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勇者はみんなお得意様(カモ)
第五話:武器屋と勇者とクーリングオフ
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「俺はあんたから、この剣を6万ゼニーで買う。ただし、あんたにはそこにあるベアナックルを4万ゼニーで買ってもらいたい。見たところ、あんたは基本能力の中でも特に腕力が強いようだ。剣を使うのも良いが、あんたの強みを最大限に活かすのなら、ナックル系の武器を装備した方が理に適っている。こいつみたいな大型の剣を装備した時のように、移動速度が低下する心配もないしな」
「……
今日聞いたテメェの話を信じるとするとだ、俺は今日、鍛冶屋に騙されたってわけだ。そんで、今はどうにも胡散臭ぇ武器屋に4万ゼニーのベアナックルを売りつけられてるって状況だ」
「『このベアナックルに4万ゼニーの値打ちがない』いや、より直接的には『目の前の武器屋が俺を騙そうとしている』、と言いたいのか?あんたと仲良しの鍛冶屋みたいに」
「そう考えるのが道理ってもんだろう?」
「あんた、”勇者の割には”なかなか頭が切れるじゃないか」
そう言いながら、優男は目の前の勇者への”接客”を開始して以来、初めてわずかに表情を変えた。優男の左の口角がわずかばかり上がるのを、勇者は見逃さなかった。それを明らかな嘲笑であると受け取った勇者は、右手で握り締めていた剣を振り上げようとする。
「いやいや、これは失敬。確かにあんたの言う通りだ。あんたが俺の提案を疑うのはもっともな話…」
「だったら、俺がテメェの提案を受け入れる可能性がこれっぽっちもネェことぐらい、頭が切れるテメェにはよくわかっているだろうが」
「まぁ待て、俺の提案はこれが全てではない。
このベアナックルは、『クーリングオフ』を付けた上で4万ゼニーでお売りしよう」
「クーリング……何だって?」
「『クーリングオフ』だよ。購入した武器やアイテムを、一定期間内であれば無条件で返品して、売主から代金を返してもらえるって制度さ。この世界の武器屋でクーリングオフをやっているのはうちくらいだろうし、あんたは初耳かもしれないな」
どうやら、勇者はまだ話の意図を理解しきれずにいるらしい。胡散臭い武器屋からの思いもよらぬ提案によって、勇者の顔には、怒りに加えて困惑の色が浮かんだ。
「……
今日聞いたテメェの話を信じるとするとだ、俺は今日、鍛冶屋に騙されたってわけだ。そんで、今はどうにも胡散臭ぇ武器屋に4万ゼニーのベアナックルを売りつけられてるって状況だ」
「『このベアナックルに4万ゼニーの値打ちがない』いや、より直接的には『目の前の武器屋が俺を騙そうとしている』、と言いたいのか?あんたと仲良しの鍛冶屋みたいに」
「そう考えるのが道理ってもんだろう?」
「あんた、”勇者の割には”なかなか頭が切れるじゃないか」
そう言いながら、優男は目の前の勇者への”接客”を開始して以来、初めてわずかに表情を変えた。優男の左の口角がわずかばかり上がるのを、勇者は見逃さなかった。それを明らかな嘲笑であると受け取った勇者は、右手で握り締めていた剣を振り上げようとする。
「いやいや、これは失敬。確かにあんたの言う通りだ。あんたが俺の提案を疑うのはもっともな話…」
「だったら、俺がテメェの提案を受け入れる可能性がこれっぽっちもネェことぐらい、頭が切れるテメェにはよくわかっているだろうが」
「まぁ待て、俺の提案はこれが全てではない。
このベアナックルは、『クーリングオフ』を付けた上で4万ゼニーでお売りしよう」
「クーリング……何だって?」
「『クーリングオフ』だよ。購入した武器やアイテムを、一定期間内であれば無条件で返品して、売主から代金を返してもらえるって制度さ。この世界の武器屋でクーリングオフをやっているのはうちくらいだろうし、あんたは初耳かもしれないな」
どうやら、勇者はまだ話の意図を理解しきれずにいるらしい。胡散臭い武器屋からの思いもよらぬ提案によって、勇者の顔には、怒りに加えて困惑の色が浮かんだ。
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