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「あ、俺今日から別の所で昼飯食べるから」
4限目が終わり、席を立った春にサラッと言われた和哉は「え?あっ、おい!春!」と教室を出ていった春を急いで追いかけた。
「なんで急にそんな事言うんだよ!」
「別に。もうクラスでも喋れるし、わざわざ屋上に行かなくてもいいかなと思って」
話してる最中も足を止めない春に苛立った和哉は、咄嗟に春の手を掴み、近くの空き教室に強引に春を連れ込んだ。
「おい!何するんだよ!」
春の声など聞こえないというように勢いよく扉を閉めた和哉は、足早に春に詰め寄る。
壁際に追い詰められ、穴が開きそうなくらい見つめてくる和哉に春はフィっと顔を逸らすと、和哉は溜め息を吐いた。
「なぁ、朝から目も合わせてくれないけど、俺何かした?」
切なげな顔をする和哉を見て春の心は揺れたが、同時に昨日のかおるとの会話や噂を思い出し、胸がズキッと痛くなる。
「ちょっとさ、改めて考えると最近、友達の距離感じゃないなと思って。ちょっとお互い頭冷やそうぜ」
自分の気持ちに無理やり蓋をして、あらかじめ考えておいたセリフを春翔の時のように言うのは簡単だ。
「じゃ、また後でな」と和哉の前を春がすり抜けようとしたその時、ドンッと壁に押し付けられ強引に和哉がキスをしてきた。
「おい!んっ…!」
押しのけようとした春の手は簡単に和哉に拘束され、口の中に割り込んできた舌が春の中をいやらしくかき乱す。
「んっ…ふっ……かず、やめ…」
口の端に垂れてしまったよだれを、何の躊躇も無く舐める和哉を見て春は顔を赤らめる。
そして再び唇を塞がれたと思ったら足の間に和哉の片足が差し込まれ、そのまま膝で春の下半身を刺激してきた。
絡むようなキスと膝で擦られた春の局部は次第に固くなり、そこに和哉の片手が伸びてくる。
「ふっ…んっ……」
かおるとの噂を聞いて、もうこういう事は辞めようと決意した筈なのに…それでも反応してしまう自分の身体が情けなくて春の目に涙が浮かぶ。
小さくしゃくり上げるような声に気付いた和哉は「春?」と顔を離すと、悔しそうな顔でボロボロと涙を流す春を見て唖然とした。
「…ふざけんな。どけ」
春が和哉を思いっきり突き飛ばすと和哉は後ろによろけ、その隙に春は教室を飛び出して行った。
春の後ろ姿を呆然と見つめていた和哉は眉間にシワを寄せると「くそっ!」と怒鳴り、拳で壁をドンっと叩いた。
◇◇◇
「和哉君、今日調子悪いね。どうした?」
いつもとは違い、NGを連発する和哉に監督が声をかける。
「すみません。ご迷惑をおかけして」
落ち込む和哉を見て、このまま続けても意味が無いと判断した監督は「今日はここまでにしよう」と撮影を切り上げた。
「明日からまたよろしく頼むね」
肩をポンと叩かれた和哉は「ありがとうございます」と言って頭を下げた。
声だけかけておくか。
この日の一緒も撮影だった春は、春翔の笑顔を顔に貼り付け「お疲れ様」と和哉に声をかける。
「あ、お疲れ様です。すみません俺のせいで…」
「大丈夫、こういう日もあるから。今日はゆっくり休んでね」
あらかじめ用意されていたような言葉をかけた春は「それじゃあ」とその場を離れようとしたが「あれ~?もう撮影終わっちゃったの~?」と聞きたくない声を聞いてしまい、ピタッと足を止めた。
「千葉さん、お疲れ様です。お久しぶりですね」
こちらに歩いてくる小太りのおっさん…大物プロデューサーの千葉に、春はニコリと笑いかける。
「ああ!春翔君お疲れ様!もう撮影終わっちゃったんだってね。春翔君のエッチなシーンが見られなくて残念だよ」
千葉はニヤニヤしながら春の腕をさすってくるが、そんな事では春翔の面の皮は剥がれない。
「やだなぁ。あ!そういえば長谷川君とは初対面じゃないですか?」
突然話を振られた和哉は目を丸くするが「こちら、プロデューサーの千葉さん」と春が紹介すると「はじめまして!長谷川和哉です!」と頭を下げた。
「あぁ、いいよ、そんなに固くならなくても」
大物プロデューサーというだけあって、緊張している和哉に気付いたのか、千葉は微笑み和哉の肩を叩いた。
「演技とはいえ、処女の春翔君とセックスできるなんてラッキーだね。でも本気になっちゃ駄目だよ」
「…は?」
あまりにも下品な発言に、素で反応してしまった和哉を見て、すかさず春翔がフォローを入れる。
「すみません千葉さん。長谷川君とまだ打ち合わせがあるので、今日は失礼しますね」
「残念だな~。今度ご飯でも連れてってあげるよ」
「楽しみにしてます」
そう言って微笑んだ春は一礼すると、和哉に目配せをしてその場を後にする。
和哉も「あっ!すみません、失礼します」と慌てて千葉に挨拶し、春の後を急いで追いかけた。
スタジオを出てしばらくすると和哉が「あの…」と春に声をかける。
「なに?」
「千葉さんって、いつもあんな事言ってくるんですか?」
さっきの会話がよほど強烈だったのか、和哉は深刻そうな顔を浮かべている。
「まぁ、そうだね。前からボディタッチはあったけど…流石にさっきのはキツかったな」
大人しく苦笑いで済ませているが、気持ち悪すぎるセクハラ発言に、春の頭の中は大荒れである。
「なんていうか…目つきも異様だったし、気を付けてください。何かあったら言ってくださいね」
「うーん。俺も男だから、どう気を付けるのかいまいち分からないけど。でもありがとう」
杏奈にも注意されたなぁと思い出した春は、自分の頼りなさに軽いショックを受けつつ、あははと力なく笑った。
4限目が終わり、席を立った春にサラッと言われた和哉は「え?あっ、おい!春!」と教室を出ていった春を急いで追いかけた。
「なんで急にそんな事言うんだよ!」
「別に。もうクラスでも喋れるし、わざわざ屋上に行かなくてもいいかなと思って」
話してる最中も足を止めない春に苛立った和哉は、咄嗟に春の手を掴み、近くの空き教室に強引に春を連れ込んだ。
「おい!何するんだよ!」
春の声など聞こえないというように勢いよく扉を閉めた和哉は、足早に春に詰め寄る。
壁際に追い詰められ、穴が開きそうなくらい見つめてくる和哉に春はフィっと顔を逸らすと、和哉は溜め息を吐いた。
「なぁ、朝から目も合わせてくれないけど、俺何かした?」
切なげな顔をする和哉を見て春の心は揺れたが、同時に昨日のかおるとの会話や噂を思い出し、胸がズキッと痛くなる。
「ちょっとさ、改めて考えると最近、友達の距離感じゃないなと思って。ちょっとお互い頭冷やそうぜ」
自分の気持ちに無理やり蓋をして、あらかじめ考えておいたセリフを春翔の時のように言うのは簡単だ。
「じゃ、また後でな」と和哉の前を春がすり抜けようとしたその時、ドンッと壁に押し付けられ強引に和哉がキスをしてきた。
「おい!んっ…!」
押しのけようとした春の手は簡単に和哉に拘束され、口の中に割り込んできた舌が春の中をいやらしくかき乱す。
「んっ…ふっ……かず、やめ…」
口の端に垂れてしまったよだれを、何の躊躇も無く舐める和哉を見て春は顔を赤らめる。
そして再び唇を塞がれたと思ったら足の間に和哉の片足が差し込まれ、そのまま膝で春の下半身を刺激してきた。
絡むようなキスと膝で擦られた春の局部は次第に固くなり、そこに和哉の片手が伸びてくる。
「ふっ…んっ……」
かおるとの噂を聞いて、もうこういう事は辞めようと決意した筈なのに…それでも反応してしまう自分の身体が情けなくて春の目に涙が浮かぶ。
小さくしゃくり上げるような声に気付いた和哉は「春?」と顔を離すと、悔しそうな顔でボロボロと涙を流す春を見て唖然とした。
「…ふざけんな。どけ」
春が和哉を思いっきり突き飛ばすと和哉は後ろによろけ、その隙に春は教室を飛び出して行った。
春の後ろ姿を呆然と見つめていた和哉は眉間にシワを寄せると「くそっ!」と怒鳴り、拳で壁をドンっと叩いた。
◇◇◇
「和哉君、今日調子悪いね。どうした?」
いつもとは違い、NGを連発する和哉に監督が声をかける。
「すみません。ご迷惑をおかけして」
落ち込む和哉を見て、このまま続けても意味が無いと判断した監督は「今日はここまでにしよう」と撮影を切り上げた。
「明日からまたよろしく頼むね」
肩をポンと叩かれた和哉は「ありがとうございます」と言って頭を下げた。
声だけかけておくか。
この日の一緒も撮影だった春は、春翔の笑顔を顔に貼り付け「お疲れ様」と和哉に声をかける。
「あ、お疲れ様です。すみません俺のせいで…」
「大丈夫、こういう日もあるから。今日はゆっくり休んでね」
あらかじめ用意されていたような言葉をかけた春は「それじゃあ」とその場を離れようとしたが「あれ~?もう撮影終わっちゃったの~?」と聞きたくない声を聞いてしまい、ピタッと足を止めた。
「千葉さん、お疲れ様です。お久しぶりですね」
こちらに歩いてくる小太りのおっさん…大物プロデューサーの千葉に、春はニコリと笑いかける。
「ああ!春翔君お疲れ様!もう撮影終わっちゃったんだってね。春翔君のエッチなシーンが見られなくて残念だよ」
千葉はニヤニヤしながら春の腕をさすってくるが、そんな事では春翔の面の皮は剥がれない。
「やだなぁ。あ!そういえば長谷川君とは初対面じゃないですか?」
突然話を振られた和哉は目を丸くするが「こちら、プロデューサーの千葉さん」と春が紹介すると「はじめまして!長谷川和哉です!」と頭を下げた。
「あぁ、いいよ、そんなに固くならなくても」
大物プロデューサーというだけあって、緊張している和哉に気付いたのか、千葉は微笑み和哉の肩を叩いた。
「演技とはいえ、処女の春翔君とセックスできるなんてラッキーだね。でも本気になっちゃ駄目だよ」
「…は?」
あまりにも下品な発言に、素で反応してしまった和哉を見て、すかさず春翔がフォローを入れる。
「すみません千葉さん。長谷川君とまだ打ち合わせがあるので、今日は失礼しますね」
「残念だな~。今度ご飯でも連れてってあげるよ」
「楽しみにしてます」
そう言って微笑んだ春は一礼すると、和哉に目配せをしてその場を後にする。
和哉も「あっ!すみません、失礼します」と慌てて千葉に挨拶し、春の後を急いで追いかけた。
スタジオを出てしばらくすると和哉が「あの…」と春に声をかける。
「なに?」
「千葉さんって、いつもあんな事言ってくるんですか?」
さっきの会話がよほど強烈だったのか、和哉は深刻そうな顔を浮かべている。
「まぁ、そうだね。前からボディタッチはあったけど…流石にさっきのはキツかったな」
大人しく苦笑いで済ませているが、気持ち悪すぎるセクハラ発言に、春の頭の中は大荒れである。
「なんていうか…目つきも異様だったし、気を付けてください。何かあったら言ってくださいね」
「うーん。俺も男だから、どう気を付けるのかいまいち分からないけど。でもありがとう」
杏奈にも注意されたなぁと思い出した春は、自分の頼りなさに軽いショックを受けつつ、あははと力なく笑った。
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