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アイドルとお土産選び (〃)
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歩き方がブサイク、小股過ぎてみっともない、そんなふうに母に言われたことがある。けれど超絶美形の顔に似合う歩き方へと改善していったはずだ、歩くのが遅いなんてことはありえない。
「こっちこっち」
だから、カミアが俺の手を掴んで引っ張りがちなのは俺が悪い訳じゃない。カミアの癖なのだろう、可愛いし、させてやろう。
「みぃくんクッキー買いたいんだっけ?」
「お土産の定番だろ? 缶可愛いし……こういう缶集めちゃうんだよなぁ俺」
「みぃくんそういうタイプなんだ」
「意外かな?」
「んー、どっちでもないかな、どっちのイメージもなかったし」
クッキー缶はどれも可愛らしいウサギが描かれたものだ、コレクター魂が疼いて全種類買って帰りたくなってしまうが、流石に多過ぎる。配り切れない。
「ずっとあるヤツはまた今度来た時に買えばいいし、期間限定の優先しようかな。カミア、どれがそうか分かるか?」
「もちろん☆ っていうか書いてるよ」
「……ほんとだ」
スーパーのそれと比べると小さな買い物カゴを手に取り、この夏限定のクッキー缶を入れていく。
「限定はこの三つだけか?」
「そうみたい」
「じゃあ後は全部恒常か……結構多いな、各アトラクションにつき一つずつある感じなのか?」
「みぃくん勘いいねぇ。だいたいそうだよ」
「……これイイな」
チェーンソーを持ちサメに跨っているウサギが描かれた缶を持ち上げる。恒常品のようだが、柄が好きだ。
「これは買いだな」
「クッキー以外のお菓子はいいの?」
「クッキー以外は箱とか袋ばっかだろ? 缶みたいに残るヤツがいいなって」
「そっかぁ。僕も限定のは買おうかな、いつもあるのは全部揃ってるし……あっ、シャツとかも見なきゃ」
「服か、俺も見に行く。ちょっと待っててくれ」
「はーい」
一応クッキー以外のお菓子も一通り見てみたが、あのサメ缶ほど惹かれるものはなかったので、カミアと共に服売り場の方へ移った。
「肌触りいいしパジャマにちょうどいいんだよね」
「へぇ……部屋着こういうのなのか」
どれもウサギが描かれている。子供っぽく可愛らしい部屋着を着ているカミアを妄想し、口元を歪める。
「カンナにあげたら喜ぶかな?」
「あっ、いいな。僕もお兄ちゃんにどれか……お兄ちゃんに似合うの…………これにしよっ☆」
カミアはフードにウサギの耳が付いたものを選んだ。男子高校生には可愛過ぎる気もするが、カンナは以前クマ耳付きの部屋着を着ていたから、趣味には合っているだろう。流石双子。
「俺はこれにしとこうかな」
カミアが部屋着を送るなら、俺は外出も出来そうな服にしよう。白に黒色でカボチャのランタンを持ったウサギが描かれたものだ、他のシャツよりもウサギがリアルタッチでクールな印象を受ける。
「カッコイイ系だね。他の子にも服あげるの?」
「んー……みんなこういうキャラもの恥ずかしがりそうなんだよなぁ」
「ハルちゃんは?」
「ハルはファッションにうるさいからな……下手に服贈るのはちょっと。あっ、これ……アキ好きかも」
「骨のヤツ?」
ウサギが人骨でパズルをしている柄だ。場所は墓か? ポップな絵柄では隠し切れない倫理観の緩さ……アキが好きそうだ。
「アキ、ドクロ好きなんだよ。部屋中ドクロまみれ」
「へぇー……ハロウサ好きになってくれるかなぁ」
「どうだろ、リアルなヤツのが好きだと思うけど、こういう不謹慎な感じはいいと思うんだよな。十字架燃えてるのとか好きだし」
「なるほど。僕もちょっと探してみようかな、みぃくんの弟とは特に仲良くしたいし」
妙にやる気が出ているな。
(アキきゅんの趣味は一言で言うと厨二臭ぇヤツ、ですよな。まぁそういうお年頃ではありますが共感性羞恥がやばいので早めに卒業して欲しいでそ)
ネザメとミフユへのお土産はどうしよう。食品も服も彼らには値段が合わない、ネザメはともかくミフユに却下される。
「なぁカミア、なんか高いもんないか?」
「高いの? んー……ハロウサフィギュアとか? 五万だってさ」
「そういう高いじゃなくて、品質ごと高いもの……ネザメさんに何かあげる時はミフユさんのチェックが入るんだよ、服でも食べ物でも。安物だと受け取ってもらえないかもしれない」
「肌に触れたり身体に入れたりしないものでもダメ?」
「…………いや、そういえばフタさんがゲーセンで取ってきたぬいぐるみは受け取ってた。飾る物なら判定は緩い……のかな」
「あぁ、あったねぇ。お兄さんに怒られてたやつだよね。大人になっても一緒に居る兄弟っていいねぇ」
ヒトはすぐ暴力に訴えるから、一緒に居るのがいいことだとはあまり思えないけれど、とりあえず頷いておいた。
「みんなに何あげるか考えるのって楽しくていいねぇ。僕ももっとやりたいなぁ……渡すのとかみぃくんに任せちゃうことになるけど、もっとみんなへのお土産買ってもいいかな? みぃくんちゃんと渡してくれる?」
「あぁ、いいけど、俺クッキーで済ませるつもりだぞ? クッキーダメそうなネザメさん達のと、遊園地来たがってたアキには別途用意しようかなってだけで」
「えー、手抜き~。じゃあその分僕がいっぱい買っちゃおっ☆」
「…………手抜きかなぁ」
よく知らない遊園地の、俺と同い歳から歳上の男達には可愛過ぎるグッズを渡すよりも、食べて楽しめるクッキーの方が喜んでもらえると思ったのだが、手抜きと思われるのなら考え直した方がいいかもしれない。
「……カミア、何買うつもりなんだ?」
商品を見ながら考えるか。
「こっちこっち」
だから、カミアが俺の手を掴んで引っ張りがちなのは俺が悪い訳じゃない。カミアの癖なのだろう、可愛いし、させてやろう。
「みぃくんクッキー買いたいんだっけ?」
「お土産の定番だろ? 缶可愛いし……こういう缶集めちゃうんだよなぁ俺」
「みぃくんそういうタイプなんだ」
「意外かな?」
「んー、どっちでもないかな、どっちのイメージもなかったし」
クッキー缶はどれも可愛らしいウサギが描かれたものだ、コレクター魂が疼いて全種類買って帰りたくなってしまうが、流石に多過ぎる。配り切れない。
「ずっとあるヤツはまた今度来た時に買えばいいし、期間限定の優先しようかな。カミア、どれがそうか分かるか?」
「もちろん☆ っていうか書いてるよ」
「……ほんとだ」
スーパーのそれと比べると小さな買い物カゴを手に取り、この夏限定のクッキー缶を入れていく。
「限定はこの三つだけか?」
「そうみたい」
「じゃあ後は全部恒常か……結構多いな、各アトラクションにつき一つずつある感じなのか?」
「みぃくん勘いいねぇ。だいたいそうだよ」
「……これイイな」
チェーンソーを持ちサメに跨っているウサギが描かれた缶を持ち上げる。恒常品のようだが、柄が好きだ。
「これは買いだな」
「クッキー以外のお菓子はいいの?」
「クッキー以外は箱とか袋ばっかだろ? 缶みたいに残るヤツがいいなって」
「そっかぁ。僕も限定のは買おうかな、いつもあるのは全部揃ってるし……あっ、シャツとかも見なきゃ」
「服か、俺も見に行く。ちょっと待っててくれ」
「はーい」
一応クッキー以外のお菓子も一通り見てみたが、あのサメ缶ほど惹かれるものはなかったので、カミアと共に服売り場の方へ移った。
「肌触りいいしパジャマにちょうどいいんだよね」
「へぇ……部屋着こういうのなのか」
どれもウサギが描かれている。子供っぽく可愛らしい部屋着を着ているカミアを妄想し、口元を歪める。
「カンナにあげたら喜ぶかな?」
「あっ、いいな。僕もお兄ちゃんにどれか……お兄ちゃんに似合うの…………これにしよっ☆」
カミアはフードにウサギの耳が付いたものを選んだ。男子高校生には可愛過ぎる気もするが、カンナは以前クマ耳付きの部屋着を着ていたから、趣味には合っているだろう。流石双子。
「俺はこれにしとこうかな」
カミアが部屋着を送るなら、俺は外出も出来そうな服にしよう。白に黒色でカボチャのランタンを持ったウサギが描かれたものだ、他のシャツよりもウサギがリアルタッチでクールな印象を受ける。
「カッコイイ系だね。他の子にも服あげるの?」
「んー……みんなこういうキャラもの恥ずかしがりそうなんだよなぁ」
「ハルちゃんは?」
「ハルはファッションにうるさいからな……下手に服贈るのはちょっと。あっ、これ……アキ好きかも」
「骨のヤツ?」
ウサギが人骨でパズルをしている柄だ。場所は墓か? ポップな絵柄では隠し切れない倫理観の緩さ……アキが好きそうだ。
「アキ、ドクロ好きなんだよ。部屋中ドクロまみれ」
「へぇー……ハロウサ好きになってくれるかなぁ」
「どうだろ、リアルなヤツのが好きだと思うけど、こういう不謹慎な感じはいいと思うんだよな。十字架燃えてるのとか好きだし」
「なるほど。僕もちょっと探してみようかな、みぃくんの弟とは特に仲良くしたいし」
妙にやる気が出ているな。
(アキきゅんの趣味は一言で言うと厨二臭ぇヤツ、ですよな。まぁそういうお年頃ではありますが共感性羞恥がやばいので早めに卒業して欲しいでそ)
ネザメとミフユへのお土産はどうしよう。食品も服も彼らには値段が合わない、ネザメはともかくミフユに却下される。
「なぁカミア、なんか高いもんないか?」
「高いの? んー……ハロウサフィギュアとか? 五万だってさ」
「そういう高いじゃなくて、品質ごと高いもの……ネザメさんに何かあげる時はミフユさんのチェックが入るんだよ、服でも食べ物でも。安物だと受け取ってもらえないかもしれない」
「肌に触れたり身体に入れたりしないものでもダメ?」
「…………いや、そういえばフタさんがゲーセンで取ってきたぬいぐるみは受け取ってた。飾る物なら判定は緩い……のかな」
「あぁ、あったねぇ。お兄さんに怒られてたやつだよね。大人になっても一緒に居る兄弟っていいねぇ」
ヒトはすぐ暴力に訴えるから、一緒に居るのがいいことだとはあまり思えないけれど、とりあえず頷いておいた。
「みんなに何あげるか考えるのって楽しくていいねぇ。僕ももっとやりたいなぁ……渡すのとかみぃくんに任せちゃうことになるけど、もっとみんなへのお土産買ってもいいかな? みぃくんちゃんと渡してくれる?」
「あぁ、いいけど、俺クッキーで済ませるつもりだぞ? クッキーダメそうなネザメさん達のと、遊園地来たがってたアキには別途用意しようかなってだけで」
「えー、手抜き~。じゃあその分僕がいっぱい買っちゃおっ☆」
「…………手抜きかなぁ」
よく知らない遊園地の、俺と同い歳から歳上の男達には可愛過ぎるグッズを渡すよりも、食べて楽しめるクッキーの方が喜んでもらえると思ったのだが、手抜きと思われるのなら考え直した方がいいかもしれない。
「……カミア、何買うつもりなんだ?」
商品を見ながら考えるか。
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