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見覚えがある本当の理由 (〃)
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俺は膝にカンナとカミアを乗せ、アキは俺を真似てセイカとカサネを膝に乗せ、六人で会話を弾ませた。
「ホントあの芸人さん台本守んないよ~……ゲストの困った顔引き出せるからか、あんまり注意されないしね。完璧に対処出来てもつまんないし、それなりに隙のある振る舞いしなきゃでさ……面倒臭い! 台本通りやってりゃいい番組より面倒臭いんだよぉ~。いつもと観てる人違うから、新規ファン獲得のチャンスではあるんだけどね?」
カミアは先程言った通り、俺達に愚痴を話してくれている。
「……なんかもっとヤベぇ業界の闇みたいなのないの? そういうの聞きたいんだけど」
「先輩……」
カサネは何故かカミアにはハルを相手にするほどの緊張や恐怖を感じていないようだ。現役アイドルなのに……ゲームオタクだからリアルアイドルなんて知らないのかな?
「闇? んー、そういうの知れるのは多分もっと歳上の人かなぁ。僕みたいな未成年アイドルは口が軽いから何も教えられないんだよ、特に僕、配信も結構やってるからね。だから巻き込まれたりとかも今のとこないかな、マネージャーお母さんだしね」
「よかったよ。何かあったらすぐ相談してくれ。御曹司と反社とオカルトの人脈があるからな」
「改めて聞くとすごいな」
「反社って?」
カサネが怪訝な顔をする。そうか、彼にはまだ説明していないことが多いんだった。
「ヒトさんフタさんはヤクザなんですよ」
「え……マジかよ。じゃあ、サンちゃんも?」
「サンは何年も前にヤクザ辞めて画家やってるよ」
「うわ……そうなんだ、怖……」
「でもいい人達だから。もう話した?」
「……全然」
余計な先入観を与えてしまったかもしれないな。
「えっと、カミアちゃんはいいの? そういう人達と関わりあって。大丈夫?」
「うーん……分かんないけど、指定暴力団? ってのじゃなければ、どうにかなるかなぁ」
「……仲良くして欲しいけど、週刊誌とか危なそうなら顔合わせないように対策はしとくよ」
「いざとなったら分野に頼んで何とかしてもらえばいいよ」
それはそうかもしれないけれど、よくない思考だなぁ。ま、セイカは少しくらい他人頼りな思考を身に付けた方がいい、気にせずにいるか。
六人でしばらく話していると、不意にアキが二人を膝の上から下ろして立ち上がった。
《重いし飽きた。モミジに媚び売ってくるぜ》
「鳴雷、秋風飽きたって。翻訳要るし、俺秋風と一緒に行くわ」
「飽きた!? あ、あぁそう……相変わらず自由だなぁ」
「……じゃあ、僕もちょっと席を外そうかなっ。繰言くん、もう少し話そうよ」
「えっ!? お、俺と? 奇特な人も居るもんだべ……」
「こっち来て、こっちこっち。じゃあねみぃくんっ、お兄ちゃんよろしくね!」
カミアも立ち上がり、何故かカサネの手を引っ張って部屋の隅の方へ連れて行った。残ったのはカンナだけだ、とりあえずたっぷり可愛がるとするか。
「カンナ……」
「みぃ、くん。ぼく……てん、く……とこ、行って、く……ね?」
「えっ? あ、あぁ、そうか。ゆっくり話してこい」
カンナまでどこかへ行ってしまった。カミアがカサネを連れて行ったのが何故なのか気になるので、不審がられない程度に近寄って聞いてみよう。カミアは俺に背を向けているから多少の不審な動きなら気付かないだろうし。
「なっ、なな、な、何、話すのっ? あっもしかしてカミアちゃんゲームとかする感じっ? その話するっ?」
「えっとね、ちょっと確認したいことがあって」
「か……確認?」
「君、昔テレビ出てなかった? 何年か前……」
「…………え?」
「確かぁ……んー、重めの癌患ってる子で、生きた証を残したい~とかで、配信始めた~とか……」
「なんで知ってんの!? アレなんかっ、確か、全然観てるヤツ居ないWebテレビか何かじゃなかったっけ」
「ケーブルテレビだよ、確か」
「いや知らねぇけど、よく覚えてるな……」
へぇ、カサネはテレビの取材を受けたことがあるのか。さっきカミアが見覚えがあると言っていたのはそのことだったんだな、カサネがそれを他の者に知られたくないかもしれないから気を遣って誤魔化した……と言ったところか。カミア、いい子だなぁ。
「職業柄、色んなところにアンテナ張ってないとねっ。治ったの?」
「あ、あぁ、まぁ、根治したよ……」
「よかったねぇ! おめでとう!」
「……どうも」
「テレビで見た時は、なんか……シゲオくん? とかだった覚えがあるんだけど」
「あぁ……流石に本名で配信するのはなぁ。しかしホントよく覚えてるなお前」
「あ、配信用の名前? なるほど。配信まだやってるの?」
「…………他のヤツには言わないでくれよ? ゲーム実況やってる、登録者数はイマイチ伸び悩んでるけど……闘病日記みたいな頃から見ててくれてる人が多いから、スパチャとかはかなりもらえてるぞ」
「へぇー、頑張ってね! 事務所とかには入ってないの?」
「え、事務所? いや、入ってねぇよ……ゲームやってるだけなんだから」
「そっかぁ。今度見てみたいな。ねっ、チャンネル名教えてよ」
「えぇえ……知り合いに見られるの嫌なんですけど」
「……分かった。じゃあ自力で探す」
「え、ぅう……お、教える! 教えるよ、現役アイドルにそんな無駄な時間かけさせらんねぇべさ。はぁ……ほら、これ」
カサネはスマホをカミアに見せている。名前を言ってくれれば俺も後で探せたのにな。
「ふんふん……あ、これだね? ありがとっ、あ、配信だけじゃなくて動画もいっぱいあるねぇ。後から見るならやっぱり動画の方がお手軽だからね、移動の時にでも見よーっと。ありがとっ☆」
「……あぁ、五倍速くらいで見てくれ」
「え~? アプリ的に二倍速までしか無理だよ~?」
俺達の前でテレビ出演や配信についての話をしないカミアのことだ、後でカサネのチャンネルを聞いても教えてくれないだろう。カサネ自身に聞いた方が早そうだな。
「ホントあの芸人さん台本守んないよ~……ゲストの困った顔引き出せるからか、あんまり注意されないしね。完璧に対処出来てもつまんないし、それなりに隙のある振る舞いしなきゃでさ……面倒臭い! 台本通りやってりゃいい番組より面倒臭いんだよぉ~。いつもと観てる人違うから、新規ファン獲得のチャンスではあるんだけどね?」
カミアは先程言った通り、俺達に愚痴を話してくれている。
「……なんかもっとヤベぇ業界の闇みたいなのないの? そういうの聞きたいんだけど」
「先輩……」
カサネは何故かカミアにはハルを相手にするほどの緊張や恐怖を感じていないようだ。現役アイドルなのに……ゲームオタクだからリアルアイドルなんて知らないのかな?
「闇? んー、そういうの知れるのは多分もっと歳上の人かなぁ。僕みたいな未成年アイドルは口が軽いから何も教えられないんだよ、特に僕、配信も結構やってるからね。だから巻き込まれたりとかも今のとこないかな、マネージャーお母さんだしね」
「よかったよ。何かあったらすぐ相談してくれ。御曹司と反社とオカルトの人脈があるからな」
「改めて聞くとすごいな」
「反社って?」
カサネが怪訝な顔をする。そうか、彼にはまだ説明していないことが多いんだった。
「ヒトさんフタさんはヤクザなんですよ」
「え……マジかよ。じゃあ、サンちゃんも?」
「サンは何年も前にヤクザ辞めて画家やってるよ」
「うわ……そうなんだ、怖……」
「でもいい人達だから。もう話した?」
「……全然」
余計な先入観を与えてしまったかもしれないな。
「えっと、カミアちゃんはいいの? そういう人達と関わりあって。大丈夫?」
「うーん……分かんないけど、指定暴力団? ってのじゃなければ、どうにかなるかなぁ」
「……仲良くして欲しいけど、週刊誌とか危なそうなら顔合わせないように対策はしとくよ」
「いざとなったら分野に頼んで何とかしてもらえばいいよ」
それはそうかもしれないけれど、よくない思考だなぁ。ま、セイカは少しくらい他人頼りな思考を身に付けた方がいい、気にせずにいるか。
六人でしばらく話していると、不意にアキが二人を膝の上から下ろして立ち上がった。
《重いし飽きた。モミジに媚び売ってくるぜ》
「鳴雷、秋風飽きたって。翻訳要るし、俺秋風と一緒に行くわ」
「飽きた!? あ、あぁそう……相変わらず自由だなぁ」
「……じゃあ、僕もちょっと席を外そうかなっ。繰言くん、もう少し話そうよ」
「えっ!? お、俺と? 奇特な人も居るもんだべ……」
「こっち来て、こっちこっち。じゃあねみぃくんっ、お兄ちゃんよろしくね!」
カミアも立ち上がり、何故かカサネの手を引っ張って部屋の隅の方へ連れて行った。残ったのはカンナだけだ、とりあえずたっぷり可愛がるとするか。
「カンナ……」
「みぃ、くん。ぼく……てん、く……とこ、行って、く……ね?」
「えっ? あ、あぁ、そうか。ゆっくり話してこい」
カンナまでどこかへ行ってしまった。カミアがカサネを連れて行ったのが何故なのか気になるので、不審がられない程度に近寄って聞いてみよう。カミアは俺に背を向けているから多少の不審な動きなら気付かないだろうし。
「なっ、なな、な、何、話すのっ? あっもしかしてカミアちゃんゲームとかする感じっ? その話するっ?」
「えっとね、ちょっと確認したいことがあって」
「か……確認?」
「君、昔テレビ出てなかった? 何年か前……」
「…………え?」
「確かぁ……んー、重めの癌患ってる子で、生きた証を残したい~とかで、配信始めた~とか……」
「なんで知ってんの!? アレなんかっ、確か、全然観てるヤツ居ないWebテレビか何かじゃなかったっけ」
「ケーブルテレビだよ、確か」
「いや知らねぇけど、よく覚えてるな……」
へぇ、カサネはテレビの取材を受けたことがあるのか。さっきカミアが見覚えがあると言っていたのはそのことだったんだな、カサネがそれを他の者に知られたくないかもしれないから気を遣って誤魔化した……と言ったところか。カミア、いい子だなぁ。
「職業柄、色んなところにアンテナ張ってないとねっ。治ったの?」
「あ、あぁ、まぁ、根治したよ……」
「よかったねぇ! おめでとう!」
「……どうも」
「テレビで見た時は、なんか……シゲオくん? とかだった覚えがあるんだけど」
「あぁ……流石に本名で配信するのはなぁ。しかしホントよく覚えてるなお前」
「あ、配信用の名前? なるほど。配信まだやってるの?」
「…………他のヤツには言わないでくれよ? ゲーム実況やってる、登録者数はイマイチ伸び悩んでるけど……闘病日記みたいな頃から見ててくれてる人が多いから、スパチャとかはかなりもらえてるぞ」
「へぇー、頑張ってね! 事務所とかには入ってないの?」
「え、事務所? いや、入ってねぇよ……ゲームやってるだけなんだから」
「そっかぁ。今度見てみたいな。ねっ、チャンネル名教えてよ」
「えぇえ……知り合いに見られるの嫌なんですけど」
「……分かった。じゃあ自力で探す」
「え、ぅう……お、教える! 教えるよ、現役アイドルにそんな無駄な時間かけさせらんねぇべさ。はぁ……ほら、これ」
カサネはスマホをカミアに見せている。名前を言ってくれれば俺も後で探せたのにな。
「ふんふん……あ、これだね? ありがとっ、あ、配信だけじゃなくて動画もいっぱいあるねぇ。後から見るならやっぱり動画の方がお手軽だからね、移動の時にでも見よーっと。ありがとっ☆」
「……あぁ、五倍速くらいで見てくれ」
「え~? アプリ的に二倍速までしか無理だよ~?」
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