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段違いのデレの威力
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バイクを買ってあげたことで俺の愛情が確かな物だと改めて実感してくれたらしいシュカは、まだまだ照れは残るもののデレデレになってくれた。
「み、水月……あーん」
「ひょええ!?」
「あなたがこういうの好きそうだからやってみてるのに! いちいち驚かないでください! ほらあーん!」
「ごめんごめん痛っ、痛いってスプーンが歯にガチャガチャ、痛っ」
一緒に作った山盛りの炒飯をアーンで食べさせてくれるほどだ。学校でのクールな態度や、俺が抱きつけば殴ってくることもあった人前での乱暴さからのギャップがすごい。死ぬ。シュカと死なないって約束したばっかりなのに死んじゃう。
(……死ぬな、忘れるなって、前にもシュカたまに言われましたけど……やっぱり、大親友なセフレくんが死んだのと、お母様がボケちゃったのが……トラウマ的なのになってるんですよな)
イチャつくのを嫌がったり、あまり甘えたり頼ったりしてくれなかったのは、俺がいつかその二人と似たようなことになってシュカとの関わりが途切れてしまった際に、傷付かないようにという自己防衛だったのだろうか。
「水月、あーん」
「あ~ん! ん~……シュカに食べさせてもらった方が美味しい~! もう俺今後一切食器持てない呪いかけられてもいい~!」
今極小の隕石が振ってきて俺の脳天を貫く可能性はゼロじゃない、病気や事故で記憶を失うことは絶対にないと確約することは出来ない。それなのにシュカがこんなにもデレてくれているのは……どういうことなのだろう。
「……そんな呪い、ダメですよ」
「あ、だよなっ。シュカ疲れちゃうよなぁ、自分の分冷めちゃうし」
「…………私だって、水月にアーンして欲しいです」
経った今までシュカが握っていたスプーンが、俺の手に移された。俺は汽笛のような奇声を上げ、震える手でシュカにアーンをしてあげた。
「ん…………ふふ、別に味変わりませんよ? でも幸福感はありますね、これが水月の言う増した美味しさですか? ねぇ水月……も、もう一回、してください」
「いくらでもォ!」
死なない、忘れない、そう口約束しただけでそれが絶対に起こらないなんてことはない。それなのにシュカは自己防衛を捨てて俺にデレてくれている。これはきっと、もう一度傷付いてもいいと思ってくれたからだ。
「しっかしシュカ、この胡椒とガーリックの効いた味付けイイわぁ……今まで食べた炒飯の中で一番好きかも」
「水月の焼き方だってすごくいいですよ、パラッパラで美味しいです」
あくまで俺の考えだけれど、シュカはいつか俺を失った時の傷を浅くするよりも、今俺と仲を深める幸せを選んでくれたんだ。将来負うかもしれない傷が深くなることよりも、俺に愛を注ぐことを優先してくれた。
「俺ら最強~。これからも炒飯を作っていこうぜ」
「ピラフも焼いてみて欲しいです」
照れ隠しにちょっと乱暴になることはあっても、シュカはそっぽを向かなくなった。照れた顔も緩んだ笑顔も見せてくれる。そうすれば俺が喜ぶことを知ってくれた、羞恥心よりも俺を喜ばせることを選んでくれている。
「餃子もいいなぁ。シュカのおててがコネコネした物とか食べた過ぎる」
「羽根は大きいのがいいです」
シュカからの愛情が深くなったのを感じる。いや、今まで隠していたけれど、とうとう溢れてしまったからもう隠さずに俺を溺れさせてくれるようになった、と言った方が正しいのかな。
「中華ばっかりになっちゃったな、シュカ中華好き?」
「経験上、中華料理屋が一番コスパがいいんですよね。だから外食となると中華ばかり食べていて……他はあまり深くは知らないんですよ」
「そっか、じゃあ俺家で出来るイタリアンとかフレンチの料理何個か見繕っておくよ。今度一緒に作ってみよう。シュカの大好物見つけよう!」
「はい。水月は自分の大好物を見つけられているんですか?」
「俺? 俺はね……ん~…………出前ならピザ、外食なら焼肉、家庭料理なら……カツカレー、かな。いや肉じゃが、シチューも……ハンバーグもっ、くぅう……いや極論一番美味いのはおにぎりとウィンナーと卵焼きの三連星。ぐぅうう……! 一番は決められない!」
悩み抜いた末に一番を決められなかった俺を、シュカはくすくすと笑って眺めている。
「私達と同じですね。綺麗どころを集めておいて、一番は決めずその日の気分で食べまくって……ふふっ、贅沢者」
「か、彼氏のことか? そこだけ聞くとその通りだけどさ~……飯とはまた別だよ」
「私は大好物を一つに絞りますよ。何になるか楽しみです、一緒に探してくださいね」
「…………それシュカは俺に一途でいるってことか? もぉ……殺し文句だなぁ。一緒に探しても結構な殺し文句なのに……婚約か? もう婚約かこれ。十八になったら婚姻届出そうな」
「法律変わるといいですねぇ」
「同性婚はともかく重婚は希望すらないよな~……」
「水月、ほら、もう最後の一口ですよ。食べさせてください」
最後の一口をスプーンにすくったシュカは、そのスプーンを俺に握らせて大きく口を開いた。俺は当然、だらしない笑顔を浮かべながら彼に最後の一口を食べさせてやった。
「み、水月……あーん」
「ひょええ!?」
「あなたがこういうの好きそうだからやってみてるのに! いちいち驚かないでください! ほらあーん!」
「ごめんごめん痛っ、痛いってスプーンが歯にガチャガチャ、痛っ」
一緒に作った山盛りの炒飯をアーンで食べさせてくれるほどだ。学校でのクールな態度や、俺が抱きつけば殴ってくることもあった人前での乱暴さからのギャップがすごい。死ぬ。シュカと死なないって約束したばっかりなのに死んじゃう。
(……死ぬな、忘れるなって、前にもシュカたまに言われましたけど……やっぱり、大親友なセフレくんが死んだのと、お母様がボケちゃったのが……トラウマ的なのになってるんですよな)
イチャつくのを嫌がったり、あまり甘えたり頼ったりしてくれなかったのは、俺がいつかその二人と似たようなことになってシュカとの関わりが途切れてしまった際に、傷付かないようにという自己防衛だったのだろうか。
「水月、あーん」
「あ~ん! ん~……シュカに食べさせてもらった方が美味しい~! もう俺今後一切食器持てない呪いかけられてもいい~!」
今極小の隕石が振ってきて俺の脳天を貫く可能性はゼロじゃない、病気や事故で記憶を失うことは絶対にないと確約することは出来ない。それなのにシュカがこんなにもデレてくれているのは……どういうことなのだろう。
「……そんな呪い、ダメですよ」
「あ、だよなっ。シュカ疲れちゃうよなぁ、自分の分冷めちゃうし」
「…………私だって、水月にアーンして欲しいです」
経った今までシュカが握っていたスプーンが、俺の手に移された。俺は汽笛のような奇声を上げ、震える手でシュカにアーンをしてあげた。
「ん…………ふふ、別に味変わりませんよ? でも幸福感はありますね、これが水月の言う増した美味しさですか? ねぇ水月……も、もう一回、してください」
「いくらでもォ!」
死なない、忘れない、そう口約束しただけでそれが絶対に起こらないなんてことはない。それなのにシュカは自己防衛を捨てて俺にデレてくれている。これはきっと、もう一度傷付いてもいいと思ってくれたからだ。
「しっかしシュカ、この胡椒とガーリックの効いた味付けイイわぁ……今まで食べた炒飯の中で一番好きかも」
「水月の焼き方だってすごくいいですよ、パラッパラで美味しいです」
あくまで俺の考えだけれど、シュカはいつか俺を失った時の傷を浅くするよりも、今俺と仲を深める幸せを選んでくれたんだ。将来負うかもしれない傷が深くなることよりも、俺に愛を注ぐことを優先してくれた。
「俺ら最強~。これからも炒飯を作っていこうぜ」
「ピラフも焼いてみて欲しいです」
照れ隠しにちょっと乱暴になることはあっても、シュカはそっぽを向かなくなった。照れた顔も緩んだ笑顔も見せてくれる。そうすれば俺が喜ぶことを知ってくれた、羞恥心よりも俺を喜ばせることを選んでくれている。
「餃子もいいなぁ。シュカのおててがコネコネした物とか食べた過ぎる」
「羽根は大きいのがいいです」
シュカからの愛情が深くなったのを感じる。いや、今まで隠していたけれど、とうとう溢れてしまったからもう隠さずに俺を溺れさせてくれるようになった、と言った方が正しいのかな。
「中華ばっかりになっちゃったな、シュカ中華好き?」
「経験上、中華料理屋が一番コスパがいいんですよね。だから外食となると中華ばかり食べていて……他はあまり深くは知らないんですよ」
「そっか、じゃあ俺家で出来るイタリアンとかフレンチの料理何個か見繕っておくよ。今度一緒に作ってみよう。シュカの大好物見つけよう!」
「はい。水月は自分の大好物を見つけられているんですか?」
「俺? 俺はね……ん~…………出前ならピザ、外食なら焼肉、家庭料理なら……カツカレー、かな。いや肉じゃが、シチューも……ハンバーグもっ、くぅう……いや極論一番美味いのはおにぎりとウィンナーと卵焼きの三連星。ぐぅうう……! 一番は決められない!」
悩み抜いた末に一番を決められなかった俺を、シュカはくすくすと笑って眺めている。
「私達と同じですね。綺麗どころを集めておいて、一番は決めずその日の気分で食べまくって……ふふっ、贅沢者」
「か、彼氏のことか? そこだけ聞くとその通りだけどさ~……飯とはまた別だよ」
「私は大好物を一つに絞りますよ。何になるか楽しみです、一緒に探してくださいね」
「…………それシュカは俺に一途でいるってことか? もぉ……殺し文句だなぁ。一緒に探しても結構な殺し文句なのに……婚約か? もう婚約かこれ。十八になったら婚姻届出そうな」
「法律変わるといいですねぇ」
「同性婚はともかく重婚は希望すらないよな~……」
「水月、ほら、もう最後の一口ですよ。食べさせてください」
最後の一口をスプーンにすくったシュカは、そのスプーンを俺に握らせて大きく口を開いた。俺は当然、だらしない笑顔を浮かべながら彼に最後の一口を食べさせてやった。
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