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郊外の一軒家
しょじょがえり、きゅう
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全身の筋肉から力が抜けている。こんな身体の自由の奪われ方は新鮮だ、緊縛や拘束の方が身をよじったり出来る分自由があると言えるだろう。薬で脱力させられると瞬きや発声にすら気合いが必要になってくる。
「ポチ~、これ何か分かる?」
ぶらんと天井から赤い縄で吊るされた俺に、雪兎は楽しそうに銀色の器具を見せてくれた。泡立て器のような形をしていたそれは雪兎が歯車のようなものを回すとキリキリと蕾が開くように開いた。
「苦悩の、梨……の、骨組み」
「くのっ……拷問器具じゃないよ! なんてこと言うの……これはクスコ、膣鏡の一種。まぁこれは男用のアナルクスコって言う専用の玩具だけど……」
「……使い方は、苦悩の梨ですよね?」
「う、うん……まぁ、似てるかな?」
苦悩の梨というのは昔使われていた拷問器具の一種で、後孔や女性なら膣などに閉じた状態で挿入し、挿入し終えてから開き、内臓を内側からズタズタに引き裂くという残酷な道具だ。
雪兎が持っているクスコと呼ぶらしい器具はもちろん拷問用の物ではないため、人の内臓を引き裂くほどには開かないだろう。
「入れるよ」
泡立て器に似ていると言ったが、完全に閉じた状態だとあそこまで円周が太くはない。処女に戻ってしまった俺の後孔にも辛うじて入るサイズの筒。
「んっ……」
「痛かったらすぐ言ってね」
「痛くは、ないです……けど、なんか……変な感じですね。泡立て器みたいに……線が、何本もあるって形だから……です、かね」
「ふぅん……? やっぱり面と線じゃくい込み方違う?」
当然だ。縄とコルセットくらいの差がある……いや、このたとえは分かりにくいか。
「はい……ちょっと、違います」
空気などで膨らむ機能がある玩具はある、そういうものならば俺の腸壁はみちみちと拡げられる感覚があっただろう。しかし八本ほどの金属の線で腸壁を押されても、押された箇所にくい込むだけで拡げられる感覚はあまりない。
「……これ、本当に拡げられてるんですか? なんか……あんまり、開発されてる感ないんですけど。なんで大きさ調整出来るタイプの玩具とかじゃなくて、こんな……なんか、泡立て器っぽいヤツなんですか?」
「媚薬塗るって言ったでしょ?」
雪兎は筆と瓶を俺に見せた。瓶の中身はとろみのある液体のようだ。
「バイブに絡めて突っ込むとかでも塗れるけど……せっかく処女に戻ったんだし、観察と撮影もしたいなぁって。写真撮っていいよね?」
「……出来れば、フラッシュと音消してください」
両親を失った自動車事故の後、無神経な記者にカメラを向けられた経験からか俺はカメラが苦手だ。スマホを向けられて光と音に曝されても平気だけれど、記者が持つような本物のカメラを向けられると頭と心が掻き乱される。
「カシャって音で羞恥心煽るのが撮影プレイの醍醐味なんだけど……分かったよ、消しとく。塗る時に見えにくいからライトは普通に使うよ? それはいい?」
「はい……光が嫌いとかじゃないので」
「分かった。他にも何か思うことあったら全部教えてね?」
俺は早速赤紫の瞳の上目遣いがとても可愛らしくて動機を起こしそうだと素直に伝えたけれど、そういうことじゃないと怒られてしまった。
「もうっ……塗るからね!」
雪兎は床にクッションを置いてその上に膝立ちになり、片足を上げたまま吊られている俺の後孔に媚薬をたっぷりと含んだ筆を突っ込んだ。
「ポチ~、これ何か分かる?」
ぶらんと天井から赤い縄で吊るされた俺に、雪兎は楽しそうに銀色の器具を見せてくれた。泡立て器のような形をしていたそれは雪兎が歯車のようなものを回すとキリキリと蕾が開くように開いた。
「苦悩の、梨……の、骨組み」
「くのっ……拷問器具じゃないよ! なんてこと言うの……これはクスコ、膣鏡の一種。まぁこれは男用のアナルクスコって言う専用の玩具だけど……」
「……使い方は、苦悩の梨ですよね?」
「う、うん……まぁ、似てるかな?」
苦悩の梨というのは昔使われていた拷問器具の一種で、後孔や女性なら膣などに閉じた状態で挿入し、挿入し終えてから開き、内臓を内側からズタズタに引き裂くという残酷な道具だ。
雪兎が持っているクスコと呼ぶらしい器具はもちろん拷問用の物ではないため、人の内臓を引き裂くほどには開かないだろう。
「入れるよ」
泡立て器に似ていると言ったが、完全に閉じた状態だとあそこまで円周が太くはない。処女に戻ってしまった俺の後孔にも辛うじて入るサイズの筒。
「んっ……」
「痛かったらすぐ言ってね」
「痛くは、ないです……けど、なんか……変な感じですね。泡立て器みたいに……線が、何本もあるって形だから……です、かね」
「ふぅん……? やっぱり面と線じゃくい込み方違う?」
当然だ。縄とコルセットくらいの差がある……いや、このたとえは分かりにくいか。
「はい……ちょっと、違います」
空気などで膨らむ機能がある玩具はある、そういうものならば俺の腸壁はみちみちと拡げられる感覚があっただろう。しかし八本ほどの金属の線で腸壁を押されても、押された箇所にくい込むだけで拡げられる感覚はあまりない。
「……これ、本当に拡げられてるんですか? なんか……あんまり、開発されてる感ないんですけど。なんで大きさ調整出来るタイプの玩具とかじゃなくて、こんな……なんか、泡立て器っぽいヤツなんですか?」
「媚薬塗るって言ったでしょ?」
雪兎は筆と瓶を俺に見せた。瓶の中身はとろみのある液体のようだ。
「バイブに絡めて突っ込むとかでも塗れるけど……せっかく処女に戻ったんだし、観察と撮影もしたいなぁって。写真撮っていいよね?」
「……出来れば、フラッシュと音消してください」
両親を失った自動車事故の後、無神経な記者にカメラを向けられた経験からか俺はカメラが苦手だ。スマホを向けられて光と音に曝されても平気だけれど、記者が持つような本物のカメラを向けられると頭と心が掻き乱される。
「カシャって音で羞恥心煽るのが撮影プレイの醍醐味なんだけど……分かったよ、消しとく。塗る時に見えにくいからライトは普通に使うよ? それはいい?」
「はい……光が嫌いとかじゃないので」
「分かった。他にも何か思うことあったら全部教えてね?」
俺は早速赤紫の瞳の上目遣いがとても可愛らしくて動機を起こしそうだと素直に伝えたけれど、そういうことじゃないと怒られてしまった。
「もうっ……塗るからね!」
雪兎は床にクッションを置いてその上に膝立ちになり、片足を上げたまま吊られている俺の後孔に媚薬をたっぷりと含んだ筆を突っ込んだ。
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