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神楽舞の奉納……? (水月+ネザメ・ミフユ・ヒト・フタ・サン・リュウ・ミタマ・カサネ)
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シャツが擦れて首が少し赤くなっている。まぁ、大したことはなさそうだ。
「痛くないですか?」
「何が~?」
「首ですよ、少し赤くなってます」
「首~……? んー……痛っ」
不思議そうな顔で首に触れたフタは摩擦跡に指を掠らせ、眉を顰めた。
「ボタン外して緩めておきましょう。触っちゃダメですよ。ほっとけば治りますから」
「……へへ」
首元をくつろげてやるとフタはにへ~っと可愛らしい笑顔を見せた。
「フタさん……? わっ、何です?」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、戸惑う。そんな俺を置いてフタはさっさと立ち上がり、ソファに戻った。
「あの、鳴雷さんっ……」
「……何ですか?」
「何って…………」
「………………戻りますね?」
何か言いたそうな、不安そうなヒトを残し、俺はネザメの隣に戻った。
「水月くん、見ておくれ。このクマ、蜂蜜を入れる壺を持っていてね、そこにコインでも入れられそうなんだ」
「気に入りました?」
「うん。あまりこういう物は持っていないからね。ぬいぐるみは、えぇと……ほら、そこに飾ってあるテディベアくらいしか持っていないんだ」
ネザメが指した先には年季が入っていそうな、けれどよく手入れされたテディベアがあった。高そう。
「ミフユ、隣に飾っておいて」
「分かりました」
「さて、これでみんなから贈り物をもらったかな。ふふふ、たくさん……ありがとうねぇ、すごく嬉しいよ。大切に使わせてもらうよ」
最後は俺だな。隠し持ったプレゼントを握り締める。
「ちょっと待った! ワシがまだじゃ」
プレゼントから手を離し、のしのしとこちらへやってくるミタマをネザメと共に見つめる。
「分野くん? 君も何かくれるのかい?」
「うむ、じゃが物ではないぞぃ」
俺とネザメが座るソファの前の低い机、その隣に空いたスペースに立ったミフユはどこからともなく神楽鈴を取り出した。
「ワシのザメちゃんへの贈り物は……本気の祈祷じゃ!」
「亀頭……!?」
「神さんのコンちゃんが神さんにお祈りするてなんかおかしない?」
あっ祈祷か。
「天下りの人が居ると話が早いみたいな感じじゃないかなぁ?」
「そっちもよぉ分からんけど……」
天下り云々については大人が解説してくれそうなものだが、天下り先になるような職に就いている大人が居ないので誰も何も言わない。
「いや、音と踊りあった方が神通力の効きがいいんじゃ」
「無詠唱の逆張り……?」
「いやいや鳴雷くん完全詠唱で効果上がる方がアツいから」
「なんですってカサネ先輩、屋敷しもべ妖精実はめちゃくちゃ強いの、イイでしょ……! 指パッチンでポンポン魔法出すの最高でしょ」
「いせ転チート系の無詠唱すごいテンプレじゃなくそっちを出してくるのはズルいんですけど! くっ、いやでも、詠唱はロマンっ」
ぶつぶつ意見をぶつけ合う俺達を放って神楽鈴が鳴る。シャン、シャン、と響く神聖な音。自然と口が止まる。
「…………」
ネザメもじっとミタマを見つめている。鈴を鳴らし、赤い袴を揺らし、踊るミタマを。
「………………ふーっ、終わりじゃ」
「……すごい。あぁ……すまない、まとまらなくて、上手く言えない…………すごいよ、分野くん。目が離せなかった。神楽舞を見たのは初めてではないけれど、ここまで集中させられたことはないよ」
「そうかの? くふふっ、嬉しいことを言ってくれるのぅ。はぁ……ちょっと疲れた、休むのじゃ」
神楽鈴を袖の中に押し込むと、ミタマはソファにどっかりと腰を下ろした。袖の中には既に神楽鈴はないように見える。不思議だなぁ。
「……あの、分野さん、あの踊りや鈴があった方が効きがいいのなら、水月への……水月が死なないヤツ、それも効きがいいのでやってくれませんか?」
「やっとるぞ。神通力溜まり次第ちょくちょく踊っとる、見られんようにはしとるが。ちょっと恥ずかしいからのぅ」
「そうですか……なら、いいです」
「ヌシからの祈りが一番強いぞ~? よっぽどみっちゃんが好きなんじゃな」
「……っ!」
「ぅぐっ!? ひ、肘を入れることないじゃろう……! 酷いぞ!」
ミタマがシュカに脇腹を肘で突かれている。シュカの照れ隠しの暴力が俺に対してだけではないのは少し不満だ、妬ましい、いや、俺以外の彼氏に痛い思いをさせて欲しくない。
「すごかったねぇ」
「ですね。あの、ネザメさん……最後は俺から」
「……緊張してきたよ」
手汗がついている気がする包装紙をズボンで拭い、ネザメに渡した。
「ありがとう。開けてもいいかい?」
「もちろん……」
既に嬉しそうに頬を緩めながら、ネザメは俺が用意したプレゼントを開封し、中身のネックレスをその手のひらに乗せた。
「これは……」
シンプルな棒状のデザインのシルバーアクセサリーだ。
「……! ふふっ」
棒状の飾りに彫られた俺の名前を見つけたネザメは可愛らしい笑顔を見せた。
「痛くないですか?」
「何が~?」
「首ですよ、少し赤くなってます」
「首~……? んー……痛っ」
不思議そうな顔で首に触れたフタは摩擦跡に指を掠らせ、眉を顰めた。
「ボタン外して緩めておきましょう。触っちゃダメですよ。ほっとけば治りますから」
「……へへ」
首元をくつろげてやるとフタはにへ~っと可愛らしい笑顔を見せた。
「フタさん……? わっ、何です?」
わしゃわしゃと頭を撫でられ、戸惑う。そんな俺を置いてフタはさっさと立ち上がり、ソファに戻った。
「あの、鳴雷さんっ……」
「……何ですか?」
「何って…………」
「………………戻りますね?」
何か言いたそうな、不安そうなヒトを残し、俺はネザメの隣に戻った。
「水月くん、見ておくれ。このクマ、蜂蜜を入れる壺を持っていてね、そこにコインでも入れられそうなんだ」
「気に入りました?」
「うん。あまりこういう物は持っていないからね。ぬいぐるみは、えぇと……ほら、そこに飾ってあるテディベアくらいしか持っていないんだ」
ネザメが指した先には年季が入っていそうな、けれどよく手入れされたテディベアがあった。高そう。
「ミフユ、隣に飾っておいて」
「分かりました」
「さて、これでみんなから贈り物をもらったかな。ふふふ、たくさん……ありがとうねぇ、すごく嬉しいよ。大切に使わせてもらうよ」
最後は俺だな。隠し持ったプレゼントを握り締める。
「ちょっと待った! ワシがまだじゃ」
プレゼントから手を離し、のしのしとこちらへやってくるミタマをネザメと共に見つめる。
「分野くん? 君も何かくれるのかい?」
「うむ、じゃが物ではないぞぃ」
俺とネザメが座るソファの前の低い机、その隣に空いたスペースに立ったミフユはどこからともなく神楽鈴を取り出した。
「ワシのザメちゃんへの贈り物は……本気の祈祷じゃ!」
「亀頭……!?」
「神さんのコンちゃんが神さんにお祈りするてなんかおかしない?」
あっ祈祷か。
「天下りの人が居ると話が早いみたいな感じじゃないかなぁ?」
「そっちもよぉ分からんけど……」
天下り云々については大人が解説してくれそうなものだが、天下り先になるような職に就いている大人が居ないので誰も何も言わない。
「いや、音と踊りあった方が神通力の効きがいいんじゃ」
「無詠唱の逆張り……?」
「いやいや鳴雷くん完全詠唱で効果上がる方がアツいから」
「なんですってカサネ先輩、屋敷しもべ妖精実はめちゃくちゃ強いの、イイでしょ……! 指パッチンでポンポン魔法出すの最高でしょ」
「いせ転チート系の無詠唱すごいテンプレじゃなくそっちを出してくるのはズルいんですけど! くっ、いやでも、詠唱はロマンっ」
ぶつぶつ意見をぶつけ合う俺達を放って神楽鈴が鳴る。シャン、シャン、と響く神聖な音。自然と口が止まる。
「…………」
ネザメもじっとミタマを見つめている。鈴を鳴らし、赤い袴を揺らし、踊るミタマを。
「………………ふーっ、終わりじゃ」
「……すごい。あぁ……すまない、まとまらなくて、上手く言えない…………すごいよ、分野くん。目が離せなかった。神楽舞を見たのは初めてではないけれど、ここまで集中させられたことはないよ」
「そうかの? くふふっ、嬉しいことを言ってくれるのぅ。はぁ……ちょっと疲れた、休むのじゃ」
神楽鈴を袖の中に押し込むと、ミタマはソファにどっかりと腰を下ろした。袖の中には既に神楽鈴はないように見える。不思議だなぁ。
「……あの、分野さん、あの踊りや鈴があった方が効きがいいのなら、水月への……水月が死なないヤツ、それも効きがいいのでやってくれませんか?」
「やっとるぞ。神通力溜まり次第ちょくちょく踊っとる、見られんようにはしとるが。ちょっと恥ずかしいからのぅ」
「そうですか……なら、いいです」
「ヌシからの祈りが一番強いぞ~? よっぽどみっちゃんが好きなんじゃな」
「……っ!」
「ぅぐっ!? ひ、肘を入れることないじゃろう……! 酷いぞ!」
ミタマがシュカに脇腹を肘で突かれている。シュカの照れ隠しの暴力が俺に対してだけではないのは少し不満だ、妬ましい、いや、俺以外の彼氏に痛い思いをさせて欲しくない。
「すごかったねぇ」
「ですね。あの、ネザメさん……最後は俺から」
「……緊張してきたよ」
手汗がついている気がする包装紙をズボンで拭い、ネザメに渡した。
「ありがとう。開けてもいいかい?」
「もちろん……」
既に嬉しそうに頬を緩めながら、ネザメは俺が用意したプレゼントを開封し、中身のネックレスをその手のひらに乗せた。
「これは……」
シンプルな棒状のデザインのシルバーアクセサリーだ。
「……! ふふっ」
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