冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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推しからのビデオメッセージ (水月+ハル・カミア・ミフユ)

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カミアのメッセージ動画を視聴するハルを撮って送ってくれ、とカミアに頼まれている。俺はスマホを構えた。

「……!」

ハルは目を見開き、口を手で押さえた。

『こんにちは~! マジ神アイドルカミアだよ~……今回はぁ、お友達の初春くんに』

「お友達!?」

『僕の大好きなハロウサのポーチをプレゼントしたくて、あっハロウサって言うのはね』

今ハルが見ている動画は俺が撮ったものだ、何を話したか知っている。カミアは今からハロウィンウサギについて長々と説明し始める。

『──なウサギで、コンセプトは──』

本当に長い。ハロウサの話をするカミアからは同類オタクの匂いを感じる。

『──ってのがハロウサ! さわりだけだから、興味出てきたら公式ホームページとか見に行ってね~。それでポーチなんだけど、ハルくん確かガッツリメイクする系男子だったよね?』

こくこくと頷くハルの目は潤んでいる。

『メイクポーチってサイズとか大事だから、贈り物って案外使えなかったりするよね~。みぃくんに聞いたんだけど、このくらいだったと思うーなんて曖昧な感じでさぁ……頼りにならないなーって、あはっ、うそうそ怒んないでよぉ~』

「……こ、これ撮ったの、水月?」

「あぁ、俺が撮った」

みっつん呼びする余裕すら失くしてるじゃないか。相当だな。

『サイズが合ってても内ポケの具合とか、使い慣れた今のヤツのがいいとは思うんだけど……まぁせっかくだから予備にでもしてあげてよ。ただの小物入れでもいいし。じゃあ、またねハルくん、一回ちゃんと遊んでみたいなぁ。バイバーイ!』

「ばいばい…………もぉ~! やばいぃ~! 最高なんだけどカミア……超可愛い。カミア、カミアが俺用の動画撮ってたとか……! やばい、やばいぃ……」

「……嬉しい?」

「超嬉しいに決まってんじゃん! ね、ねぇみっつん、動画でカミア持ってたのってこのポーチ? えっとだから……これ、カミアが触ったポーチ? それとも、カミアとおそろ?」

「触ったヤツだ」

「カミアが触ったヤツ……!? やばいやばいやばい、誰か綺麗なビニール袋持ってない?」

「俺持ってるけど……」

「流石みっつん! ちょうだい!」

持ち歩いているビニール袋を一つ手渡すとハルは早速それにポーチを入れた。

「よし……家に帰ったら何かもっといいとこに入れて飾らないと」

「使わないのか?」

「使わないよ! 使う訳ないじゃん!」

「カミアは使って欲しがってたけどなぁ」

「ぅ……で、でもぉ~……」

「ま、ハルの好きにしたらいいさ。リアクション動画ってこのくらいでいいのかな……」

撮るのをやめ、念の為動画を確認し、カミアに送信。さて既読が付くのはいつになるかな。ついでにカンナの写真も送っておいてやるか。

「……鳴雷一年生、少し聞きたいのだが」

「あ、はい。ちょっと待ってください……はい、何ですか?」

「皆に合った土産を持ってくるところ、流石と言える。小六にしてもそうだ、ネザメ様の無用な飾り物好きをよく理解している。あまり話している姿を見た覚えもないのだが、よく分かったものだ」

カミアはネザメへの贈り物にホラーハウスの模型を選んでいた。確か「あの人こういう棚の上に飾れる細かい作りのヤツ好きそうな気がする~」とか言ってたな。

「ミフユへのこの卓上クリーナーもいい、学校の机で使いやすい小ささだ。掃除用具がフロッキー加工されているというのは、どうなのかと思わなくもないが……汚れやすくならないか?」

「フロッキードールのお手入れは俺分かるので、汚れたら教えてください」

「む、そうか。ならそうしよう」

机に散らばった消しカスや紙の切れ端などを掃除出来る卓上クリーナーがカミアからミフユへの土産だ。もちろんウサギ型で、フロッキー加工をされているので細かい毛が生えていて大変可愛らしい。こんなに可愛いグッズを学校で使うつもりなのか……ミフユはあまり人目を気にしないのかな?

「では本題だ、鳴雷一年生。何故貴様は私達への土産にキーホルダーを選んだ? 不満がある訳ではないが、他の土産選びを見ていると……ネザメ様はともかく、ミフユはぬいぐるみを愛でる趣味はないし……何故、と、単純に疑問に思う。重ねて言うが不満はない。趣味ではないがぬいぐるみを嫌いな訳ではない。気を悪くするなよ、ただ不思議に思っただけだ」

「あー……えっと、遊園地で買えるので、実用性あるヤツとか衣料品ってその……高くない、えー、割と庶民派で……ミフユさんが使うようなのじゃないかなって」

「……別に高級品でなければ使わないなんてぜいたくな人間ではないぞ。品質が良ければな」

その品質の許容範囲が並の狭さではないだろう。

「高ければ品質が良いという訳ではない。たとえば鞄だが……これは元々馬具メーカーだったブランドの物を選ぶと良いものが買える可能性が高い。そうでないブランドの物よりも丈夫なのだ」

「そうなんですか……」

「話が逸れたな。続きを話してくれ、鳴雷一年生」

「えっと……さっき言った理由で選ばない物多くなって他の探してた時に、フランケンシュタインの博士とその怪物……の、コスプレしたウサギ、見つけて……セット感あるなって。ネザメさんとミフユさんニコイチ感ありますし、ちょうどいいかなーって」

「……にこいち?」

「あ、二人で一人的な……」

「ふむ、なるほど。ネザメ様とセット……ふふっ、そうなるとこのウサギはますます愛おしいな。ありがとう」

ようやく童顔に似合う笑顔が見られた。ネザメとミフユへの土産選びはあまり自信がなかったが、ようやく胸を撫で下ろせた。

「……しかしこの縫い目は痛々しいな」

「フランケンシュタインモチーフなんで……カミアいわくコスプレって設定なんで、きっとそういうメイクですよ」

「ならいいのだが」

可愛い視点に萌えてしまって、そっとミフユを抱き締める。彼は驚いたようで俺を見上げ、頬を赤らめた後、控えめながら俺の胸に体を預けた。
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