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先輩にコツを聞こう (水月+サン・レイ・カサネ・ネザメ・ミフユ・シュカ・リュウ・ハル)

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カンナとカミアに3Pのお誘いを受けた。浮き足立つ、陰茎も勃つ。

「客間を一つ用意したよ」

食事の後、風呂の前にネザメは俺達に今日眠る場所について教えてくれた。

「普段使わない部屋だから、先日急いで掃除したんだよね」

「ええ」

「今後みんなを招く頻度が上がればいいなぁ、そうしたらあの意味のない部屋に意味が出来るものね」

使っていない部屋や意味の無い部屋、いっぱいあるんだろうなぁ。

「ベッドが六つ、それぞれに厚いカーテンをつけてあるから活用しておくれ。いつもの部屋で寝る僕とミフユ、事前に相談があった小六くん時雨くん水月くんを引いてちょうど十二人だから……二人で一つ使ってもらえれば足りるかな?」

「水月と寝れないんですか?」

「ごめんなシュカ、今日は引いてくれ。多忙で滅多に会えないカミアと一緒に寝られる機会なんてまずないんだよ」

「……小六さん優先は当然のことですよね。ワガママは言いませんよ」

残念そうな顔をしながらも納得してくれたシュカの頭を撫で、カンナとカミア以外の全員で浴場へ向かった。

「二人にはシャワールームを使ってもらうことにしたよ。二人で入るには少し狭くないかと聞いたのだけれど、二人一緒がいいと譲らなくてね」

とネザメは話していたが、多分俺の家の風呂場より広いと思う。見てないけど。

「ハル、カミアは明日朝早く出るみたいだから、朝一緒に食べれないかもしれないんだ。話したいこととかあったら話しとけよ」

「……んなこと言われてもぉ、握手会あるって分かってたら三十秒にまとめてくるけど……しばらく、ずっと居るんじゃ、まとまんない……話したいことあったらって、そんなのいくら話してもなくならないって言うか」

「今のうちにまとめとけよ、風呂上がってから寝るまでの間って結構短いんだし」

「簡単に言うね~……推し目の前にしたら頭真っ白になっちゃうんだよ~」

「前みたいに「ほとんど話してない!」って文句言うなよってことだ」

「それはぁ~……うん、気を付けるけどぉ」

「水月ぃ~、髪洗って~」

ハルと話している俺を呼んだのはサンだ。濡れて黒さを増した長い髪で顔も身体も隠れている。

「ちょっと待っててー。じゃ、ハル、またな」

「ん、ばいばいみっつん」

ハルの元を離れ、サンの背後へ。長い髪を丁寧に洗っていく。

「やっぱり水月に洗ってもらうのが一番気持ちいいよ。ヒト兄貴みたいに義務感でやってないし、フタ兄貴みたいに洗い忘れとかないし」

「光栄だよ」

洗い終えたら髪を傷ませない程度に絞って水気を取り、タオルでまとめる。特徴的な長い髪を全て頭の上にまとめてしまうとサンの印象は随分変わる。

「頭重い……」

「だろうね、さっさと身体洗って上がって乾かしちゃお」

見事な龍の刺青が俺を見つめている。サンと向かい合っても視線は感じないのに、サンの背中を見ていると視線を感じて居心地が悪くなる。

「あなたのは……明王? なんですね」

シュカがヒトに話しかけている。そういえば俺以外の前でヒトが肌を晒すのは初めてじゃないか? 特に抵抗感はないようだな、よかった。

「不動明王やね」

「ええ……お二人とも刺青に興味があるんですか?」

「そこそこですね。入れるならトライバルよりは和彫りがいいと思ってます」

「俺は入れたいとまでは思えへんけど、見んのは好きです…………ぁ、水月に入れられるんやったら全身に入れたいかも……」

何を妄想しているのかリュウがくねくねしている。そうだ、肌を晒すことへの抵抗感といえばカサネはどうしているんだ? 陰キャは温泉とかは嫌いだろう、いやそれ以前に彼はヅラだ。

(カサネたん、カサネたんはどこに……ぁ、居た)

カサネはレイの隣で身体を洗っていた。カツラは外していないようだ。しかしガリガリだな……骨浮いてないか? 

「レ、レイちゃん……タトゥー彫ってるんだ」

「せんぱいイメージなんすよ。分かるっすか? せんぱいの名前水月じゃないすか、だから月と水で……」

「…………なるほど」

「名前も彫ってるっすよ。ここ」

「おわぁ……よ、喜んでた? 鳴雷くん……」

「はいっす! こんなの彫ってあったらもう他の人のものにはなれないっすから……えへへっ、せんぱい独占欲強いっすからね~、超喜んでたっすよぉ」

あっちでもこっちでも刺青の話してる……

「えっ、ど、ど、独占欲強いの? 鳴雷くん……こ、こんなに居るのに?」

「意外っすかね、なら語ってあげるっすよ。俺とせんぱいとの元カレ事変を……!」

レイは俺がレイの元カレの家に包丁を持って乗り込んだ話を自慢げに、時に涙ながらに語った。恥ずかしいからやめて欲しい。

「そんなことが……!? け、結構激しいんだな……鳴雷くん」

「繰言くんも同じくらい愛されてるはずっす、これからじわじわ体感していくと思うっすけど……」

「えぇ……? いや、そんな………………そう、なってもらえるよう……がんばる、けど」

次第に小さくなっていく声で可愛いことを言ってくれた。俺は硬く拳を握って喜びを噛み締めた。数人の彼氏から不審者を見る目を向けられたが、一瞬後には「まぁいつものことか」という空気が流れた。

「……な、なんか……ある? 鳴雷くんの……好感度稼げる、こと。ちょっとした工夫でどうにかなること。痩せろとか筋肉つけろとかじゃなくて、すぐ出来ること」

「おっ、やる気満々っすね。簡単っすよ、せんぱいは自分に甘えてくる彼氏が好きっす。多分ちょっとワガママなくらいがいいっすね。髪洗ってー乾かしてーとにかく構ってーって感じのサンちゃんにはメロメロっすし、アキくんが膝に乗ってきたらもうデレデレっす。せーかくんが遠慮してる時なんかはオタオタしてるっすよ」

何を言う、俺は素直に甘えられない子も淡白な子も好きだ。何でもいいんだ、俺は。

「ぁ……あっ、甘えるって……そんなの……むり。そ、そっ、そういうのじゃ、なくて……ぁ、すっ、好きな服装は?」

「女装っすね」

あんまり適当言うなよ。

「すごい興奮するんす。スカートとかなら頭突っ込むっすよ」

「女装……女装か、ぅー……悲惨なことになりそうでちょっと……ぁー、でも、俺骨細いし……シルエット的にはそれっぽくなるのかな……」

「女装する気になったらハルせんぱいに聞くといいっす、似合う服もメイクのコツも教えてくれるっすよ」

「あの子ちょっと苦手なんだよなぁ」

女装自体には割と前向きなのか? ちょっと楽しみになってきたな。

「水月ぃ~……タオルほどけた」

「えっ? うわっ……あー、サン髪多くて長いから重過ぎたのかな。まとめ直すよ。さっきよりキツめに巻くけど痛かったら言ってね」

サンに呼ばれ、盗み聞きをやめてサンの髪をまとめ直す。身体を洗っている最中だったのでサンの背中に触れた髪の一部にはボディソープが移っていたので、また湯で泡を流すところから始めた。
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