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まさかの当然なお断り
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階段裏のデッドスペース。一学期の頃から使っているカンナ専用の逢い引き場。薄暗いけれど、流石は十二薔薇、夏休み明けの今日だというのに埃っぽくはない。
「みぃ、くん……」
「久しぶりだなぁここ来るのも。はぁ……なんかすっごい興奮する、パブロフの犬ってヤツかな」
「んっ……みぃ、くん……ぼくの、おしり……ど、すれば……ぃ、の? ど、なのが……すき?」
「んー? さっきも言ったけど、本当はどんなのでもいいんだよ」
俺の背に腕を回してくれているカンナの尻を両手で揉みしだく。夏休み中も何度か揉んだけれど、俺は夏休み前の感触をどうにか思い出して比べてみた。
「夏休み前より痩せてるし、脂肪の割合が増えたのか柔らかくはなってる……でも、それが何だって感じは実はある。カンナのお尻だから可愛いし、揉みたいし、愛おしいんだよ」
「……? ど、でも……いいの? ぼく……」
「うーん……カンナはさ、ぷぅ太ちゃんの真っ白な毛並みに、黒とか茶色の模様が急に出てきたり、耳が垂れたり伸びたりしても、別にいいだろ?」
「…………びょ、いん……れて、いく……」
「あぁ、うんまぁ、それはそうなんだろうけど……ちょっと見た目が変わったからって嫌いになったりしないだろってことだよ」
「うん……白いうさ……だから、すきな……けじゃ、ない」
「それと一緒。俺がカンナを好きなのは、カンナのお尻がむっちりして可愛くて抱き心地がいいからでも、スカーフェイス&ボディっていう超激レア属性持ってるからでもない」
ベルトを緩め、ズボンの中に手を入れる。下着越しの尻の感触を楽しむ。
「カンナの性格がすっかり変わっちゃって、大声で話すようになっちゃっても、きっと好きだよ。カンナはどうかな、俺にどうしても変わって欲しくないとことかあるか?」
「…………ぼく、に……かま、て、欲し……」
「あぁ、絶対に変わらないとこだな。安心してくれ」
「……かわ、てる。みぃくん……せーくん、ゆうせ……する。今まで、ぼく……はなれ、なか……のに。ほかの……子と、話し……も、ぼく、ぎゅ……て、して……れ、てた、のに……さい、き……ちが……」
「え……そ、そんなつもりなかったんだけど……ごめんなっ? 気を付けるよ、カンナを寂しがらせないように気を付ける。ごめんな……?」
「ん……」
俺に抱きつくカンナの力が強くなった。俺はそんなにもカンナを寂しがらせていたのか……反省しなければな。
「っと、時間なくなっちゃうな。ずっと話してたいけど用事済ませちゃおう。カンナ、夏休み中にだらしなくなっちゃったお尻に弾力を取り戻そう!」
「んっ……どう、するの? かい、だん……いっぱ、のぼるっ?」
「それじゃあカンナの可愛い御御足に筋肉がつくのが先だよ。お尻に力入れとくんだ、これを使って」
俺は鞄から小さくてピンク色の可愛らしい玩具を取り出した。
「シェイプアップ器具だよ」
「……うそ、つき」
「ふふふ、ごめんごめん。カンナのお尻にローター入れてイタズラしたいなぁ~、ってのが本音でカンナの尻に不満がある訳じゃなかったんだよ」
「そ、いうの……てんくん、のじゃ……な、ぃの?」
「確かにリュウが多いけど、別にリュウだけって訳じゃないよ。カンナにしたいなぁ、ダメ?」
「……ぼく、てんく……ちが、て……じゅぎょ……まじめに、受けた……から、やだ」
しっかり断られた。理由をハッキリと話されては、これ以上食い下がる訳にはいかない。それは紳士じゃない。
「分かった……諦める」
「……やす、みの……日、なら……い、から……ね? 落ち、まな……で」
「う、うん……ごめんな、変なこと頼んで……忘れてくれ」
カンナが言うことを聞いてくれると思い込んでしまっていた。俺は再び反省し、ローターを鞄に戻して表情を整え、カンナと共に教室へ向かった。
「みっつんおはよ~! あ、しぐしぐもおはよっ」
「おはよう、ハル」
「おはよ……」
教科書を読んでいるセイカの隣に座る。セイカも学校に居るのは何だか変な感じだ、昔を思い出す。
「……あ、鳴雷。ごめん気付かなくて、おかえり……? なんか、顔色悪くないか? どうしたんだ? また体調悪いのか?」
「だ、大丈夫……」
「…………! みぃくんっ、ごめ……ね? 断っ、ちゃ、て……」
「えっ、あぁいや、そんな、アレ断られたからって落ち込んでるわけじゃないよ。変なこと言うなよなセイカ、俺全然平気なのに」
「でも……うん……平気なら、いいけど」
セイカはまだ心配そうに俺を見つめている。優しい子だ、本当に……その優しさはいつまで続く? 今度はいつ裏切る? あぁ、やめろ、違う、こんなこと考えたいんじゃない。過去なんか要らないんだ、さっさと消えろ。
(わたくしは超絶美形の鳴雷水月! キモオタデブスは消え去ってくだされ、記憶も記録も何もかも!)
二学期初の授業は数学Aだ。得意科目とは言えないから、気合いを入れなければな。
慣れないパソコンの操作に手間取っているセイカの手伝いをしつつ、一学期の頃と同じに授業を受けていく。リュウが居眠りをしたらバイブを動かしてやったりもした。
「五、六時間目、体育祭の練習なんだよね~……やだなー」
「まだ種目も決めてへんのに何すんのん?」
「アンタちょっとは先生の話聞きなよ~」
「入退場の練習ですよ。つまり、炎天下の中行進をして開会式と閉会式の流れを身体で覚える訳です」
「行進なんかこちとら小中九年間やってきてる訳だしさ~、先導してくれりゃぶっつけ本番でもいいと思うんだけど~。行進でトラック回る練習なんか要る~?」
ハルの五、六時間目への愚痴を聞きながら生徒会室へと向かう。何故生徒会室にって? 昼休みだからだ。俺達は一学期と同じく、生徒会長のネザメの権力の傘の下生徒会室で昼食を摂るのだ。
「お邪魔しまーす」
「遅いぞ一年生共、ネザメ様を待たせるな」
猫のような丸っこいツリ目に睨み上げられる至福、これを学校で味わうのは久しぶりだ。
「みぃ、くん……」
「久しぶりだなぁここ来るのも。はぁ……なんかすっごい興奮する、パブロフの犬ってヤツかな」
「んっ……みぃ、くん……ぼくの、おしり……ど、すれば……ぃ、の? ど、なのが……すき?」
「んー? さっきも言ったけど、本当はどんなのでもいいんだよ」
俺の背に腕を回してくれているカンナの尻を両手で揉みしだく。夏休み中も何度か揉んだけれど、俺は夏休み前の感触をどうにか思い出して比べてみた。
「夏休み前より痩せてるし、脂肪の割合が増えたのか柔らかくはなってる……でも、それが何だって感じは実はある。カンナのお尻だから可愛いし、揉みたいし、愛おしいんだよ」
「……? ど、でも……いいの? ぼく……」
「うーん……カンナはさ、ぷぅ太ちゃんの真っ白な毛並みに、黒とか茶色の模様が急に出てきたり、耳が垂れたり伸びたりしても、別にいいだろ?」
「…………びょ、いん……れて、いく……」
「あぁ、うんまぁ、それはそうなんだろうけど……ちょっと見た目が変わったからって嫌いになったりしないだろってことだよ」
「うん……白いうさ……だから、すきな……けじゃ、ない」
「それと一緒。俺がカンナを好きなのは、カンナのお尻がむっちりして可愛くて抱き心地がいいからでも、スカーフェイス&ボディっていう超激レア属性持ってるからでもない」
ベルトを緩め、ズボンの中に手を入れる。下着越しの尻の感触を楽しむ。
「カンナの性格がすっかり変わっちゃって、大声で話すようになっちゃっても、きっと好きだよ。カンナはどうかな、俺にどうしても変わって欲しくないとことかあるか?」
「…………ぼく、に……かま、て、欲し……」
「あぁ、絶対に変わらないとこだな。安心してくれ」
「……かわ、てる。みぃくん……せーくん、ゆうせ……する。今まで、ぼく……はなれ、なか……のに。ほかの……子と、話し……も、ぼく、ぎゅ……て、して……れ、てた、のに……さい、き……ちが……」
「え……そ、そんなつもりなかったんだけど……ごめんなっ? 気を付けるよ、カンナを寂しがらせないように気を付ける。ごめんな……?」
「ん……」
俺に抱きつくカンナの力が強くなった。俺はそんなにもカンナを寂しがらせていたのか……反省しなければな。
「っと、時間なくなっちゃうな。ずっと話してたいけど用事済ませちゃおう。カンナ、夏休み中にだらしなくなっちゃったお尻に弾力を取り戻そう!」
「んっ……どう、するの? かい、だん……いっぱ、のぼるっ?」
「それじゃあカンナの可愛い御御足に筋肉がつくのが先だよ。お尻に力入れとくんだ、これを使って」
俺は鞄から小さくてピンク色の可愛らしい玩具を取り出した。
「シェイプアップ器具だよ」
「……うそ、つき」
「ふふふ、ごめんごめん。カンナのお尻にローター入れてイタズラしたいなぁ~、ってのが本音でカンナの尻に不満がある訳じゃなかったんだよ」
「そ、いうの……てんくん、のじゃ……な、ぃの?」
「確かにリュウが多いけど、別にリュウだけって訳じゃないよ。カンナにしたいなぁ、ダメ?」
「……ぼく、てんく……ちが、て……じゅぎょ……まじめに、受けた……から、やだ」
しっかり断られた。理由をハッキリと話されては、これ以上食い下がる訳にはいかない。それは紳士じゃない。
「分かった……諦める」
「……やす、みの……日、なら……い、から……ね? 落ち、まな……で」
「う、うん……ごめんな、変なこと頼んで……忘れてくれ」
カンナが言うことを聞いてくれると思い込んでしまっていた。俺は再び反省し、ローターを鞄に戻して表情を整え、カンナと共に教室へ向かった。
「みっつんおはよ~! あ、しぐしぐもおはよっ」
「おはよう、ハル」
「おはよ……」
教科書を読んでいるセイカの隣に座る。セイカも学校に居るのは何だか変な感じだ、昔を思い出す。
「……あ、鳴雷。ごめん気付かなくて、おかえり……? なんか、顔色悪くないか? どうしたんだ? また体調悪いのか?」
「だ、大丈夫……」
「…………! みぃくんっ、ごめ……ね? 断っ、ちゃ、て……」
「えっ、あぁいや、そんな、アレ断られたからって落ち込んでるわけじゃないよ。変なこと言うなよなセイカ、俺全然平気なのに」
「でも……うん……平気なら、いいけど」
セイカはまだ心配そうに俺を見つめている。優しい子だ、本当に……その優しさはいつまで続く? 今度はいつ裏切る? あぁ、やめろ、違う、こんなこと考えたいんじゃない。過去なんか要らないんだ、さっさと消えろ。
(わたくしは超絶美形の鳴雷水月! キモオタデブスは消え去ってくだされ、記憶も記録も何もかも!)
二学期初の授業は数学Aだ。得意科目とは言えないから、気合いを入れなければな。
慣れないパソコンの操作に手間取っているセイカの手伝いをしつつ、一学期の頃と同じに授業を受けていく。リュウが居眠りをしたらバイブを動かしてやったりもした。
「五、六時間目、体育祭の練習なんだよね~……やだなー」
「まだ種目も決めてへんのに何すんのん?」
「アンタちょっとは先生の話聞きなよ~」
「入退場の練習ですよ。つまり、炎天下の中行進をして開会式と閉会式の流れを身体で覚える訳です」
「行進なんかこちとら小中九年間やってきてる訳だしさ~、先導してくれりゃぶっつけ本番でもいいと思うんだけど~。行進でトラック回る練習なんか要る~?」
ハルの五、六時間目への愚痴を聞きながら生徒会室へと向かう。何故生徒会室にって? 昼休みだからだ。俺達は一学期と同じく、生徒会長のネザメの権力の傘の下生徒会室で昼食を摂るのだ。
「お邪魔しまーす」
「遅いぞ一年生共、ネザメ様を待たせるな」
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