冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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ピザと事件報告のお届けデス (水月+ネイ・ノヴェム・荒凪・アキ・セイカ・ミタマ・サキヒコ)

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服を脱いでいた者は着て、部屋中に消臭剤を振り撒いて、大急ぎで取り繕った。

《最悪……空気読めよクソが》

《ネイはロシア語分かるんだから、変なこと言ったり八つ当たりしたりするなよ》

《へいへい》

「きゅるる……みつき、きもちいいの……」

アキと荒凪は不機嫌を隠そうともしていない、アキの方はセイカがどうにか宥めてネイへの正しい対応をさせてくれそうだけれど、荒凪の方は俺がやらなければ。

「ごめんね荒凪くん、急にお客様が来ちゃったんだ。気持ちいいこととか、えっちなことは、一旦延期。本当にごめんね、でもこれは俺にはどうしようもないんだ……」

「きゅうぅ……」

「で、気持ちいいことやえっちなことについては、他の人……えーっと、仲間以外に聞かせちゃダメだよ。おちんちん見られるの恥ずかしいのと一緒、そういう話をするのは恥ずかしいことなんだ。本当に好きな人とじゃないと話すのもダメなんだよ」

「わかた」

これで大丈夫……かな? 人間体では言葉も拙いが、荒凪はものを知らないだけで頭脳が幼稚な訳ではない。

「みんな服着たな? セイカ、アキへの説明は?」

「済んだ。めっちゃ機嫌悪い」

「今晩は寝れないかもな……よし、開けるぞ」

「一番の問題はお前のそれだと思うんだけど、子供にそんなもん見せるつもりかよ」

セイカは俺の股間のテントを指している。

「んな簡単に萎えないんだからしょうがないだろ! ちゃんと隠すよ!」

直立しては隠せないし、前屈みで扉を開けるのは不自然だ。出迎えるのは部屋の主のアキに頼んだ。

《何の用だタイミングクソ悪男》

《八つ当たりするなって言っただろ秋風!》

「……何かしてました? お邪魔いたしましてごめんなさいデス」

「変な話し方しなくていいよ……今日鳴雷の親達居ないし。で、何の用?」

「お昼ご一緒しません? ピザなんですけど。ポテトとコーラとチキンもありますよ」

昼食のお誘いか。そういえばもうそんな時間だな。

「ありがとうございますネイさん、ダイニング移りましょうか。コンちゃん窓開けてきて」

「おにーちゃん! みつきおにぃちゃ、こんにちは!」

股間の張りを見られないよう姿勢に気を付けつつネイに顔を見せると、彼の背後に隠れていたノヴェムが飛び出してきた。

「こんにちはノヴェムくん。元気そうだね」

ネイがやったのだろうか、ヘアゴムで前髪を結んで上げていて、ノヴェムの綺麗なオッドアイがよく見える。

「おにーちゃ、だっこ」

「だっこ? んー……ごめんね、今はちょっと」

抱き上げたノヴェムにもし陰茎が触れてしまったら、俺はもう二度と彼と目を合わせることすら許されない存在になってしまう。

「のべむ? のべむ! 抱っこしたい」

「荒凪くん、そういえばノヴェムくん好きだったね。ノヴェムくん、荒凪くんが抱っこしてくれるってさ」

《……お祭りで、車椅子乗ってたお兄ちゃん?》

《荒凪お兄ちゃんです。ノヴェムが眠ってしまった後、しばらく抱っこしてくれていたんですよ》

ノヴェムは人見知りするような素振りを見せていたけれど、ぎゅっと目を閉じて、開いて、キリッとした表情で一歩踏み出した。

「……! ちっちゃい、かわいい……!」

荒凪はノヴェムを軽々と抱き上げ、感激している。表情が変わらない彼をノヴェムはどう思うのだろう、今は緊張しているのか顔も身体も硬く見える。

「小さい子が好きなんですね」

「多分……荒凪くん! こっちこっち」

ベッドに戻ろうとした荒凪を呼び、ダイニングに移り、ネイが持ってきたピザの箱を開ける。

「クーラー点けといたぞぃ」

「ありがとうねコンちゃん、氷とコップも頼める? アキに手伝わせて」

「ほいほい」

「ごめんねー……俺今あんまり動けないから」

膨らんだ股間を隠すため俺は早々に席に着いた。

「セイカくん、どうぞ」

「ぇ、あっ、ありがとう……ございます」

ネイは何故かセイカを俺から最も離れた席に座らせ、ミタマとアキを少し手伝うと俺の隣に腰を下ろした。ネイのことだ、何も考えず目についた席にそうした訳じゃない。きっと今日昼食を共にしようと言ったのにも何か理由があるのだろう。

「水月くん、話しておきたいことが」

全員の着席を確認し「いただきます」と合唱した直後、ネイはピザを取りながら小声でそう言った。

「俺にだけ聞かせたいことならメッセとか、夜呼び出すとか、色々あるでしょ……」

少しうんざりしながら返事をすると、ネイはピザを齧りながら口を開けることなく流暢に話した。

「痕跡は残したくありません。セイカくんにだけ聞こえなければいいんです、お化けのお二人にはお聞かせしたいことですし」

彼は日本語が分からないし、とアキを見つめて表情で伝えてくる。ムカつく顔だな、日本育ちのくせに随分とアメリカ人らしい表情筋の使い方をするものだ。

「……腹話術とか得意なんですか?」

「公安の必須技能です」

「んなワケ…………はぁ……」

ネイは自身に関して何一つとして俺に真実を話してくれていない気がする。仕事だとか、そういうの以外……もっとパーソナルなこと、俺が知りたいこと…………嫌になる。なんで俺はさっさと好意を捨ててしまわないんだ。

「話とは、家の前でした死臭の件か?」

耳元でサキヒコの声がする。しかし彼の姿はない。

「……あなたは、ピザは?」

ネイも流石に驚いたのか目を少し見開いたが、すぐに調子を戻した。

「物理的な食事は出来ない。そんなことはいい。私達が帰ってきた時、確かに死の気配がした。話とはその件か?」

「……はい」

ミタマが視線だけこちらに向けている。アキ、セイカ、荒凪、ノヴェムの四人はピザに夢中だ。このまま小声なら話していても大丈夫だろう。

「はぁ……」

俺も彼らみたいに無邪気にピザを楽しみたかったなぁ。
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