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お盆

かいほう、いち

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今晩は失念していたのか、単にそういう気分だったのか、雪兎は俺に自分と同時に机で食事を取ることを許した。俺は犬だから床に四つん這いになって雪兎が食べ終わるまで待ってから、床に置かれた皿に顔を押し付けて食べるのが正しい作法なのに、今日はフォークとスプーンを使わせてもらえた。

「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまでした……ポチ、お皿外に出しておいて」

犬として扱われる夕飯の時間は当然素晴らしいものだが、たまには人間のように一緒に食事をするのもいいな。なんて考えながら二人分の食器を部屋の外に出した。

「出してくれた? じゃ、行こうか」

「行く……?」

「せっかくだし搾精器とかは使わずに僕の手で出させてあげたいんだけど、そうなると部屋中汚れちゃうし、ポチが暴れると機械と違って僕は怪我しちゃうからさ、設備整ってる部屋でしようと思って」

「あの部屋結構整ってると思いますけどね」

壁一面に拘束具を取り付ける用の銀のリングがある部屋は既にプレイルームだと思う。

「まぁ、雪風が部屋貸してくれるって言うから使ってみたくなっただけだよ」

「あぁ……」

いつか来た覚えのある、雪風の地下のプレイルーム。地下という言葉の持つ暗い雰囲気をひっくり返す清潔で明るい室内に、整理整頓されたいかがわしい物が目立つ不思議な空間だ。

「ようこそ愛しい息子達! さぁ自由に使っていってくれ、俺は一切手出しはしないし口出しもしない! あくまでも見学だ」

あの時は何でもないような顔をしていたが、雪兎に嫌われかけたのを気にしているのだろう。だから部屋を貸したりして機嫌を取ろうとしているのだろう。不器用な父親だ。

「雪風、言っておいた物は用意出来てる?」

「あたぼーよ。ったく、俺に用意させられるのなんてお前くらいだぜ?」

「ポチ、こっちおいで。今日使うのはこれだよ」

雪兎の手招きに従うと拷問器具のような椅子の前に立たされた。

「……電気バチバチってなって死ぬヤツ」

「処刑用の電気椅子のこと言ってんなら意外と形違うんだなぁ、これが」

「電気は今日は使わないよ、手で搾るって言ったでしょ。全部脱いで座ってくれる?」

「……はい」

射精させてもらえるのなら何も文句はない。俺は雪兎に着せてもらった記憶が新しいスウェットを脱いで畳んで床に置き、雪風に要求されたので下着は彼に渡し、拘束具だらけの椅子に深く腰かけた。

「すぅーっ……はぁ……」

「痛かったら言ってね」

俺の下着を顔に押し付けて深呼吸をしている雪風を一瞥すらせず、雪兎は淡々と俺の身体を椅子に固定した。革製のベルト状の拘束具によって俺の腕は肘置きに、膝から下は椅子の足に縛り付けられる。

「随分厳重なんですね」

座面には穴が空いており、そこからベルトが伸びて俺の太腿をそれぞれ地面に固定した。背もたれにも腰、背、肩、二の腕をそれぞれ縛り付けられ、首を回したり手足の指をぐっぱっと動かす以外に身体の自由が利かなくなる。

「……玩具は使わないんですよね?」

「うん、今日は電気が必要な道具は一切使わないよ。雪風、アレ持ってきて」

玩具を使わないのにこんなに厳重に拘束するなんて……鞭でも振るつもりか? いや、それにしても厳重過ぎる。ここまでの拘束はやはり不自然だ、そう怪しんでいたが雪風が運んできた物を見た瞬間、俺は思わず声を上げるほどの「納得」を得た。
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