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18.聖剣の威力
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美野里がなんとか立ち上がってダイニングに戻るとすでにそこでは夕食の準備を終えた克也がテーブルに料理を出し終えていた。
「ごめんなさい。」
小さい声で謝罪した美野里に克也は椅子を引いて座るように促した。
「流石に俺も腹が減って死にそうなんだ。早く食べようぜ。」
美野里は素直に頷くとまだお風呂から上がって来ないシェルを待たずに二人で食事を始めた。
今回の食事も昨晩食べた料理と同じように美野里が作るより断然美味しかった。
美野里もそこそこ作るがこれ程美味しくはない。
ホント女子力高すぎでしょ。
ある意味負けたを通り越して感心してしまった。
美野里が感心しているうちに二人とも食べ終わっていた。
ちょうどその時引き戸を開けて石鹸のいい匂いを漂わせたシェルが部屋に入って来た。
そこで食事を終えている二人と今日自分が寝るはずのベッドに寝かされている兵士を発見した。
「ちょっ・・・ちょっとなんで私が寝るベッドに寝かせてるのよ。」
シェルは喉が渇いたのか文句を言いながら冷蔵庫に行くと何かの瓶を開けてそれをグラスに注いでから二人がいるテーブルに歩いて来た。
「しょうがないだろ。布団まだ敷いてないんだから。」
「私がソファーとかありえない。」
美野里の横にシェルがグラスを持ったまま座った。
「俺がそこで寝るから問題ないだろ。」
「あら、克也は今夜シータの初めての・・・。」
そこで横にいた美野里がアワアワと真っ赤な顔で文句を言おうと口を開くがなかなか言葉が出てこない。
呆れたシェルが持っていたグラスを美野里に渡すと彼女は落ち着こうとそれを一気飲みした。
ゴックン。
プハー。
真っ赤な顔をさらに赤くした美野里はそのままテーブルに突っ伏した。
「あらあら。シータたらせっかちね。いくら何でも一気飲みしたら勿体ないわよ。」
突然テーブルに突っ伏した美野里とシェルの不穏な会話に克也は慌ててテーブルを回ると彼女を揺さぶった。
「大丈夫かシータ?」
「ショウ。折角眠ってるんだから起こしたら可哀そうよ。そこの部屋に布団敷いて寝かせてあげて頂戴。」
シェルはそういうと昨日美野里と一緒に寝た部屋を指差した。
克也は取り敢えず和室に入ると押し入れから布団を取り出して二組分の布団を敷いた。
戻ってからテーブルに突っ伏して寝ている美野里を抱き上げると昨日と同じようにそのまま布団に寝かせた。
寝かせる時美野里から強烈なアルコールの匂いが漂って来た。
「シェル。どんだけ強い酒を飲ませたんだ?」
克也は美野里に布団をかけてやると和室を出て新しいグラスに先ほどの瓶からお酒を注いで飲んでいるシェルを睨み付けた。
「あら心配。でも魔力が強いものがアルコールで死んだなんて聞いたことがないから大丈夫よ。」
「それはこっちの人間の話だろ。」
シェルの横に座って克也はシェルが注いだ瓶からそのまま酒をラッパ飲みした。
「まあ意外と強いのねショウは。」
「まっ向こうの世界でも親父の晩酌に付き合って一度も酔ったことはないから多分強いんだろうな。」
シェルは克也が作ってくれた食事を食べながらしばらく二人でたわいもない話をした。
そしてシェルが食事を終えると克也は食器を片付け始めシェルはベッドに寝ている兵士に治療魔法を掛けた。
シェルが治療を終える頃片づけを終えた克也がソファーで寝ようと和室からもう一組布団を持つて来るとソファーに付いている取っ手に気がついた。
「ああそうか。こっちもソファーベッドだったんだ。」
克也は取っ手を押して背もたれを倒すとそこに布団を敷いた。
これなら疲れを癒せる。
克也がそこで寝ようとするとその肩をシェルがガシッと掴んだ。
「ショウはあっちで寝て頂戴。」
「はぁー、さっき俺がソファーで寝るって言っただろ。」
「あら、ショウは治癒魔法使えないでしょ。夜中何かあったらどうするのよ。」
グッ。
克也は何も言い返せずスゴスゴと和室に戻ると何ともかわいい寝顔で寝ている美野里を見てから彼女に背を向けると布団に入った。
美野里が気になって寝られないとか考えていたが克也自身も今回の戦闘でかなり疲れていたようでそのまま布団で朝まで熟睡してしまった。
「うーん眩しい。」
シェルは頭上から差し込む光に目をパチパチさせた。
「なによ。照明を切らずに寝たかしら。」
腕を目の上に上げて差し込んで来た光を遮るように起き上がると頭上に広がる窓外の景色に目を瞠った。
「あらぁー。なんてこと。」
シェルの後に起きて来た二人もこの窓外の真っ白な景色に固まった。
三人は結局食事を終えるとリュックを背負い防寒用のコートを重ね着すると玄関に集まった。
「お・・・重い。」
克也は引き戸の取っ手を持って少しずつ戸を開けた。
開けた戸からはギュッと固まった雪の塊が飛び出してきた。
「ちょっと何これ?」
シェルが戸にこびり付く様に固まっている雪を触った。
美野里もシェルの背後からその雪の塊を凝視した。
戻ってもう一度窓から外の景色が見える方向を変えてみると引き戸の周囲も白銀の世界に変わっているようだ。
「どうするシータ?」
シェルが雪の塊を触ってすぐに手を引っ込めた。
「なんだぁ。どうかした?」
不審なシェルの様子に今度は克也が雪の塊を触った。
「ヒャッーつっめたぁー・・・。」
あまりの冷たさに克也は手を引っ込めた。
「それだけ?」
「他に何があるんだぁ?」
「シータぁーここに鈍感男がいるんだけど?」
「おい、なんで鈍感なんだよ。」
美野里はしばらく黙って言い合いをしている二人を見ていた。
「「シータ?」」
「あっごめんなさい。ちょっと考えごとしてて。」
「あら何を考えたのよ。」
「えっとですね。それって山頂の雪がここでも降り積もったものなんです。なのにショウは触っても何も感じなかったっていったじゃないですか。」
「だから鈍感なんじゃないの?」
「えっともしかしたら鈍感じゃなく、そもそも何も感じてないんじゃないかなっと。」
「はぁあ何も感じないって何言って・・・。」
シェルもハッとした。
二人は同じような顔で克也を見た。
克也は思わず一歩後ろに下がった。
「ちょっと急になんだ?」
「うん、きっと間違いない。」
「だからなんだって!」
「そうね。やって見ればわかるわ。ショウ、聖剣出してその雪に刺して見て。」
「はあぁー何を急に言い出すんだ?」
二人は真剣な顔で克也に催促した。
克也はなんだってとブツブツ言いながらも言われた通りに聖剣を出してそれを雪の塊に突き刺した。
すると見る見るうちに聖剣を突き刺した雪が淡い光を放って剣に吸収された。
二人は予測していたこととは言え唖然とその光景を見ていた。
「なんだこれ?」
克也はそう言いながら面白がって剣を雪に突き刺して玄関の引き戸にこびり付いていた雪を全て消した。
その頃になってやっと我に返った二人は今までの自分たちの行動の中でなんで気づかなかったんだと自分で自分に突っ込んだ。
「そうよ。なんで気づかなかったのよ。もっと早くわかっていればあんなに苦労なんかしなかったのに!」
「シェル、日本のことわざに後悔先に立たずってあるのよ。だからこれは仕方がないことなのよ。」
二人は山頂の苦しい行軍を想い出しながらもここは気づかなかった自分を罵るにとどめた。
「おい、何が何だかわからないがとにかく外に出れるようになったんだから外に行かないか?」
「そうね。」
シェルは諦め顔で背中に負傷した兵士を担ぎながらも聖剣の力で雪を消し去りスタスタと先を歩く克也を見た。
どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのか。
聖剣は聖なる力で作られたものなんだから聖なる雪も吸収できるって気づけないなんて。
二人は落ち込みながらも消された雪の後をみて何度目かの自己嫌悪に陥った。
「ごめんなさい。」
小さい声で謝罪した美野里に克也は椅子を引いて座るように促した。
「流石に俺も腹が減って死にそうなんだ。早く食べようぜ。」
美野里は素直に頷くとまだお風呂から上がって来ないシェルを待たずに二人で食事を始めた。
今回の食事も昨晩食べた料理と同じように美野里が作るより断然美味しかった。
美野里もそこそこ作るがこれ程美味しくはない。
ホント女子力高すぎでしょ。
ある意味負けたを通り越して感心してしまった。
美野里が感心しているうちに二人とも食べ終わっていた。
ちょうどその時引き戸を開けて石鹸のいい匂いを漂わせたシェルが部屋に入って来た。
そこで食事を終えている二人と今日自分が寝るはずのベッドに寝かされている兵士を発見した。
「ちょっ・・・ちょっとなんで私が寝るベッドに寝かせてるのよ。」
シェルは喉が渇いたのか文句を言いながら冷蔵庫に行くと何かの瓶を開けてそれをグラスに注いでから二人がいるテーブルに歩いて来た。
「しょうがないだろ。布団まだ敷いてないんだから。」
「私がソファーとかありえない。」
美野里の横にシェルがグラスを持ったまま座った。
「俺がそこで寝るから問題ないだろ。」
「あら、克也は今夜シータの初めての・・・。」
そこで横にいた美野里がアワアワと真っ赤な顔で文句を言おうと口を開くがなかなか言葉が出てこない。
呆れたシェルが持っていたグラスを美野里に渡すと彼女は落ち着こうとそれを一気飲みした。
ゴックン。
プハー。
真っ赤な顔をさらに赤くした美野里はそのままテーブルに突っ伏した。
「あらあら。シータたらせっかちね。いくら何でも一気飲みしたら勿体ないわよ。」
突然テーブルに突っ伏した美野里とシェルの不穏な会話に克也は慌ててテーブルを回ると彼女を揺さぶった。
「大丈夫かシータ?」
「ショウ。折角眠ってるんだから起こしたら可哀そうよ。そこの部屋に布団敷いて寝かせてあげて頂戴。」
シェルはそういうと昨日美野里と一緒に寝た部屋を指差した。
克也は取り敢えず和室に入ると押し入れから布団を取り出して二組分の布団を敷いた。
戻ってからテーブルに突っ伏して寝ている美野里を抱き上げると昨日と同じようにそのまま布団に寝かせた。
寝かせる時美野里から強烈なアルコールの匂いが漂って来た。
「シェル。どんだけ強い酒を飲ませたんだ?」
克也は美野里に布団をかけてやると和室を出て新しいグラスに先ほどの瓶からお酒を注いで飲んでいるシェルを睨み付けた。
「あら心配。でも魔力が強いものがアルコールで死んだなんて聞いたことがないから大丈夫よ。」
「それはこっちの人間の話だろ。」
シェルの横に座って克也はシェルが注いだ瓶からそのまま酒をラッパ飲みした。
「まあ意外と強いのねショウは。」
「まっ向こうの世界でも親父の晩酌に付き合って一度も酔ったことはないから多分強いんだろうな。」
シェルは克也が作ってくれた食事を食べながらしばらく二人でたわいもない話をした。
そしてシェルが食事を終えると克也は食器を片付け始めシェルはベッドに寝ている兵士に治療魔法を掛けた。
シェルが治療を終える頃片づけを終えた克也がソファーで寝ようと和室からもう一組布団を持つて来るとソファーに付いている取っ手に気がついた。
「ああそうか。こっちもソファーベッドだったんだ。」
克也は取っ手を押して背もたれを倒すとそこに布団を敷いた。
これなら疲れを癒せる。
克也がそこで寝ようとするとその肩をシェルがガシッと掴んだ。
「ショウはあっちで寝て頂戴。」
「はぁー、さっき俺がソファーで寝るって言っただろ。」
「あら、ショウは治癒魔法使えないでしょ。夜中何かあったらどうするのよ。」
グッ。
克也は何も言い返せずスゴスゴと和室に戻ると何ともかわいい寝顔で寝ている美野里を見てから彼女に背を向けると布団に入った。
美野里が気になって寝られないとか考えていたが克也自身も今回の戦闘でかなり疲れていたようでそのまま布団で朝まで熟睡してしまった。
「うーん眩しい。」
シェルは頭上から差し込む光に目をパチパチさせた。
「なによ。照明を切らずに寝たかしら。」
腕を目の上に上げて差し込んで来た光を遮るように起き上がると頭上に広がる窓外の景色に目を瞠った。
「あらぁー。なんてこと。」
シェルの後に起きて来た二人もこの窓外の真っ白な景色に固まった。
三人は結局食事を終えるとリュックを背負い防寒用のコートを重ね着すると玄関に集まった。
「お・・・重い。」
克也は引き戸の取っ手を持って少しずつ戸を開けた。
開けた戸からはギュッと固まった雪の塊が飛び出してきた。
「ちょっと何これ?」
シェルが戸にこびり付く様に固まっている雪を触った。
美野里もシェルの背後からその雪の塊を凝視した。
戻ってもう一度窓から外の景色が見える方向を変えてみると引き戸の周囲も白銀の世界に変わっているようだ。
「どうするシータ?」
シェルが雪の塊を触ってすぐに手を引っ込めた。
「なんだぁ。どうかした?」
不審なシェルの様子に今度は克也が雪の塊を触った。
「ヒャッーつっめたぁー・・・。」
あまりの冷たさに克也は手を引っ込めた。
「それだけ?」
「他に何があるんだぁ?」
「シータぁーここに鈍感男がいるんだけど?」
「おい、なんで鈍感なんだよ。」
美野里はしばらく黙って言い合いをしている二人を見ていた。
「「シータ?」」
「あっごめんなさい。ちょっと考えごとしてて。」
「あら何を考えたのよ。」
「えっとですね。それって山頂の雪がここでも降り積もったものなんです。なのにショウは触っても何も感じなかったっていったじゃないですか。」
「だから鈍感なんじゃないの?」
「えっともしかしたら鈍感じゃなく、そもそも何も感じてないんじゃないかなっと。」
「はぁあ何も感じないって何言って・・・。」
シェルもハッとした。
二人は同じような顔で克也を見た。
克也は思わず一歩後ろに下がった。
「ちょっと急になんだ?」
「うん、きっと間違いない。」
「だからなんだって!」
「そうね。やって見ればわかるわ。ショウ、聖剣出してその雪に刺して見て。」
「はあぁー何を急に言い出すんだ?」
二人は真剣な顔で克也に催促した。
克也はなんだってとブツブツ言いながらも言われた通りに聖剣を出してそれを雪の塊に突き刺した。
すると見る見るうちに聖剣を突き刺した雪が淡い光を放って剣に吸収された。
二人は予測していたこととは言え唖然とその光景を見ていた。
「なんだこれ?」
克也はそう言いながら面白がって剣を雪に突き刺して玄関の引き戸にこびり付いていた雪を全て消した。
その頃になってやっと我に返った二人は今までの自分たちの行動の中でなんで気づかなかったんだと自分で自分に突っ込んだ。
「そうよ。なんで気づかなかったのよ。もっと早くわかっていればあんなに苦労なんかしなかったのに!」
「シェル、日本のことわざに後悔先に立たずってあるのよ。だからこれは仕方がないことなのよ。」
二人は山頂の苦しい行軍を想い出しながらもここは気づかなかった自分を罵るにとどめた。
「おい、何が何だかわからないがとにかく外に出れるようになったんだから外に行かないか?」
「そうね。」
シェルは諦め顔で背中に負傷した兵士を担ぎながらも聖剣の力で雪を消し去りスタスタと先を歩く克也を見た。
どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのか。
聖剣は聖なる力で作られたものなんだから聖なる雪も吸収できるって気づけないなんて。
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