冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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覚えてるよ (水月+ネザメ・カミア・ハル・歌見・レイ)

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綺麗に撮れたハルとカミアのツーショットをそれぞれのスマホに送信。これで俺のカメラマンとしての役目は終わりを迎えた。

「……! ぅうぅ……!」

ハルはスマホを握り締めて呻いた。

「ねぇねぇハルくん」

「ひゃいっ!?」

「他の子と話してる感じとか、お兄ちゃんの話とかから察するに……ハルくんもっと元気な子なんだよね? 僕ともみんなと同じようにお話して欲しいなぁ」

「へっ!? えっ、ぁ、う…………むりぃ……」

「……無理? そっかぁ。ごめんねっ、ワガママ言っちゃって」

カミアはどこか寂しげに微笑んだ後、ハルの頭を撫でた。ハルは肩を縮め、不安げにカミアを見つめる。

「ハルくんは本当に綺麗な髪してるねー……手入れ大変じゃない? 僕天然パーマだから、ハルくんみたいな綺麗なストレートにちょっと憧れあるんだぁ」

ハルの震えが止まる。切れ長の美しい瞳が見開かれ、虹彩の輪郭が滲む。涙が一筋頬を伝った。

「えっ……? な、なに? 気に障った? ごめんねっ?」

「ち、がっ……ちがう、のぉ……カミア、カミアぁ……」

「う、うん? なぁに? カミアだよ」

「カミア、大好き……だい、すきぃ……」

「へっ? ふふ……ありがとハルくんっ☆ 泣いちゃうくらい好きでいてくれるなんてすっごく嬉しいな☆」

「……! ふぇえええん……かみあぁ……むりぃい~……」

とうとう泣き出してしまった。

「わ……わわ、大丈夫ハルくんっ。そんなに泣いちゃ目腫れちゃうよぉ」

カミアは崩れ落ちたハルを抱き締めて慰めようとする。逆効果だと止めようとしたが、案外そうでもないようでハルは落ち着き始めた。

「カミアっ、カミアぁ……俺、俺ねぇ? カミア大好きなの……カミアのおかげで外出られたの、可愛いカッコ続けられたのぉ……絶対一生推すぅ……」

「そうなの? 僕、ハルくんの力になれてたんだね、嬉しいなぁ」

「昔もぉ、カミア髪褒めてくれたのっ、同じこと言ったのぉ……髪綺麗って、ストレート羨ましいってぇ……おんなじ……ぅええぇん……」

「………………あれ? え……あ、もしかしてハルくん、僕達昔会った? えーっと……んー、母の日の放送分のロケだったから~、その一、二ヶ月前かなぁ……仲良し親子探そって企画で、とか言ってもハルくんの方は分かんないよね。ハルくん確かカットされたし。僕、ハルくんにインタビューした、よね? 違う? ひ、人違いかなぁ……だったらごめんね?」

「……なんで覚えでるのぉお~! もうヤダぁ~! すきぃ~! むりぃい~!」

「やっぱりあの子なんだぁ! ごめんね、雰囲気違ったから上手く繋がんなくて、気付くの遅れちゃった」

とうとう号泣し始めてしまった。けれど、俺が気遣うべきことはなさそうだ。後は二人で自然と仲を深めていくだろう。安堵した俺はネザメの隣に戻った。

「ただいまでーす……あれ、プレゼント増えてます?」

「おかえり水月くん。君の離席中に歌見さんと木芽くんからいただいたよ。見ておくれ、僕の好きな香りのボディソープ。これは歌見さんからいただいたんだ、歌見さんったらミフユに色々聞いていたみたいでね……ふふっ、流石、大人はちゃんとリサーチして外さないようにするんだねぇ」

「へぇ、ボディソープ……」

「やっぱり絶対に使う物の方がいいかと思ってな。下手に趣味じゃない置物なんて送ってもしょうがないだろ?」

カサネがうんうんと頷いている。

「僕は僕のことを思って見繕ってくれたものなら何でも嬉しいです」

「懐が深いなぁ」

「レイは何くれたんですか?」

「木芽くんのプレゼントはとっても素敵だよ」

板? いや、これは裏面か。絵だ、肖像画。ネザメがボーダーコリーと仲良さげに描かれている。

「メープルはあまり僕に懐いていないからね、絵でなければこんな表情で僕と接している姿は見られないよ。肖像画はこれまで幾つか描いてもらったけれど、一番好きかもしれない。木芽くんは本当に絵が上手いんだね」

そりゃイラストレーターだからな。しかし驚いた、俺が見てきたレイの絵はラノベの表紙やゲーム関係のもので、非現実的と言うか……アニメ絵だとか、萌え絵だとかと俗に言われるものばかりだったから、こんな写実的な絵が描けたとは……

「仕事に出来るのではないか? 貴様確かフリーターだったな」

「ぇ、まぁ……フリーっすけど」

「ネザメ様やメープルに長時間同じ体勢で居させるどころか、こんな一瞬すらなかったのに描いてしまうとは素晴らしい才能だ。これを活かさん手はないぞ」

活かしてるんだよなぁ。

「……レイ」

「なんすか? せんぱい」

小さく手招きをするとレイはミフユとの会話を中断し、俺の傍に屈んで耳を貸した。

「イラストレーターってこと言わないのか?」

レイは頷いて、今度は俺の耳に唇を近付けた。可愛らしい声でヒソヒソと俺にだけ気持ちを話してくれる。

「イラストレーターとか言っちゃったら絶対どんな絵描いてるのって話になるじゃないすか。嫌っすよ俺リアルの知り合いに仕事絵見せるの……!」

「そういうもんなのか?」

「このまま秘密にしといて欲しいっす、気が向いたら俺から言うんで……」

まぁ、俺にレイの職を晒す旨みはないし、レイが秘密にしておいて欲しいというのならそうするけれど、ガキ共に定職に就かずフラフラしてるダメな大人だと認識されているのはいいのか?

「木芽、話は終わったか? よければ絵を欲しがりそうな知人を紹介するぞ」

「いや俺そういうのいいっすから~」

イラストレーターだと言った方が絶対に楽だと思うんだけどなぁ。

「そうか? もったいない話だな……気が向いたらいつでも言え、客の紹介ならいくらでも出来るぞ」

「ありがとうございますっす、お気持ちだけいただくっすよ」

俺、数年後には上手く就活出来ずに悩む予定なんだけど、ミフユに頼めばどこかいいところを紹介してくれたりしないかなぁ。
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