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神秘の真実より口論の勝敗を (〃)
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何度か触れ合ったことのある唇。覚えのある柔らかさと厚み。知らない舌の長さと味。
「んっ……ん、ん」
これまで何度も不意打ちでキスをしてきたネイにとうとう舌まで入れられてしまった。どうしよう、全然嫌じゃない。むしろ嬉しい。
「……っ、はぁ……水月くん」
仕方がないじゃないか、一度は女性と結婚したのだから歳下の男になんて興味がある訳がないと諦めて、アピールすらしてこなかった憧れの人が、美しくて儚い未亡人が、彼の方からキスしてきてくれてるんだぞ?
「水月くん……私の想い、信じてくれますか?」
ネイの背後からサキヒコがジッ……と俺を睨んでいる。その眼力は凄まじく、背筋に寒気が走った。
「えっと……あの……」
信じられるかと聞かれれば即答で「いいえ」だ。しかし信じるかと聞かれると「はい」と言ってしまいそうになる。
「ダメ……ですか? 私の想いを信じてはくれませんか」
「あっ、いや……えっ、と」
「ミツキ! いい加減にしろ! 貴様一体何人恋人が居ると思っているんだ、こんな詐欺師に入れ込む必要なんてどこにもないだろう!」
「誰も誰の代わりにもならないんだよぉ! しょうがないだろみんな違ってみんないいんだ!」
「少しは聞き分けろ馬鹿者!」
「ぅう……」
サキヒコの忠告を聞くべきだと分かっている。でも、でも……! ネイさん美人なんだもん! しかもこう、なんて言うか……自分の魅せ方を分かっていると言うか、たまらないんだ。
(計算され尽くした顔の角度、視線の寄越し方……蠱惑的な態度を取ったかと思えば、捨て仔犬のような目を……ぅうぅ……慣れてまそ! 誘惑しなれてまそ! わたくしに好意とかぜって~嘘! はちゃめちゃに演技ですもん表情仕草全てが! 本当に好きな相手の前って緊張したり興奮したりでもうちょいブレ出るもんでそ、こんな完璧に魅力的なのはわたくしへの想いが嘘だからこそでそ)
たまに美人局だとかで聞く話、嘘だと分かっていても止まれないという馬鹿な男の話……理解してしまった、心で。いや、性欲で、と言うべきか? 本当に止まらないんだな、自分が怖い。一発抜いたら治まるかな?
(はっ……! そうだ、そうでそ、そうでしたぞ! 男にのみ存在する全てを解決する手段、射精! メンタルリセット、思考回路強制冷却、性欲一時消去、それが射精! そうと決まればオナニーでそ!)
よし、トイレで抜いてこよう。
「ふーっ……ちょっと、長話し過ぎましたね。トイレ行きますね」
「お待ちを、水月くん」
「人がトイレに行くのを止めるのはどうかと思いますけど」
「普通のトイレなら水月くんの仰る通りです」
いやらしい手つきで腰を撫でられる。ネイの骨張っているのに滑らかで美しい手は俺が硬直している間に俺の股間へと移っていく。
「あぁ……これは、ふふ、期待出来そう。いいものをお持ちですね、水月くん」
勃起した陰茎をズボンの上からなぞられ、力が抜ける。ネイはその隙を逃さず俺を俺のベッドの上に座らせた。
「ミツキに何をする! 離れろ! 離れろ詐欺師め!」
「サキヒコくん……でしたね。あなたはどうしてそんなに私を警戒するんです? 何を根拠に私の好意を嘘とするのですか?」
サキヒコに話しかけながらもネイは俺の股間をさする手を止めない。
「見れば分かるんだ。幽霊とはそういうものらしい、大まかな感情がぼんやりと色で分かる……貴様の色は嘘つきの色だ!」
「……確かに、私は嘘つきです。今こうしている間も嘘をついているのでしょう……しかし水月くんへの好意だけは本物なんですよ。あなたにそれを否定することは出来ませんよね? あなたは何となく、ぼんやりと、色などという曖昧なもので嘘を判別している…………なら、その嘘は何の嘘なんでしょう? 私は色んな嘘をついています、あなたの目に映る私の色とやらは水月くんへの好意は嘘だと示す絶対的な証拠になり得るのですか?」
「そ、それは……絶対、とは。だがっ、嘘つきに違いはない。嘘つきにミツキを触らせたくない!」
「そもそも嘘つきの色とは何でしょう? 嘘をつくと周囲の色が変わるなんてオカルトらしいものでしょうか、それとも嘘発見器のような仕組み? それとも共感覚と霊感の合わせ技のようなものなのでしょうか」
「感情が、見えるんだと思う……多分、私も……よくは、まだ」
「何をもって嘘つきの色としたんですか? 嘘つきをたくさん見て、その統計? 嘘をついた時の罪悪感だとかの色を知ってるんですか? だとしたら嘘をつく以外でも何か他の条件で同じ色が出る可能性もありますよね。サキヒコくん、改めて聞きます、私を嘘つきや詐欺師などと決め付けるだけの理由はあるんですか?」
「………………ない」
「論理的に説明も出来ない、科学的でもない、自分でもよく分かっていない力を元に言い切りなんて……どうかと思いますよ」
「……すみませんでした」
「以後お気を付けください」
「…………」
サキヒコは俯いて黙り込んでしまった。ネイは邪魔者は居なくなったとでもいいたげに、ズボン越しに俺の陰茎をしっかりと掴んだ。
「んっ……ん、ん」
これまで何度も不意打ちでキスをしてきたネイにとうとう舌まで入れられてしまった。どうしよう、全然嫌じゃない。むしろ嬉しい。
「……っ、はぁ……水月くん」
仕方がないじゃないか、一度は女性と結婚したのだから歳下の男になんて興味がある訳がないと諦めて、アピールすらしてこなかった憧れの人が、美しくて儚い未亡人が、彼の方からキスしてきてくれてるんだぞ?
「水月くん……私の想い、信じてくれますか?」
ネイの背後からサキヒコがジッ……と俺を睨んでいる。その眼力は凄まじく、背筋に寒気が走った。
「えっと……あの……」
信じられるかと聞かれれば即答で「いいえ」だ。しかし信じるかと聞かれると「はい」と言ってしまいそうになる。
「ダメ……ですか? 私の想いを信じてはくれませんか」
「あっ、いや……えっ、と」
「ミツキ! いい加減にしろ! 貴様一体何人恋人が居ると思っているんだ、こんな詐欺師に入れ込む必要なんてどこにもないだろう!」
「誰も誰の代わりにもならないんだよぉ! しょうがないだろみんな違ってみんないいんだ!」
「少しは聞き分けろ馬鹿者!」
「ぅう……」
サキヒコの忠告を聞くべきだと分かっている。でも、でも……! ネイさん美人なんだもん! しかもこう、なんて言うか……自分の魅せ方を分かっていると言うか、たまらないんだ。
(計算され尽くした顔の角度、視線の寄越し方……蠱惑的な態度を取ったかと思えば、捨て仔犬のような目を……ぅうぅ……慣れてまそ! 誘惑しなれてまそ! わたくしに好意とかぜって~嘘! はちゃめちゃに演技ですもん表情仕草全てが! 本当に好きな相手の前って緊張したり興奮したりでもうちょいブレ出るもんでそ、こんな完璧に魅力的なのはわたくしへの想いが嘘だからこそでそ)
たまに美人局だとかで聞く話、嘘だと分かっていても止まれないという馬鹿な男の話……理解してしまった、心で。いや、性欲で、と言うべきか? 本当に止まらないんだな、自分が怖い。一発抜いたら治まるかな?
(はっ……! そうだ、そうでそ、そうでしたぞ! 男にのみ存在する全てを解決する手段、射精! メンタルリセット、思考回路強制冷却、性欲一時消去、それが射精! そうと決まればオナニーでそ!)
よし、トイレで抜いてこよう。
「ふーっ……ちょっと、長話し過ぎましたね。トイレ行きますね」
「お待ちを、水月くん」
「人がトイレに行くのを止めるのはどうかと思いますけど」
「普通のトイレなら水月くんの仰る通りです」
いやらしい手つきで腰を撫でられる。ネイの骨張っているのに滑らかで美しい手は俺が硬直している間に俺の股間へと移っていく。
「あぁ……これは、ふふ、期待出来そう。いいものをお持ちですね、水月くん」
勃起した陰茎をズボンの上からなぞられ、力が抜ける。ネイはその隙を逃さず俺を俺のベッドの上に座らせた。
「ミツキに何をする! 離れろ! 離れろ詐欺師め!」
「サキヒコくん……でしたね。あなたはどうしてそんなに私を警戒するんです? 何を根拠に私の好意を嘘とするのですか?」
サキヒコに話しかけながらもネイは俺の股間をさする手を止めない。
「見れば分かるんだ。幽霊とはそういうものらしい、大まかな感情がぼんやりと色で分かる……貴様の色は嘘つきの色だ!」
「……確かに、私は嘘つきです。今こうしている間も嘘をついているのでしょう……しかし水月くんへの好意だけは本物なんですよ。あなたにそれを否定することは出来ませんよね? あなたは何となく、ぼんやりと、色などという曖昧なもので嘘を判別している…………なら、その嘘は何の嘘なんでしょう? 私は色んな嘘をついています、あなたの目に映る私の色とやらは水月くんへの好意は嘘だと示す絶対的な証拠になり得るのですか?」
「そ、それは……絶対、とは。だがっ、嘘つきに違いはない。嘘つきにミツキを触らせたくない!」
「そもそも嘘つきの色とは何でしょう? 嘘をつくと周囲の色が変わるなんてオカルトらしいものでしょうか、それとも嘘発見器のような仕組み? それとも共感覚と霊感の合わせ技のようなものなのでしょうか」
「感情が、見えるんだと思う……多分、私も……よくは、まだ」
「何をもって嘘つきの色としたんですか? 嘘つきをたくさん見て、その統計? 嘘をついた時の罪悪感だとかの色を知ってるんですか? だとしたら嘘をつく以外でも何か他の条件で同じ色が出る可能性もありますよね。サキヒコくん、改めて聞きます、私を嘘つきや詐欺師などと決め付けるだけの理由はあるんですか?」
「………………ない」
「論理的に説明も出来ない、科学的でもない、自分でもよく分かっていない力を元に言い切りなんて……どうかと思いますよ」
「……すみませんでした」
「以後お気を付けください」
「…………」
サキヒコは俯いて黙り込んでしまった。ネイは邪魔者は居なくなったとでもいいたげに、ズボン越しに俺の陰茎をしっかりと掴んだ。
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