ポチは今日から社長秘書です

ムーン

文字の大きさ
54 / 566
使用人体験

おしごとたいけん、しゅーりょー

しおりを挟む
生まれつき分厚い皮膚と鍛えていた筋肉のおかげで皿の破片は深くは刺さらなかった。しかし流石にガラス片は深々と刺さった。まぁ、神経などが傷付くことはなかったから歩行に支障はない。

「──って訳で、何の問題もありませんよ。跡も残らなさそうって話です」

包帯を巻いた足を水泳のシンクロ競技のように持ち上げ、カメラに映す。

『ふーん……』

足の治療が終わった後、祖父はただ一言謝って別棟に戻り、次の日から使用人が戻ってくるからと俺をクビにした。そんな訳で俺は元通りの生活に戻り、真昼間恒例の雪兎とのビデオ通話を楽しんでいる。

「ユキ様、怒ってます?」

『当たり前。飼い主の許可なく勝手に怪我しちゃダメに決まってるでしょ? それに理由がおバカ過ぎるよ、何? 棚の上の方の皿取ろうとして引っ張り倒したって。よく足だけで済んだね』

雪兎には祖父の手伝いをしていた話も祖父が食器棚を倒したことも教えていない。俺がドジを踏んだのは真実なのだから、多少事実を歪めて報告したって許されるだろう。

『……本当にびっくりしたんだよ、ポチが食器棚の下敷きになったって聞いた時は』

雪兎の声に幼さが戻り、祖父よりは大人びた顔が下を向く。

「使用人さん達、大忙しだそうですよ」

雪兎の一言で若神子邸の棚やタンスは倒れないように壁や床に固定するよう決められた。地震などの対策としてはいいことだが、俺のドジが原因で仕事を増やされた使用人達とは顔を合わせにくくなった。

『そもそも対策してなかったのがわるいの! ゆきのポチに怪我させちゃう家なんて、犬小屋以下だよ!』

年齢一桁台のような甘ったれた口調に思わず笑みが零れる。雪兎はほのかに頬を赤らめ、パソコンを置いてあるのだろう机をバンと叩いて通話画面を揺らした。

『勝手に怪我したポチにはお仕置きだよ、怪我治ったら水責めするからね』

「水責め……! どんなものか聞いてもいいですか? その方が恐怖もあると思うんです!」

お仕置き、水責め、その二つの言葉に俺の頬は緩みきっている。代わりとでも言うように俺の陰茎は硬くなり始めている。

『……今はもう使ってないけど水車小屋があるんだ』

「へぇ、和風のとこあったんですねこの家」

『敷地は無駄に広いからね。そういうスペースもあるよ、建て直そうかって話も出てたけど、耐震とかの問題はないし、ひいおじいちゃんが気に入ってるからそのままなんだ』

曽祖父……会ったことがないな。

「それで、水車をどうするんですか?」

『知らないの? 水車に縛り付けて回して責める拷問。水車だから当然下は水でしょ? 水車が回れば水に浸かって、すぐ引き上げられるんだけど、またすぐ沈められて……遠心力も加わるから結構キツそうだよね。ポチ……どんな顔するのかな』

机の上に置かれていた雪兎の両腕が見えなくなる。ズボンと下着を脱いだのだろう。パソコンの脇に置いていたらしいローションと俺の穴を模したオナホを取った。

『適当に使用人さんに縛ってもらって、動画撮ってもらうんだけど……直接も見たいなぁ、ふふ……よかったら定番のお仕置にしようか。ねぇポチ、ポチって溺れさせられたらどんな顔するの?』

雪兎の顔がどんどん赤くなっていく。ローションをオナホに絡めているのだろうくちゅくちゅという水音が俺を興奮させ、下を脱がせた。

「ゲホゲホ言っちゃって、口開けたままになっちゃって、よだれなんか垂らしちゃうかなぁ。水吐いてさ、目なんか真っ赤になって、虚ろになって……ぁ、元々虚ろだったね。ふふっ……ぐったりして嫌だって言うことも出来なくなっても続けられて……ふふ、ふふふっ」

雪兎の陰茎を模したディルドにローションを絡め、後孔に押し当てる。
俺達は言葉で示し合わせることなくリモートセックスを開始した。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司と俺のSM関係

雫@不定期更新
BL
タイトルの通りです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...