25 / 51
25.魔獣討伐
しおりを挟む
シェルは警告だけするとテントに戻った。
テントに入り引き戸を開けるとちょうど目を覚ました美野里がテーブルでコーヒーを飲んでいた。
「ショウ。私にはココアを頂戴。」
「おい。俺はウェイターじゃない。自分で入れろ。」
「あら入れろなんてそんなことシータの前で。」
シェルはほんのり頬を染め目は欲望を込めて克也の尻を舐め回していた。
克也は慌てて席を立つと台所まで退避してからシェルの言葉をしっかりと否定した。
「そういう意味じゃない!」
克也は文句を言いながらも鍋にミルクを注ぐとそれを温めシェルの前に熱いココアを置いた。
「ありがと。」
シェルは出されたカップに両手を添えてフーフー言いながら熱いココアを少しずつ飲む。
一息つくと結論を二人に話した。
「明日この砦内に外にいる魔獣を引き入れてからここを破壊するわ。」
「シェル!」
美野里は飲んでいたカップをドンとテーブルに置いた。
「もうシータも気づいてるでしょ。」
立ち上って反論しようとした美野里はそれを聞いて力なく椅子に座り直した。
思わず反論しようとしたがシェルが言っていることは正しいからだ。
「そう言えばショウに今朝起こった魔獣の件を聞いた?」
美野里は聞いていないと首を横に振った。
「昨日シータを襲ったあいつらと話してたら奴らが急に魔獣になったんだ。」
克也は仕方なくさっき起こったことを美野里に話した。
彼女はその話をコーヒーのカップを持ったまま黙って聞いていた。
「でっそいつらをショウが見事に討伐しました。」
シェルが言いづらそうな結論をズバリといい放った。
「それと昨日シータが治療した数十名は魔獣にならずに済むはずだけど他の人間はいずれ魔獣になるわね。だから諦めなさいシータ。それよりあなたの為にわざわざ強姦しようとした人間を討伐したショウにシータはお礼を言うべきよ。」
シェルがいきなりとんでも発言を噛ました。
「ちょっと待て。俺は別にそんな意味で今の話をしたわけじゃない。」
「あらじゃなんでわざわざ彼らと話なんかしていたの?」
「いや・・・そのぉーだな。」
克也は何と言っていいかわからず口ごもってしまった。
逆に美野里は自分のことを想ってそんな行動をしてくれた彼に胸がいっぱいになって思わず涙ぐんでしまった。
「あ・・・ありがとう・・・ぐすっ。」
「俺は別にそんなお礼を言われたくてした訳じゃ・・・。」
二人は何度も目線を交わしてお互い言いにくそうにモジモジしている。
行き成りなんか当てられたようになったシェルがボソリと零した。
「ああやだ見つめ合っちゃって。」
「「シェル!」」
ピンポーン。
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
そこに来客を告げる音が鳴り響いた。
美野里が我に返って人差し指をあげるとTVのモニター画面にこちらに足早に近づいてくる老兵士の姿が映った。
「あらあら。お出迎えしなくちゃならないようね。」
シェルはココアのカップをテーブルに置くと立ち上がってすぐに玄関に向かった。
二人は玄関を出てテントの中から外にいる老兵士を驚かせたシェルの姿をそのままTVのモニター画面で見ていた。
「なあシータ。これって画像だけで音声は拾えないのか。」
克也は台所から自分用に入れた緑茶を持って椅子に座った。
美野里が頷いて親指をあげると画面から二人の会話が流れてきた。
「何で来たことが分かったのかって顔ね。一応忘れてるんじゃないかと思うからもう一度いうけど私は王都魔術師団に所属してるのよ。」
シェルは魔法が使えることを再度老兵士に認識させた。
「そうだったな。話は単純だ。砦いる若い兵士が魔獣にならない様に治療することは可能なのか?」
「ああそのことね。結論から言えば可能よ。でも前提条件があるわ。」
「どんな前提条件なんだ?」
「死にそうになっていること。」
「どういう意味だ。」
「考えればわかるでしょ。人間は死にそうになると必死に死なない様に無意識化で体が活動するのよ。当然魔獣になりそうな要素も活発になるけど・・・。」
「だから重症患者は治癒魔法で治ったのか?」」
シェルの言葉にかぶせる様に老兵士が聞いて来た。
シェルは黙って頷いた。
しばらく二人はテントの前で見つめ合っていた。
「シェルの好みって実は老兵士なのか?」
克也はあまりにも長い間見つめ合っている彼らに聞こえないのをいいことにぼそりと酷いことを呟いた。
「なわけないでしょ。」
さすがにこの発言には美野里も突っ込みをいれた。
暫く無言で見つめ合った後老兵士は視線を外すとぼそりと呟いて砦に帰って行った。
「明日は俺たち全員が討伐を手伝う。だからその討伐中に死にそうになった人間は必ず治療をしてくれ。」
「わかったわ。」
シェルは老兵士の背中に了承の言葉を投げた。
明日は大変な日になりそうだ。
二人は飲み残しを一気に飲み干すと明日の準備をする為立ち上がった。
テントに入り引き戸を開けるとちょうど目を覚ました美野里がテーブルでコーヒーを飲んでいた。
「ショウ。私にはココアを頂戴。」
「おい。俺はウェイターじゃない。自分で入れろ。」
「あら入れろなんてそんなことシータの前で。」
シェルはほんのり頬を染め目は欲望を込めて克也の尻を舐め回していた。
克也は慌てて席を立つと台所まで退避してからシェルの言葉をしっかりと否定した。
「そういう意味じゃない!」
克也は文句を言いながらも鍋にミルクを注ぐとそれを温めシェルの前に熱いココアを置いた。
「ありがと。」
シェルは出されたカップに両手を添えてフーフー言いながら熱いココアを少しずつ飲む。
一息つくと結論を二人に話した。
「明日この砦内に外にいる魔獣を引き入れてからここを破壊するわ。」
「シェル!」
美野里は飲んでいたカップをドンとテーブルに置いた。
「もうシータも気づいてるでしょ。」
立ち上って反論しようとした美野里はそれを聞いて力なく椅子に座り直した。
思わず反論しようとしたがシェルが言っていることは正しいからだ。
「そう言えばショウに今朝起こった魔獣の件を聞いた?」
美野里は聞いていないと首を横に振った。
「昨日シータを襲ったあいつらと話してたら奴らが急に魔獣になったんだ。」
克也は仕方なくさっき起こったことを美野里に話した。
彼女はその話をコーヒーのカップを持ったまま黙って聞いていた。
「でっそいつらをショウが見事に討伐しました。」
シェルが言いづらそうな結論をズバリといい放った。
「それと昨日シータが治療した数十名は魔獣にならずに済むはずだけど他の人間はいずれ魔獣になるわね。だから諦めなさいシータ。それよりあなたの為にわざわざ強姦しようとした人間を討伐したショウにシータはお礼を言うべきよ。」
シェルがいきなりとんでも発言を噛ました。
「ちょっと待て。俺は別にそんな意味で今の話をしたわけじゃない。」
「あらじゃなんでわざわざ彼らと話なんかしていたの?」
「いや・・・そのぉーだな。」
克也は何と言っていいかわからず口ごもってしまった。
逆に美野里は自分のことを想ってそんな行動をしてくれた彼に胸がいっぱいになって思わず涙ぐんでしまった。
「あ・・・ありがとう・・・ぐすっ。」
「俺は別にそんなお礼を言われたくてした訳じゃ・・・。」
二人は何度も目線を交わしてお互い言いにくそうにモジモジしている。
行き成りなんか当てられたようになったシェルがボソリと零した。
「ああやだ見つめ合っちゃって。」
「「シェル!」」
ピンポーン。
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
そこに来客を告げる音が鳴り響いた。
美野里が我に返って人差し指をあげるとTVのモニター画面にこちらに足早に近づいてくる老兵士の姿が映った。
「あらあら。お出迎えしなくちゃならないようね。」
シェルはココアのカップをテーブルに置くと立ち上がってすぐに玄関に向かった。
二人は玄関を出てテントの中から外にいる老兵士を驚かせたシェルの姿をそのままTVのモニター画面で見ていた。
「なあシータ。これって画像だけで音声は拾えないのか。」
克也は台所から自分用に入れた緑茶を持って椅子に座った。
美野里が頷いて親指をあげると画面から二人の会話が流れてきた。
「何で来たことが分かったのかって顔ね。一応忘れてるんじゃないかと思うからもう一度いうけど私は王都魔術師団に所属してるのよ。」
シェルは魔法が使えることを再度老兵士に認識させた。
「そうだったな。話は単純だ。砦いる若い兵士が魔獣にならない様に治療することは可能なのか?」
「ああそのことね。結論から言えば可能よ。でも前提条件があるわ。」
「どんな前提条件なんだ?」
「死にそうになっていること。」
「どういう意味だ。」
「考えればわかるでしょ。人間は死にそうになると必死に死なない様に無意識化で体が活動するのよ。当然魔獣になりそうな要素も活発になるけど・・・。」
「だから重症患者は治癒魔法で治ったのか?」」
シェルの言葉にかぶせる様に老兵士が聞いて来た。
シェルは黙って頷いた。
しばらく二人はテントの前で見つめ合っていた。
「シェルの好みって実は老兵士なのか?」
克也はあまりにも長い間見つめ合っている彼らに聞こえないのをいいことにぼそりと酷いことを呟いた。
「なわけないでしょ。」
さすがにこの発言には美野里も突っ込みをいれた。
暫く無言で見つめ合った後老兵士は視線を外すとぼそりと呟いて砦に帰って行った。
「明日は俺たち全員が討伐を手伝う。だからその討伐中に死にそうになった人間は必ず治療をしてくれ。」
「わかったわ。」
シェルは老兵士の背中に了承の言葉を投げた。
明日は大変な日になりそうだ。
二人は飲み残しを一気に飲み干すと明日の準備をする為立ち上がった。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる