冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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覚えられないスペル

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俺の腕の中で眠ってしまったノヴェムを慎重に受け取り、丁寧に礼を言ってネイは帰って行った。

「よし、書き取りやるか」

「の、前にぃ……お風呂入っていい?」

「……分かった。待ってる」

俺は風呂を上がった後、予定通りアキの部屋には帰らず自室に戻った。戦利品である薄い本を眠くなるまで楽しんで夜を明かすつもりだった。

「おかえり」

セイカは俺の部屋で待っていた。魔王からは逃げられないという名台詞が頭の中で再生された。

「お前のママ上に要らない紙もらってきたぞ。裏が白紙のチラシとか、要らない封筒とか……シャーペンは自分で出せ」

「パソコンじゃダメ? キー打ってさぁ……」

「予測変換出るだろ」

「くっ……バレた」

「ほら、まずは一月の英語から書く。十二月まで終わったら次は曜日な」

勉強机の隣に立ったセイカはトントンと紙を叩く。

「……あ、そうだ。スマホ貸してくれ、秋風に次風呂に入るよう言わないと」

「あぁ、うん……」

俺のスマホでアキにメッセージを送っているセイカを横目に、ふんわりと覚えている一月から十二月までの英語を書いてみた。合っている気がしない。

「よし……ありがと。書けたか?」

「とりあえず十二月まで。なぁセイカ、やる気出ないから俺のお願い一個聞いてくれよ」

「お願い……?」

「うん。このマスク着けてくれないか? コミケに行く変装用に買ったんだけど、余っちゃってさ」

もちろん嘘だ。プレイに使うために買い溜めしておいた分だ。

「…………なんでマスク着けたらお前のやる気が出るんだ? 何狙ってるのか正直に言えよ」

「察しがいいなぁセイカは……俺が今からシコって、マスクの裏に新鮮なザーメンたっぷり塗りつけるから、そのマスクを着けておいて欲しい。ってお願い、聞いてくれるか? してくれたらすっごいやる気出るんだけどな~」

「はぁ……んなこったろうと思った、バカ。さっさと出せよ」

「いいのかっ? ダメ元でも言ってみるもんだな! 後から嫌だって言ってもよっぽどじゃなきゃ聞かないからな! よーし……へへっ、じゃあセイカ、オカズにするからちょっと服めくるとかのサービスを……」

「お願い一個、って話だったよな」

出すためなんだから含まれていてもいいじゃないか、と思いつつマスク片手にズボンと下着をズラし、陰茎を引っ張り出した。

「はぁ……」

セイカは俺に聞こえるように大きなため息をついてはいるが、その頬はほんのりと赤く、特徴的なジト目はチラチラと俺の陰茎を見ていた。

(こんな分かりやすくチラチラ見て……バレてないつもりなんでしょうか。どぅふふ、かわゆいですなぁ)

呼吸が荒くなり、陰茎から分泌される先走りの汁が増えていく。俺の妄想が通じているのか、セイカは太腿を擦り合わせて下腹を手のひらで押さえ、深く息を吐いた。ため息には聞こえなかった。

「……っ、は…………っ、くぅっ……! ふぅー……はは、いっぱい出た。マスク重たぁ……セイカ、ほら」

塗り付ける、と言うよりは溜めてある、と言った方が正しいような精液たっぷりマスク。少しでも傾ければ俺の子種は床のシミになるだろう。

「うわぁ……」

「零れそうだな。拭くの面倒臭いし、零れないようにある程度啜ってくれよ」

なんて言ったらまた罵倒してくれるかな、と期待しつつ変態クズ発言をかましてみる。セイカは熱っぽい瞳でじぃっと白濁液をしばらく見つめ、ゆっくりと尖らせた唇を当て、ずずっと音を立てて生臭いそれを啜った。

「えっ……」

セイカの喉仏が微かに数度動いて、マスクが傾く。何も零れないままゴムがセイカの耳に引っ掛けられた。

「……見せろ。あぁ……スペルめちゃくちゃだな。まぁいいや、とりあえず曜日も書け」

少しこもった声、赤らんだ顔、平静を装ったセリフ、全てに困惑と興奮を覚え、いつもは書けていたはずの単語のスペルさえ書けなかった。

「酷いな……じゃあ正解書くから、それ見て二、三回書いて覚えろ。覚えたら別の紙に俺のお手本見ずに書く。全問正解するまで繰り返すぞ、分かったか?」

「……語呂合わせの覚え方とか教えてくれたり」

「語呂合わせ……? 歴史の年表暗記するってんならまだ分からなくもないけど、英語にはそんなの要らないだろ」

「ビューテフルをベアウチフルとか! ベースボールをバセバ11とか! やるじゃん……?」

「何それ初めて聞いた」

俺とセイカではそもそも脳の出来が違うのだとぶつぶつ文句を言いながら、俺はセイカが書いてくれた単語をお手本に書き取りを行った。

「覚えたか? じゃあテストな」

お手本が書かれた紙の上に新しい紙が乗せられる。俺は覚えたはずの単語を書いていったが、全問正解は簡単には成せず、書き取りとテストを何度も往復した。

「ちゃんと覚えようとしながら書けよ?」

時々そんなアドバイスを飛ばしてくるセイカの呼吸は荒い。下腹をぐいぐいと手で押さえては、稀に「んっ」だの「あっ」だのと声を漏らす。

(覚えようとしろとか言われても! エロい声出されちゃそうもいかないでしょうよ! いややらせてんのはわたくしですけどもぉ!)

下腹を強く押すと快感を得られる彼氏は数人居る、しかし自慰未満の仕草として見るのは激レアだ。

「……っ、ふ……テスト、出来た? 見せて……ぉ、全問正か……ぁ、ここ……サタデーはtの後aじゃなくてuだぞ。お前ここの間違い多いな」

「えっ、ぁ……さっきは書けたのに」

「二回前と五回前間違えてたな。早く全問正解しろよ……」

セイカがえっち過ぎて集中出来ないからなかなか覚えられないんだよ! なんて、よりえっちになるよう手を加えた張本人が言っていいことではない。

「……出来た! どうだセイカ」

「ん……見せて。うん、うん、正解……月の名前はもう完璧だな。曜日も…………ぉ、全問正解! やったな鳴雷!」

「っしゃあ!」

「小学生レベルだけどな……」

「そ、そう言うなよ……ぁ、マスク外していいぞ」

小さく頷いたセイカはマスクを外し、白濁液でべっとりと汚れた顔の下半分を晒した。数十分ぶりの新鮮な空気を求めて彼は自然と深呼吸をしたが、新鮮な空気も体内に入る寸前に精液の匂いを取り込む。

「……っ、ふ……」

彼氏達の中でも随一の匂いフェチのセイカは僅かにふらつき、自分の意思でなのか無意識になのか舌を長く伸ばして口の周りの精液を舐め取った。

「んっ、んん……」

鼻の頭についた分を指ですくい取り、その指を口に運ぶ。

「…………無茶なお願いして悪かったな、セイカ。全部舐め取るのも大変だろ? 拭いてやるよ」

俺は今すぐ押し倒したい気持ちを抑え、セイカの顔をティッシュで拭ってやった。

「お疲れ様。セイカ、今日はアキと一緒に寝るのか? アキ、もう風呂出たかな……一応拭いたけど、いつもより顔念入りに洗っとけよ」

「…………え?」

セイカのきょとんとした顔を見て、俺は釣り竿が大きく震えた瞬間の釣り人のような気分になった。

「何も……しないの?」

魚影が見えた。

「ん? 何もって、何をだ?」

タモ網を使えと訴える陰茎の痛みを無視し、まだ駆け引きを楽しむ。

「何をって……」

「遠慮なく言っていいんだぞ、お願い叶えてもらったし勉強見てもらったし、その代わりって言うのもアレだけど……ううん、そんな恩がなくても、俺はセイカのお願いなら何だって叶えてあげたいよ」

釣れるか? 逃げるか? さぁセイカ、可愛いおねだりを見せてくれ!
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