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夏休み
かいがいでのおさんぽ、じゅう
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二十冊以上の分厚い本を紙袋に入れて腕に下げ、雪兎を抱きかかえる。いい筋トレになりそうだと皮肉っておこう。
「……ポチ、僕ね、寂しかったよ」
俺の腕の中、リラックスした様子の雪兎は俺に擦り寄りながら話した。
「勉強のこと以外何も話せないし、日本語通じる人全然居ないし、同じ学部の子みんな背が高いし……目線合わせてくれる人居なかったから、すごく寂しかった」
細腕が首に絡む。赤紫の瞳と目が合う。
「ポチが来る前も寂しかったけどね、その時とは全然違った……ポチが寂しくないってどういうことか教えてくれたから、それに慣れちゃってた。責任取ってよポチぃ……ずっと居て、帰らないで」
夏休みが終われば俺は日本に帰らなければならない。無理な話だと分かっているのだろう、雪兎の声も小さい。下手に頷くわけにもいかないので、とりあえずは沈黙だ。
散髪兼散歩が終わり、雪兎が住む家に帰還。雪兎を下ろしたら本棚の前に紙袋を置き、革ジャンを脱いで腕を見る。
「あれ、跡になっちゃってるね。重かった?」
紙袋の持ち手の紐は革ジャン越しに俺の腕に跡を残した。
「いえ、このくらい平気です」
「さっすがー、それよりポチ、いつまで服着てる気?」
犬の正装は全裸、鋭い視線にそれを思い出させられた。俺はすぐにジーンズを脱ぎ、シャツに手をかける。
「あ、待って。シャツは着てていいよ」
「……はい」
小さめサイズのシャツはパツパツに張って、乳首もくっきり浮いてしまっていてとても恥ずかしい。全裸の方がマシなのに、脱がせてもらえなかった。
「貞操帯外してあげる。足開いて、腕は頭の上で組んでね」
言われるがままに頭の上で腕を組み、大きく開脚して腰を落とした。こんなにも情けないポーズは他にないだろう、男どころか人間としてのプライドもズタボロにされる。
「……っ、ん……」
黒革の貞操帯の留め具が外される。腰と太腿に巻かれたベルトが外れたのだ、それだけで俺は声を漏らしてしまう。
「後ろで何回イった?」
「数えられませんでした、申し訳ありまっ、ぁ、ぁあっ、ぁ、あぁんっ!」
前立腺マッサージ器具をゆっくりと引き抜かれ、快感を覚えて足がガクガクと震える。
「ポーズ崩したらそれ外さないからね」
「……っ!?」
雪兎が指したのは陰茎を締め付けている金具だ。貞操帯の本体とも言える、黒革の部分は前立腺マッサージ器具を固定するためのもので、陰茎のものは単体でも萎縮しなければズレないようになっている。
「さて……散歩の間ずーっと気持ちよかったはずだけど、ポチは表情誤魔化すの上手かったね。本屋さんなんて普通に過ごしてたじゃん」
「……何回かイってましたよ」
「分かんなかったよ、すごいすごい」
本に集中していただけだろうと思いつつも口には出さない。
「なんか垂れてきてるよ?」
「……ユキ様に挿入していただきたくて分泌している潤滑剤です」
後孔から滴る腸液を指摘され、顔が熱くなるのを感じる。本来そういった役割の体液は男には存在しないはずなのに、調教で身体が変わったのか俺の穴は興奮で濡れるようになってしまっている。
「どれどれ……」
「んっ……! ぁ、ぁあっ! ユキ、さまぁっ……!」
雪兎の指が一本後孔に入る。濡れた肉を掻き分けて根元まで入ると動かしはせず腸壁の締め付けを楽しんだ。
「熱いね、きゅうきゅう締め付けてくるし……気持ちよさそう。でも、まだ何もしないよ」
「あぅんっ! んん……穴、切ないです……」
ちゅぽんっと音を立てて指を引き抜かれ、異物を望む後孔を腰ごと揺らす。
「ご褒美あげるって言ったでしょ?」
そう言うと雪兎は俺の見えない位置で何かを漁り、ご褒美らしい物を開封しながら持ってきた。
「歯ブラシ……ですか?」
「うん、でも毛が柔らかくって歯磨きにはとてもじゃないけど使えない。何に使うか賢いポチには分かるよね」
新品の歯ブラシの毛の柔らかさを示すため、雪兎は自らの指の腹を軽く磨く。まるで筆のように柔らかそうだ。
賢くない俺には何に使うか分からなかったが、勃起を禁じられている陰茎が痛んだ。
「……ポチ、僕ね、寂しかったよ」
俺の腕の中、リラックスした様子の雪兎は俺に擦り寄りながら話した。
「勉強のこと以外何も話せないし、日本語通じる人全然居ないし、同じ学部の子みんな背が高いし……目線合わせてくれる人居なかったから、すごく寂しかった」
細腕が首に絡む。赤紫の瞳と目が合う。
「ポチが来る前も寂しかったけどね、その時とは全然違った……ポチが寂しくないってどういうことか教えてくれたから、それに慣れちゃってた。責任取ってよポチぃ……ずっと居て、帰らないで」
夏休みが終われば俺は日本に帰らなければならない。無理な話だと分かっているのだろう、雪兎の声も小さい。下手に頷くわけにもいかないので、とりあえずは沈黙だ。
散髪兼散歩が終わり、雪兎が住む家に帰還。雪兎を下ろしたら本棚の前に紙袋を置き、革ジャンを脱いで腕を見る。
「あれ、跡になっちゃってるね。重かった?」
紙袋の持ち手の紐は革ジャン越しに俺の腕に跡を残した。
「いえ、このくらい平気です」
「さっすがー、それよりポチ、いつまで服着てる気?」
犬の正装は全裸、鋭い視線にそれを思い出させられた。俺はすぐにジーンズを脱ぎ、シャツに手をかける。
「あ、待って。シャツは着てていいよ」
「……はい」
小さめサイズのシャツはパツパツに張って、乳首もくっきり浮いてしまっていてとても恥ずかしい。全裸の方がマシなのに、脱がせてもらえなかった。
「貞操帯外してあげる。足開いて、腕は頭の上で組んでね」
言われるがままに頭の上で腕を組み、大きく開脚して腰を落とした。こんなにも情けないポーズは他にないだろう、男どころか人間としてのプライドもズタボロにされる。
「……っ、ん……」
黒革の貞操帯の留め具が外される。腰と太腿に巻かれたベルトが外れたのだ、それだけで俺は声を漏らしてしまう。
「後ろで何回イった?」
「数えられませんでした、申し訳ありまっ、ぁ、ぁあっ、ぁ、あぁんっ!」
前立腺マッサージ器具をゆっくりと引き抜かれ、快感を覚えて足がガクガクと震える。
「ポーズ崩したらそれ外さないからね」
「……っ!?」
雪兎が指したのは陰茎を締め付けている金具だ。貞操帯の本体とも言える、黒革の部分は前立腺マッサージ器具を固定するためのもので、陰茎のものは単体でも萎縮しなければズレないようになっている。
「さて……散歩の間ずーっと気持ちよかったはずだけど、ポチは表情誤魔化すの上手かったね。本屋さんなんて普通に過ごしてたじゃん」
「……何回かイってましたよ」
「分かんなかったよ、すごいすごい」
本に集中していただけだろうと思いつつも口には出さない。
「なんか垂れてきてるよ?」
「……ユキ様に挿入していただきたくて分泌している潤滑剤です」
後孔から滴る腸液を指摘され、顔が熱くなるのを感じる。本来そういった役割の体液は男には存在しないはずなのに、調教で身体が変わったのか俺の穴は興奮で濡れるようになってしまっている。
「どれどれ……」
「んっ……! ぁ、ぁあっ! ユキ、さまぁっ……!」
雪兎の指が一本後孔に入る。濡れた肉を掻き分けて根元まで入ると動かしはせず腸壁の締め付けを楽しんだ。
「熱いね、きゅうきゅう締め付けてくるし……気持ちよさそう。でも、まだ何もしないよ」
「あぅんっ! んん……穴、切ないです……」
ちゅぽんっと音を立てて指を引き抜かれ、異物を望む後孔を腰ごと揺らす。
「ご褒美あげるって言ったでしょ?」
そう言うと雪兎は俺の見えない位置で何かを漁り、ご褒美らしい物を開封しながら持ってきた。
「歯ブラシ……ですか?」
「うん、でも毛が柔らかくって歯磨きにはとてもじゃないけど使えない。何に使うか賢いポチには分かるよね」
新品の歯ブラシの毛の柔らかさを示すため、雪兎は自らの指の腹を軽く磨く。まるで筆のように柔らかそうだ。
賢くない俺には何に使うか分からなかったが、勃起を禁じられている陰茎が痛んだ。
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