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兄弟仲、どうよ (水月+ハル・シュカ・セイカ・ミタマ)
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通学路では何かに襲われることもなく、無事に学校に着いた。セイカと共にエレベーターに乗り、軽く伸びをする。
「んー……はぁ、何もなかったなぁ。いいことだけど」
昨日俺とカサネを襲った化けカエルは何だったんだ。二度と見たくないし、彼氏達がアレに襲われたらと思うとゾッとするけれど、姿が見えないとそれはそれで不安になる。
「カラスはまだ居るから監視はされてるっぽいけど、何もしてこない……どうするかなぁ、長期休みでもないのに連日外泊許してくれるような親御さんばっかじゃないぞ」
「お前ら狙ってるヤツを何とかするのを考えるのはお前の仕事じゃないんだろ?」
「連日外泊の言い訳とか、まともな布団で寝られない日が続くことへの対策考えるのは俺の仕事だよ」
「……本当に家に全員集めてないとヤバいのか?」
「監視はされてるから、解散したらそこ狙ってくると思うんだよ。実際カサネ先輩んとこに昨日居たんだから、カエル……」
カサネが強力なお守りを持っていて、それが目くらましになっていたから俺が行くまで無事で居ただけだ。まぁ、俺が行ったからカラスとカエルがカサネの家を見つけたとも言えるけれど。
「そっか……まぁ、俺には本当にどうとも出来ないし……あ、言い訳一緒に考えるくらいは出来るかな」
「はは、セイカ頭いいし期待してるよ」
そんな会話をしながら教室へ向かった。階段を使った彼氏達と合流し、短い別れからの再会を喜び合う。
「さて、二年生の教室も気にせんとならんのじゃったな。ワシは少し離れたところに居る。また昼休みでのぅ、みっちゃん」
「ぁ……うん、行ってらっしゃい。よろしくねコンちゃん」
耳元でミタマの声がした。
「なになにみっつん、コンちゃんどうかしたの?」
「え? あぁ、俺にだけ言ったのか……ネザメさん達の方も見なきゃだから、中間地点行ってくるってさ」
「あー、昨日のスイちゃん的な~? なる~、お疲れ様だよホント~」
「コンちゃんの方は感謝とかが本当に力になるから、ガンガンしてやってくれ」
話しながら席に着き、スマホを持つ。目的はメッセージアプリだ。俺の家に泊まっていない彼氏達の安否を確認しなければ。
(カミアたんは忙しい身の上、返信はありませんが……今朝ハルどのが観ていたニュースに出てましたな、アレ確か生放送の番組なのでカミアたんの無事は既に確認出来てまそ)
カミアの身の安全は秘書に頼んでおいた、何らかの対処をしてくれたのだろう。
(穂張三兄弟は如何でしょう。フタさんからはメッセなし、サンさんからはヒトさんの愚痴が何通か。ヒトさんはまともに報告してくれてますな)
三兄弟の元にも何も現れていないようだ、事務所から出ていないのか単に気付いていないのか、不気味なカラスを見たという話もない。ただ、フタは猫が居なくなったとずっと喚いているらしい。
(フタさん、パイセンのために猫借りていいか電話で相談した時はいいよって言ってくれたんですが……忘れちゃってるんですなぁ、昨日猫受け取りに行った時もすっごい騒いでましたもんな。うーん、罪悪感……)
愛猫を見失っているフタのストレスも、そんなフタを落ち着かせ続けているのだろうヒトのストレスも、相当なものだろう。愚痴メッセージの量から察するに、苦手なヒトと一緒に居続けなければならないサンのストレスも大きそうだ。
(御三方にも我が家でゆっくりして欲しいところですが、どっちにしろフタさんのお守りはほぼヒトさんがしますし、ヒトさんと一緒なのは変わらないからサンさんの機嫌もずっと悪そうなんですよな)
三人を家に招待したとしても、空気が悪くなり部屋が狭くなるだけだ。ヤクザは母からの印象も悪いし。
「はぁ……」
「どったのみっつんため息ついて」
「ん、いや……ヒトさん達の兄弟仲、もうちょいどうにかならないもんかなって」
「え~? あの歳で仲悪かったらもう無理でしょ……」
「……だよなぁ」
異母兄弟が仲良くなれるとしたら、しがらみのない幼い間だけだろう。母親の立場の違いで生まれてしまった格差に気付けばもう、無理だ。
「ハルは兄弟喧嘩とかするか?」
「しょっちゅう」
「どうやって仲直りしてる?」
「……してないかなぁ。なんか、いつの間にかなぁなぁになってる」
「そうか……お前らは一人っ子だし、カンナ……カンナ、喧嘩とかしたことあるか?」
カンナは首を横に振った。まぁ、カミアのあのブラコンっぷりじゃ喧嘩は長引かないだろうな。
「……セイカは?」
「聞いても意味無さそうだなって顔で聞いてくんな、多分鳴雷の想像通りだよ」
セイカの弟は長らく自我を押さえ付けてきたような子だ、喧嘩になるようなことはなかっただろう。
「水月はどうなんですか? 兄弟居るじゃないですか、喧嘩、しないんですか?」
「え、うーん……兄弟になって日が浅いしなぁ。アキ可愛いし」
「秋風は怒ると拗ねるタイプで、鳴雷は激甘だから兄弟喧嘩なんかないぞコイツら」
「だろうと思ってた~……アキくん拗ねる子なんだ、可愛い~」
「面倒臭くないですか?」
「面倒臭いムーブは可愛い子がやると可愛いだけなんだよ」
ハルに同意だ。うんうんと頷いてみると、シュカに呆れた目で見下ろされた。
「んー……はぁ、何もなかったなぁ。いいことだけど」
昨日俺とカサネを襲った化けカエルは何だったんだ。二度と見たくないし、彼氏達がアレに襲われたらと思うとゾッとするけれど、姿が見えないとそれはそれで不安になる。
「カラスはまだ居るから監視はされてるっぽいけど、何もしてこない……どうするかなぁ、長期休みでもないのに連日外泊許してくれるような親御さんばっかじゃないぞ」
「お前ら狙ってるヤツを何とかするのを考えるのはお前の仕事じゃないんだろ?」
「連日外泊の言い訳とか、まともな布団で寝られない日が続くことへの対策考えるのは俺の仕事だよ」
「……本当に家に全員集めてないとヤバいのか?」
「監視はされてるから、解散したらそこ狙ってくると思うんだよ。実際カサネ先輩んとこに昨日居たんだから、カエル……」
カサネが強力なお守りを持っていて、それが目くらましになっていたから俺が行くまで無事で居ただけだ。まぁ、俺が行ったからカラスとカエルがカサネの家を見つけたとも言えるけれど。
「そっか……まぁ、俺には本当にどうとも出来ないし……あ、言い訳一緒に考えるくらいは出来るかな」
「はは、セイカ頭いいし期待してるよ」
そんな会話をしながら教室へ向かった。階段を使った彼氏達と合流し、短い別れからの再会を喜び合う。
「さて、二年生の教室も気にせんとならんのじゃったな。ワシは少し離れたところに居る。また昼休みでのぅ、みっちゃん」
「ぁ……うん、行ってらっしゃい。よろしくねコンちゃん」
耳元でミタマの声がした。
「なになにみっつん、コンちゃんどうかしたの?」
「え? あぁ、俺にだけ言ったのか……ネザメさん達の方も見なきゃだから、中間地点行ってくるってさ」
「あー、昨日のスイちゃん的な~? なる~、お疲れ様だよホント~」
「コンちゃんの方は感謝とかが本当に力になるから、ガンガンしてやってくれ」
話しながら席に着き、スマホを持つ。目的はメッセージアプリだ。俺の家に泊まっていない彼氏達の安否を確認しなければ。
(カミアたんは忙しい身の上、返信はありませんが……今朝ハルどのが観ていたニュースに出てましたな、アレ確か生放送の番組なのでカミアたんの無事は既に確認出来てまそ)
カミアの身の安全は秘書に頼んでおいた、何らかの対処をしてくれたのだろう。
(穂張三兄弟は如何でしょう。フタさんからはメッセなし、サンさんからはヒトさんの愚痴が何通か。ヒトさんはまともに報告してくれてますな)
三兄弟の元にも何も現れていないようだ、事務所から出ていないのか単に気付いていないのか、不気味なカラスを見たという話もない。ただ、フタは猫が居なくなったとずっと喚いているらしい。
(フタさん、パイセンのために猫借りていいか電話で相談した時はいいよって言ってくれたんですが……忘れちゃってるんですなぁ、昨日猫受け取りに行った時もすっごい騒いでましたもんな。うーん、罪悪感……)
愛猫を見失っているフタのストレスも、そんなフタを落ち着かせ続けているのだろうヒトのストレスも、相当なものだろう。愚痴メッセージの量から察するに、苦手なヒトと一緒に居続けなければならないサンのストレスも大きそうだ。
(御三方にも我が家でゆっくりして欲しいところですが、どっちにしろフタさんのお守りはほぼヒトさんがしますし、ヒトさんと一緒なのは変わらないからサンさんの機嫌もずっと悪そうなんですよな)
三人を家に招待したとしても、空気が悪くなり部屋が狭くなるだけだ。ヤクザは母からの印象も悪いし。
「はぁ……」
「どったのみっつんため息ついて」
「ん、いや……ヒトさん達の兄弟仲、もうちょいどうにかならないもんかなって」
「え~? あの歳で仲悪かったらもう無理でしょ……」
「……だよなぁ」
異母兄弟が仲良くなれるとしたら、しがらみのない幼い間だけだろう。母親の立場の違いで生まれてしまった格差に気付けばもう、無理だ。
「ハルは兄弟喧嘩とかするか?」
「しょっちゅう」
「どうやって仲直りしてる?」
「……してないかなぁ。なんか、いつの間にかなぁなぁになってる」
「そうか……お前らは一人っ子だし、カンナ……カンナ、喧嘩とかしたことあるか?」
カンナは首を横に振った。まぁ、カミアのあのブラコンっぷりじゃ喧嘩は長引かないだろうな。
「……セイカは?」
「聞いても意味無さそうだなって顔で聞いてくんな、多分鳴雷の想像通りだよ」
セイカの弟は長らく自我を押さえ付けてきたような子だ、喧嘩になるようなことはなかっただろう。
「水月はどうなんですか? 兄弟居るじゃないですか、喧嘩、しないんですか?」
「え、うーん……兄弟になって日が浅いしなぁ。アキ可愛いし」
「秋風は怒ると拗ねるタイプで、鳴雷は激甘だから兄弟喧嘩なんかないぞコイツら」
「だろうと思ってた~……アキくん拗ねる子なんだ、可愛い~」
「面倒臭くないですか?」
「面倒臭いムーブは可愛い子がやると可愛いだけなんだよ」
ハルに同意だ。うんうんと頷いてみると、シュカに呆れた目で見下ろされた。
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