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アイドルとホテルに (〃)
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駅の改札にも似ている遊園地の入退場口から外に出ると、奇妙な喪失感と落胆があった。夢の終わりと表現するに相応しい。
「なんか、でっかいライブ終わった後みたい。寂しくて、でも清々しくて、キラキラした思い出だけ残っててさ……みぃくんも同じ気持ち?」
「スッキリした寂しさがあるってのは同じだけど、俺ライブやったことないからそっちは分かんない」
「あ、そっか。じゃあ体育祭終わった後とか……? 僕そっちは覚えないんだけど、楽しいお祭りだもんねっ」
運動会や体育祭を楽しんだ覚えはない。出不精で運動不足のデブスにとっては晒し者になるだけのクソイベントだ、しかも中一の体育祭を機にセイカに虐められるようになったというオマケ付き。
「んー……」
何年も発売を心待ちにしていたゲームを完全クリアした後の気持ち、とか? 心地いい疲労感に達成感、微かな喪失感……少し似ているかもしれない。でも非オタのカミアにゲームの話はなぁ、いやゲーム配信してたんだっけ? でもアレ案件だろ?
「まぁ……うん、そうかも」
「曖昧~。あのねみぃくん、さっきちょっと調べたんだけど、そこのホテル空き部屋あるみたいなんだ」
カミアの人差し指が向いた先は、遊園地の真隣に建った大きなホテル。観覧車からもよく見えていた、きっとウサギまみれの内装の部屋だとかがあるんだろう。
「高そうだなぁ……」
ああいうとこって遊園地料金だったりしそうだな、と考えが過ぎった時にはもう口に出ていた。
「…………あっ、いや今のは」
カミアがショックを受けたような顔で俺を見つめていることに気付き、慌てて訂正しようとしたがもう遅かった。
「ホテル行こうよぉ~! ハロウサ部屋あるんだよ、前にロケで行ったけど朝の生放送での中継だったから本当に一時間も中居なかったんだよぉ! もっと落ち着いてみてみたい、ハロウサ部屋で寝てみたいぃ!」
「ちょっ、こ、声……声抑えて」
「みぃくんホテル嫌? 僕ホテル行きたい……ホテル行こうよぉ。お金ないなら僕奢るからぁ」
「わ、分かった、分かったから大声出さないでくれ……お前自分の立場分かってんのか。ったく……」
「……みぃくん怒ってる?」
「怒ってないよ。さっさとホテル行こう、部屋取られちゃダメだろ?」
「……! うんっ! 行こ!」
ホテルにはすぐに着いた。受付はカミアに任せ、彼に着いていった。
「うわ……メルヘン」
部屋の内装は非常にメルヘン、かつホラー。ワクワクはするが、落ち着かない。
「わぁ~……! やっぱりすごいなぁ、可愛い~! ずーっと泊まりたかったんだぁここ。ありがとうみぃくん!」
「ゃ、俺が連れてきた訳じゃないし……」
「見て見て壁にハロウサ描かれてる!」
楽しそうだな。来てよかった。仕事が一つ潰れた結果だからあまり大っぴらに喜ぶのもどうかと思っていたが、当の本人がこれだけはしゃいでいるのだから俺も何も気にせずカミアとの時間を楽しむべきかもしれない。
「みぃくんみぃくん、お風呂入ろっ。汗でベタベタだもん、ご飯よりお風呂先にしよ」
脱衣所から顔を出したカミアが小さく手招きをしている。
「あぁ……えっ、一緒にか?」
「ダメ?」
「俺はもちろん喜んでって感じだけどさ、カミアは……いいのか? 俺絶対手ぇ出すけど……いやそういうホテルじゃないから気を付けるけどさ、我慢出来る気がしない」
カミアが泊まっているとホテルのスタッフは知っているのだから、精液の匂いを残すような真似は出来ない。だから射精するのもさせるのもダメだ、軽いスキンシップに留めなければ。
「みぃくん……」
「やっぱり別々で入るか?」
「……みぃくん鈍い。手、出して欲しくて……一緒にお風呂入ろって言ってるのに」
「え」
脱衣所から出てきたカミアは俺の手を両手で握った。頬を赤らめ潤んだ目で俺を見上げる。
「なんでみぃくんは、えっちなことしたいの自分だけだと思ってるの? みぃくんは彼氏いっぱい居るけど、僕にはみぃくんだけで……僕の方が、溜まってるのに」
素直に欲を晒しながらも恥じらっているのか俺の手を握る力が増していく。
「手、出してくれる?」
「もちろん!」
照れくさそうにしながらもカミアは笑顔を浮かべ、俺の手を離して俺の背に両手を回した。俺に比べれば細い腕で必死に俺に抱きつき、真っ赤な顔で俺を見上げる。
「…………今日、抱いて」
「もちろっ……! い、や……ここ、普通のホテルだし……」
「汚さないようにするし、声も気を付けるから」
「今日は遊園地デートだけのつもりだったから何も持ってきてないし……」
一応常に持っているゴム二、三枚と、小袋のローション一つはあるけれど、これはシュカのような慣れた相手と一発ヤる程度の備えだ。処女相手にはもっと多くのローションが必要だ。
「……ゴムとかローションのことなら、僕いっぱい持ってきた」
「えっ!?」
「…………そういうの、下品? やだ?」
「好き! 超好き! でも、ほら……カミア、今日は昼までの予定だったんだろ? なんでそんなもん……」
「……みぃくんと会う時用に、セットにしてポーチに入れてるんだ。今回はチャンスないって僕も思ってたけど、でも、みぃくんと会うから…………なんならもう、遊園地のトイレとかでも、僕は……僕、は」
「カミア……」
「…………ねぇ、お願い、抱いてみぃくん。僕……僕、みぃくんと……したい。お兄ちゃんみたいにみぃくんと…………みぃくんの、入れて欲しい」
ここまで言われて断れる訳がない。
「ねぇ、みぃくん、おねが……い? んっ? 硬い……何、ベルト……?」
ぎゅっと抱きいて、より俺に密着したカミアは腹に触れた硬い物を不審がり、右手を下ろしてそれを調べた。
「…………仕方ないだろ」
勃った陰茎を服越しにしっかりと掴んだカミアは、恐る恐るといった具合でそっと俺を見上げ直した。
「そんな可愛いこと言われたら……勃つって、そりゃ」
「……よ、よかったぁ~。みぃくんなんかすっごい渋ってるからぁっ、僕じゃダメなのかなって」
「俺との関係バレたらヤバいだろ? だからこんなホテルじゃヤっちゃダメなんだよぉ……なのにお前、こんな……はぁーっ…………覚悟しろよ、ゴム使い切ってやるからな」
俺からもカミアを抱き寄せ、その微かに腹筋が付いた腹に服越しの陰茎を擦り付けながら、そう囁いた。
「なんか、でっかいライブ終わった後みたい。寂しくて、でも清々しくて、キラキラした思い出だけ残っててさ……みぃくんも同じ気持ち?」
「スッキリした寂しさがあるってのは同じだけど、俺ライブやったことないからそっちは分かんない」
「あ、そっか。じゃあ体育祭終わった後とか……? 僕そっちは覚えないんだけど、楽しいお祭りだもんねっ」
運動会や体育祭を楽しんだ覚えはない。出不精で運動不足のデブスにとっては晒し者になるだけのクソイベントだ、しかも中一の体育祭を機にセイカに虐められるようになったというオマケ付き。
「んー……」
何年も発売を心待ちにしていたゲームを完全クリアした後の気持ち、とか? 心地いい疲労感に達成感、微かな喪失感……少し似ているかもしれない。でも非オタのカミアにゲームの話はなぁ、いやゲーム配信してたんだっけ? でもアレ案件だろ?
「まぁ……うん、そうかも」
「曖昧~。あのねみぃくん、さっきちょっと調べたんだけど、そこのホテル空き部屋あるみたいなんだ」
カミアの人差し指が向いた先は、遊園地の真隣に建った大きなホテル。観覧車からもよく見えていた、きっとウサギまみれの内装の部屋だとかがあるんだろう。
「高そうだなぁ……」
ああいうとこって遊園地料金だったりしそうだな、と考えが過ぎった時にはもう口に出ていた。
「…………あっ、いや今のは」
カミアがショックを受けたような顔で俺を見つめていることに気付き、慌てて訂正しようとしたがもう遅かった。
「ホテル行こうよぉ~! ハロウサ部屋あるんだよ、前にロケで行ったけど朝の生放送での中継だったから本当に一時間も中居なかったんだよぉ! もっと落ち着いてみてみたい、ハロウサ部屋で寝てみたいぃ!」
「ちょっ、こ、声……声抑えて」
「みぃくんホテル嫌? 僕ホテル行きたい……ホテル行こうよぉ。お金ないなら僕奢るからぁ」
「わ、分かった、分かったから大声出さないでくれ……お前自分の立場分かってんのか。ったく……」
「……みぃくん怒ってる?」
「怒ってないよ。さっさとホテル行こう、部屋取られちゃダメだろ?」
「……! うんっ! 行こ!」
ホテルにはすぐに着いた。受付はカミアに任せ、彼に着いていった。
「うわ……メルヘン」
部屋の内装は非常にメルヘン、かつホラー。ワクワクはするが、落ち着かない。
「わぁ~……! やっぱりすごいなぁ、可愛い~! ずーっと泊まりたかったんだぁここ。ありがとうみぃくん!」
「ゃ、俺が連れてきた訳じゃないし……」
「見て見て壁にハロウサ描かれてる!」
楽しそうだな。来てよかった。仕事が一つ潰れた結果だからあまり大っぴらに喜ぶのもどうかと思っていたが、当の本人がこれだけはしゃいでいるのだから俺も何も気にせずカミアとの時間を楽しむべきかもしれない。
「みぃくんみぃくん、お風呂入ろっ。汗でベタベタだもん、ご飯よりお風呂先にしよ」
脱衣所から顔を出したカミアが小さく手招きをしている。
「あぁ……えっ、一緒にか?」
「ダメ?」
「俺はもちろん喜んでって感じだけどさ、カミアは……いいのか? 俺絶対手ぇ出すけど……いやそういうホテルじゃないから気を付けるけどさ、我慢出来る気がしない」
カミアが泊まっているとホテルのスタッフは知っているのだから、精液の匂いを残すような真似は出来ない。だから射精するのもさせるのもダメだ、軽いスキンシップに留めなければ。
「みぃくん……」
「やっぱり別々で入るか?」
「……みぃくん鈍い。手、出して欲しくて……一緒にお風呂入ろって言ってるのに」
「え」
脱衣所から出てきたカミアは俺の手を両手で握った。頬を赤らめ潤んだ目で俺を見上げる。
「なんでみぃくんは、えっちなことしたいの自分だけだと思ってるの? みぃくんは彼氏いっぱい居るけど、僕にはみぃくんだけで……僕の方が、溜まってるのに」
素直に欲を晒しながらも恥じらっているのか俺の手を握る力が増していく。
「手、出してくれる?」
「もちろん!」
照れくさそうにしながらもカミアは笑顔を浮かべ、俺の手を離して俺の背に両手を回した。俺に比べれば細い腕で必死に俺に抱きつき、真っ赤な顔で俺を見上げる。
「…………今日、抱いて」
「もちろっ……! い、や……ここ、普通のホテルだし……」
「汚さないようにするし、声も気を付けるから」
「今日は遊園地デートだけのつもりだったから何も持ってきてないし……」
一応常に持っているゴム二、三枚と、小袋のローション一つはあるけれど、これはシュカのような慣れた相手と一発ヤる程度の備えだ。処女相手にはもっと多くのローションが必要だ。
「……ゴムとかローションのことなら、僕いっぱい持ってきた」
「えっ!?」
「…………そういうの、下品? やだ?」
「好き! 超好き! でも、ほら……カミア、今日は昼までの予定だったんだろ? なんでそんなもん……」
「……みぃくんと会う時用に、セットにしてポーチに入れてるんだ。今回はチャンスないって僕も思ってたけど、でも、みぃくんと会うから…………なんならもう、遊園地のトイレとかでも、僕は……僕、は」
「カミア……」
「…………ねぇ、お願い、抱いてみぃくん。僕……僕、みぃくんと……したい。お兄ちゃんみたいにみぃくんと…………みぃくんの、入れて欲しい」
ここまで言われて断れる訳がない。
「ねぇ、みぃくん、おねが……い? んっ? 硬い……何、ベルト……?」
ぎゅっと抱きいて、より俺に密着したカミアは腹に触れた硬い物を不審がり、右手を下ろしてそれを調べた。
「…………仕方ないだろ」
勃った陰茎を服越しにしっかりと掴んだカミアは、恐る恐るといった具合でそっと俺を見上げ直した。
「そんな可愛いこと言われたら……勃つって、そりゃ」
「……よ、よかったぁ~。みぃくんなんかすっごい渋ってるからぁっ、僕じゃダメなのかなって」
「俺との関係バレたらヤバいだろ? だからこんなホテルじゃヤっちゃダメなんだよぉ……なのにお前、こんな……はぁーっ…………覚悟しろよ、ゴム使い切ってやるからな」
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