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夏休み
ばーる!
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何故バールを使い慣れているのかという疑問をぶつけられ、俺は「雪兎と雪風は俺の経歴を調べたんじゃないのか?」という疑問を抱き、ぶつけた。
「……俺を養子にする前に調べたんじゃないんですか?」
『まぁ車の窓割ったとか? クラスメイト椅子で殴ったとか? 教師蹴り飛ばしたとか? 色々あるけどよ、一部刺激が強い調査結果は雪兎に見せてないんだよな』
「なるほど……」
刺激が強いって何だ、俺はそこまであくどいことはしていないぞ。
「よく覚えてないんですよね……確か、喧嘩してて工事現場突っ込んじゃって、落ちてたバール使ったのが最初だったかな? その後ホームセンターでマイバール買って……持ち手にマステとか巻いてましたね」
「……喧嘩でバール使うの? 相手の人生きてる?」
「鎖骨折ると戦意失ってくれるんですよね、肩上がらなくなるし闇討ちの心配がしばらくなくなるんです」
辞書にドン引きという言葉を載せる時、今の雪兎の顔写真を乗せていれば日本語が読めなくても意味を理解出来るだろう。
「それまでは金属バット持ってたんですけど、野球部でもないのに持つのもアレだし……俺が中学ん時ちょうどアニメやってたんで、あだ名が口先の魔術師になっちゃったし……俺口下手なのに」
『すまんアニメネタは分からん』
「元はゲームです」
『もっと分からん。その辺は飛ばしていいぞ』
アニメ、ゲームネタを飛ばせだなんて……若神子家の養子になるまでの俺の存在を否定するようなものだ。
「長いバールは便利でしたよ、うるさい暴走族をバイクごと一掃出来ましたし、俺を轢こうとした車のフロントガラスに突っ込んで運転手を引っ張り出すことも出来ました、引っ掛けるとこがありますからね。バットじゃ出来ないことですよ」
バールは一部界隈でエクスカリバールなんて揶揄されるアイテムだ、エクスカリバーは伝説の聖剣、つまりバールは最強ということだ。
「約束された勝利のバール……バールを掴んだ時点で俺の勝ちは確定するんですよ。なので、バールください」
『スタン警棒にしとく。同じ長物だからいいだろ』
「えー……俺の宝具…………分かりましたよ」
『不満そうな顔しやがって可愛いぜぇ』
雪兎を叱っていた時とは打って変わって機嫌良さげな雪風を見て安堵する。叱る理由も気持ちも分かるが、しゅんとした雪兎を見ているのは胸が痛かったのだ。
『とにかく、雪兎。早いうちにお前を帰国させる、抵抗するようなら睡眠薬でも何でも盛る。真尋、お前も説得しとけよ』
「そんなぁ!」
「ユキ様、仕方ありませんよ。ご学友の調査が終わるまでの間だけでしょうから……ね? それに夏休みは帰省するものですよ、おじい様の誕生日も少し前に過ぎましたから、一緒にお祝いしましょう?」
「ポチぃ……ぅぅ……やだけど、どうしようもないよね……」
ガックリと肩を落とした雪兎は挨拶もせずに雪風との通話を切り、水兵風の服のままベッドに飛び込んだ。
「……ポチ、これからバール振り回すようになるの? 僕やだよ……ポチは可愛い愛玩犬がいい」
「スタン警棒になりましたから大丈夫ですよ。それに人の骨くらい今の俺なら徒手空拳で折れます。手足なら両手で両端掴んで真ん中を膝でドンッ、鎖骨なら仰向けに転がして即踵落としでドンッ、完璧です!」
「猛獣じゃん……僕の愛玩犬どこやっちゃったの……?」
雪兎が何故か落ち込んでいる、愛玩犬をご所望のようなので俺はお手をしながらワンと鳴いてみた。
「……俺を養子にする前に調べたんじゃないんですか?」
『まぁ車の窓割ったとか? クラスメイト椅子で殴ったとか? 教師蹴り飛ばしたとか? 色々あるけどよ、一部刺激が強い調査結果は雪兎に見せてないんだよな』
「なるほど……」
刺激が強いって何だ、俺はそこまであくどいことはしていないぞ。
「よく覚えてないんですよね……確か、喧嘩してて工事現場突っ込んじゃって、落ちてたバール使ったのが最初だったかな? その後ホームセンターでマイバール買って……持ち手にマステとか巻いてましたね」
「……喧嘩でバール使うの? 相手の人生きてる?」
「鎖骨折ると戦意失ってくれるんですよね、肩上がらなくなるし闇討ちの心配がしばらくなくなるんです」
辞書にドン引きという言葉を載せる時、今の雪兎の顔写真を乗せていれば日本語が読めなくても意味を理解出来るだろう。
「それまでは金属バット持ってたんですけど、野球部でもないのに持つのもアレだし……俺が中学ん時ちょうどアニメやってたんで、あだ名が口先の魔術師になっちゃったし……俺口下手なのに」
『すまんアニメネタは分からん』
「元はゲームです」
『もっと分からん。その辺は飛ばしていいぞ』
アニメ、ゲームネタを飛ばせだなんて……若神子家の養子になるまでの俺の存在を否定するようなものだ。
「長いバールは便利でしたよ、うるさい暴走族をバイクごと一掃出来ましたし、俺を轢こうとした車のフロントガラスに突っ込んで運転手を引っ張り出すことも出来ました、引っ掛けるとこがありますからね。バットじゃ出来ないことですよ」
バールは一部界隈でエクスカリバールなんて揶揄されるアイテムだ、エクスカリバーは伝説の聖剣、つまりバールは最強ということだ。
「約束された勝利のバール……バールを掴んだ時点で俺の勝ちは確定するんですよ。なので、バールください」
『スタン警棒にしとく。同じ長物だからいいだろ』
「えー……俺の宝具…………分かりましたよ」
『不満そうな顔しやがって可愛いぜぇ』
雪兎を叱っていた時とは打って変わって機嫌良さげな雪風を見て安堵する。叱る理由も気持ちも分かるが、しゅんとした雪兎を見ているのは胸が痛かったのだ。
『とにかく、雪兎。早いうちにお前を帰国させる、抵抗するようなら睡眠薬でも何でも盛る。真尋、お前も説得しとけよ』
「そんなぁ!」
「ユキ様、仕方ありませんよ。ご学友の調査が終わるまでの間だけでしょうから……ね? それに夏休みは帰省するものですよ、おじい様の誕生日も少し前に過ぎましたから、一緒にお祝いしましょう?」
「ポチぃ……ぅぅ……やだけど、どうしようもないよね……」
ガックリと肩を落とした雪兎は挨拶もせずに雪風との通話を切り、水兵風の服のままベッドに飛び込んだ。
「……ポチ、これからバール振り回すようになるの? 僕やだよ……ポチは可愛い愛玩犬がいい」
「スタン警棒になりましたから大丈夫ですよ。それに人の骨くらい今の俺なら徒手空拳で折れます。手足なら両手で両端掴んで真ん中を膝でドンッ、鎖骨なら仰向けに転がして即踵落としでドンッ、完璧です!」
「猛獣じゃん……僕の愛玩犬どこやっちゃったの……?」
雪兎が何故か落ち込んでいる、愛玩犬をご所望のようなので俺はお手をしながらワンと鳴いてみた。
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