冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,461 / 2,303

母に報告 (水月+ハル・セイカ)

しおりを挟む
ハル、ミタマ、セイカもしくはアキと、最大四人同時プレイが可能なゲームで遊んだ。夕方頃になると母と義母が帰ってきた。

「せーかあとお願い。お義母さ~ん、初春です~、お邪魔してます~」

ハルがセイカにコントローラーを託し、挨拶に向かった。

「は!? これ両手居るタイプっ……!」

セイカはコントローラーを膝に乗せ、パソコンのキーボードを叩くように扱った。具体的には人差し指でスティックを、中指と薬指でボタンを……だがそれではLRボタンが押せない。

「最下位じゃんほら~……」

「善戦だったよ」

「……お前らも片手でやれよ。利き手じゃない方な」

「ちょっと左手に慣れてきたセイカ様が一番有利になる……!? まぁ、片手縛りってのもいいかもしんないな、今度やろう。今日はもう終わり、片付けとくからコントローラー貸して」

「ありがとう……」

《よろ~》

「よろしくなのじゃ」

コントローラーを三つ受け取り、片付けを始める。背後をアキとセイカが通り過ぎていく。

「みっつーん! みっつん来て~! みっつぅ~ん! 来、て~!」

ゲーム機の電源を落とし、ハルの元へ急ぐ。

「なんだ?」

「見て見て見て!」

ハルはじゃじゃーんと口で言いながら両手を母の方へ伸ばした。母を目立たせるような仕草だ。

「ん……?」

「変わったとこ! 分かるよねみっつん」

「変わったとこ」

母の何かが変わったと言いたいのだろうか。じっと母を見つめて頭を悩ませていると、ハルは深いため息をついた。

「髪型変わってるじゃん!」

「……え?」

「センターパートウルフカット! 超カッコ良~! 強そ~!」

「母さん前からそのくらいのショートだっただろ」

「今日美容院行ってきたんだって~、この髪型似合うとかヤバ過ぎ~。超強い~、ビジュ強~。尊敬しますぅ~」

「ありがとハルちゃん、水月は晩飯抜きね」

「そんな!? あっ、えっと、髪切りましたな!?」

「まぁ切ったのは切ったわよ。久々にカールも入れたわ。別に面倒臭い彼女みたいにすぐ気付けとは言わないし、アンタが何にも気付かないことに文句もないけど」

文句がないなら晩飯抜きなんて冗談言わないだろ。

「シルエットからして結構変わってんのに気付かないってアンタ、大丈夫? ハルちゃんよく髪型変えてるけど、こんなニブチンじゃつまんないでしょ」

「いえいえ~、みっつんは~、毛先揃えただけで髪切ったの気付いてくれますよ~? ポニテでも三つ編みでも~、俺ほぼ毎日髪型変えてるから分かりにくいはずなのに~……」

「そうなの? ふーん、じゃあ私に興味ないだけか……うわムカつくわねそれ」

本当に気付けなかったんだ、言い訳も何もする気はない。だが何故母親の髪型の変化に言及出来ないだけで不利益を被らなければならないのか、納得がいかない。

「ハルちゃん今日は泊まってくのよね」

「はい!」

「華やかになるわねぇ。水月が連れてくるのはみんな美形ばっかりだけど、ハルちゃんは特に華があるわ」

「え~、そんなぁ~、ありがとうございます!」

「褒めた時の反応もいいわぁ……可愛い可愛い、ふふふ。今度コーディネートさせてよ」

「え~! 是非~!」

母娘のようだな。当然顔は似ていないけれど。

(……あれ、これ……ママ上、ハル殿と話終わるまで晩ご飯作ってくださらない感じですか?)

催促したり、俺が勝手に始めたりすれば母は機嫌を悪くする。本当に晩飯の量が減らされるかもしれない。俺は大人しく椅子に座って待っていることにした。

「ん……? セイカ、何ため息ついてんだ?」

「え? あぁ、いや……ほら、紅葉の誕生日……どうしようかなって。秋風の誕生日は何とかなったけど、紅葉は……誤魔化しようがないだろ。鳴雷……内臓売れるとこ紹介してくれ。穂張の誰かに聞けば何とかなるだろ」

「体内にまで欠損作ってどうすんだ。俺もサンちゃん達もそんなとこ知らないし! もし知ってても絶対させないからな、セイカの体積は増えてもいいけど減っちゃダメだ!」

「……鳴雷はどうするんだ? 学生のバイトで買えるような物じゃ年積ストップかかって使ってもらえなさそうだぞ」

「俺も悩んでるよ……ネザメさんに聞くのは反則っぽいけどミフユさんに聞くのはセーフ感あるから相談しようと思ってる」

ネザメは俺が贈れば何でも喜びそうだから、真の難敵はプレゼントを検閲するだろうミフユの方だ。事前に基準を聞いておくのは大切だ。



ハルとの談笑を終え、母が夕飯を作る。俺は時折母に呼ばれ、皿運びなどを行った。

「いただきます」

「いただきまーす!」

ハルは母の料理も大変気に入った様子で、夕飯を終えた後で栄養バランスを崩さず食事量を減らし健康的に痩せる方法、なんてものを尋ねていた。ハルは今の状態から痩せること自体が不健康だとか、食事制限よりランニングでもすべきだとか、そんなことを母は言わなかった。ハルが拗ねずに聞き入れそうなアドバイスを的確に行っていた、流石だ……自堕落な俺を痩せさせた上で体型を保たせているだけのことはある。

「……母さん、ちょっと話したいことがあるんだけど」

ハルの相談に一段落ついた隙を見計らってそう切り出した。母は俺の表情から内容のシリアスさを察知し、表情を整えた。

「ぁ……アレ話す感じ? じゃあ、どうぞ~……」

内容を察したらしいハルが一歩下がる。俺はまず深呼吸をし、落ち着いてからネイについて話した。
しおりを挟む
感想 530

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 1000 Thank_You!!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...