1,551 / 1,941
歳が近い者同士 (水月+カサネ・歌見・レイ)
しおりを挟む
アキとセイカは仲がいいだけ、恋愛関係にあるのはあくまで俺とだけ。恋愛感情が互いにないからこそあの距離感なのだと力説した。
「ほーん……アキちゃん、顔に似合わず怪力なんだ?」
「ええ」
「体幹もいい、と。それでアキちゃんは早苗ちゃんのお世話係。早苗ちゃんはアキちゃんの翻訳係。持ちつ持たれつ、ずっと一緒……なるほどねー」
力説の結果、カサネはアキとセイカの関係を正しく理解してくれた。
「で、セイカって自己肯定感えげつなく低いんで……アキが俺以外と仲良くしてると危機感あるのかああやって取り返すんですよね」
「ほへぇ~……え、自己肯定感低いの? 早苗ちゃん。へー、そうなんだ。コミュ力高いし、ロシア語話せるとか頭もいいんだろ? 自信持っていいのになぁ」
母親に常に完璧を求められてきた影響かな、なんて考えたりしては、セイカの母親への嫉妬と憎悪を溜め込む。よくない癖だと自分でも思う。
「よ、繰言……だったか? 隣いいか?」
先程までアキが座っていたカサネの隣に歌見がやってきた。手に持つ皿には小籠包や焼売などが乗っている。
「あっ、えっ、あっ、ぁ、はっ、は……ひゃいっ、どぞ……!」
「じゃあ俺ここー、っす。へへ、せんぱいと新入りくんの間~」
セイカが座っていた俺とカサネの間の席にはレイが座った。サンの世話から解放された歌見はレイと共に料理を選んでいたらしい。ちなみにレイは海鮮丼を作ってきたようだ、刺身やイクラが盛られている。米は……見えない。
「せんぱいっ、お刺身盛り盛りにしてきたっす。お裾分けするっすよ、好きに取って食べてくださいっす」
「いいのか? ありがとうなレイ、つまませてもらうよ」
知らない二人に挟まれて、カサネは身を縮こまらせている。それに歌見は初対面の相手に怖がられるタイプだ、何せ強面、三白眼、ガタイよし、アッシュグレーの染髪も怖い要素の一つかな?
「繰言、皿空だな。何か取りに行かないのか?」
「お刺身食べるっすか? せんぱいのために取ってきたっすけど、ちょっとくらいならあげてもいいっすよ」
「えっ、ぁ、や……いい、です」
「ガチガチだな。そりゃそうか、いきなりこんな大人数じゃなぁ。俺もまだ……こう、めっちゃ仲良いって感じの子……居ないし、っていいかほぼ歳下だし……接しにくい」
「俺はどうなんすか?」
「なんかぼっち同士つるんでる感じ」
「酷いっすね! 俺はみんなと仲良いんでぼっちじゃないっす、歌見せんぱいがお酒飲めるからこういう場では歌見せんぱい選んでつるんでるんすよ」
「そうだったのか……悪いな、あんまり飲まなくて」
「いえいえ、ちょっとでも付き合ってくれるだけで嬉しいっすから」
レイの手元のグラスには透き通った液体が注がれている。水ではないのだろう、日本酒か何かかな。
「えっ……? い、いくつ? 鳴雷くんより歳下だと……」
レイの飲酒にカサネは驚いた様子で顔を上げた。
「えー、嬉しいっすねぇ。若見えっすか俺。成人はしてるっすよ。まぁ、そんなに歳離れてないっす」
確かにレイは童顔だが、一番の要因は俺のこと先輩と呼んでいるからだろう。
「…………ぁ、あのっ、俺……来年から、お酒、飲める」
「マジすか? 嬉しいっす~、お酒付き合ってくれる子歌見せんぱいとサンさんしか居ないんすよ」
「十九か、水月と同じ学校じゃなかったか?」
「あ、留年……して、て。えっと、入院……とか、で」
「入院? そんな長期で? 大変だったな……もういいのか? 二十歳になったからって酒飲めるのか?」
「あっ、ぃ、今はもう全然……ぁ、肝臓、だいぶ取っちゃったから……ぉ、お酒、やっぱりダメかな?」
「お腹スカスカってことっすか? えーそれって体力とか……どうなんすか?」
カサネは自分の腹をさする。
「まぁ、大人しくしてる分には……大丈夫。運動は控えめに、かな。元々インドア派だから特に困ったことはない……」
「へぇー……えっち出来ないっすね、せんぱい」
「俺のセックスそんなに激しくないよ!」
「……そうかぁ?」
「先輩まで……!? え、疲れます? 俺の相手……」
猥談に花を咲かせ始めた俺達の中で、カサネは次第に顔を赤らめていき、俯き、縮こまっていった。
「あれ? カサネくん……あっ、まだ手ぇ出してないんすか?」
「ほぼ」
「あちゃー……それは、ちょっと申し訳ないことしたっすね。真っ赤っかっすよ」
「……ごめんな? 繰言。変な話して。えー、話変えようか、何話す? 木芽」
「俺に振るんすか? え、どうしよ……」
キョロキョロと辺りを見回し、話題を探すレイの耳元で「カサネはゲーム好きだ」と囁いてやった。
「……! カサネくん、ゲームとかやるっすか?」
「へ……? あ、ぅ、うん……そこそこ」
「お、マジか。それはありがたいな、水月のヤツこんなに彼氏集めてるくせにゲーム好きが居なくてなぁ、対戦とか張り合いがないんだよ」
「それは歌見先輩が弱過ぎるからっす。せめてアンコールやバトンタッチの強さを知ってから対戦しようって言って欲しいっすね」
「悪かったなほぼ旅パで! それ以外のゲームでもだよ」
「ウデマエ最大まで上げる、でんせつになる、この二つを達成して欲しいっす」
「たつじん2から全然上がれないんだよぉ……!」
「歌見先輩にチャージャーが渡った時の醜態ったら」
「なんでみんなアレ当てられるんだ?」
「あ、カサネくんはどんなゲームやってるんすか?」
「ぁ……えっ、と、今やってるのは──」
カサネはゲームのタイトルを羅列し始めた。ゲームの話なら彼が言葉に詰まることはない、俺でオタク慣れした歌見が早口長文語りにドン引きすることもない、任せて大丈夫だろうと判断した俺は料理を取るため別の彼氏と交流するため席を立った。
「ほーん……アキちゃん、顔に似合わず怪力なんだ?」
「ええ」
「体幹もいい、と。それでアキちゃんは早苗ちゃんのお世話係。早苗ちゃんはアキちゃんの翻訳係。持ちつ持たれつ、ずっと一緒……なるほどねー」
力説の結果、カサネはアキとセイカの関係を正しく理解してくれた。
「で、セイカって自己肯定感えげつなく低いんで……アキが俺以外と仲良くしてると危機感あるのかああやって取り返すんですよね」
「ほへぇ~……え、自己肯定感低いの? 早苗ちゃん。へー、そうなんだ。コミュ力高いし、ロシア語話せるとか頭もいいんだろ? 自信持っていいのになぁ」
母親に常に完璧を求められてきた影響かな、なんて考えたりしては、セイカの母親への嫉妬と憎悪を溜め込む。よくない癖だと自分でも思う。
「よ、繰言……だったか? 隣いいか?」
先程までアキが座っていたカサネの隣に歌見がやってきた。手に持つ皿には小籠包や焼売などが乗っている。
「あっ、えっ、あっ、ぁ、はっ、は……ひゃいっ、どぞ……!」
「じゃあ俺ここー、っす。へへ、せんぱいと新入りくんの間~」
セイカが座っていた俺とカサネの間の席にはレイが座った。サンの世話から解放された歌見はレイと共に料理を選んでいたらしい。ちなみにレイは海鮮丼を作ってきたようだ、刺身やイクラが盛られている。米は……見えない。
「せんぱいっ、お刺身盛り盛りにしてきたっす。お裾分けするっすよ、好きに取って食べてくださいっす」
「いいのか? ありがとうなレイ、つまませてもらうよ」
知らない二人に挟まれて、カサネは身を縮こまらせている。それに歌見は初対面の相手に怖がられるタイプだ、何せ強面、三白眼、ガタイよし、アッシュグレーの染髪も怖い要素の一つかな?
「繰言、皿空だな。何か取りに行かないのか?」
「お刺身食べるっすか? せんぱいのために取ってきたっすけど、ちょっとくらいならあげてもいいっすよ」
「えっ、ぁ、や……いい、です」
「ガチガチだな。そりゃそうか、いきなりこんな大人数じゃなぁ。俺もまだ……こう、めっちゃ仲良いって感じの子……居ないし、っていいかほぼ歳下だし……接しにくい」
「俺はどうなんすか?」
「なんかぼっち同士つるんでる感じ」
「酷いっすね! 俺はみんなと仲良いんでぼっちじゃないっす、歌見せんぱいがお酒飲めるからこういう場では歌見せんぱい選んでつるんでるんすよ」
「そうだったのか……悪いな、あんまり飲まなくて」
「いえいえ、ちょっとでも付き合ってくれるだけで嬉しいっすから」
レイの手元のグラスには透き通った液体が注がれている。水ではないのだろう、日本酒か何かかな。
「えっ……? い、いくつ? 鳴雷くんより歳下だと……」
レイの飲酒にカサネは驚いた様子で顔を上げた。
「えー、嬉しいっすねぇ。若見えっすか俺。成人はしてるっすよ。まぁ、そんなに歳離れてないっす」
確かにレイは童顔だが、一番の要因は俺のこと先輩と呼んでいるからだろう。
「…………ぁ、あのっ、俺……来年から、お酒、飲める」
「マジすか? 嬉しいっす~、お酒付き合ってくれる子歌見せんぱいとサンさんしか居ないんすよ」
「十九か、水月と同じ学校じゃなかったか?」
「あ、留年……して、て。えっと、入院……とか、で」
「入院? そんな長期で? 大変だったな……もういいのか? 二十歳になったからって酒飲めるのか?」
「あっ、ぃ、今はもう全然……ぁ、肝臓、だいぶ取っちゃったから……ぉ、お酒、やっぱりダメかな?」
「お腹スカスカってことっすか? えーそれって体力とか……どうなんすか?」
カサネは自分の腹をさする。
「まぁ、大人しくしてる分には……大丈夫。運動は控えめに、かな。元々インドア派だから特に困ったことはない……」
「へぇー……えっち出来ないっすね、せんぱい」
「俺のセックスそんなに激しくないよ!」
「……そうかぁ?」
「先輩まで……!? え、疲れます? 俺の相手……」
猥談に花を咲かせ始めた俺達の中で、カサネは次第に顔を赤らめていき、俯き、縮こまっていった。
「あれ? カサネくん……あっ、まだ手ぇ出してないんすか?」
「ほぼ」
「あちゃー……それは、ちょっと申し訳ないことしたっすね。真っ赤っかっすよ」
「……ごめんな? 繰言。変な話して。えー、話変えようか、何話す? 木芽」
「俺に振るんすか? え、どうしよ……」
キョロキョロと辺りを見回し、話題を探すレイの耳元で「カサネはゲーム好きだ」と囁いてやった。
「……! カサネくん、ゲームとかやるっすか?」
「へ……? あ、ぅ、うん……そこそこ」
「お、マジか。それはありがたいな、水月のヤツこんなに彼氏集めてるくせにゲーム好きが居なくてなぁ、対戦とか張り合いがないんだよ」
「それは歌見先輩が弱過ぎるからっす。せめてアンコールやバトンタッチの強さを知ってから対戦しようって言って欲しいっすね」
「悪かったなほぼ旅パで! それ以外のゲームでもだよ」
「ウデマエ最大まで上げる、でんせつになる、この二つを達成して欲しいっす」
「たつじん2から全然上がれないんだよぉ……!」
「歌見先輩にチャージャーが渡った時の醜態ったら」
「なんでみんなアレ当てられるんだ?」
「あ、カサネくんはどんなゲームやってるんすか?」
「ぁ……えっ、と、今やってるのは──」
カサネはゲームのタイトルを羅列し始めた。ゲームの話なら彼が言葉に詰まることはない、俺でオタク慣れした歌見が早口長文語りにドン引きすることもない、任せて大丈夫だろうと判断した俺は料理を取るため別の彼氏と交流するため席を立った。
0
お気に入りに追加
1,208
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集
夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。
現在公開中の作品(随時更新)
『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』
異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
R18禁BLゲームの主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成りました⁉
あおい夜
BL
昨日、自分の部屋で眠ったあと目を覚ましたらR18禁BLゲーム“極道は、非情で温かく”の主人公(総攻め)の弟(非攻略対象)に成っていた!
弟は兄に溺愛されている為、嫉妬の対象に成るはずが?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる