冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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従者が管理するプレゼント (水月+ネザメ・ミフユ・サキヒコ・カサネ・リュウ・カンナ・ハル)

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希望者に与えられた二個目のケーキも誰もが食べ終えて、三段のケーキが乗せられていた皿はスポンジの破片やクリームを僅かに残すばかりとなった。

「もうみんな食べ終わったかな? それじゃあ僕の部屋に行こうか」

「……ネザメ、鳴雷くん、もうしばらくサキヒコを借りていてもいいかな?」

「どうする? 水月くん」

「えっ? いや、物じゃないので……貸すも借りるもないって言うか……サキヒコくんの好きにしたら、いいと思います……けど」

「……サキヒコ?」

「わ、私は……もう少し、主様と話したい」

「分かった。行っておいで」

サキヒコはこくりと頷き、老人が座る車椅子のハンドルを握った。

「私の部屋に行くにはね……」

案内を受けながらサキヒコは車椅子を押していく。俺達もネザメの案内を受け、彼の部屋へ向かった。



広い部屋、複数のソファ、椅子、クッション。とても大きなベッド。

「好きなところにかけてくれて構わないよ。ソファを少し増やしたから全員座れると思う。あぁ、荷物はその端にでも置いておくれ」

「じゃあ俺は、ネザメさんの隣に」

「水月くん……もう」

上座に置かれたソファに座ったネザメの隣に腰を下ろす。このソファは二人がけのようだ、俺達だけの場所だ。ネザメの腰に腕を回し、頬を赤らめて俯くネザメの横顔を楽しむ。

「ネザメ様、改めて……誕生日おめでとうございます。つまらない物ではございますが、ミフユからのお祝いの品を納めさせていただきます」

数分の談笑の後、頃合を見てミフユがネザメにプレゼントを差し出した。

「ミフユ……! ありがとう。開けてもいいかな?」

「はい、もちろん」

嬉しそうに丁寧に包装を開け、中身を取り出したネザメは目を丸くした。

「いっぱいあるねぇ、アロマオイルかい?」

十二種のアロマオイルがミフユからのプレゼントのようだ。

「ふふ、使うのが楽しみだよ。僕はどれが一番のお気に入りになるかなぁ、一緒に選んでねミフユ」

どう使用するにしろ、扱うのはミフユだ。多分ネザメにはアロマオイルの使い方は分からないだろう、俺もよく分からない。なんか割り箸みたいなのに染み込ませて部屋をいい香りにするとか、そんな感じ?

「ネザメ様、皆ネザメ様へのプレゼントを用意してきたようですよ」

「そうなの? 嬉しいなぁ。早く見たいよ」

「はい。次、誰か……」

「は、はいっ! お、俺……渡しますっ…………期待値低いうちに早めに渡しておきたいし」

ボソボソと本音を呟きながら、カサネが前に出る。

「おや、大きいねぇ。ありがとう……っと、軽いね。開けるよ?」

「あっ、ど、どうぞ……」

包装紙を丁寧に開けて取り出されたのは、ティッシュの詰め合わせだ。

「あぁ、これは……! ふふ、可愛い。僕このティッシュ好きだよ、パッケージが可愛くて。白くてふわふわの動物達が可愛いんだよねぇ」

「おー、セレブなティッシュや。使たことないわ」

「……! うさぎ……」

ティッシュのパッケージのウサギにカンナが反応している。可愛い。

「ありがとう繰言くん。親しくなり始めたばかりだと言うのにすまないね。急に誕生日パーティだなんて、ねだったみたいになってしまって」

「い、いや……全然、平気」

「そうかい? ありがとう。必ず使うものだからね、いただけるのはありがたいよ」

「いい選択だ繰言二年生。次は誰がネザメ様に贈り物をしてくれる?」

「ほな俺で。紅葉はん誕生日おめでとうございますー」

「ありがとう。開けるね」

リュウが渡した小さなプレゼントの中身は紅葉だった。ネザメの細い腰に回した腕の力を少し強め、傍でよく見てみると金属製であることが分かった。

「これは……ストラップかい?」

「根付です。和服着る時に使うやつです。黄銅製で、結構ええやつなんでっせ」

「根付……名前は知ってるけど、使い方はよく分からないなぁ。ミフユ、分かるかい?」

「はい」

「身に付ける物なんだよね? じゃあミフユに任せるよ。和服だったね、着る時には付けてみるよ」

「お任せ下さい」

戸鳴町の祭りにネザメ達は来るのだろうか、治安の悪い地域だし、来ないかもしれない。来るのだとしたら浴衣か何か着るだろうし、根付を身に付けた姿を早々に見られるかもしれないな。

「じゃ、次俺ね~。どーぞザメさん、誕生日おめでと~!」

ハルからのプレゼントはとても小さい。中身は……リップ? いや、口紅だろうか。

「ルージュで~す! 夏の新作! このメーカーのすっごい発色いいんですよ~。ザメさんに似合いそうな色選んだつもりなので、ぜひぜひ使ってくださ~い!」

「へぇ……化粧は経験がないのだけれど、これは唇に塗るだけで……特別な技術は必要ないのかな?」

「はい! リップとだいたい一緒です~。ってかザメさん化粧してないんだぁ、天然でそれとかヤバ~……自前睫毛? うわぁ……」

「眉はミフユが整えてくれているよ。ね、ミフユ。この、ルージュ? もミフユに任せようかな。はみ出してしまったらカッコ悪いからね」

今までのプレゼント、ティッシュ以外全てミフユ任せになっているな。ティッシュも使うのはほぼミフユだろうし……俺のプレゼントはどうなるだろう。やっぱりミフユが管理するのかな、とプレゼントを握り締め、包装紙がカサカサ音を立てた。
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