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母に報告 (水月+ハル・セイカ)
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ハル、ミタマ、セイカもしくはアキと、最大四人同時プレイが可能なゲームで遊んだ。夕方頃になると母と義母が帰ってきた。
「せーかあとお願い。お義母さ~ん、初春です~、お邪魔してます~」
ハルがセイカにコントローラーを託し、挨拶に向かった。
「は!? これ両手居るタイプっ……!」
セイカはコントローラーを膝に乗せ、パソコンのキーボードを叩くように扱った。具体的には人差し指でスティックを、中指と薬指でボタンを……だがそれではLRボタンが押せない。
「最下位じゃんほら~……」
「善戦だったよ」
「……お前らも片手でやれよ。利き手じゃない方な」
「ちょっと左手に慣れてきたセイカ様が一番有利になる……!? まぁ、片手縛りってのもいいかもしんないな、今度やろう。今日はもう終わり、片付けとくからコントローラー貸して」
「ありがとう……」
《よろ~》
「よろしくなのじゃ」
コントローラーを三つ受け取り、片付けを始める。背後をアキとセイカが通り過ぎていく。
「みっつーん! みっつん来て~! みっつぅ~ん! 来、て~!」
ゲーム機の電源を落とし、ハルの元へ急ぐ。
「なんだ?」
「見て見て見て!」
ハルはじゃじゃーんと口で言いながら両手を母の方へ伸ばした。母を目立たせるような仕草だ。
「ん……?」
「変わったとこ! 分かるよねみっつん」
「変わったとこ」
母の何かが変わったと言いたいのだろうか。じっと母を見つめて頭を悩ませていると、ハルは深いため息をついた。
「髪型変わってるじゃん!」
「……え?」
「センターパートウルフカット! 超カッコ良~! 強そ~!」
「母さん前からそのくらいのショートだっただろ」
「今日美容院行ってきたんだって~、この髪型似合うとかヤバ過ぎ~。超強い~、ビジュ強~。尊敬しますぅ~」
「ありがとハルちゃん、水月は晩飯抜きね」
「そんな!? あっ、えっと、髪切りましたな!?」
「まぁ切ったのは切ったわよ。久々にカールも入れたわ。別に面倒臭い彼女みたいにすぐ気付けとは言わないし、アンタが何にも気付かないことに文句もないけど」
文句がないなら晩飯抜きなんて冗談言わないだろ。
「シルエットからして結構変わってんのに気付かないってアンタ、大丈夫? ハルちゃんよく髪型変えてるけど、こんなニブチンじゃつまんないでしょ」
「いえいえ~、みっつんは~、毛先揃えただけで髪切ったの気付いてくれますよ~? ポニテでも三つ編みでも~、俺ほぼ毎日髪型変えてるから分かりにくいはずなのに~……」
「そうなの? ふーん、じゃあ私に興味ないだけか……うわムカつくわねそれ」
本当に気付けなかったんだ、言い訳も何もする気はない。だが何故母親の髪型の変化に言及出来ないだけで不利益を被らなければならないのか、納得がいかない。
「ハルちゃん今日は泊まってくのよね」
「はい!」
「華やかになるわねぇ。水月が連れてくるのはみんな美形ばっかりだけど、ハルちゃんは特に華があるわ」
「え~、そんなぁ~、ありがとうございます!」
「褒めた時の反応もいいわぁ……可愛い可愛い、ふふふ。今度コーディネートさせてよ」
「え~! 是非~!」
母娘のようだな。当然顔は似ていないけれど。
(……あれ、これ……ママ上、ハル殿と話終わるまで晩ご飯作ってくださらない感じですか?)
催促したり、俺が勝手に始めたりすれば母は機嫌を悪くする。本当に晩飯の量が減らされるかもしれない。俺は大人しく椅子に座って待っていることにした。
「ん……? セイカ、何ため息ついてんだ?」
「え? あぁ、いや……ほら、紅葉の誕生日……どうしようかなって。秋風の誕生日は何とかなったけど、紅葉は……誤魔化しようがないだろ。鳴雷……内臓売れるとこ紹介してくれ。穂張の誰かに聞けば何とかなるだろ」
「体内にまで欠損作ってどうすんだ。俺もサンちゃん達もそんなとこ知らないし! もし知ってても絶対させないからな、セイカの体積は増えてもいいけど減っちゃダメだ!」
「……鳴雷はどうするんだ? 学生のバイトで買えるような物じゃ年積ストップかかって使ってもらえなさそうだぞ」
「俺も悩んでるよ……ネザメさんに聞くのは反則っぽいけどミフユさんに聞くのはセーフ感あるから相談しようと思ってる」
ネザメは俺が贈れば何でも喜びそうだから、真の難敵はプレゼントを検閲するだろうミフユの方だ。事前に基準を聞いておくのは大切だ。
ハルとの談笑を終え、母が夕飯を作る。俺は時折母に呼ばれ、皿運びなどを行った。
「いただきます」
「いただきまーす!」
ハルは母の料理も大変気に入った様子で、夕飯を終えた後で栄養バランスを崩さず食事量を減らし健康的に痩せる方法、なんてものを尋ねていた。ハルは今の状態から痩せること自体が不健康だとか、食事制限よりランニングでもすべきだとか、そんなことを母は言わなかった。ハルが拗ねずに聞き入れそうなアドバイスを的確に行っていた、流石だ……自堕落な俺を痩せさせた上で体型を保たせているだけのことはある。
「……母さん、ちょっと話したいことがあるんだけど」
ハルの相談に一段落ついた隙を見計らってそう切り出した。母は俺の表情から内容のシリアスさを察知し、表情を整えた。
「ぁ……アレ話す感じ? じゃあ、どうぞ~……」
内容を察したらしいハルが一歩下がる。俺はまず深呼吸をし、落ち着いてからネイについて話した。
「せーかあとお願い。お義母さ~ん、初春です~、お邪魔してます~」
ハルがセイカにコントローラーを託し、挨拶に向かった。
「は!? これ両手居るタイプっ……!」
セイカはコントローラーを膝に乗せ、パソコンのキーボードを叩くように扱った。具体的には人差し指でスティックを、中指と薬指でボタンを……だがそれではLRボタンが押せない。
「最下位じゃんほら~……」
「善戦だったよ」
「……お前らも片手でやれよ。利き手じゃない方な」
「ちょっと左手に慣れてきたセイカ様が一番有利になる……!? まぁ、片手縛りってのもいいかもしんないな、今度やろう。今日はもう終わり、片付けとくからコントローラー貸して」
「ありがとう……」
《よろ~》
「よろしくなのじゃ」
コントローラーを三つ受け取り、片付けを始める。背後をアキとセイカが通り過ぎていく。
「みっつーん! みっつん来て~! みっつぅ~ん! 来、て~!」
ゲーム機の電源を落とし、ハルの元へ急ぐ。
「なんだ?」
「見て見て見て!」
ハルはじゃじゃーんと口で言いながら両手を母の方へ伸ばした。母を目立たせるような仕草だ。
「ん……?」
「変わったとこ! 分かるよねみっつん」
「変わったとこ」
母の何かが変わったと言いたいのだろうか。じっと母を見つめて頭を悩ませていると、ハルは深いため息をついた。
「髪型変わってるじゃん!」
「……え?」
「センターパートウルフカット! 超カッコ良~! 強そ~!」
「母さん前からそのくらいのショートだっただろ」
「今日美容院行ってきたんだって~、この髪型似合うとかヤバ過ぎ~。超強い~、ビジュ強~。尊敬しますぅ~」
「ありがとハルちゃん、水月は晩飯抜きね」
「そんな!? あっ、えっと、髪切りましたな!?」
「まぁ切ったのは切ったわよ。久々にカールも入れたわ。別に面倒臭い彼女みたいにすぐ気付けとは言わないし、アンタが何にも気付かないことに文句もないけど」
文句がないなら晩飯抜きなんて冗談言わないだろ。
「シルエットからして結構変わってんのに気付かないってアンタ、大丈夫? ハルちゃんよく髪型変えてるけど、こんなニブチンじゃつまんないでしょ」
「いえいえ~、みっつんは~、毛先揃えただけで髪切ったの気付いてくれますよ~? ポニテでも三つ編みでも~、俺ほぼ毎日髪型変えてるから分かりにくいはずなのに~……」
「そうなの? ふーん、じゃあ私に興味ないだけか……うわムカつくわねそれ」
本当に気付けなかったんだ、言い訳も何もする気はない。だが何故母親の髪型の変化に言及出来ないだけで不利益を被らなければならないのか、納得がいかない。
「ハルちゃん今日は泊まってくのよね」
「はい!」
「華やかになるわねぇ。水月が連れてくるのはみんな美形ばっかりだけど、ハルちゃんは特に華があるわ」
「え~、そんなぁ~、ありがとうございます!」
「褒めた時の反応もいいわぁ……可愛い可愛い、ふふふ。今度コーディネートさせてよ」
「え~! 是非~!」
母娘のようだな。当然顔は似ていないけれど。
(……あれ、これ……ママ上、ハル殿と話終わるまで晩ご飯作ってくださらない感じですか?)
催促したり、俺が勝手に始めたりすれば母は機嫌を悪くする。本当に晩飯の量が減らされるかもしれない。俺は大人しく椅子に座って待っていることにした。
「ん……? セイカ、何ため息ついてんだ?」
「え? あぁ、いや……ほら、紅葉の誕生日……どうしようかなって。秋風の誕生日は何とかなったけど、紅葉は……誤魔化しようがないだろ。鳴雷……内臓売れるとこ紹介してくれ。穂張の誰かに聞けば何とかなるだろ」
「体内にまで欠損作ってどうすんだ。俺もサンちゃん達もそんなとこ知らないし! もし知ってても絶対させないからな、セイカの体積は増えてもいいけど減っちゃダメだ!」
「……鳴雷はどうするんだ? 学生のバイトで買えるような物じゃ年積ストップかかって使ってもらえなさそうだぞ」
「俺も悩んでるよ……ネザメさんに聞くのは反則っぽいけどミフユさんに聞くのはセーフ感あるから相談しようと思ってる」
ネザメは俺が贈れば何でも喜びそうだから、真の難敵はプレゼントを検閲するだろうミフユの方だ。事前に基準を聞いておくのは大切だ。
ハルとの談笑を終え、母が夕飯を作る。俺は時折母に呼ばれ、皿運びなどを行った。
「いただきます」
「いただきまーす!」
ハルは母の料理も大変気に入った様子で、夕飯を終えた後で栄養バランスを崩さず食事量を減らし健康的に痩せる方法、なんてものを尋ねていた。ハルは今の状態から痩せること自体が不健康だとか、食事制限よりランニングでもすべきだとか、そんなことを母は言わなかった。ハルが拗ねずに聞き入れそうなアドバイスを的確に行っていた、流石だ……自堕落な俺を痩せさせた上で体型を保たせているだけのことはある。
「……母さん、ちょっと話したいことがあるんだけど」
ハルの相談に一段落ついた隙を見計らってそう切り出した。母は俺の表情から内容のシリアスさを察知し、表情を整えた。
「ぁ……アレ話す感じ? じゃあ、どうぞ~……」
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