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行為の後は湯船で

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とんっ、とん、とちゅっ、とんっ、と結腸口を優しく突く。サンは細かな声は漏らしているが、表情はどこか焦れったそうだ。

「んっ、何……ぁんっ、んんっ……そこも、触りたいの? いいよ、水月好きだもんね……ひぁっ、ぁ、んん……」

サンの腰を両手でしっかりと支えている必要はなくなってきたように思えたので、左手を胸に移した。半分ほど墨が入った厚い胸筋の触り心地はやはりイイ、むちむちの歌見の胸ともハリが良過ぎるアキの胸とも違う、大人ゆえの肌と筋肉の柔らかさが指を捕らえて離さない。

「んっ、く……ふ、ぅうっ…………水月、水月……あぁ、いい顔してるね」

大きな手が顔を包む。表情を探られているようだ。表情筋に込める力の具合で作った顔はすぐにバレてしまう、正直に今の気持ちを顔に出そう。

「はっ……はぁっ……ん、くっ……んんっ、ボクのことっ、めちゃくちゃにしたいのに……ん、我慢してるって、顔……だっ」

「そんな顔してた?」

「うんっ、してる……ぁっ、ん……はぁっ、我慢やめた顔もっ、んっ……見たいけど、ボク見れるかなっ、ぁ、ふっ……めちゃくちゃに、されながらっ、んんっ……!」

「どうだろ……頑張って見てて。めちゃくちゃにしちゃうから」

何度も優しく突いたことで少し緩んだ結腸口に亀頭をぐっと押し当てる。

「んゔっ……! くっ……ふ、ゔぅっ、ん……ぁあっ!?」

ぐぽっ、と結腸口を越えた感覚があった。僅かに進んだところでサンの尻に腰が触れる。俺の陰茎はもう根元まで飲み込まれ、これ以上の挿入は不可能となった。

「この弁越えたところでギリかぁ……ぐぽぐぽは出来るね。じゃあ、動くよ」

ふぅふぅと荒い呼吸を繰り返し、返事をする余裕を失っているサンにそう声をかけ、俺は腰を振り始めた。今度は少し自分本位に、射精しやすいように動く。

「んっ、ぐゔっ!? ゔっ、ぁあっ! 待っ、んんっ! ぉ、ゔっ、ひっ……んんんっ!」

ぐぽぐぽと結腸口に連続で出入りしてやると、サンの表情と声色が変わった。

「んんんぅっ……ご、れっ、やばいっ! 待っでぇっ、背骨っ、揺れ、びりびりっでぇっ! 頭っ、まで、あだまっ……ぁあっ! ぉがっ、ひぐ、なる、ぅ、ゔぅっ、ぁ、ぁあああっ!」

「……っ、は……はぁっ…………それが、サンの本気のイキ顔なんだね。正常位最高っ、やっぱ顔見える方が好きだな」

「か、ぉっ? がおぉっ……水月、のっ」

大きな手が俺の顔を挟む。力加減が上手く出来ていない、後頭部に回った中指と薬指は頭皮を引っ掻いているし、人差し指も額を引っ掻いているし、親指なんて目玉を潰してしまいそうだ。

「みひゅぎ……んゔっ! くっ、ぁ……あぁっ! ぁ、ひっ……ィぐっ、にゃんがぁっ、変なイき方するぅゔっ……!」

「痛い痛い痛い……変なイき方? 奥イキ出来そうなのかな、だったらこの辺イイんじゃない?」

結腸口を越えて、カリをその大きな弁に引っ掛けて揺さぶる。こうすれば内臓全てを揺らされているように感じるはずだ。これが気持ちよく感じられるかどうかは人による、気持ち悪くなって吐いてしまう者も居るそうだ。

「あ、あっ、あぁああああっ!?」

身体を仰け反らせ、全身を震わせ、俺の顔を掴んでいた手をぱたりと落とす。下半身を中心に未だ痙攣を続けるサンは、開いたままになってしまっている口から涎を垂らした。

「んっ……」

結腸イキの激しい締め付けに耐え切れず、俺も絶頂を迎えていた。萎えた陰茎をゆっくりと抜き、たっぷりと精液を溜めたゴムを処理した。

「……サン」

口元に垂れた唾液を舐め取り、その舌を開いたままの口にねじ込む。サンは一瞬ピクリと身体を震わせたが、それだけだ、俺の舌に口内を好きに蹂躙させた。

「お水飲む? もう少し休んだらお風呂入ろっか」

「…………ぅん」

口移しで水を飲ませて、小休止。大きく重たい身体に肩を貸し、俺とサンはよろよろとシャワールームへ向かった。

「はぁ~…………つっ、かれたぁ」

陰茎に絡んだ微かな精液と、全身を覆った汗を流し、湯船に浸かったサンは浴槽の縁に頭を置いてそう言った。

「気持ちよかった? 腰はどう?」

「ちょ~気持ちよかった~! 腰は~……全身疲れて分かんない、特別痛くはないから大丈夫かな~……?」

「そっか、よかった」

「…………水月は? どうだった? ボクと」

「最高だったよ。気持ちよかった。いつもより早く出しちゃったかも。サン、鍛えてるからかな、締まり良くってさぁ」

「ふぅーん……」

サンは満足げにニンマリとした笑みを浮かべている。

「…………あ、ねぇ水月、来週の日曜日……九月、えー、十五日? この戸鳴町でお祭りあるの知ってる? 夜店いっぱい出る夏祭り」

「あ、うん。ハルが前から楽しみにしてる」

「そっかぁ、じゃあ来るんだね。ボクも兄貴と回る予定だったからさぁ、会えたら会おうよ」

「うん! サン、浴衣とか着てきてくれる?」

「え? 浴衣? 普通に普段着のつもりだったけど……浴衣、見たい?」

「めちゃくちゃ見たい!」

「そっかぁ~……じゃあ用意しとくよ」

「ほんとっ? 楽しみ、俺も甚平か何か着てく予定なんだ」

「へぇ、いいねぇ」

浴槽の縁に頭を預けたままのサンと夏祭りの約束をして、途中湯船に入る役を交代しつつ髪と身体を洗って浴室を後にした。

「みぃ~つきぃ~、髪して~」

「言うと思ったし、したいと思ってたよ。椅子持ってくるね」

洗面所にやや強引に椅子を持ち込み、サンの髪の手入れを始める。長く多い髪は乾かすのに常人の数倍の時間がかかる上、サンは背が高いから、髪の手入れをするには座ってもらわなければならないのだ。

「水月に髪してもらうのが一番好きなんだ」

「光栄だよ。俺もサンに髪任されるのすごく好き」

「二番目はフタ兄貴ね」

「ふふ、微笑ましい光景だね。撮っておきたいよ」

毛先が床につかないようにタオルを敷いて、ブラシを通しながらゆっくりと乾かしていく。ドライヤーを使う時は温風と冷風を切り替えながら、というのがコツだ。櫛の通りが良くなる気がする。

「……ねぇ、水月」

「ん?」

「水月がヒト兄貴にまで手ぇ出すとは思わなかったよ」

「……あぁ、うん。俺も意外だよ、最初はそんな気なかったし……でも、可愛い人だ。付き合ってよかったよ」

「不倫なのに?」

「…………うん」

「そう……水月が泣いちゃうような結果にならないといいけど。もしそうなったらボク、兄貴殺しちゃう」

「あはは……泣きそうになっても堪えなきゃね。サンにお兄ちゃん殺させる訳にはいかないや」

髪を乾かし終えて最後の仕上げ、サンお気に入りの櫛で生え際から毛先まで愛でながら梳いていく最中、そんな話をした。
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