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事後の昼

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ようやく結腸口の奥に陰茎をねじ込むことが出来た。しかしその達成感に気が緩み、アキの最奥を小突くと同時に精液を放ってしまった。手は当然陰茎すら届かないアキの腹の奥深くで俺の子種が泳ぎ始める。

「……っ、はぁ……出ちゃった」

気が抜けて少しぐらつく。そんな俺に対しアキは何度も絶頂していたのに体幹にブレはない。つくづくとんでもないヤツだ。

「くっ……イった直後にアキのナカはヤバいっ、はぁ……でも、よし、フル勃起! 続けるぞアキぃ~」

「んっ、ゔにゃあぁああっ! あっあぁあんっ! んっ、にゃっ、にーにっ、んひっ!?」

「相変わらず可愛い喘ぎ声だけど、俺が猫虐めてるみたいじゃないか? なぁ、セイカ?」

入口から最奥までを繰り返し擦り上げ、快感を得ながら快感を与え、呼吸を荒らげつつ、セイカに尋ねた。

「う、うん……? 猫が虐められてる時の声聞いたことないから……よく分かんない」

「俺もない」

《兄貴っ、兄貴ぃっ! イぐっ、またイっぢまゔうぅっ! あっ、はぁ……兄貴最高ぉっ! もっと、もっとぉっ!》

「あ、鳴雷、もっとって言ってる」

「はは……ホント、俺に似て絶倫でっ、淫乱で、貪欲だなぁっ! 可愛いよアキ、お前は最高の弟だ!」

「……弟の居る身としては弟とヤってんの意味分かんねぇわ」

少し休憩して気力を取り戻してきたらしいセイカがボヤいている。小さな声だが何とかアキの大きな喘ぎ声に消されず聞こえている。産まれたての頃から弟を見てきたセイカと、数ヶ月前に互いの存在を知ったばかりの俺達とじゃ感覚が全く違うというのに。

《イっ、ぐぅゔっ! はぁっ、は……兄貴、兄貴ぃっ、もっと……ゔあっ! あっ、ぁ、あんっ! んんんっ……!》

「もっとだってさ」

「そろそろ「もっと」の発音覚えられそうだよ」

《イくっ、イくぅゔっ、まひゃイぐっうぅゔゔっ! ゔっ、あぁっ……兄貴ぃ、もっとぉ》

絶頂を繰り返すアキはおそらく呂律が回っていない。馴染みのない言語のため俺には詳しくは分からないけれど。

《はっ、はぁっ……もっと、もっとぉ……》

「……っ、くしゅっ…………鳴雷、俺シャワー浴びてくる」

「んっ……一人でっ、は……平気か?」

「大丈夫…………っくしゅっ」

義足を履いたセイカはくしゃみをしながらプール脇のシャワーへと向かった。俺達はベッドに倒れ込み、行為を続行した。正常位、バック、騎乗位、色んな体位を楽しんだ。シャワーを終えたセイカは「静かな部屋で寝たい」なんて言ってテディベアを抱えて俺の部屋へ向かってしまった。

「……っ、は……はぁっ、そろそろ、やめない? アキ……」

「ん……」

セイカが部屋を出てから数時間後、俺達はようやく身体を離した。汗だくの身体をシャワーで清め、寝間着に着替えた。

「今何時……うわっ」

窓のないアキの部屋は時間感覚を失いがちだ、スマホで確認するともうとっくに日が昇っていた。

「……ま、いいよな夏休みだし。寝ようぜ、アキ」

「寝るー……するです」

眠たそうに目を擦っているアキの髪を乾かしてやり、共にベッドに入った。

「にーにぃ、寝るする間、喋るする、笑うする、やめるです。うるさいするです、ぼく眠るする出来ないです」

目を閉じる前にそう言われた。

「お、俺そんなに寝言とかうるさい? ごめんね……?」

「静かするです?」

「気を付ける……」

とは言ったものの、寝言なんてコントロール出来るものではない。とりあえず「黙って寝る」と頭の中で繰り返しながら眠ってみたが、数時間後にベッドから蹴り落とされた。

「痛っ!? えっ……何、落ちてる……」

俺はうるさかったのだろうか、それともただ狭かっただけだろうか、答えを知っているアキはまだ眠っている。

「昼前か……」

ぐぅ、と腹が鳴った。アキも腹が減ったら起きるだろう、そもそもの体力の総量はともかく消費量はアキの方が上だし、まだ眠いのかもしれないから起こさないでおいてやろう。俺は一人で朝食を食べた。

(リュウどののお家 に行くのは明日ですな、今日はゆっくり同人誌でも読み漁りますか)

部屋に向かうとセイカが居た。俺が昨日脱いだ服を着たテディベアを抱き、俺の教科書を眺めていた。

「ぁ……鳴雷、おはよう」

「おはよ。クーラー点けなかったのか? 暑かったろ」

「…………大丈夫」

「大丈夫ってお前、汗かいてるじゃないか。この季節はクーラー点けろ、いいな?」

小さく頷いたセイカの汗を枕に敷いてあるタオルで拭い、テディベアに着せられていた服と一緒に洗濯機に入れてやった。部屋に戻ると不満げなジト目に睨まれた。

「……まだ一日経ってなかった」

「俺居るんだからいいだろ? コミケで買ってきた本読みたいんだ、ちょっと空けてくれ」

「ん……」

ベッドのド真ん中に座っていたセイカに少し端に寄ってもらい、昨日までの三日間で買った本をベッドの傍に置く。一ページずつ慎重に紙を捲り、鼓動が少しずつ早くなっていく感覚を味わった。

「…………セイカ?」

セイカがもたれてきた。俺と一緒に本を読みたい訳ではないらしい、肩やうなじに顔を押し付けてスンスンと鼻を鳴らしている。

「ん……鳴雷、膝借りていい?」

「え? あぁ……いいけど」

小さく丸まって寝転がったセイカは俺の膝にちょんと頭を乗せた。もっとガッツリ乗せればいいのに、耳の上の少しだけ……まぁ、耳が枕とかで塞がるのが嫌なタイプかもしれないし、一概に遠慮の仕草とは言い切れないけど……一応言っとくか。

「セイカ、ちゃんと頭乗せても端っこしか乗せなくても感覚大して変わらないから、遠慮しなくていいんだぞ」

「……うん」

そう返事をしたけれど、動かなかった。やっぱりこの頭の乗せ方が一番心地いいのだろうか。

「…………っ、くしゅっ」

二冊目に突入した頃、セイカがくしゃみをしたのでタオルケットを腹にかけてやった。本を替える時などに頭を撫でたりしつつ、八冊目を読み始めた頃にセイカは眠ってしまった。

「……尊いですなぁ」

さっきまで本に対して言っていたセリフが、今度はセイカに対してのものになった。
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