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にぃにと遊ぼ
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涙を流しながらアキが俺に抱きついてきた。俺の胸に顔を擦り寄せ、俺の服で涙を拭くと顔を上げて満面の笑みを浮かべた。
「にーに!」
まだ潤んだままの瞳は普段以上にキラキラと輝き、俺を魅了する。
「にーに、だいすきー……です! にぃに好き~……ぼく、にーに、だいすき!」
「コプァ」
なんて可愛いんだろう。抱き締め返す以外の選択肢は失われた。
「にーにぃ、ぼく、すきー……?」
「お兄ちゃんはアキが大好きだぞ!」
俺に抱きついたままアキは嬉しそうに笑って俺を見上げる。潤んだ上目遣いが俺の心臓を握る。
「グゥッ……ギャンかわ。なぁセイカ、アキ可愛すぎないか」
「……知らね」
指の腹が頭皮に触れるように髪を掻き分けて頭を撫でてやると、アキは心地よさそうに目を閉じた。
「…………こんなに可愛いのに、なんでそんなに可愛がってもらえなかったのかな。セイカもだけど……すごく可愛いのに、なんでそれ以上求めちゃうんだろ」
「……親に言ってんのか?」
「うん……そんな感じ」
「…………それこそ、知らねぇよ。可愛がってもらえるように結構頑張ったんだ、俺も秋風も……でもダメだった」
タブレットを置いたセイカがベッドに倒れ込むようにして俺の首に抱きつく。
「だから……その分を、鳴雷に求めちゃってる。秋風も多分……」
「……そっか」
「…………鳴雷、明日は家に居る?」
「ん? うん、特に用事ないし、旅行で結構疲れたから休息日ってことにしようかなって思ってたよ」
「……一緒に居て」
「うん、もちろん」
アキの頭を撫でながら、もう片方の手でセイカの頬を撫でる。美少年二人に抱きつかれて……最高だ。でも、愛情不足だった二人の弱みにつけ込むようで少し気が引ける。
《兄貴、今日はこっちで寝てくれよ》
「……鳴雷、今日はこっちで寝てって秋風が言ってる」
「お兄ちゃんと一緒に寝たいのか? よしよし、もちろんいいぞ。お風呂も一緒に入っちゃうか? アキはご飯の前にシャワー浴びたからもういいかな」
アキとセイカとしばらく戯れた後、俺は風呂に入るため席を外した。手早く済ませてアキの部屋へ戻り、再会を喜んだ。
「……じゃあ次俺入ってくるから」
「行ってらっしゃい。一緒に入ればよかったのに」
「目と手がやらしいからやだ」
なんて言っているけれど、寂しがるアキを一人にしないためだったんじゃないかなとアキを抱き締めながらセイカの優しさを妄想する。
「アキ、今日は……するか?」
「? にーにぃ」
ずっと抱きつかれていると自然とそういう気分になってしまうのが男というもの。言葉で誘っても首を傾げるばかりのアキの腰を撫で、様子を見つつ手を下ろしていって尻をそっと揉む。
「……にーに? えっちするです?」
「したい……ぁー……する、欲しい……? で分かる?」
アキはそれまでの無邪気な笑みではなく色気を感じさせる笑顔に変わり、俺の唇を飛び込むように奪った。そのまま俺は床に押し倒され、服を脱ぎ捨てるアキを見上げた。
行為を終え、プール脇のシャワーで体液を流し、ベッドに戻る。床での騎乗位は俺の腰を疲れさせた、寝転がると深い息が自然と漏れた。
「にーにぃ、おやすみー……です」
「おやすみ、アキ」
既に眠っているセイカを挟み、川の字で眠った。
翌朝、普段より遅く目を覚まし、朝食を作るため冷蔵庫を開けると切り分けられたバームクーヘンを見つけた、水秋星と書かれた付箋が貼り付けられている。俺達の名前の頭文字だ、バームクーヘンは三切れ、俺達の分だろう。
「今日のおやつはこれだな」
卵とベーコンを取って冷蔵庫を閉め、フライパンで三人分一気に焼いていく。ベーコンエッグとレタスとトースト、それが今日の朝食だ。
「美味しい……」
「よかった。なぁセイカ、今日どうする? どこか遊びに行くか? 日曜日だし夏休みだし、どこも混んでるだろうけど」
「……俺、明日転入試験受けるから、今日は勉強してたい」
「えっ、明日? 明日だっけ、今日……十一日か、そっか……日にちの感覚なくなってたよ」
「鳴雷も課題やったらどうだ? 夏休みの」
「まだ八月の半分も行ってないし、まだだらけてても大丈夫かなって」
ジトっとした目で俺を睨むセイカから視線を逸らすと、彼は呆れてため息をついた。
「ぅう……アキ、お兄ちゃんとどっか遊びに行くか?」
《秋風、兄貴がどこか遊びに行くかっつってるぜ》
「……! 行くするしないです。暑いするです。外出るする、お昼、ダメです」
こんな暑い季節の昼間から外に出る気はないということか。
「そっかぁ……まぁ俺もインドア派だからなぁ、そっちのがいいや。じゃあ家の中で遊ぼうな。ゲームでもするか?」
アキはこれまでゲームに触れたことが全くなかったようで、朝食の後に貸してみたゲームはどれも下手くそだった。反射神経だとかはいいからゲームも得意だろうと思ったのだが、そうでもなかったようだ。失敗続きで
「うーん……体動かすヤツにするか?」
俺はあまり好きではない、コントローラーを握って振り回すタイプのスポーツゲームをやらせてみると、こちらは気に入ったようだった。
「すごいな、アキ……はぁ、ちょっと、はぁ、休憩……はぁ、はぁ……キツ……やっぱ俺運動嫌い……」
「にーに、にーに、次、始まるするです」
「えぇえ……お兄ちゃんもうヘトヘト」
リビングのテレビの前での俺達を、ダイニングで勉強中のセイカが眺めてクスクス笑っている。俺の疲れっぷりはいい息抜きになっているのだろうか? なんて楽しげなセイカを見て癒されていると電話が鳴った。
「にーに!」
まだ潤んだままの瞳は普段以上にキラキラと輝き、俺を魅了する。
「にーに、だいすきー……です! にぃに好き~……ぼく、にーに、だいすき!」
「コプァ」
なんて可愛いんだろう。抱き締め返す以外の選択肢は失われた。
「にーにぃ、ぼく、すきー……?」
「お兄ちゃんはアキが大好きだぞ!」
俺に抱きついたままアキは嬉しそうに笑って俺を見上げる。潤んだ上目遣いが俺の心臓を握る。
「グゥッ……ギャンかわ。なぁセイカ、アキ可愛すぎないか」
「……知らね」
指の腹が頭皮に触れるように髪を掻き分けて頭を撫でてやると、アキは心地よさそうに目を閉じた。
「…………こんなに可愛いのに、なんでそんなに可愛がってもらえなかったのかな。セイカもだけど……すごく可愛いのに、なんでそれ以上求めちゃうんだろ」
「……親に言ってんのか?」
「うん……そんな感じ」
「…………それこそ、知らねぇよ。可愛がってもらえるように結構頑張ったんだ、俺も秋風も……でもダメだった」
タブレットを置いたセイカがベッドに倒れ込むようにして俺の首に抱きつく。
「だから……その分を、鳴雷に求めちゃってる。秋風も多分……」
「……そっか」
「…………鳴雷、明日は家に居る?」
「ん? うん、特に用事ないし、旅行で結構疲れたから休息日ってことにしようかなって思ってたよ」
「……一緒に居て」
「うん、もちろん」
アキの頭を撫でながら、もう片方の手でセイカの頬を撫でる。美少年二人に抱きつかれて……最高だ。でも、愛情不足だった二人の弱みにつけ込むようで少し気が引ける。
《兄貴、今日はこっちで寝てくれよ》
「……鳴雷、今日はこっちで寝てって秋風が言ってる」
「お兄ちゃんと一緒に寝たいのか? よしよし、もちろんいいぞ。お風呂も一緒に入っちゃうか? アキはご飯の前にシャワー浴びたからもういいかな」
アキとセイカとしばらく戯れた後、俺は風呂に入るため席を外した。手早く済ませてアキの部屋へ戻り、再会を喜んだ。
「……じゃあ次俺入ってくるから」
「行ってらっしゃい。一緒に入ればよかったのに」
「目と手がやらしいからやだ」
なんて言っているけれど、寂しがるアキを一人にしないためだったんじゃないかなとアキを抱き締めながらセイカの優しさを妄想する。
「アキ、今日は……するか?」
「? にーにぃ」
ずっと抱きつかれていると自然とそういう気分になってしまうのが男というもの。言葉で誘っても首を傾げるばかりのアキの腰を撫で、様子を見つつ手を下ろしていって尻をそっと揉む。
「……にーに? えっちするです?」
「したい……ぁー……する、欲しい……? で分かる?」
アキはそれまでの無邪気な笑みではなく色気を感じさせる笑顔に変わり、俺の唇を飛び込むように奪った。そのまま俺は床に押し倒され、服を脱ぎ捨てるアキを見上げた。
行為を終え、プール脇のシャワーで体液を流し、ベッドに戻る。床での騎乗位は俺の腰を疲れさせた、寝転がると深い息が自然と漏れた。
「にーにぃ、おやすみー……です」
「おやすみ、アキ」
既に眠っているセイカを挟み、川の字で眠った。
翌朝、普段より遅く目を覚まし、朝食を作るため冷蔵庫を開けると切り分けられたバームクーヘンを見つけた、水秋星と書かれた付箋が貼り付けられている。俺達の名前の頭文字だ、バームクーヘンは三切れ、俺達の分だろう。
「今日のおやつはこれだな」
卵とベーコンを取って冷蔵庫を閉め、フライパンで三人分一気に焼いていく。ベーコンエッグとレタスとトースト、それが今日の朝食だ。
「美味しい……」
「よかった。なぁセイカ、今日どうする? どこか遊びに行くか? 日曜日だし夏休みだし、どこも混んでるだろうけど」
「……俺、明日転入試験受けるから、今日は勉強してたい」
「えっ、明日? 明日だっけ、今日……十一日か、そっか……日にちの感覚なくなってたよ」
「鳴雷も課題やったらどうだ? 夏休みの」
「まだ八月の半分も行ってないし、まだだらけてても大丈夫かなって」
ジトっとした目で俺を睨むセイカから視線を逸らすと、彼は呆れてため息をついた。
「ぅう……アキ、お兄ちゃんとどっか遊びに行くか?」
《秋風、兄貴がどこか遊びに行くかっつってるぜ》
「……! 行くするしないです。暑いするです。外出るする、お昼、ダメです」
こんな暑い季節の昼間から外に出る気はないということか。
「そっかぁ……まぁ俺もインドア派だからなぁ、そっちのがいいや。じゃあ家の中で遊ぼうな。ゲームでもするか?」
アキはこれまでゲームに触れたことが全くなかったようで、朝食の後に貸してみたゲームはどれも下手くそだった。反射神経だとかはいいからゲームも得意だろうと思ったのだが、そうでもなかったようだ。失敗続きで
「うーん……体動かすヤツにするか?」
俺はあまり好きではない、コントローラーを握って振り回すタイプのスポーツゲームをやらせてみると、こちらは気に入ったようだった。
「すごいな、アキ……はぁ、ちょっと、はぁ、休憩……はぁ、はぁ……キツ……やっぱ俺運動嫌い……」
「にーに、にーに、次、始まるするです」
「えぇえ……お兄ちゃんもうヘトヘト」
リビングのテレビの前での俺達を、ダイニングで勉強中のセイカが眺めてクスクス笑っている。俺の疲れっぷりはいい息抜きになっているのだろうか? なんて楽しげなセイカを見て癒されていると電話が鳴った。
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