223 / 566
夏休み
ぶらぶら、よん
しおりを挟む
いつ顎に電流を流す気だろうと怯えていると、雪兎は二つの装置を片手で持ち、空いた手で痺れて上手く動かない舌をつまんだ。
「ぁう……」
「ポチ、ちょっと舌長めだよね。前にも言ったっけ? だから喋り方可愛いんだよねぇ」
「ぅ……?」
雪兎の指が俺の唾液で汚れていくのに罪悪感と背徳感による興奮を覚えつつ、俺の喋り方のどこが可愛いのだろうと雪兎の言葉の解釈に悩む。
「ほんのちょっとだけ舌足らずなんだよね。足らずって言うか、余ってるから口の中で動かしにくいんだろうけど」
「しょんなひょと、ないれふ」
「ふふふ……」
舌をつまんで引っ張ったかと思えば、親指の腹で舌の腹を擦る。快感を覚えて目を閉じ、鼻から漏らしたような声を上げる。
「……っ、ふ、ぅ……ぅっ、うぅ……」
舌を弄られる快感をうっとりと堪能していると、不意に雪兎は手を離した。残念に思いつつも心地良さから抜けて目を開けた瞬間、顎を挟むように装置がコツンと当てられた。
「へっ?」
流石に舌に流したものよりも弱めの電流だったが、歯の神経には十分過ぎだ。俺は文字化不可能の叫び声を上げて吊られた身体を跳ねさせ、痛みに悶えた。息が続かなくなり声が出なくなると涙がボロボロと溢れてくる、目を閉じると走馬灯が見え始めた。
「…………えっ? ポ、ポチ!? 嘘、そんなに痛いの……? 顔の神経侮ってた……ポチ、ポチ大丈夫? ポチ!」
パンパンと頬を叩かれ、電流による痛みのせいで一時的に敏感になった神経に振動が伝わり、また痛む。
「ポチ、ポチ僕が見える? ポチ……普段から焦点合ってないから大丈夫かどうか分かんないよっ! 僕の方見てポチぃっ!」
雪兎が焦っている。早く返事をしたい、しなければならない、でも痛くて口が動かない。
「…………雪風みたいに心が読めたらよかったのに」
両頬に添えられた手に力が込められる。雪兎は心は読めないのか、雪風とは別の超能力があるんだな。
「ごめんね……ポチ」
ちゅ、と開きっぱなしの口の端に唇が触れさせられた。
「……ゆき、さま」
「ポチ! 大丈夫?」
「はい……きもちよかった、ですよ」
目が潤んでいるせいで雪兎の顔がはっきり見えない、拭いたいけれど手は拘束されている。
「……でも、にどと、いやです……ユキさま、でんりゅー……せーかんたいだけに、してください……おねがいします」
「ポチがそう言うなんて相当だね……顔には二度としないよ、ごめんね」
「あっ……どうしても、なら……してもいいです」
「ポチはやっぱりポチだね。でもしないよ、怖かったもん……まだ呂律回ってないし」
ぎゅうっと頭を抱き締められ、主人に心配をかけるのはダメな犬だと分かっていつつも嬉しくなった。
「……とっても気持ちよくしてあげるからね。お詫びだと思って楽しんで」
唇を押し付け合うだけのキスの後、雪兎は装置で俺の乳首を挟んだ。
「ぁう……」
「ポチ、ちょっと舌長めだよね。前にも言ったっけ? だから喋り方可愛いんだよねぇ」
「ぅ……?」
雪兎の指が俺の唾液で汚れていくのに罪悪感と背徳感による興奮を覚えつつ、俺の喋り方のどこが可愛いのだろうと雪兎の言葉の解釈に悩む。
「ほんのちょっとだけ舌足らずなんだよね。足らずって言うか、余ってるから口の中で動かしにくいんだろうけど」
「しょんなひょと、ないれふ」
「ふふふ……」
舌をつまんで引っ張ったかと思えば、親指の腹で舌の腹を擦る。快感を覚えて目を閉じ、鼻から漏らしたような声を上げる。
「……っ、ふ、ぅ……ぅっ、うぅ……」
舌を弄られる快感をうっとりと堪能していると、不意に雪兎は手を離した。残念に思いつつも心地良さから抜けて目を開けた瞬間、顎を挟むように装置がコツンと当てられた。
「へっ?」
流石に舌に流したものよりも弱めの電流だったが、歯の神経には十分過ぎだ。俺は文字化不可能の叫び声を上げて吊られた身体を跳ねさせ、痛みに悶えた。息が続かなくなり声が出なくなると涙がボロボロと溢れてくる、目を閉じると走馬灯が見え始めた。
「…………えっ? ポ、ポチ!? 嘘、そんなに痛いの……? 顔の神経侮ってた……ポチ、ポチ大丈夫? ポチ!」
パンパンと頬を叩かれ、電流による痛みのせいで一時的に敏感になった神経に振動が伝わり、また痛む。
「ポチ、ポチ僕が見える? ポチ……普段から焦点合ってないから大丈夫かどうか分かんないよっ! 僕の方見てポチぃっ!」
雪兎が焦っている。早く返事をしたい、しなければならない、でも痛くて口が動かない。
「…………雪風みたいに心が読めたらよかったのに」
両頬に添えられた手に力が込められる。雪兎は心は読めないのか、雪風とは別の超能力があるんだな。
「ごめんね……ポチ」
ちゅ、と開きっぱなしの口の端に唇が触れさせられた。
「……ゆき、さま」
「ポチ! 大丈夫?」
「はい……きもちよかった、ですよ」
目が潤んでいるせいで雪兎の顔がはっきり見えない、拭いたいけれど手は拘束されている。
「……でも、にどと、いやです……ユキさま、でんりゅー……せーかんたいだけに、してください……おねがいします」
「ポチがそう言うなんて相当だね……顔には二度としないよ、ごめんね」
「あっ……どうしても、なら……してもいいです」
「ポチはやっぱりポチだね。でもしないよ、怖かったもん……まだ呂律回ってないし」
ぎゅうっと頭を抱き締められ、主人に心配をかけるのはダメな犬だと分かっていつつも嬉しくなった。
「……とっても気持ちよくしてあげるからね。お詫びだと思って楽しんで」
唇を押し付け合うだけのキスの後、雪兎は装置で俺の乳首を挟んだ。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる