですね。それに気が捕られて魔獣に食べられない様にブラッドリイ様のことは私が守りまりましょうか。」
魔術師団長がちょうど城壁の階段を登ってきたところだった。
「魔術師団長。儂を年寄り扱いするな。」
「そんなつもりはありませんが念のためです。」
「フン。まあいい。ではそろそろいくかのぉー。」
「「はい。」」
「そうですね。」
四人は城壁の外で魔獣討伐を始めた。
裕也は昨日より聖剣の扱いになれたせいか昨日以上に魔獣を倒せた。
朱里も同じように魔獣を倒していく。
そんな二人の姿を城壁の上から見ていた街の商人の口からいつの間にか市民は二人を”王都の英雄と聖女”と呼ぶようになっていった。
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