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体内で膨らんで

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後孔の中と外をローションでたっぷり濡らした。本来ならこの後指を挿入し、ゆっくりと腸壁を撫でて押して拡げていく。しかしヒトは突貫工事をお望みだ。

「次は拡張です。これ使いますね」

そう言いながら俺が見せたのは、黒く細長いアナルプラグだ。ボールペンのようにも見えるそれをヒトは怪訝な顔で見つめる。

「これを使えばあっという間なんですよ」

「へぇ……?」

何故、とでも聞きたそうな顔だが、口にしないということは仕組みを聞かずに使われたいか、説明の時間も惜しんでいるかのどちらかだ。俺は何も説明せず彼の後孔にそれを挿入した。

「……こういう体温測定、昔やったことあるような気がします」

「本格的ですね」

ボールペンのように細長いアナルプラグにはチューブが付いている。チューブとプラグの接続部は固く、ペットボトルの蓋程度の大きさがある。そこで後孔が隠れるように根元までアナルプラグを押し込んだら準備完了だ。

「痛かったり苦しかったりしたら、すぐ言ってくださいね」

俺は手のひらに収まる、さつまいものような形の物を握った。それはアナルプラグから伸びたチューブと繋がっている。それをぎゅっと握り締めれば、ヒトの後孔の中でアナルプラグが膨らむ。

「んっ……?」

手の中のポンプをぎゅっぎゅっと握る。シューッ、シューッと微かな音を立てて空気が送られ、アナルプラグがどんどん膨らんでいく。残念ながらその様子を見ることは出来ない。

(エロ漫画の断面図って画期的な発明ですよな)

ミタマを拝み倒せば透視能力が手に入らないかな。ついでにアクメビームを打つ能力と、媚薬でぬるぬるの触手と、感覚遮断落とし穴を作り出す能力も欲しいな。なんて妄想しながらポンプを何度も握る。

「……っ、ま、待って鳴雷さんっ、膨らんでる。中で、これ、膨らんでるっ」

「ええ、膨らんでいますよ。だから指とかでじっくりするより手っ取り早いんです」

そろそろ離してしまうかと思っていたが、ヒトは従順に割れ目を開いて後孔を俺に見せてくれている。アナルプラグを膨らませているのは空気、浮き輪や風船なんかと原理は同じだ。それらよりもずっと硬いゴム製のため、ポンプを押すのにも力が要る。今はまだ片手で何とかなっているからヒトに見せびらかしながらポンプを推せるけれど、そのうち両手で全体重をかけなければならないようになってくるだろう。

「ふっ……ぅ、ぅゔっ……! 裂け、るっ……裂け、ますっ、鳴雷さぁんっ! 裂けますっ、これ裂けますぅゔっ……!」

「まだ大丈夫ですよ」

後孔の具合はずっと観察している。裂けるような気配はない。

「お尻の穴って入り口の方は皮膚が裂けたりしやすいんですけど、腸の方はそうでもないんです。このプラグは根元より真ん中の方がよく膨らみますし、縦にも膨らんでいくようになっているんです……想像以上に人間の身体は耐えるんですよ」

長さの限界は最大時の俺の陰茎と同じくらい。しかし、太さは俺の陰茎三本分くらいにまで膨らんだ。もっとも太さの限界は、俺がポンプを押せる限界でもあるので、商品としての限界はまた別にありそうだが。

「苦しいかもしれませんけど、我慢してください。我慢したらその分、たっぷり褒めてあげますからね」

最大時のアナルプラグ。ラグビーボールのようなアレを人間が飲み込んでいられるのかは分からないが、少なくとも俺の彼氏達にはそれを使う気は全くない。

「んっ……く、ぅ……食べ過ぎた時より、ずっと苦しいっ……ふっ、ぅ、ゔぅ…………むか、し。鳥を、母が飼っていてっ……んっ、客の男に、贈られたもので……母はあまり、興味がなくて……私が、世話をっ、して、てぇ……」

「へぇ……? 鳥、ですか」

「ふっ、ふぅっ……ある、時……卵詰まりを起こしてっ、温めてっ、やったりっ、んっ……病院、連れて行ったり……色々、してぇ…………ふっ、ふぅっ……くっ、ぅ……ぴー、太。こんな感じっ、だったのかなって……急に、おもひっ、だし、てぇ……」

「卵……メスなのにピー太なんですか?」

「母、が……てきとぉっ、に、付けたからぁっ……はっ、メスって分かったの、卵産んでからっ、ぁ……はぁっ……ん、鳴雷さんっ、もぉむりっ、無理ですぅっ……」

思い出話を聞きながらも俺はポンプを何度も握っていた。ヒトはとうとう音を上げた、涙目で俺に懇願する姿からはとてもヤクザの組長らしさは感じられない。

「お腹っ、ぱんぱんになってるぅっ……!」

「なってませんよ」

人間の身体そう簡単に歪になってたまるか、人間の身体はゴム製じゃないのに。

「ほら、ヒトさんのお腹は締まったままです」

「ひっ……んっ、ぅゔ……くっ、ぅう……! 触らっ、ないでぇ……くる、ひっ……」

ヒトの腹を強く押しながら撫でてみると、彼は苦しそうに泣き喘いだ。快感なんて微塵も感じていなさそうな表情に、罪悪感が煽られる。

「はぁっ……はっ、もぉ、いいっ、でしょぉっ? もっ、開発……終わった、でしょっ?」

ポンプを何度押せばどのくらいの大きさになるのか、俺はちゃんと覚えている。理想は俺の陰茎より少し小さい程度だ。

「もう少し拡げたいんですけど……」

「もぉっ、スイカでも入るくらいになってますよぉっ」

「リンゴも入りませんよ」

「そんなはず……!」

「……しばらくお尻は休憩しますか、慣れるまで……胸の開発も進めちゃっていいですよね?」

二つで一つの乳首用の玩具を見せる。このクリップは強さが調節出来る優れものだ。俺は調節ネジを回し、親指と人差し指の間の余った皮をクリップで挟んでみた。

「……っ」

このくらいの痛みなら乳首に丁度いいだろう。二つとも確認し、ヒトの胸を撫でる。半分墨が入ったそこをさわさわと優しく愛撫すれば、快感を覚えるほど敏感ではなくとも乳首は刺激によって自然と勃つ。

「は、挟むんですか? そんな……フタの好む、テレビ番組みたいな……」

そういえばフタは芸人が痛めつけられるようなバラエティ番組を好んでいたな。放送中は俺の話をろくに聞いてくれなくなる。

「痛いの、我慢しますよね?」

「……はい。んっ……ぃ、たいっ! 痛いっ! 待っ、て、これぇっ……! ぁあっ!? 痛っ……!」

両乳首ともにクリップで挟んでやった。仰け反り、尻から手を離し、クリップを外そうとしたので慌ててヒトの手首を掴んで押さえ付けた。引っ張って外すような真似をしては危ない、今のヒトなら無茶に引っ張って外しかねない。

「離しっ、てぇっ! 痛いっ! おなか、苦しっ……もぉ、やだっ、やだぁあっ!」

敬語が外れて子供のように喚く彼に、苦痛を我慢するプレイも潮時かと俺は深く考え込んだ。
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