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僕達をどうしたい? (〃)
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全裸説教という珍しい体験をした。ようやく説教を終えて満足そうな荒凪の傍ら、俺はゴムを外して陰茎をティッシュで拭った。
『荒凪くん、イチャイチャしよう』
「きゅ!」
嬉しそうに頷いた荒凪は俺の頬に唇をちゅっと吸いつかせた。
(さ、気を取り直してセックスセックス~……は、まだ無理でしょうか。荒凪きゅんに貸してる玩具はわたくしのより小さいものしかないはずですし)
そもそも荒凪の後孔は拡張出来るのか? 銃で撃たれても数秒で傷が癒えるんだぞ?
(……そういえばあの弾ってまだ体内じゃね?)
ヒトが撃った二発の銃弾は荒凪の尾に命中していた、貫通はしていなかったし傷が治る際に再生する肉に押し出されて……なんてこともなかった。変身の際に取れたのだろうか。
(一応秘書さんにメッセ送っておきまそ)
今荒凪に尾を痛がる素振りはないので大丈夫だとは思うが、念の為秘書にメッセージを送った。
(返信を待つ間荒凪きゅんとイチャイチャちゅっちゅ~!)
スマホを一旦置き、荒凪の肩にそっと両手を置く。不思議そうな表情で俺を見つめる彼を押し倒し、唇を重ねる。盛り上がって舌を入れそうになると荒凪に胸を押された。
「危ない……」
悲しそうに眉尻を下げ、きゅっと口を結んだ。
(そういえば荒凪きゅんの体液に触れると溶けるんでしたな。怪我なんてしたら荒凪きゅんが気に病んでしまいまそ、気を付けねば)
頭を撫でて慰め、頬にキスをする──
「今なら何とか出来るかもしれない」
──と、荒凪の喉の奥から声がして驚いて、腕立て伏せでもするように手を突っ張って荒凪から身体を引いた。
「……! 落とした分、食べたから?」
「それに、造り主が死んだ」
いつの間にか重瞳と複腕が現れている。荒夜が起きたようだ。しかし、寝ていたにしては状況の理解が早過ぎる。眠っていても外の様子は分かるのか、起きた瞬間に記憶が同期するのか……気になってきたな。
「きゅ、もののべ死んだ」
「だから、俺達は持ち主の意志のままに」
重なった三つの瞳孔全てが俺を見つめている気がする。それぞれ違った方向に向いているはずなのに。
「僕達、みつきの、思うまま!」
「水月、どんな俺達、欲しい?」
『どういうこと?』
「だから、僕達みつきの思うまま」
「水月、どんな俺達がいい?」
ゲームのNPCかよ……なんで同じこともう一回言うんだ。
「みつき?」
「決まった?」
俺は何を決めなきゃならないんだ?
「…………」
考えろ、俺。荒夜が起きて「何とか出来るかも」と言い出したのは俺とのディープキスを俺の健康を考慮して断り、夜凪が落ち込んだ時だ。
(持ち主の意志のまま、みつきの思うまま、どんな荒凪きゅんが欲しい…………まさか)
言葉の通りなのか? 俺が霊力を注ぎ、物部が死んだ今、呪物としての荒凪の所有者は俺。物部が嫌がる荒凪に無理矢理言うことを聞かせていたように、俺は荒凪への命令権を持つ。怪異化する際に落とした骨や肉片を取り込み直し、荒凪は呪物としてレベルアップしたのかも……
(進化材料を揃えて、分岐進化に悩んでる時って感じですかな今は。そしてその分岐は幾つかの候補から選ぶのではなく、わたくしが提案する……まぁ、鳥の羽生やしてとか女の子になってとか、そこまでの自由度はなさそうですよな)
生物を溶かしてしまう体液の特性も、今なら俺が変えられるのかもしれない。普通の人間の体液と同じにして……で、通るのか? 何かしらの特性を持たせなければいけないのか?
「きゅ~……みつき、考えてる。ふふ、かっこいい」
「水月、決まらない? 思い付かない?」
っていうかそもそも、こんな大事なことを俺が決めていいのか?
(わたくしに決めさせちゃダメでそ! 何かしらの特性を体液に持たせられるって、そんなの、そんなの……! 媚毒体液一択じゃないですか! ダメでそ、そんなふざけちゃ……ふざけてねぇでそわたくしは真剣にエロスを求めてっ、違う! 荒凪くんの体質になるんですよ!? 普通、普通の人間の体液と同じに……何かしら特性を持たせなければならないなら、うーん……)
どんな状況でもデメリットにならない特性となると難しいな。ちょっと甘いとか、そんな程度でいいのか? 生物に作用する何かしらがないといけないのか? 一旦荒凪に聞いてみるか。
「分かった。みつき」
「全て水月の思うまま」
「……ぇ?」
まだ何も言ってない。話すためにスマホを握った俺の手を荒凪の複腕が掴む。主腕は俺の顔を両手で支え、唇を重ねた。
「んっ……!? んっ、ぅ……ゔぅ……?」
荒凪の蛇のように長い舌が、異形の舌が、唇の隙間を抜けて俺の口内に入り込んだ。
(うわうわうわうわ!? 喉っ、喉まで来た……! 喉ちんこずりゅって、喉っ、内側からにゅるにゅる……やばいやばい吐きますってこんなの!)
俺を何度か嘔吐かせた後、荒凪はゆっくりと舌を引き抜いた。俺は声を出してしまった時なんて目じゃないほどに咳き込み、勝手に潤んだ目を擦りながら荒凪に視線を戻した。
「……!」
荒凪の髪が真っ黒だ、海を閉じ込めたような青色をしていた髪の内側が一切の光を反射しない黒に染まっている。
「…………出来た!」
「水月のお願い、叶えた」
「え……?」
俺は願いなんて何も口にしちゃいない。ごちゃごちゃ色々と考えはしたけれど。まさか、考えただけで……? いや、そんな、まさか、でも、だとしたら、口と喉にあるこのジリジリとした熱の理由は──
『荒凪くん、イチャイチャしよう』
「きゅ!」
嬉しそうに頷いた荒凪は俺の頬に唇をちゅっと吸いつかせた。
(さ、気を取り直してセックスセックス~……は、まだ無理でしょうか。荒凪きゅんに貸してる玩具はわたくしのより小さいものしかないはずですし)
そもそも荒凪の後孔は拡張出来るのか? 銃で撃たれても数秒で傷が癒えるんだぞ?
(……そういえばあの弾ってまだ体内じゃね?)
ヒトが撃った二発の銃弾は荒凪の尾に命中していた、貫通はしていなかったし傷が治る際に再生する肉に押し出されて……なんてこともなかった。変身の際に取れたのだろうか。
(一応秘書さんにメッセ送っておきまそ)
今荒凪に尾を痛がる素振りはないので大丈夫だとは思うが、念の為秘書にメッセージを送った。
(返信を待つ間荒凪きゅんとイチャイチャちゅっちゅ~!)
スマホを一旦置き、荒凪の肩にそっと両手を置く。不思議そうな表情で俺を見つめる彼を押し倒し、唇を重ねる。盛り上がって舌を入れそうになると荒凪に胸を押された。
「危ない……」
悲しそうに眉尻を下げ、きゅっと口を結んだ。
(そういえば荒凪きゅんの体液に触れると溶けるんでしたな。怪我なんてしたら荒凪きゅんが気に病んでしまいまそ、気を付けねば)
頭を撫でて慰め、頬にキスをする──
「今なら何とか出来るかもしれない」
──と、荒凪の喉の奥から声がして驚いて、腕立て伏せでもするように手を突っ張って荒凪から身体を引いた。
「……! 落とした分、食べたから?」
「それに、造り主が死んだ」
いつの間にか重瞳と複腕が現れている。荒夜が起きたようだ。しかし、寝ていたにしては状況の理解が早過ぎる。眠っていても外の様子は分かるのか、起きた瞬間に記憶が同期するのか……気になってきたな。
「きゅ、もののべ死んだ」
「だから、俺達は持ち主の意志のままに」
重なった三つの瞳孔全てが俺を見つめている気がする。それぞれ違った方向に向いているはずなのに。
「僕達、みつきの、思うまま!」
「水月、どんな俺達、欲しい?」
『どういうこと?』
「だから、僕達みつきの思うまま」
「水月、どんな俺達がいい?」
ゲームのNPCかよ……なんで同じこともう一回言うんだ。
「みつき?」
「決まった?」
俺は何を決めなきゃならないんだ?
「…………」
考えろ、俺。荒夜が起きて「何とか出来るかも」と言い出したのは俺とのディープキスを俺の健康を考慮して断り、夜凪が落ち込んだ時だ。
(持ち主の意志のまま、みつきの思うまま、どんな荒凪きゅんが欲しい…………まさか)
言葉の通りなのか? 俺が霊力を注ぎ、物部が死んだ今、呪物としての荒凪の所有者は俺。物部が嫌がる荒凪に無理矢理言うことを聞かせていたように、俺は荒凪への命令権を持つ。怪異化する際に落とした骨や肉片を取り込み直し、荒凪は呪物としてレベルアップしたのかも……
(進化材料を揃えて、分岐進化に悩んでる時って感じですかな今は。そしてその分岐は幾つかの候補から選ぶのではなく、わたくしが提案する……まぁ、鳥の羽生やしてとか女の子になってとか、そこまでの自由度はなさそうですよな)
生物を溶かしてしまう体液の特性も、今なら俺が変えられるのかもしれない。普通の人間の体液と同じにして……で、通るのか? 何かしらの特性を持たせなければいけないのか?
「きゅ~……みつき、考えてる。ふふ、かっこいい」
「水月、決まらない? 思い付かない?」
っていうかそもそも、こんな大事なことを俺が決めていいのか?
(わたくしに決めさせちゃダメでそ! 何かしらの特性を体液に持たせられるって、そんなの、そんなの……! 媚毒体液一択じゃないですか! ダメでそ、そんなふざけちゃ……ふざけてねぇでそわたくしは真剣にエロスを求めてっ、違う! 荒凪くんの体質になるんですよ!? 普通、普通の人間の体液と同じに……何かしら特性を持たせなければならないなら、うーん……)
どんな状況でもデメリットにならない特性となると難しいな。ちょっと甘いとか、そんな程度でいいのか? 生物に作用する何かしらがないといけないのか? 一旦荒凪に聞いてみるか。
「分かった。みつき」
「全て水月の思うまま」
「……ぇ?」
まだ何も言ってない。話すためにスマホを握った俺の手を荒凪の複腕が掴む。主腕は俺の顔を両手で支え、唇を重ねた。
「んっ……!? んっ、ぅ……ゔぅ……?」
荒凪の蛇のように長い舌が、異形の舌が、唇の隙間を抜けて俺の口内に入り込んだ。
(うわうわうわうわ!? 喉っ、喉まで来た……! 喉ちんこずりゅって、喉っ、内側からにゅるにゅる……やばいやばい吐きますってこんなの!)
俺を何度か嘔吐かせた後、荒凪はゆっくりと舌を引き抜いた。俺は声を出してしまった時なんて目じゃないほどに咳き込み、勝手に潤んだ目を擦りながら荒凪に視線を戻した。
「……!」
荒凪の髪が真っ黒だ、海を閉じ込めたような青色をしていた髪の内側が一切の光を反射しない黒に染まっている。
「…………出来た!」
「水月のお願い、叶えた」
「え……?」
俺は願いなんて何も口にしちゃいない。ごちゃごちゃ色々と考えはしたけれど。まさか、考えただけで……? いや、そんな、まさか、でも、だとしたら、口と喉にあるこのジリジリとした熱の理由は──
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