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アイドルと急な電話 (〃)
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カミアは俺の彼氏達がどんな人間なのか、詳しくは知らない。お土産選びは俺に彼氏の好みなどを聞きながら行っている。
「ハルくんにはメイクポーチとかいいかなって思ったんだけど、サイズとか容量とか合わないと使いにくいよね……みぃくん、ハルくんが今持ってるヤツどんなのか分かる?」
「メイクポーチ? あー、アレかな……このくらいの、分厚い……ヤツ?」
「これ、どうかな? サイズ似てる?」
「似てると思う……あんま自信ない」
「メイクに関心のない男は呆れられちゃうよ? こないだ共演した女優さんが言ってた」
「マジ? 確かに……メイクとかファッションの話たまに振られるけど、上手く反応出来なくて複雑な顔されるな……」
「もう少し勉強したら?」
「やっぱり? だよなぁー……でも俺興味ないことって極端に覚え悪いんだよなぁ」
「大事な彼氏のことでしょ?」
「……それはそうだけど」
彼氏のことには興味はあるけれど、彼氏の趣味にはそこまで興味は出ない。
「こうやってお土産選んでるとつくづく思うよ、僕ってみんなのことなーんにも知らないんだなって。みぃくんが選んだ、お兄ちゃんも仲良くしてるみんなだ、僕も仲良くしたいのに」
話がすぐに仕事が忙しいことへの愚痴になってしまうな。まぁ仕方のないことだけれど。
「リュウくんやシュカくん……最初にみんなの集まりに行った時から居る子でも、何が好きかよく知らない。新しい子なんてもっと知らない……もっと集まってみんなと話したいけど、貴重な休みくらいはってみぃくんを独占したくなる。ワガママだね、僕」
「そんなことない、カミアは心配になるくらいワガママ言ってない子だよ」
「……そうかなぁ」
「人を喜ばせることばっかり考えてる、最高のいい子だよ。今だってそうだ、二人きりなんだから俺だけ見てればいいのに他の子に何渡せば喜ぶかばっかり考えてる」
「…………みぃくん、寂しかった?」
「え、あぁ……文句言ったつもりじゃないんだけど、まぁ、少し」
こんな人の多いところではイチャつけないし、会話も気を付けなければならないから、俺だけ──なんて願ったって大したことは出来ない。でも、そんな事実で触れ合いたい思いを消せる訳もない。
「…………なぁ、ハルならさ、使い勝手のいいメイクポーチ選ぶより、カミアがいいなって思ったヤツ選んで動画でも撮って送った方が喜ぶと思うぞ」
「へっ? あー……そっか、なるほど。ハルくん僕のこと大好きだもんね☆ ふふ、流出厳禁友達限定特別動画、撮っちゃおっかな~?」
「リュウは正直俺もよく分からん、物に喜ぶイメージはイマイチ……シュカは食い物やっとけば喜ぶよ。後は……」
うんうんと頷きながら熱心に聞いてくれるカミアに大切な彼氏達について話すのは楽しくて、二人きりの時間を堪能出来ているとは言い難いのにとても満たされた気分になった。
お土産を色々買って、店を出た。俺は大荷物になることを見越して大きめの鞄を持って来たからいいが、カミアは複数の袋を腕にぶら下げている。
「いっぱい買っちゃったね。みぃくんお金大丈夫?」
「あぁ、バイトしてるし」
宝くじの当選金、まだまだ残ってるし。
「もうすぐお別れかぁ、やだな……ねぇみぃくん、最後に、あっ、ごめん、電話かかってきた……」
「荷物持つよ」
「ありがとう…………もしもし?」
荷物を受け取り、カミアと共に通行人の邪魔にならないよう端に寄る。
「うん、今からそっちに行こうと……え? うん、週刊誌に……えっ嘘、えー……そんな……」
週刊誌と聞こえたが、一体何があったんだ? 週刊誌って友情・努力・勝利のアレじゃなく、芸能人のプライベートを色々晒しまくるアレだよな? まさか俺との関係がすっぱ抜かれたとか?
「じゃあ今日は……うん、うん…………分かった。うんっ、ありがとうお母さん。じゃあ、うん……お疲れ様でーす」
電話を切ったカミアはにっこり笑って俺を見上げた。
「みぃくんっ、明日のお仕事なくなった! 今日夜まで遊べるし、なんなら、その……お泊まりも出来るけど、みぃくん明日の用事は……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、何があったのか先に話してくれ。週刊誌って? お前何か書かれたのか?」
「……ふふっ、僕じゃないよぉ。心配そうな顔してると思ったら、そんなこと考えてたんだ。書かれちゃったのは共演の……ちょっと、大物の人。割とヤバいこと書かれたから、もう撮った分もお蔵で……そんなだから明日撮る予定のもボツ」
「代理立てたりするものじゃないのか?」
「普通ならね。でも、企画的にその人ありきでさ……とにかく明日のお仕事はナシ! 午後には撮影あるから明日も遊ぶっていうのは無理だけど、今日夜までここ居てお泊まりとかは出来るから……ねぇみぃくん一緒にどっか泊まろうよぉ、明日用事あったりする?」
「ないよ。明日まで一緒に遊ぼうか」
「……! やったぁ! ありがとうみぃくん、パレードまで時間あるからアトラクションで遊ぼっ、まだ乗りたいのあったんだぁ。行こ行こっ☆」
両手に荷物を抱えたまま、カミアを追ってショップが並んだ通りから離れた。
「ハルくんにはメイクポーチとかいいかなって思ったんだけど、サイズとか容量とか合わないと使いにくいよね……みぃくん、ハルくんが今持ってるヤツどんなのか分かる?」
「メイクポーチ? あー、アレかな……このくらいの、分厚い……ヤツ?」
「これ、どうかな? サイズ似てる?」
「似てると思う……あんま自信ない」
「メイクに関心のない男は呆れられちゃうよ? こないだ共演した女優さんが言ってた」
「マジ? 確かに……メイクとかファッションの話たまに振られるけど、上手く反応出来なくて複雑な顔されるな……」
「もう少し勉強したら?」
「やっぱり? だよなぁー……でも俺興味ないことって極端に覚え悪いんだよなぁ」
「大事な彼氏のことでしょ?」
「……それはそうだけど」
彼氏のことには興味はあるけれど、彼氏の趣味にはそこまで興味は出ない。
「こうやってお土産選んでるとつくづく思うよ、僕ってみんなのことなーんにも知らないんだなって。みぃくんが選んだ、お兄ちゃんも仲良くしてるみんなだ、僕も仲良くしたいのに」
話がすぐに仕事が忙しいことへの愚痴になってしまうな。まぁ仕方のないことだけれど。
「リュウくんやシュカくん……最初にみんなの集まりに行った時から居る子でも、何が好きかよく知らない。新しい子なんてもっと知らない……もっと集まってみんなと話したいけど、貴重な休みくらいはってみぃくんを独占したくなる。ワガママだね、僕」
「そんなことない、カミアは心配になるくらいワガママ言ってない子だよ」
「……そうかなぁ」
「人を喜ばせることばっかり考えてる、最高のいい子だよ。今だってそうだ、二人きりなんだから俺だけ見てればいいのに他の子に何渡せば喜ぶかばっかり考えてる」
「…………みぃくん、寂しかった?」
「え、あぁ……文句言ったつもりじゃないんだけど、まぁ、少し」
こんな人の多いところではイチャつけないし、会話も気を付けなければならないから、俺だけ──なんて願ったって大したことは出来ない。でも、そんな事実で触れ合いたい思いを消せる訳もない。
「…………なぁ、ハルならさ、使い勝手のいいメイクポーチ選ぶより、カミアがいいなって思ったヤツ選んで動画でも撮って送った方が喜ぶと思うぞ」
「へっ? あー……そっか、なるほど。ハルくん僕のこと大好きだもんね☆ ふふ、流出厳禁友達限定特別動画、撮っちゃおっかな~?」
「リュウは正直俺もよく分からん、物に喜ぶイメージはイマイチ……シュカは食い物やっとけば喜ぶよ。後は……」
うんうんと頷きながら熱心に聞いてくれるカミアに大切な彼氏達について話すのは楽しくて、二人きりの時間を堪能出来ているとは言い難いのにとても満たされた気分になった。
お土産を色々買って、店を出た。俺は大荷物になることを見越して大きめの鞄を持って来たからいいが、カミアは複数の袋を腕にぶら下げている。
「いっぱい買っちゃったね。みぃくんお金大丈夫?」
「あぁ、バイトしてるし」
宝くじの当選金、まだまだ残ってるし。
「もうすぐお別れかぁ、やだな……ねぇみぃくん、最後に、あっ、ごめん、電話かかってきた……」
「荷物持つよ」
「ありがとう…………もしもし?」
荷物を受け取り、カミアと共に通行人の邪魔にならないよう端に寄る。
「うん、今からそっちに行こうと……え? うん、週刊誌に……えっ嘘、えー……そんな……」
週刊誌と聞こえたが、一体何があったんだ? 週刊誌って友情・努力・勝利のアレじゃなく、芸能人のプライベートを色々晒しまくるアレだよな? まさか俺との関係がすっぱ抜かれたとか?
「じゃあ今日は……うん、うん…………分かった。うんっ、ありがとうお母さん。じゃあ、うん……お疲れ様でーす」
電話を切ったカミアはにっこり笑って俺を見上げた。
「みぃくんっ、明日のお仕事なくなった! 今日夜まで遊べるし、なんなら、その……お泊まりも出来るけど、みぃくん明日の用事は……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、何があったのか先に話してくれ。週刊誌って? お前何か書かれたのか?」
「……ふふっ、僕じゃないよぉ。心配そうな顔してると思ったら、そんなこと考えてたんだ。書かれちゃったのは共演の……ちょっと、大物の人。割とヤバいこと書かれたから、もう撮った分もお蔵で……そんなだから明日撮る予定のもボツ」
「代理立てたりするものじゃないのか?」
「普通ならね。でも、企画的にその人ありきでさ……とにかく明日のお仕事はナシ! 午後には撮影あるから明日も遊ぶっていうのは無理だけど、今日夜までここ居てお泊まりとかは出来るから……ねぇみぃくん一緒にどっか泊まろうよぉ、明日用事あったりする?」
「ないよ。明日まで一緒に遊ぼうか」
「……! やったぁ! ありがとうみぃくん、パレードまで時間あるからアトラクションで遊ぼっ、まだ乗りたいのあったんだぁ。行こ行こっ☆」
両手に荷物を抱えたまま、カミアを追ってショップが並んだ通りから離れた。
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