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犬達の元へ (水月+ネザメ・ミフユ・ハル・リュウ・カサネ・レイ・ヒト)
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ネックレスを贈った後、唇を重ね、みんなの前でネザメと甘い時間を過ごした。しかし数日に亘った別荘での日々と違い、今日は一日きり、なのにみんなに集まってもらっているからみんなで過ごそうとネザメは言った。俺が夢見ていたネザメと二人きりのお楽しみタイムは訪れなさそうだ。
「……さて、いつまでも水月くんとばかり戯れていてはみんなに申し訳ないね」
「今日はザメさんが主役なんだし別にいいのに~」
「そういう訳にはいかないよ。みんなで遊ぼう」
「何か用意あるんですか?」
「……ミフユ?」
ネザメ自身は特に考えはないのか。
「えっ……? す、すみません、てっきりネザメ様は誕生日に鳴雷一年生と交わるつもりかと……」
「そうなのかい? もう、ミフユったら……はしたない子だねぇ」
言われたい。俺も「はしたない子だ」って優しく叱られたい。歳上のおっとり美人にたしなめられたくない男なんか居るか!? 居ないだろ!
「はい……ご無礼をどうかお許しください……」
「別に構わないよ。誕生日当日に水月くんと会えたのなら、そうしていたかもしれない」
「はい……」
「でも、だとしても、その間彼らを楽しませる術が必要だろう? 何か考えていないのかい?」
「……申し訳ありません。ミフユはネザメ様のこと以外考えておりません」
「おやおや」
従者の鑑、なのかな? いや、主人の客ならもてなさなければならないのでは?
「それじゃあどうしようかなぁ……君達、何か希望はあるかな?」
「おっきいお家だし、探検~とか言いたいけどぉ……人いっぱい居るし、ちょっと遠慮しちゃうよねぇ~」
「トイレ行くんも緊張するわ。カッチリスーツ着た人がウロウロウロウロ」
「フユさんも卒業したらずーっとスーツ着るようになるの~?」
「ふむ……自分は他の使用人とは違い、家の仕事ではなくネザメ様の世話が仕事だ。見目に気を遣うのは当然だが、時と場合に合っているかが一番大切だ。部屋で過ごすのにスーツばかりというのも不適当だろう」
「……スーツばっかりは着ぃひんやろうでって意味やで」
「俺アンタより国語得意なんだけど~!? あっ、フユさん、しっかり答えてくれてありがとうございます~」
「いや……」
家ツアー、ダメなのか。みたいな顔してるな、ミフユ。ちょうど思い付いていたのかな?
「…………ぁ、あのさっ、年積」
「なんだ? 繰言二年生」
「フランクっ、ぁ、えっ……と、犬! 犬の、様子……見に行って、ぃ……?」
「犬? あっそうだ! ワンちゃん見に行こ~! みんなで! ねっ、どぉ?」
「おぉ、ええやん。繰言はんのワンちゃん見たいし。パグなんやったっけ? ハル」
「そうそうパグ。パグ分かる? あのー……結婚できない、男が……預かる」
「パグ分かるけど後半の説明分かれへん」
「昔見たドラマにパグ出てたの!」
リュウと騒ぐハルの意見に皆は自然と賛同し、ソファから立ち上がる準備をし始める。ミフユやカサネの許可を求める者は居ない。
「あんまり大勢で押しかけちゃ、ワンちゃん達怖がらないかな?」
「え、どうだろ~……せんぱ~い、フランクちゃん嫌がりそう?」
「えっ、ゃ、さぁ……だ、だいじょぶっ……だと」
「大丈夫? 大丈夫だってさみっつん」
大丈夫じゃなくてもそう伝えることはカサネには難しいだろう。
「行こ行こ~」
ミフユの先導で俺達はゾロゾロと犬達が居る部屋へと向かう。ハルは俺の腕に抱きつき、にっこりと微笑んで俺を見上げる。普段、もう片方の俺の腕に抱きついているのはカンナだが、今日彼はカミアと腕を絡ませ合っていて、右腕は空いている。
(右が寂しいですな。わたくしに抱きつきたい美少年は二人しか居ないんですか? こんなに彼氏が居るのに?)
案外みんな謙虚な恥ずかしがり屋なんだなと萌えていると、空いていた右腕が誰かに抱き締められる感覚があった。
「……! レイ」
「なんすか? せんぱい」
「いや、今日も可愛いなぁって」
「みっつん俺は~?」
「ハルももちろん可愛いよ」
腕に感じる二人の力が増す。褒めれば謙遜せず素直に喜んでくれるのは楽でありがたい。
「メープル、調子はどうだ」
ミフユに続いて犬用の部屋に入ると、尻尾をちぎれんばかりに振りながらボーダーコリーが近寄ってきた。口には柔らかいボールが咥えられている。
「室内でボールは難しい。他のにしろ」
「言っても分からないでしょう」
ヒトの言葉に反し、ボーダーコリーはオモチャ置き場のようなところへ戻ってボールを離し、代わりにロープを持ってきた。
「……よく躾けられていますね」
「メープルは頭がいいんです」
「アレアレ、あそこで寝てるのがフランクちゃん」
「くつろいでるっすねー」
ハルとレイが俺の腕を離し、クッションの上で眠るパグの前にしゃがむ。
「あっ起きた。起こしちゃったかな?」
「また目閉じたっすよ」
まさかずっと寝ていたのだろうか、せっかく二匹一緒に居たのに暇だっただろうな……と、ミフユとロープを引っ張り合って遊んでいるボーダーコリーを少し憐れんだ。
「……さて、いつまでも水月くんとばかり戯れていてはみんなに申し訳ないね」
「今日はザメさんが主役なんだし別にいいのに~」
「そういう訳にはいかないよ。みんなで遊ぼう」
「何か用意あるんですか?」
「……ミフユ?」
ネザメ自身は特に考えはないのか。
「えっ……? す、すみません、てっきりネザメ様は誕生日に鳴雷一年生と交わるつもりかと……」
「そうなのかい? もう、ミフユったら……はしたない子だねぇ」
言われたい。俺も「はしたない子だ」って優しく叱られたい。歳上のおっとり美人にたしなめられたくない男なんか居るか!? 居ないだろ!
「はい……ご無礼をどうかお許しください……」
「別に構わないよ。誕生日当日に水月くんと会えたのなら、そうしていたかもしれない」
「はい……」
「でも、だとしても、その間彼らを楽しませる術が必要だろう? 何か考えていないのかい?」
「……申し訳ありません。ミフユはネザメ様のこと以外考えておりません」
「おやおや」
従者の鑑、なのかな? いや、主人の客ならもてなさなければならないのでは?
「それじゃあどうしようかなぁ……君達、何か希望はあるかな?」
「おっきいお家だし、探検~とか言いたいけどぉ……人いっぱい居るし、ちょっと遠慮しちゃうよねぇ~」
「トイレ行くんも緊張するわ。カッチリスーツ着た人がウロウロウロウロ」
「フユさんも卒業したらずーっとスーツ着るようになるの~?」
「ふむ……自分は他の使用人とは違い、家の仕事ではなくネザメ様の世話が仕事だ。見目に気を遣うのは当然だが、時と場合に合っているかが一番大切だ。部屋で過ごすのにスーツばかりというのも不適当だろう」
「……スーツばっかりは着ぃひんやろうでって意味やで」
「俺アンタより国語得意なんだけど~!? あっ、フユさん、しっかり答えてくれてありがとうございます~」
「いや……」
家ツアー、ダメなのか。みたいな顔してるな、ミフユ。ちょうど思い付いていたのかな?
「…………ぁ、あのさっ、年積」
「なんだ? 繰言二年生」
「フランクっ、ぁ、えっ……と、犬! 犬の、様子……見に行って、ぃ……?」
「犬? あっそうだ! ワンちゃん見に行こ~! みんなで! ねっ、どぉ?」
「おぉ、ええやん。繰言はんのワンちゃん見たいし。パグなんやったっけ? ハル」
「そうそうパグ。パグ分かる? あのー……結婚できない、男が……預かる」
「パグ分かるけど後半の説明分かれへん」
「昔見たドラマにパグ出てたの!」
リュウと騒ぐハルの意見に皆は自然と賛同し、ソファから立ち上がる準備をし始める。ミフユやカサネの許可を求める者は居ない。
「あんまり大勢で押しかけちゃ、ワンちゃん達怖がらないかな?」
「え、どうだろ~……せんぱ~い、フランクちゃん嫌がりそう?」
「えっ、ゃ、さぁ……だ、だいじょぶっ……だと」
「大丈夫? 大丈夫だってさみっつん」
大丈夫じゃなくてもそう伝えることはカサネには難しいだろう。
「行こ行こ~」
ミフユの先導で俺達はゾロゾロと犬達が居る部屋へと向かう。ハルは俺の腕に抱きつき、にっこりと微笑んで俺を見上げる。普段、もう片方の俺の腕に抱きついているのはカンナだが、今日彼はカミアと腕を絡ませ合っていて、右腕は空いている。
(右が寂しいですな。わたくしに抱きつきたい美少年は二人しか居ないんですか? こんなに彼氏が居るのに?)
案外みんな謙虚な恥ずかしがり屋なんだなと萌えていると、空いていた右腕が誰かに抱き締められる感覚があった。
「……! レイ」
「なんすか? せんぱい」
「いや、今日も可愛いなぁって」
「みっつん俺は~?」
「ハルももちろん可愛いよ」
腕に感じる二人の力が増す。褒めれば謙遜せず素直に喜んでくれるのは楽でありがたい。
「メープル、調子はどうだ」
ミフユに続いて犬用の部屋に入ると、尻尾をちぎれんばかりに振りながらボーダーコリーが近寄ってきた。口には柔らかいボールが咥えられている。
「室内でボールは難しい。他のにしろ」
「言っても分からないでしょう」
ヒトの言葉に反し、ボーダーコリーはオモチャ置き場のようなところへ戻ってボールを離し、代わりにロープを持ってきた。
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ハルとレイが俺の腕を離し、クッションの上で眠るパグの前にしゃがむ。
「あっ起きた。起こしちゃったかな?」
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まさかずっと寝ていたのだろうか、せっかく二匹一緒に居たのに暇だっただろうな……と、ミフユとロープを引っ張り合って遊んでいるボーダーコリーを少し憐れんだ。
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