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不慣れな耳責め (〃)
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俺の隣に膝立ちになったサキヒコは俺の首に腕を回し、耳に唇を近付けている。この触れるか触れないかの距離が心地いい……息かからないな、息してないのか? そういや死んでたなこの子。
「何を言えばいいんだ?」
「これ参考にして」
「ん……? 全年齢向け耳責めぼいす? 何が何だかよく分からんが、ここに書かれているものを参考にすればいいんだな、分かった、がんばる」
サキヒコに渡したスマホに表示されているのは、性的で未成年には相応しくない言葉、所謂モロ語を一切使わず、何故かえっちに聞こえるだけの普通のセリフを囁いてくれる……俺がたまにお世話になっているASMR動画のコメント欄にあるセリフ一覧だ。貞淑なサキヒコは直接的な言葉を口にするのを嫌がるだろう、だからこそ全年齢向けを選ばせてもらった。
「あ、俺の名前は頻繁に呼んでね」
「分かった。では、行くぞ……」
「あとたまにふーって息かけて」
「分かった。もう要望はないな? 行くぞ……ミ、ミツキ……」
少し硬いが、その不慣れ感もまたイイ。俺以外に聞かせる気のない囁き声というのはいいものだ。
「大きくなったな、立派だぞ」
プールサイドに手をかけて、顔の上半分を覗かせている荒凪の視線は俺の股間に注がれている。ズボンと下着を膝まで下ろし、陰茎も陰嚢も晒しているのにはやはり羞恥心がつきまとう。
「すごいぞ、ミツキ。とっても立派だ。熱くはないか? 自分のペースでいいんだぞ」
サキヒコの声から緊張が抜けてきた。色気は足りないが、それがまたイイ。色気を出せない子が無理に色っぽく振る舞おうとしているところからしか取れない栄養がある。
「んっ……」
興奮が高まれば自然と陰茎を扱く手も早まる。
「キツくはないか? 緩めなくて大丈夫か? 言ってくれていいんだぞ、あなたの好きなようにするからな」
普段は呼吸をしていないくせに、彼が声を発する度に優しい息が耳にかかる。気持ちいい。吐息に生気がなく冷たいのも逆にイイ、ゾクゾクする。
「ぁ……」
「美味しそうだな。私が舐めても構わないか? それとも思い切って齧ってみようか。ミツキはどっちがいいと思う?」
「……っ、噛んで。耳噛んで、サキヒコくん、かぷってやって……! お願い」
「えっ、か、噛むのか? 分かった……痛かったらすぐに言うんだぞっ」
かぷ、と弱く耳を噛まれた。耳の端が口内に入ったはずなのに、冷たい。サキヒコの身体にはどこにも温度がない。
「ひぁっ……!?」
冷たさも相俟って、自ら望んだはずの甘噛みに情けない声を上げた。
「……! すまない、痛かったか?」
「きもちよかった……」
「そうか、よかった。では続けるぞ……ミツキ、気持ちよくなれているか? して欲しいことがあったらどんどん言っていいんだぞ」
ちゅ、と耳の縁に唇が触れた。そういえばあのセリフ一覧には(ここでキス音)とか書いてあったような、それを再現しただけか……もっとアドリブで色々やって欲しいけれど、控えめなサキヒコに今それを求めるのは酷かな。
「はぁーっ……最高、サキヒコくん、もっと……続けて」
「……! ふふ、まさかこんなことでミツキを喜ばせられるとはな……これくらいでいいならいつでも言っていいんだぞ、ミツキ」
「耳舐めて……」
「今度は舐めるのか? 分かった、話せなくなるぞ」
冷たく濡れた弾力のある柔らかいものが耳の縁をなぞる。一切の熱を持たない舌の感触なんて初めてだ。ゾクゾクする。背骨の形を理解させられるようなこの寒気、新感覚だ……!
「はぁ……やば、すごい」
冷たい舌が耳の中に入ってくる。遠慮がちな舌遣いにサキヒコらしさを感じる。耳の奥に垂れていく唾液も冷たく、存在感が大きい。ぐちゅぐちゅと鳴る水音が脳を揺らす。
「……っ、ふ……くっ、もう、イく、出る、出るっ……! はっ、ぁ…………よかったぁ、ありがとう……すごく気持ちよかったよ、サキヒコくん」
精液を受け止めた手の不快な生温かさにサキヒコとの隔たりを感じる。サキヒコに舐めてもらった耳はまだ冷たい、首を少し動かすだけで濡れた耳は空気に触れ心地いい寒気を感じる。
「……水月」
「ごめん荒凪くんちょっと待ってて。そこで手洗ってくる」
膝に引っかけてあったズボンと下着を脱いでしまい、下半身裸のままプール脇のシャワーブースで手と股間周りを軽く流す。
「ただいま」
羞恥心と肌寒さからバスタオルを腰に巻いてサキヒコと荒凪の元に戻った。
「水月……」
「荒凪くん、どうかな……俺が今やったこと荒凪くんにもやって欲しいんだけど、出来そうかな? 今俺が出した白いヤツ、アレの検査もしてもらわなきゃなんだ」
「…………うん、やる」
「よかった……荒凪くんのは俺と少し形違うよね、やり方分かる? 俺分かるから、よければ俺にさせて欲しいんだけど……どうかな」
荒凪は小さく頷いてプールサイドに這い上がり、仰向けになった。丸見えのスリットに自然と視線が向く。俺の視線に気付いた荒凪は上体を起こし、手を大きく広げてスリットを隠した。指と指の間に張られた薄い膜、水掻きの向こうにあると思うと俺の視線にもより熱が入る。
「……さきひこ」
「なんだ?」
「僕達……服、着たい……」
「……真尋殿や母君に相談してみよう」
「俺にも相談してよ、どんどんアイディア出すし一緒にショッピング行くし手芸が趣味だよ俺!」
人魚と言えば貝殻水着? アラビアンな透け布衣装も合いそうだ。男の人魚だから腰に布を緩く巻くだけなんてのもワイルドかもな、いや、荒凪の顔立ちと髪型はワイルド系が似合うタイプじゃないか。
「悩むなぁ……」
水中でふんわりと広がる、ウエディングドレスのような大き過ぎるスカート風の衣装もいいな。大きなスカートは荒凪の長い下半身にも合うだろう。問題は地上に上がった時には映えないという点だ。
「髪が黒で、鱗が白っぽいから、生地の色は……ぁー、こういう色系はハルに意見もらった方がいいかも……」
悩む俺をサキヒコと荒凪は何故か冷たい眼差しで眺めていた。
「何を言えばいいんだ?」
「これ参考にして」
「ん……? 全年齢向け耳責めぼいす? 何が何だかよく分からんが、ここに書かれているものを参考にすればいいんだな、分かった、がんばる」
サキヒコに渡したスマホに表示されているのは、性的で未成年には相応しくない言葉、所謂モロ語を一切使わず、何故かえっちに聞こえるだけの普通のセリフを囁いてくれる……俺がたまにお世話になっているASMR動画のコメント欄にあるセリフ一覧だ。貞淑なサキヒコは直接的な言葉を口にするのを嫌がるだろう、だからこそ全年齢向けを選ばせてもらった。
「あ、俺の名前は頻繁に呼んでね」
「分かった。では、行くぞ……」
「あとたまにふーって息かけて」
「分かった。もう要望はないな? 行くぞ……ミ、ミツキ……」
少し硬いが、その不慣れ感もまたイイ。俺以外に聞かせる気のない囁き声というのはいいものだ。
「大きくなったな、立派だぞ」
プールサイドに手をかけて、顔の上半分を覗かせている荒凪の視線は俺の股間に注がれている。ズボンと下着を膝まで下ろし、陰茎も陰嚢も晒しているのにはやはり羞恥心がつきまとう。
「すごいぞ、ミツキ。とっても立派だ。熱くはないか? 自分のペースでいいんだぞ」
サキヒコの声から緊張が抜けてきた。色気は足りないが、それがまたイイ。色気を出せない子が無理に色っぽく振る舞おうとしているところからしか取れない栄養がある。
「んっ……」
興奮が高まれば自然と陰茎を扱く手も早まる。
「キツくはないか? 緩めなくて大丈夫か? 言ってくれていいんだぞ、あなたの好きなようにするからな」
普段は呼吸をしていないくせに、彼が声を発する度に優しい息が耳にかかる。気持ちいい。吐息に生気がなく冷たいのも逆にイイ、ゾクゾクする。
「ぁ……」
「美味しそうだな。私が舐めても構わないか? それとも思い切って齧ってみようか。ミツキはどっちがいいと思う?」
「……っ、噛んで。耳噛んで、サキヒコくん、かぷってやって……! お願い」
「えっ、か、噛むのか? 分かった……痛かったらすぐに言うんだぞっ」
かぷ、と弱く耳を噛まれた。耳の端が口内に入ったはずなのに、冷たい。サキヒコの身体にはどこにも温度がない。
「ひぁっ……!?」
冷たさも相俟って、自ら望んだはずの甘噛みに情けない声を上げた。
「……! すまない、痛かったか?」
「きもちよかった……」
「そうか、よかった。では続けるぞ……ミツキ、気持ちよくなれているか? して欲しいことがあったらどんどん言っていいんだぞ」
ちゅ、と耳の縁に唇が触れた。そういえばあのセリフ一覧には(ここでキス音)とか書いてあったような、それを再現しただけか……もっとアドリブで色々やって欲しいけれど、控えめなサキヒコに今それを求めるのは酷かな。
「はぁーっ……最高、サキヒコくん、もっと……続けて」
「……! ふふ、まさかこんなことでミツキを喜ばせられるとはな……これくらいでいいならいつでも言っていいんだぞ、ミツキ」
「耳舐めて……」
「今度は舐めるのか? 分かった、話せなくなるぞ」
冷たく濡れた弾力のある柔らかいものが耳の縁をなぞる。一切の熱を持たない舌の感触なんて初めてだ。ゾクゾクする。背骨の形を理解させられるようなこの寒気、新感覚だ……!
「はぁ……やば、すごい」
冷たい舌が耳の中に入ってくる。遠慮がちな舌遣いにサキヒコらしさを感じる。耳の奥に垂れていく唾液も冷たく、存在感が大きい。ぐちゅぐちゅと鳴る水音が脳を揺らす。
「……っ、ふ……くっ、もう、イく、出る、出るっ……! はっ、ぁ…………よかったぁ、ありがとう……すごく気持ちよかったよ、サキヒコくん」
精液を受け止めた手の不快な生温かさにサキヒコとの隔たりを感じる。サキヒコに舐めてもらった耳はまだ冷たい、首を少し動かすだけで濡れた耳は空気に触れ心地いい寒気を感じる。
「……水月」
「ごめん荒凪くんちょっと待ってて。そこで手洗ってくる」
膝に引っかけてあったズボンと下着を脱いでしまい、下半身裸のままプール脇のシャワーブースで手と股間周りを軽く流す。
「ただいま」
羞恥心と肌寒さからバスタオルを腰に巻いてサキヒコと荒凪の元に戻った。
「水月……」
「荒凪くん、どうかな……俺が今やったこと荒凪くんにもやって欲しいんだけど、出来そうかな? 今俺が出した白いヤツ、アレの検査もしてもらわなきゃなんだ」
「…………うん、やる」
「よかった……荒凪くんのは俺と少し形違うよね、やり方分かる? 俺分かるから、よければ俺にさせて欲しいんだけど……どうかな」
荒凪は小さく頷いてプールサイドに這い上がり、仰向けになった。丸見えのスリットに自然と視線が向く。俺の視線に気付いた荒凪は上体を起こし、手を大きく広げてスリットを隠した。指と指の間に張られた薄い膜、水掻きの向こうにあると思うと俺の視線にもより熱が入る。
「……さきひこ」
「なんだ?」
「僕達……服、着たい……」
「……真尋殿や母君に相談してみよう」
「俺にも相談してよ、どんどんアイディア出すし一緒にショッピング行くし手芸が趣味だよ俺!」
人魚と言えば貝殻水着? アラビアンな透け布衣装も合いそうだ。男の人魚だから腰に布を緩く巻くだけなんてのもワイルドかもな、いや、荒凪の顔立ちと髪型はワイルド系が似合うタイプじゃないか。
「悩むなぁ……」
水中でふんわりと広がる、ウエディングドレスのような大き過ぎるスカート風の衣装もいいな。大きなスカートは荒凪の長い下半身にも合うだろう。問題は地上に上がった時には映えないという点だ。
「髪が黒で、鱗が白っぽいから、生地の色は……ぁー、こういう色系はハルに意見もらった方がいいかも……」
悩む俺をサキヒコと荒凪は何故か冷たい眼差しで眺めていた。
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