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推しの過剰摂取 (水月+ハル・リュウ・シュカ・歌見・レイ・カミア・カンナ)
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観音開きの扉が開いて現れるのは、全員俺の彼氏達。そうここは最高の空間。
「おはようございま~す! うっわすっごいご馳走! あっザメさんたんおめ~。みっつ~ん! おはよ~!」
一番に飛び込んできたのはハル。
「おはよ、ハル。今日も可愛いな、ドレスか?」
「シックでフォーマル~……えへへ、似合う?」
深い青色の袖のないドレスにフリルはない。上品な大人のものだ。その上にシースルーの白い上着を羽織っている。
「背中丸出しなんだよ~? セクシーでしょ、みっつんこういうの好き?」
「うっわエロっ! パッと見上品だけどド下品じゃん……!」
「背中出す分には上品なんです~。胸のガードは固いしぃ」
「胸なんもあれへんがな」
「当たり前でしょ! ないからガード固くすんの! じゃなきゃ女装が成り立たないじゃん」
リュウの前で胸を張ってポーズを決めるハルの後ろでは、歌見とシュカがネザメとミフユに挨拶をしている。歌見は白いシャツに黒いスラックス、シュカは……制服か? アレ。
「シュカ、制服着てきたのか?」
「ただの学生の誕生会とはいえ、紅葉さんのとなれば多少の正装は必要でしょう。襟のある服はこれくらいしかありませんから」
シュカの私服、全部あのゴシック体謎四文字熟語Tシャツなのかな。
「先輩もちゃんと今日はシャツの前閉めてるんですね。胸パツパツだけど……いつものボタン全開シャツは羽織るだけもたまりませんけどパツパツ雄っぱいも最高にえっちです」
「お前セクハラ以外話せないのか? ったく……お前も今日はいつもよりちゃんとしたカッコだな、大人っぽくてイイぞ。ドキッとする」
「え……ぁ、ありがとうございます……」
褒め返されると照れてしまう。上手く返事が出来ず、赤くなる顔を見られるのが恥ずかしくて俯くと、歌見は気まずそうに頭を搔いた。
「急に可愛くなるなよお前……」
「か、可愛くないですよ別にっ……ハル! 一緒に来たの三人だけか? カンナとかは?」
「うん、三人だけ~。しぐは別の車じゃない?」
何台出してくれてるんだろう。
「後ろにもう一台同じ車が着いてきていたので、すぐに来るはずですよ」
「えマジ? 気付かなかった」
シュカが言った通り、次のグループはすぐにやってきた。
「おはようございますっす。相変わらず豪華過ぎて緊張するっすね……うわっ、高級ホテルじゃないすか」
レイの服装はいつものパーカーとタイトなデニムだった。一応大人なのだからカジュアルかつフォーマルな服を持っていない訳でもないだろうに、今回着てくる発想はなかったのかな? 俺や他の彼氏達の服装を見て居心地悪くならないといいのだが。
「……おは、よう」
レイの後からそろそろと入ってきたのは──
「カミア!?」
──くるくるの可愛らしい天然パーマ、キラキラ輝くくりっくりの丸い瞳、間違いなくカミアだ。
「えっ、え……カ、カミア、来れたの?」
「……ハル、くん」
「ひゃわ……! あ……? んん……? しぐ?」
「メイク、してみた。どう?」
「…………しぐしぐかぁ~! びっくりしたぁ、そっくりそっくり、ヤバ~い! 可愛い~、流石双子~」
照れくさそうに前髪を弄るカミアにハルが駆け寄る。
「みっつんみっつん来て来て~、ほらしぐしぐカミアそっくり~。すごいよね~、可愛い~」
「……いや、カミアだろ?」
「だからぁ、メイクしたしぐなんだって。ねぇしぐしぐ~」
ハルはカミアの腕を抱き、水月は分かってないなぁとでも言いたげな目を俺に向けた。
「確かに話し方は寄せてるけど、カンナはもっと歩幅が狭い」
「メイクしたら自信つくもんねぇ~、歩幅くらい変わるって。っていうか歩幅って、みっつんキモ……」
「手の筋っぽさも違うな。一番は爪だ、カンナはこないだ切ったとこだ。ほら、ちょっと伸びてるだろ? 切り立ての爪しゃぶらせてもらったから間違いない」
カミアの手を取り、ハルによく爪を見せているとカミアは俺の手を払った。
「お兄ちゃんに何してるの!? みぃくんの変態!」
扉が少し開き、メカクレ美少年がそっと入ってくる。
「……ばれ、た?」
「お兄ちゃあん! 変態だよみぃくん」
「みー、くん。へんたい……だよ?」
なんで俺、大阪で夜這いされた時フタとヒト間違えたんだろ。絶対カンナとカミアより見分ける難易度低いのに……いや、見分ける必要があるとすら考えていなかったんだ、ヒトもくせっ毛だとか、ヒトが俺に夜這いをかける可能性とか、知らなかったから。と、言い訳しておこう。
「…………カミ、ア? え……ほ、本物?」
「ハルくん久しぶり! 相変わらず綺麗だね、モデルさんみたい。髪もつやつやだし……色んな事務所がほっとかないよ~、スカウトとか本当にされてないの?」
「……………………ふ」
目を見開いて固まっていたハルが突然脱力し、倒れ込む。俺が傍に居なければ膝を強打していただろう、間に合ってよかった。
「ハルくんっ? 大丈夫? どうしたの、貧血? 椅子持ってくるね!」
カミアが近くの椅子を取りに走る。
「…………ふぇ? えっ? ゃ……ダメダメダメカミアにそんなことさせらんないっ、ひぃ……足力入んない、立てないぃ……!」
カンナが少し背を曲げ、へたり込んでいるハルに顔を近付ける。
「……がんばれ★ がんばれ★」
「ふにゃあぁああ……!?」
「カンナ……!? これ以上はいけない!」
「がんばれハルくん♥」
「ぁ……あ……」
くたぁ、とハルの全身から力が抜けた。推しの過剰摂取だ、無理もない。
「おはようございま~す! うっわすっごいご馳走! あっザメさんたんおめ~。みっつ~ん! おはよ~!」
一番に飛び込んできたのはハル。
「おはよ、ハル。今日も可愛いな、ドレスか?」
「シックでフォーマル~……えへへ、似合う?」
深い青色の袖のないドレスにフリルはない。上品な大人のものだ。その上にシースルーの白い上着を羽織っている。
「背中丸出しなんだよ~? セクシーでしょ、みっつんこういうの好き?」
「うっわエロっ! パッと見上品だけどド下品じゃん……!」
「背中出す分には上品なんです~。胸のガードは固いしぃ」
「胸なんもあれへんがな」
「当たり前でしょ! ないからガード固くすんの! じゃなきゃ女装が成り立たないじゃん」
リュウの前で胸を張ってポーズを決めるハルの後ろでは、歌見とシュカがネザメとミフユに挨拶をしている。歌見は白いシャツに黒いスラックス、シュカは……制服か? アレ。
「シュカ、制服着てきたのか?」
「ただの学生の誕生会とはいえ、紅葉さんのとなれば多少の正装は必要でしょう。襟のある服はこれくらいしかありませんから」
シュカの私服、全部あのゴシック体謎四文字熟語Tシャツなのかな。
「先輩もちゃんと今日はシャツの前閉めてるんですね。胸パツパツだけど……いつものボタン全開シャツは羽織るだけもたまりませんけどパツパツ雄っぱいも最高にえっちです」
「お前セクハラ以外話せないのか? ったく……お前も今日はいつもよりちゃんとしたカッコだな、大人っぽくてイイぞ。ドキッとする」
「え……ぁ、ありがとうございます……」
褒め返されると照れてしまう。上手く返事が出来ず、赤くなる顔を見られるのが恥ずかしくて俯くと、歌見は気まずそうに頭を搔いた。
「急に可愛くなるなよお前……」
「か、可愛くないですよ別にっ……ハル! 一緒に来たの三人だけか? カンナとかは?」
「うん、三人だけ~。しぐは別の車じゃない?」
何台出してくれてるんだろう。
「後ろにもう一台同じ車が着いてきていたので、すぐに来るはずですよ」
「えマジ? 気付かなかった」
シュカが言った通り、次のグループはすぐにやってきた。
「おはようございますっす。相変わらず豪華過ぎて緊張するっすね……うわっ、高級ホテルじゃないすか」
レイの服装はいつものパーカーとタイトなデニムだった。一応大人なのだからカジュアルかつフォーマルな服を持っていない訳でもないだろうに、今回着てくる発想はなかったのかな? 俺や他の彼氏達の服装を見て居心地悪くならないといいのだが。
「……おは、よう」
レイの後からそろそろと入ってきたのは──
「カミア!?」
──くるくるの可愛らしい天然パーマ、キラキラ輝くくりっくりの丸い瞳、間違いなくカミアだ。
「えっ、え……カ、カミア、来れたの?」
「……ハル、くん」
「ひゃわ……! あ……? んん……? しぐ?」
「メイク、してみた。どう?」
「…………しぐしぐかぁ~! びっくりしたぁ、そっくりそっくり、ヤバ~い! 可愛い~、流石双子~」
照れくさそうに前髪を弄るカミアにハルが駆け寄る。
「みっつんみっつん来て来て~、ほらしぐしぐカミアそっくり~。すごいよね~、可愛い~」
「……いや、カミアだろ?」
「だからぁ、メイクしたしぐなんだって。ねぇしぐしぐ~」
ハルはカミアの腕を抱き、水月は分かってないなぁとでも言いたげな目を俺に向けた。
「確かに話し方は寄せてるけど、カンナはもっと歩幅が狭い」
「メイクしたら自信つくもんねぇ~、歩幅くらい変わるって。っていうか歩幅って、みっつんキモ……」
「手の筋っぽさも違うな。一番は爪だ、カンナはこないだ切ったとこだ。ほら、ちょっと伸びてるだろ? 切り立ての爪しゃぶらせてもらったから間違いない」
カミアの手を取り、ハルによく爪を見せているとカミアは俺の手を払った。
「お兄ちゃんに何してるの!? みぃくんの変態!」
扉が少し開き、メカクレ美少年がそっと入ってくる。
「……ばれ、た?」
「お兄ちゃあん! 変態だよみぃくん」
「みー、くん。へんたい……だよ?」
なんで俺、大阪で夜這いされた時フタとヒト間違えたんだろ。絶対カンナとカミアより見分ける難易度低いのに……いや、見分ける必要があるとすら考えていなかったんだ、ヒトもくせっ毛だとか、ヒトが俺に夜這いをかける可能性とか、知らなかったから。と、言い訳しておこう。
「…………カミ、ア? え……ほ、本物?」
「ハルくん久しぶり! 相変わらず綺麗だね、モデルさんみたい。髪もつやつやだし……色んな事務所がほっとかないよ~、スカウトとか本当にされてないの?」
「……………………ふ」
目を見開いて固まっていたハルが突然脱力し、倒れ込む。俺が傍に居なければ膝を強打していただろう、間に合ってよかった。
「ハルくんっ? 大丈夫? どうしたの、貧血? 椅子持ってくるね!」
カミアが近くの椅子を取りに走る。
「…………ふぇ? えっ? ゃ……ダメダメダメカミアにそんなことさせらんないっ、ひぃ……足力入んない、立てないぃ……!」
カンナが少し背を曲げ、へたり込んでいるハルに顔を近付ける。
「……がんばれ★ がんばれ★」
「ふにゃあぁああ……!?」
「カンナ……!? これ以上はいけない!」
「がんばれハルくん♥」
「ぁ……あ……」
くたぁ、とハルの全身から力が抜けた。推しの過剰摂取だ、無理もない。
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