ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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夏休み

ぶらぶら、よん

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いつ顎に電流を流す気だろうと怯えていると、雪兎は二つの装置を片手で持ち、空いた手で痺れて上手く動かない舌をつまんだ。

「ぁう……」

「ポチ、ちょっと舌長めだよね。前にも言ったっけ? だから喋り方可愛いんだよねぇ」

「ぅ……?」

雪兎の指が俺の唾液で汚れていくのに罪悪感と背徳感による興奮を覚えつつ、俺の喋り方のどこが可愛いのだろうと雪兎の言葉の解釈に悩む。

「ほんのちょっとだけ舌足らずなんだよね。足らずって言うか、余ってるから口の中で動かしにくいんだろうけど」

「しょんなひょと、ないれふ」

「ふふふ……」

舌をつまんで引っ張ったかと思えば、親指の腹で舌の腹を擦る。快感を覚えて目を閉じ、鼻から漏らしたような声を上げる。

「……っ、ふ、ぅ……ぅっ、うぅ……」

舌を弄られる快感をうっとりと堪能していると、不意に雪兎は手を離した。残念に思いつつも心地良さから抜けて目を開けた瞬間、顎を挟むように装置がコツンと当てられた。

「へっ?」

流石に舌に流したものよりも弱めの電流だったが、歯の神経には十分過ぎだ。俺は文字化不可能の叫び声を上げて吊られた身体を跳ねさせ、痛みに悶えた。息が続かなくなり声が出なくなると涙がボロボロと溢れてくる、目を閉じると走馬灯が見え始めた。

「…………えっ? ポ、ポチ!? 嘘、そんなに痛いの……? 顔の神経侮ってた……ポチ、ポチ大丈夫? ポチ!」

パンパンと頬を叩かれ、電流による痛みのせいで一時的に敏感になった神経に振動が伝わり、また痛む。

「ポチ、ポチ僕が見える? ポチ……普段から焦点合ってないから大丈夫かどうか分かんないよっ! 僕の方見てポチぃっ!」

雪兎が焦っている。早く返事をしたい、しなければならない、でも痛くて口が動かない。

「…………雪風みたいに心が読めたらよかったのに」

両頬に添えられた手に力が込められる。雪兎は心は読めないのか、雪風とは別の超能力があるんだな。

「ごめんね……ポチ」

ちゅ、と開きっぱなしの口の端に唇が触れさせられた。

「……ゆき、さま」

「ポチ! 大丈夫?」

「はい……きもちよかった、ですよ」

目が潤んでいるせいで雪兎の顔がはっきり見えない、拭いたいけれど手は拘束されている。

「……でも、にどと、いやです……ユキさま、でんりゅー……せーかんたいだけに、してください……おねがいします」

「ポチがそう言うなんて相当だね……顔には二度としないよ、ごめんね」

「あっ……どうしても、なら……してもいいです」

「ポチはやっぱりポチだね。でもしないよ、怖かったもん……まだ呂律回ってないし」

ぎゅうっと頭を抱き締められ、主人に心配をかけるのはダメな犬だと分かっていつつも嬉しくなった。

「……とっても気持ちよくしてあげるからね。お詫びだと思って楽しんで」

唇を押し付け合うだけのキスの後、雪兎は装置で俺の乳首を挟んだ。
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