冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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話したい理由なんて (水月+歌見・荒凪・サン・セイカ・ハル・シュカ・リュウ)

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セイカとハルが漫画の話題で盛り上がる中、早口長文で参加したくなる気持ちを抑えきれない俺は、歌見にメッセージで長文の語りをぶちまけた。語り欲は何とか発散出来ている、ハルに俺のオタク度を知られることはないだろう。

「別に古いのから読んでるって訳じゃないんだもんね~、どれどこまで読んでるか分かんなくてネタバレ配慮難しいんですけど~」

「え、じゃあ……巻数言う?」

「巻数じゃ分かんない、誰倒したとか誰死んだとかでお願~い」

「それじゃ二回戦うヤツとか、死亡偽装系のヤツ分かんなくないか?」

黙っていても不自然なので、時々軽く口を挟む。

「あ、確かに。ネタバレされたくなきゃ詳しく状況言って~、ちゃんと俺にどこまで読んでるか教えてね~?」

「うん……鳴雷もだけど、霞染も話相手に飢えてるんだな。俺と話したいほど漫画の話出来るヤツって少ないのか?」

「…………なんかさぁ、せーかって自分はアキくんに甘やかされて自己肯定感上がってます~みたいなこと言うけどさぁ、ネガいままだよね~……漫画の話したいってのもそりゃあるけど~、似た熱量の話相手SNSとかで探せば一瞬でいっぱい見つかるしぃ~……解釈違い~とかギャーギャー言い出した時にブロ解で終わるから、リア友と話すより安全安心だし~?」

「う、うん……? 俺と話さなくてもいいってことか? じゃあ、なんで……今」

ネットには相変わらず疎いままのセイカには、SNSの話は難しかったかな? 困惑した顔が愛らしい。

「俺はせーかと話したいから共通の話題探してんの」

「……俺と? なんで」

「なんでとかそんなん知んないしぃ~」

「はぁ……? 知らないって何だよ、お前のことだろ」

「話したい理由とか普通そんな細かく考えないから! も~ごちゃごちゃうっさい、やっぱせーかはツンツンムカつくデカい態度取ってる方がマシ! ネガ発言禁止!」

「ネガ……ネガティブってことか? そんな発言俺してない」

「なんで俺と話したいの? は十分ネガだから~! 俺と話したいヤツなんて居ないし……ウジウジ……が基本になってんでしょ! だからネガ発言!」

「ウ、ウジウジなんかしてない! 事実だろ、俺と話したいなんて……おかしい」

「それがネガウジだっつってんの! あ~もう、みっつん! 全然じゃんせーか! みっつんちゃんとせーか可愛がってる!? 家でずっと無視とかしてない? なんでこんなネガいままなの!」

「ちゃんと愛してるよ!」

「なっ……そ、そんなこと大声で言うなよ鳴雷のバカっ……!」

「自己肯定感高めてくのは難しいんだよ……でもこれはこれで可愛いからよくない?」

「よくな~い!」

だよな。俺も理性だけで考えればその結論に至る、セイカにはもっと生きやすい性格になって欲しい。

「何騒いどるん……」

「あ、りゅー。みんな遅~い」

「急に走り出しておいて。水月はしばらくあの大男と二人にさせてやるんじゃなかったんですか?」

俺に突進してきたハルに置いて行かれていたみんなが追いついてきたらしい。途中夜店に立ち寄ったのか、真新しい飴や綿菓子、クレープを持っている者も居る。

「そのヒトさんがどっか行ったから走ったんだよ」

「まぁそもそも二人じゃなかったけどな。よ、荒凪くん」

「なな!」

「おぅ、ナナだぞ~。急に早足になるからびっくりしたぞ、水月。霞染がヒトさんと二人きりがいいんじゃないかって言い出したから納得したんだけどな。あの人ちょくちょく特別扱いっぽく思わせないと厄介なタイプだろ」

すっかり懐いた荒凪の頭を撫でくり回しながら、歌見は俺を優しい目で見つめる。

「歳食ってるヤツの方が厄介なの多いとは、不思議な話……いや、ガキに手ぇ出してるんだから大人の方が変なヤツばっかりで当然か」

「ボクの話してる?」

「うぉっ、ち、違うよ、サン……そんなつもりは」

「アンタだって飲める歳のくせに~」

「んゔ……顔、いじくるな……」

サンに頬をヅンヅンつつかれ、ぐにぐに引っ張られている。歳も体格も上なサンには逆らいにくいのか歌見はされるがままだ、抵抗しないのをいいことにサンは両手で歌見の顔や髪を弄び始める。

「サン、その辺で……」

「え~?」

「サンちゃんっ、花火の場所取りしよ」

諌められず俺が困っているのに気付いたらしいハルが気を回してくれた。

「花火かぁ、ボクどうせ見えないしなぁ」

「だからこそじゃん。しっかり音と熱感じられそうなとこ行かないと、サンちゃんが欲しがってる……インスピレーション? 手に入んないって」

「確かに……どの辺がいいかな?」

「ナイアガラ式の花火二本だから、間入っちゃお! 超~いい景色だよ絶対! 危ないから禁止っぽいけどぉ……サンちゃん元組の人なんだしイケるっしょ、聞いてみよっ」

「うん、連れてって」

ハルと腕を組み、サンは花火の準備をしている組員の元へ向かった。

「ふぅ、助かった。ホント歳上連中は厄介なのが多いよ」

「サンすごく耳いいですよ」

「……!?」

歌見は慌てた様子で振り返る。彼の視線を追うとハルと談笑しながら楽しげに歩くサンの背中があった。

「セーフ……」

「ふふっ、陰口は控えた方がいいんじゃないですかぁ?」

「今度から気を付けるよ。それより水月、ちょっと」

「はい……?」

手招きをされ、荒凪をミタマに託して歌見に着いていく。彼氏達から少し離れた場所で、歌見は荒凪を気にしつつ口を開いた。

「……荒凪くんのこと、みんなに言っておいたぞ」

「……?」

「弟とか家族とかの話するなってことだ、お前がタイミング掴めてなさそうだったからな」

「あっ……」

「ってのは後付けで、お前が荒凪くん連れてった時にサンと兄弟してたことに気付いてな……うっかりしてた。悪かったよ、大丈夫だったか?」

「はい、あの時は焼き鳥に夢中だったみたいで、何とか」

「そうか、よかった。今後も気を張っとくよ。アキくんとかサンとか、にーにだの兄貴だの呼んでるけどそれはいいのか?」

「弟には反応するんですけど兄には反応鈍いんですよね、念の為あんまり聞かせたくはありませんけど……まぁ、大丈夫だと思います」

「そうか。一応サンには控えるよう言っとくよ、アキくんはまぁ……ほぼロシア語だし、にーになら分かんないだろ荒凪くんも」

「ですな」

「じゃ、戻るか」

歌見と共に彼氏達の元へ戻ると、二人で何をしてきたんだと軽いからかいを受けた。
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