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全員の様子を見たい (水月+カサネ・ネザメ・ミフユ・カンナ・カミア・ヒト・アキ・セイカ・リュウ)

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セイカの勘違いかもしれないアキの不機嫌への対処は今しなくてもいいだろう。アキがセイカと組まないのは意外だったが、よくよく思い返してみればアキは呼べば来るし誘えば乗る子だ。そう深く考えなくてもいい気がする。

「せーか、端で寝ぇたいとかある?」

「ぁ……いや、別に」

「そか。ほんなら余ったとこでええかぁ」

シュカはさっさとベッドに付いているカーテンを閉めてしまう。ハルは就寝前の柔軟を始めた。レイは髪をほどいて梳かし、歌見は伸びをするとさっさと寝転がる。サンは髪を踏まないように枕の上へ持ち上げ、フタは見えない何かと戯れている。眠る前の行動も個性豊かで見ていて飽きない。

(アキきゅんの様子も見ておきたいですな、怒ってるとか嫌ったとかはセイカ様の杞憂だといいのですが)

アキはベッドに付いているカーテンを半分閉めた。保湿液を塗り終えたヒトがベッドに寝転がると、アキはすぐにその隣に寝転がってヒトに抱きついた。

「……ふふ、おやすみなさい秋風さん」

「おやすみなさい、です。ひとおにー、ちゃ」

ヒトは心底嬉しそうにアキの頭を撫で、カーテンを引っ張り残り半分を完全に閉めた。もう彼らの様子は伺えない。やっぱりアキが俺以外に「お兄ちゃん」って言ってんのムカつくな、明日やめさせよう。

(ヒトさんホント自分に懐いてくる子供は好きなんですな。なんとなく子供嫌いなイメージありましたが、実年齢や見た目はともかく言動が幼く日本語の拙いアキきゅんを可愛がっているところを見るに子供嫌いではない様子)

じゃあフタのことももう少し可愛がっていてもいいのに……物覚えが悪いからか? アキは日本語を覚える気があんまりないだけで物覚えは悪くないからな。

「じゃあ、おやすみ、みんな」

「我々は私室で眠る。何かあればミフユに電話をかけてこい」

ネザメとミフユが部屋を去る。

「俺ももう行くよ。おやすみ、また明日な」

「おやすみ~☆」

「……ぉや、すみ」

俺達三人も部屋を出た。ネザメに微笑みかけられ、笑顔を返すとネザメは途端に余裕を失い頬を赤らめる。

「お、おやすみ水月くん。それじゃあ……」

「お待ちくださいネザメ様、彼らに部屋を案内せねばなりません。行きがけにあるので一緒に行きましょう。それに、廊下を走ってはいけませんといつも申していますでしょう」

「ミフユ……よく君は平気でいられるね。これから男の子を抱く水月くんの顔……今の彼に微笑みかけられて態度を崩さないなんて無理だよ」

照れたネザメは俺から視線を逸らし続けている。可愛い限りだ。

「だ、抱くって、もぉ……僕はダメだよ。初めてはもっとちゃんと……だし、明日お仕事だから……お兄ちゃんならいいけど」

「……!?」

「本番じゃないと満足出来ないなんてクズ発言するつもりはないよ。楽しもうな」

二人の腰に回した腕の力を強める。抱き寄せられ歩調が乱れた二人は俺にもたれ、戸惑ったようなときめいているような可愛らしい表情で俺を見上げる。

「あの、ミフユさん。ちょっとカサネ先輩の様子見に行ってもいいですか?」

「構わんぞ。だがミフユはここで待っている、あまり好かれていないからな」

苦手に思われているだけだと思うが、そうミフユに言っても「それが好かれていないということだろう」とか言われそうだな。上手い説明の仕方も分からないし、黙っておこう。

「失礼しま~す」

カンナとカミアも待っていると言い出し、ネザメも釣られて留まった。俺は一人でカサネと彼の飼い犬が居るはずの部屋の扉を開いた。

「ん……? なるっ、ぁ……ゃ……水月、くん」

二人きりの時は下の名前で呼ぶという何気ない口約束を覚え、実行してくれている。そのことに表情が緩む。

「寝るとこでしたよね、すいません邪魔しちゃって」

「ゃ……いつも、こんな時間に寝てないから……ね、寝れないからっ、人と一緒に寝るとか無理ってのもあった! 大人しくしてても隣のヤツ起きてたら寝にくいべ……?」

カサネの手にはゲーム機がある。

「そうでしたか」

「み、水月くんも寝れない感じっ? よかったら、一緒にゲーム……」

「ぁー……すいません、これから俺3Pの予定で」

「さんぴー? 何それ」

「えっ? 三人プレイ……」

「三人? へー、奇数とか珍しいべ。なんてゲーム?」

「……いや、セックス……を」

ここまで鈍いウブ相手だと「えっちなことだよ」なんて余裕ぶってからかってみるのもはばかられ、気まずさを噛み殺しながら単語で説明するしかなかった。

「ぁ……そっ、そういえば双子ちゃんとなんかっ、言ってたっけ……ご、ごめん」

「いえ……こっちこそすいません」

「…………そ、それじゃ、今待たせてるの? 早く行ってやれよ……何俺んとこ来てんだよ」

「ぁ……はい。えっと、様子気になって。寂しがったりしてないかな~、なんて……はは……」

カサネはじっと俺を見つめている。

「…………すいません」

「い、いやいやいやっ、嬉しいよっ? き、気ぃ遣ってもらえてるなって」

「あっ、いえ、気ぃ遣ってるとかじゃなくて、本当に純粋に気になっただけで……すいません、寂しがってないかとかは考えてませんでした。ここに来たのは本当になんか、気になっただけなんで、理由なんだろって思って寂しがってないかなーって気になったのかなーって思って言ったけど、今思うとやっぱりさっきそんなこと考えてなくて…………すいません俺今何話してるんですか?」

「いや分かる分かるちゃんと水月くんの思考の流れ理解出来てるから不安にならないで」

歳上の頼りがいを感じる。

「……どっちにしろ、嬉しいのは嬉しいよ。気にかけてくれてるの……うん。で、でも双子ちゃん待たせてるのほんと申し訳ないから早く行ったげて」

「はい……失礼します。おやすみなさい」

「うん、おやすみ水月くん」

少し気まずいまま扉を締め、待ってくれている四人の元へ小走りで戻った。
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