冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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みちゅき出来ないの (〃)

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フタはベッドに寝転がり、妙に空いた隣のスペースをぽふぽふと叩いている。隣に来いと、一緒に寝ようと、誘っているのだ。

(ふ、ふざけんな……ふざけんなでそ!)

何もなければ二つ返事で飛び込んだだろう。腕枕でもせがんだかもしれない。ナニもなければ。

「勃ってるじゃないですか! 本当に寝れるんですか!?」

フタの陰茎は半勃ち、俺が丁寧に被せたコンドームをちゃんと着ている。まだ風呂に入っていないことは忘れたのか? ズボンと下着が半端に脱げたままなのはいいのか? 本当に寝る気なのか?

「なにぃみつき、眠くないの?」

「眠くないですよ! フタさん……眠いんですか?」

もし眠くて仕方ないのなら、もう一度フェラをして楽にしてやったら寝させてやろう。

「全然眠くない」

「じゃあえっちしましょうよぉお!」

「えっち? したいの?」

「したいです!」

「じゃあしよっかぁ。死体的に何すんの?」

「……ぐ、具体的? ですかね? えっと、俺に任せていただければと」

「みつきに任せんのね。OK~」

フタは起き上がって俺の傍に腰を下ろし、にっこりと笑った。

「あの、寝るってのは……」

「寝るの?」

「寝ないです寝ないです」

アラームが鳴ったことを忘れたのか? よし! フタが忘れっぽくてよかった。

「眠くないもんねぇ。なんか身体ぽかぽかする。上も脱いでいい?」

「えっ、あ、はい!」

ワクワクしながらフタがスウェットを脱ぎ捨てるのを見守る。ヒトやサンと同じ和彫りが現れて、ヒュッと息を呑む。体温が下がる。何を未だに怯えてるんだ、もう何回も見たのに。しっかりしろ俺。

「俺もなんか熱いです……脱ぎますね」

身体が妙に熱い。興奮しているせいだろうか。陰茎も痛いくらいに張っている。

「じゃあ……その、シます、ね」

「何を~?」

「お尻の開発を……ゃ、痛いしその前に抜いとかないとかな。あっそうだ、フタさんフェラしてくれませんか?」

「へら……」

「フェラですフェラ、フェ。俺のおちんちんしゃぶってください」

「え、やだ」

フタは露骨に嫌そうに眉を顰めた。素直に表情を変えるところはフタの魅力だが、今回ばかりは傷付いた。

「汚いじゃん」

「洗ってますよ!」

「やだ。きもい」

「お、俺はしてあげたのに……!」

「や!」

「ンンンンぎゃわゆいぃ、何もしなくていいです。俺が一生養う……」

ぷいっと顔を背けたフタのあまりに幼い仕草は俺の胸を射抜いた。心臓をときめきという名の矢で射抜かれるのは何度目だろう、もう穴だらけだ、多分原型残ってない。

「はぁあ心臓がボロ切れになる。フタしゃん……じゃ、じゃあ! 手コキ! おちんちん手でしこしこしてください、いつもしてるはずだしいいですよね?」

「しこ、しこ……する」

「手でこう……こうです!」

手で筒を作って上下に振ると、フタは「ああ!」と何かを思い出したように笑って頷いた。

「ヒト兄ぃに教えてもらったやつだ。たまにやる~」

忘れっぽいフタには自慰を教えるのも大変だっただろうな。いや、日常生活は送れているし仕事も出来ているみたいだから、動作は忘れないものなのかな? 俺が教えた「キスの時は頭に腕を回す」というのもずっと覚えてくれているし。

「みつき一人で出来ないの?」

「はっ!? ちっ……!」

違う! と反射的に叫んでしまいそうになったが、慌てて口を噤んだ。落ち着け俺、よく考えろ俺、最も得が多そうな返事は何だ?

「…………うん! みちゅき一人で出来ないの~!」

プライドを捨て、甘える。それが俺が選んだ選択肢、フタに甘やかされてイきたいというシンプルかつ強い欲望。

「そっか、おいで」

フタはサンのように赤ちゃんプレイだとかとしてではなく俺を甘やかしてくれる。自分も勃ちかけているくせに俺を優先して、俺を膝の上に乗せて、俺の陰茎を大きな手で扱いてくれる。

「んっ……」

優しい声色に反し、力は強い。体格や職業には似合っているけれど、この手癖は性格とは不一致に思える。

「……っ、あ……つよ、強いっ……」

扱くと言うより、搾る。中学の時に行った牧場見学、体験させられた乳搾りを思い出した。

「ぃ、た……痛いっ! 痛いです!」

これは愛撫じゃない、ただ射精を促すだけの作業だ。興奮出来ないほどの痛みに俺はフタの手を止めさせてしまった。リュウならこれでも悦べるのだろうか、俺は事務的なのにも興奮するはずだけどこれは痛過ぎる。

「……痛かった? ごめんねみつき。みつきちっちゃいし細いし弱いもんね、もっと優しくしなきゃかな」

「はい……面倒かけてごめんなさい」

俺は184センチでそれなりにガタイもいいし弱いはずないんだなんて、俺を包み込んでいるたくましい身体を感じながらでは言えなかった。

「こんくらい?」

「ん……はいっ、いい感じ……です」

「みつきちっちゃいのにここはおっきいね」

フタにとって自慰は、嬉し恥ずかし気持ちいい一人遊びの時間なんかじゃないのだろう。鬱陶しい生理現象をさっさと終わらせるだけの作業に過ぎないのだろう。

「はぁっ……フタさんの手、おっきくて、ごつごつしてて……カッコよくて、気持ちいいです」

趣味もない、オシャレも知らない、セックスやオナニーにもハマっていない。何が楽しくて生きているんだ、なんて無礼な疑問が一瞬浮かんだ。

「カカカカッ! 見たかさっちゃん! 猫じゃらしを細かく動かした時の動き……これ! これじゃ! 面白過ぎなのじゃ!」

「ふふっ、本当ですね、不思議な動き……ふふふっ」

扉の向こうから聞こえてくる二人の声が、フタの生き甲斐を示していた。そうだった、この人は猫を総数五匹も飼うほどの猫好きじゃないか。

「フタ、さんっ……も、イきそ……出ちゃいそう、です」

「あー待って待って、ティッシュ~……」

それにフタはしょっちゅうサンの家を訪ねている。猫と弟を可愛がる彼の人生は決して空虚なんかじゃない、趣味や快楽なんて必要ないほど充実しているんだ。

「……っ、く…………ふぅっ」

じゃあ、俺も必要ないのかな。なんて後ろ向きな発想は、賢者タイムよりも早く浮かんだ。
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