冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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みんな和装 (水月+荒凪・カンナ・ハル・歌見・サキヒコ)

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ハルの提案で彼氏達に連絡を取ってみることにした。祭り不参加はネザメとミフユ、カミアの三人。まぁ、グループチャットで連絡していいだろう。

「ミツキ、一人見つけてきたぞ」

いつの間にか実体化したサキヒコがカンナの手を引いてやってきた。おかっぱ頭とメカクレヘア、長さやパッツン具合は違うものの似たような丸みを帯びた髪型の二人が並んでいるのは何だかおかしい。可愛らしい。

「ありがとうサキヒコくん。カンナ、今朝ぶり。着いてたんだな、見つけられなくてごめん。どこに居たんだ?」

「……ぁ、ちの……自販機、の…………しろ」

よく見えないが、人混みの向こうに自販機があるようだ。その後ろに居たらしい。見つけられる訳がない。

「カンナの浴衣はウサギ柄か、可愛いなぁ」

カンナの浴衣は深い藍色。ストライプ模様に白いウサギ、手毬など愛らしい模様が描かれた子供っぽいものだ。

「カミア……が、選ん……くれ、たの」

「なるほど。流石センスあるよ」

「カミアの……!? マジ可愛いよしぐぅ~……カミアってしぐに選ぶのなんか、ちょっと子供子供した可愛いのが多いよね?」

「カンナの魅力をよく分かってるじゃないか」

「しぐは口元セクシーだから大人っぽい服も似合うと思うんだけどな~……あ、ねぇねぇ見て見てしぐしぐぅ、これみっつんに作ってもらったの!」

ハルはまた彼岸花をモチーフにした簪を自慢し始めた。

「お、返信来た……流石即レスのレイ」

「なんて?」

「えー……家から直に祭り行くってさ。ま、そりゃレイの家からじゃ駅より祭りのが近いもんな。レイとは向こうで合流か……シュカと先輩は駅使うはずなんだけどな、見当たんないし返信もまだだし。カサネたんは来るか来ないかまだよく分かんない……」

カサネはグループチャットにメッセージを送るのを躊躇うタイプに思える。個チャで聞いてやった方がいいだろうか。なんて考えながらスマホを弄っているとカンナに袖を引かれた。

「ん、どうしたカンナ」

「……の、子……誰?」

「あぁ、荒凪くんだよ。母さんの会社の上司の人から、預かってくれって頼まれたんだ。しばらくよろしくな、仲良くしてやってくれ」

「……うん」

カンナは荒凪に自己紹介を始めた。緊張している様子はあるが彼も荒凪を怖がったりする様子はない、やはりリュウだけが……

「よ、水月! もうみんな結構集まってるんだな」

真剣な考え事の真っ最中、肩をポンッと叩かれて何のリアクションも取れず静かに驚き、ただ目を見開いて歌見を見上げる。

「…………」

「……も、もう少しこう、反応しろよ……悪かったな、驚かせて」

「先輩……いやもう、シンプルビックリで……あ! 先輩甚平ですか? いいですねぇ夏って感じで!」

「あぁ、ドンキで買った。せっかくの祭りだし、俺もうサイズ変わらないから季節イベント物買っても毎年使えるかなって」

「セクシー……!」

普段より露出度は下がっているのに、和装というだけで色気が増している気がする。アッシュグレーに染めた髪にも、日焼けした肌にも、和らしさはあまりないけれど、俺は好きだ。

「みんな浴衣か。買ってよかった、浮くとこだったよ。電車内はちょっと恥ずかしかったけどな……」

「分かります、全然祭り行きそうな人居ないんですよね、電車」

「ナナさ~ん! 見て見て、水月が作ってくれた簪~!」

「簪なんか作ったのかお前。へー……結構いい出来だな」

「似合うっ?」

「あぁ、霞染は赤似合うよな」

俺にファッションセンスは皆無だが、同意見だ。歌見の隣でうんうんと頷く。

「ん……? おい、水月お前……この数時間に彼氏増やしてきたのか。そろそろ自重しろ、名前覚えるだけで大変なんだぞ」

「ち、違います違いますまだ違います。この子はですね」

歌見に荒凪について説明する。もちろん今はまだ妖怪だとか人魚だとか、そこまで深い話はせず、他の彼氏達に説明したのと同じく母の上司から預かった子だとだけ話した。

「ふぅん……? 夏休み中ならまだしも、夏休み終わってからなんて変なタイミングだな」

「はは……荒凪くん、この人は歌見、うーたーみ」

「うぁみ……なかま?」

「仲間仲間。歌見、言いにくい?」

「ぅあみ……むつかしい」

「んー……じゃあ、ナナ。ナナは?」

「ななー、ななかんたん」

歌見は女の子っぽいからなんて理由で七夜という名前を嫌っているが、ハルが「ナナさん」と呼んでも抗議はしない。そう呼ばれること自体に嫌悪かはないように感じている。

「なな?」

「あ、あぁ……まぁ、ナナだが。水月、なんかこの子……またアレか? 外国人か?」

「そんな感じです」

「ふぅん……? 足悪いのか?」

「今ちょっと怪我してまして」

「がぶー、された」

荒凪はガーゼを巻いた足を上げ、歌見に怪我を見せた。

「立てないほどとなると結構酷いんだな。祭りがあんまり混むようなら俺が抱えて運んでやるよ」

「すいません先輩、よろしくお願いします。俺セイカならまだ運べるんですけど、荒凪くんはちょっとしんどくて」

「ふぅん……? あんまり変わらないように見えるけどな」

身長はそれほど変わらないが、セイカは痩せているのに対し荒凪は肉付きが良く、セイカが手足の分少し軽いのに対し荒凪は五体満足どころかたまに手が増える。結構体重が違うのだ。

「後は誰が来てないんだ? 天正と……鳥待と? 紅葉達は来ないんだったか、えー……」

「サキヒコくん、シュカ見た?」

「いや……」

「メッセにも返信ないし、まだ移動中かなぁ」

「ん? メッセ送ってきてたのか、気付かなかった……あれ、ヤバい、スマホ忘れた……」

胸元や腰周りをぽふぽふと叩き、歌見は顔を青ざめさせた。
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