1,413 / 2,054
描けないくらいの快感を
しおりを挟む
思い切りイかせまくってと言ったくせに、サンは一度絶頂を迎えるとその後の刺激を嫌がった。今は前立腺を陰茎でぐっと押したまま動かず、会陰を揉んで両側から刺激してやっているのだが、甘えた声には「だめ」や「待って」が多く混じっている。
「や、ぁあんっ……! んっ、はぁ、あっ、やだ、だめっ、だめぇ……イったんだって今ぁっ」
初めてのサンには連続絶頂は刺激が強過ぎるかもしれない。でも俺は手を止めなかった、丁寧に、苦痛だけは与えないように、慎重に快楽を注いでいった。
「はっ、ぁ、あぁあっ……! イくっ、イくぅっ、また出ちゃう……イっ、んぅゔゔっ……!」
サンは画家だ、俺への恋愛感情もセックスの快感も全て絵の糧にしようとしている。俺はそれが気に入らない。俺だけに向けられているサンの可愛い想いが、俺とサンの間だけにある快楽が、絵に昇華され不特定多数の人間に見られたりどこかの金持ちの家に飾られたり投資や税金対策に使われるなど、あってはならない。
「み、つきぃ……みつきっ、ボク……二回もイったよ? もう、いいよねっ? 一旦休も?」
「……だ、め」
「ひぁあっ!? なんでぇっ……ぁ、あぁっ! ぁ、たまっ、びりびりするっ、ばかになるぅっ、だめこれ絵ぇ描けないっ、覚えてらんないぃっ! だめらってぇ、あっ、あぁあーっ……!」
絵画に昇華するなんて高等なことやらせてやるものか、俺の下卑た欲望はサンの快楽としてサンだけが消費するべきなんだ。俺はサンだけを楽しませたいんだ。
「あだまっ、ばちばちする……あいでぃあ、ぎえるぅっ……ゃ、あっ、あぁあーっ! イくっ、またイっちゃ、ぁ、あっ……ああぁっ!」
「はぁ……サン、俺ももうっ……出る。くっ……! ふぅっ……」
俺は独占欲のままにサンを抱き、彼の中で精液を吐き出した。まぁ、コンドームをつけているから中出しではないのだが……それでも痙攣する腸壁に包まれたままの射精というのはいいものだ。
「んっ……! はぁ……」
射精を遂げたばかりの敏感な陰茎をキツく締め付ける後孔から抜いていくのは刺激が強い。思わず声を漏らしてしまった。
「……サン、少し楽にしてていいよ」
返事はなかったが、サンは四つん這いをやめてベッドに寝転がった。厳つい和彫りで彩られた身体が、白いシーツに拡がったぬばたまの黒髪の上に放り出されている様はかなり芸術的だ。芸術よく分かんないけど。
「髪下敷きにしちゃってるよ、サン」
「ん~……」
「……身体つらい? ごめんね、初めてなのにシ過ぎちゃった」
「ほんとだよぉ……ボクやめてって言ったのに~。はぁ……気持ちよかったけどさぁ、なんか……繊細な感想、吹っ飛んじゃった……」
「絵、描けそう?」
「大した出来にならなさそうかな~」
ガッツポーズをしてしまいそうだ。これでサンとの時間は俺達のものだけになった。しかし一度射精を遂げて賢者タイムに入ると、サンの望みを無視し独占欲を優先させた自分自身にかなりの嫌悪感を抱いてしまう。
「ごめんね……描きたいって言ってたのに」
「……何、ふふ、結構気にしちゃってる感じ? いいよ全然」
サンはまだ上手く力が入らないらしい身体を、腕も使って無理矢理起き上がらると、俺にもたれかかるように抱きついてきた。
「気にしないでいいよ、水月。一個ネタ潰れたくらいなんてことない。それに……あまりにも気持ち良過ぎて絵に出来ないなんて、ふふ、逆によくない? 水月との思い出が誰にも見られずに済むしね~、ふふふふ……ボク達だけの思い出だね」
最初は絵にしようとしていたくせに、サンは俺と同じ思考も持っていた。俺はそれが嬉しくて彼を強く抱き締め返した。
「はぁっ……はぁ…………鳴雷、さん? まだ勃ってますよね……次、次私の番ですよねっ? いっぱい我慢しましたよ、待ってました……さ、抱いてください。鳴雷さん」
サンと抱き合っているとピクピクと身体を震わせながら、顔を真っ赤にしたヒトが蕩けた表情で俺を求めてきた。
「……水月まだ勃ってるの? わ、ほんとだ」
わしっ、と大きな手に陰茎を掴まれる。サンから抜いてすぐにゴムを処理したので、サンの手のひらの感触や温度が直に伝わってきて興奮が高まった。
「じゃ、二回戦しよっか水月ぃ」
「はぁ……!? 次は私の番です! 待ってたんですよ私!」
「ボクの番まだ終わってない! セックスが一発出すだけなんて味気ないよね水月っ、ボクはいっぱいイったし水月もボクでいっぱいイってくれなきゃ。ほらほら水月ぃ、もっかいシよっ」
「離れなさい! 次は私です! 誰が部屋代出してると思ってるんですか!」
「ここはラブホじゃないんだけどぉ~?」
「分かってますよ! だから泊まりの予約ではないんです。レストランで食事をして、ここでゆっくり語り合って……いい風呂に入って、それで、事務所でしてもらおうと……」
「じゃあ兄貴はまた今度でいいじゃん。水月もまたすぐ出したいよね、ヤりたてほやほや即挿入可のボクのがいいだろ? 兄貴とヤるってなったらまた長々とほぐさなきゃなんだよ? ボクがいいよね~」
「鳴雷さん、連続で処女とヤれるなんて男の夢じゃないですか? 私がいいですよね! 私我慢したんですよ!?」
「処女なんて面倒臭いだけだよねぇ水月、一回ヤった相手の方が勝手も分かってるしぃ……気持ちよくしてもらったお礼に、今度はボク頑張って水月気持ちよくしてみせるよ」
「私だってがんばりますぅ! 鳴雷さぁん! 私にしてくださいよぉ!」
「あーぁーなんか泣きそうだよこのアラサー。やだよね~! こんな重くて面倒臭い男! 捨てちゃえ捨てちゃえ、重くなくて面倒臭くもないボクだけにしちゃえ水月ぃ」
「やだぁ! 捨てないでください鳴雷さん! 私を捨てたらフタを殺して死んでやる!」
「なんで兄貴巻き込むんだよ関係ないだろ! そういうとこホント嫌い!」
また大喧嘩が始まってしまった。
(……サンさん、結構重いし面倒臭い男でしょう。頻繁にわたくしを殺すと脅しますし、ハサミ向けますし、監禁しますし、首絞めますし)
どう止めようかな。平等に次はヒトの番だと言ってヒトを喜ばせて、サンには我慢してもらうか……ヒトに追加の我慢を言いつけて俺のスムーズな射精とサンの機嫌を優先するか、そのどちらかを選択しなくては。
「や、ぁあんっ……! んっ、はぁ、あっ、やだ、だめっ、だめぇ……イったんだって今ぁっ」
初めてのサンには連続絶頂は刺激が強過ぎるかもしれない。でも俺は手を止めなかった、丁寧に、苦痛だけは与えないように、慎重に快楽を注いでいった。
「はっ、ぁ、あぁあっ……! イくっ、イくぅっ、また出ちゃう……イっ、んぅゔゔっ……!」
サンは画家だ、俺への恋愛感情もセックスの快感も全て絵の糧にしようとしている。俺はそれが気に入らない。俺だけに向けられているサンの可愛い想いが、俺とサンの間だけにある快楽が、絵に昇華され不特定多数の人間に見られたりどこかの金持ちの家に飾られたり投資や税金対策に使われるなど、あってはならない。
「み、つきぃ……みつきっ、ボク……二回もイったよ? もう、いいよねっ? 一旦休も?」
「……だ、め」
「ひぁあっ!? なんでぇっ……ぁ、あぁっ! ぁ、たまっ、びりびりするっ、ばかになるぅっ、だめこれ絵ぇ描けないっ、覚えてらんないぃっ! だめらってぇ、あっ、あぁあーっ……!」
絵画に昇華するなんて高等なことやらせてやるものか、俺の下卑た欲望はサンの快楽としてサンだけが消費するべきなんだ。俺はサンだけを楽しませたいんだ。
「あだまっ、ばちばちする……あいでぃあ、ぎえるぅっ……ゃ、あっ、あぁあーっ! イくっ、またイっちゃ、ぁ、あっ……ああぁっ!」
「はぁ……サン、俺ももうっ……出る。くっ……! ふぅっ……」
俺は独占欲のままにサンを抱き、彼の中で精液を吐き出した。まぁ、コンドームをつけているから中出しではないのだが……それでも痙攣する腸壁に包まれたままの射精というのはいいものだ。
「んっ……! はぁ……」
射精を遂げたばかりの敏感な陰茎をキツく締め付ける後孔から抜いていくのは刺激が強い。思わず声を漏らしてしまった。
「……サン、少し楽にしてていいよ」
返事はなかったが、サンは四つん這いをやめてベッドに寝転がった。厳つい和彫りで彩られた身体が、白いシーツに拡がったぬばたまの黒髪の上に放り出されている様はかなり芸術的だ。芸術よく分かんないけど。
「髪下敷きにしちゃってるよ、サン」
「ん~……」
「……身体つらい? ごめんね、初めてなのにシ過ぎちゃった」
「ほんとだよぉ……ボクやめてって言ったのに~。はぁ……気持ちよかったけどさぁ、なんか……繊細な感想、吹っ飛んじゃった……」
「絵、描けそう?」
「大した出来にならなさそうかな~」
ガッツポーズをしてしまいそうだ。これでサンとの時間は俺達のものだけになった。しかし一度射精を遂げて賢者タイムに入ると、サンの望みを無視し独占欲を優先させた自分自身にかなりの嫌悪感を抱いてしまう。
「ごめんね……描きたいって言ってたのに」
「……何、ふふ、結構気にしちゃってる感じ? いいよ全然」
サンはまだ上手く力が入らないらしい身体を、腕も使って無理矢理起き上がらると、俺にもたれかかるように抱きついてきた。
「気にしないでいいよ、水月。一個ネタ潰れたくらいなんてことない。それに……あまりにも気持ち良過ぎて絵に出来ないなんて、ふふ、逆によくない? 水月との思い出が誰にも見られずに済むしね~、ふふふふ……ボク達だけの思い出だね」
最初は絵にしようとしていたくせに、サンは俺と同じ思考も持っていた。俺はそれが嬉しくて彼を強く抱き締め返した。
「はぁっ……はぁ…………鳴雷、さん? まだ勃ってますよね……次、次私の番ですよねっ? いっぱい我慢しましたよ、待ってました……さ、抱いてください。鳴雷さん」
サンと抱き合っているとピクピクと身体を震わせながら、顔を真っ赤にしたヒトが蕩けた表情で俺を求めてきた。
「……水月まだ勃ってるの? わ、ほんとだ」
わしっ、と大きな手に陰茎を掴まれる。サンから抜いてすぐにゴムを処理したので、サンの手のひらの感触や温度が直に伝わってきて興奮が高まった。
「じゃ、二回戦しよっか水月ぃ」
「はぁ……!? 次は私の番です! 待ってたんですよ私!」
「ボクの番まだ終わってない! セックスが一発出すだけなんて味気ないよね水月っ、ボクはいっぱいイったし水月もボクでいっぱいイってくれなきゃ。ほらほら水月ぃ、もっかいシよっ」
「離れなさい! 次は私です! 誰が部屋代出してると思ってるんですか!」
「ここはラブホじゃないんだけどぉ~?」
「分かってますよ! だから泊まりの予約ではないんです。レストランで食事をして、ここでゆっくり語り合って……いい風呂に入って、それで、事務所でしてもらおうと……」
「じゃあ兄貴はまた今度でいいじゃん。水月もまたすぐ出したいよね、ヤりたてほやほや即挿入可のボクのがいいだろ? 兄貴とヤるってなったらまた長々とほぐさなきゃなんだよ? ボクがいいよね~」
「鳴雷さん、連続で処女とヤれるなんて男の夢じゃないですか? 私がいいですよね! 私我慢したんですよ!?」
「処女なんて面倒臭いだけだよねぇ水月、一回ヤった相手の方が勝手も分かってるしぃ……気持ちよくしてもらったお礼に、今度はボク頑張って水月気持ちよくしてみせるよ」
「私だってがんばりますぅ! 鳴雷さぁん! 私にしてくださいよぉ!」
「あーぁーなんか泣きそうだよこのアラサー。やだよね~! こんな重くて面倒臭い男! 捨てちゃえ捨てちゃえ、重くなくて面倒臭くもないボクだけにしちゃえ水月ぃ」
「やだぁ! 捨てないでください鳴雷さん! 私を捨てたらフタを殺して死んでやる!」
「なんで兄貴巻き込むんだよ関係ないだろ! そういうとこホント嫌い!」
また大喧嘩が始まってしまった。
(……サンさん、結構重いし面倒臭い男でしょう。頻繁にわたくしを殺すと脅しますし、ハサミ向けますし、監禁しますし、首絞めますし)
どう止めようかな。平等に次はヒトの番だと言ってヒトを喜ばせて、サンには我慢してもらうか……ヒトに追加の我慢を言いつけて俺のスムーズな射精とサンの機嫌を優先するか、そのどちらかを選択しなくては。
21
お気に入りに追加
1,244
あなたにおすすめの小説



【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる