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誕生日限定ハーレム

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たっぷりのフルーツとホイップクリームで飾り立てられた誕生日ケーキ。美味しいそれをみんな食べ終えた。

「ごちそうさまでした」

「ごつぉー、さま、でしーた」

拙い日本語は俺達を和ませる。彼氏達はみんなアキを眺めてほっこりしている。

「にーに、行くー、するです? どこです?」

皿を片付け始めたミフユを見てハッとし、俺も片付けを手伝わなければと立ち上がるとアキに手を掴まれた。

「どこに行くのかって聞いてるのか? 皿洗いだよ、すぐ戻る」

「お兄ちゃんの傍に居たいんだろ。居てやれよ、皿洗いは俺がお前の分もやってやる」

「先輩……ありがとうございます。アキ、お兄ちゃんここに居るよ」

歌見の気遣いに感謝しながら座り直し、アキに微笑みかける。アキは満面の笑顔で俺に抱きつき、俺の頬にちゅうっとキスをした。

「アキぃ……!」

今までの塩対応が嘘のようだ。旅行中の素っ気ない対応や冷たい態度が走馬灯のように頭を駆け巡る。

「にーにぃ」

「どうしたアキぃ、お兄ちゃん何でもしてやるぞ~?」

「えっちするです」

「すりゅ~!」

たどたどしい日本語でのお誘いは俺の心臓を締め上げた。叫びながらアキを抱き締めて、歓喜に浸る。

「へへ……じゃあお部屋行こっか、アキ」

扉の方へと手を引くもアキは一ミリたりとも動かずセイカに向かって何か言った。

「鳴雷、あのー……」

「ん?」

「えっと……秋風が、な? 二人でも、もちろんしたいけど……せっかく誕生日なんだから、みんなで、そのー……奉仕? して欲しい、って」

「……複数プレイがいいのか? アキ」

《突かれながらしゃぶられてぇ》

翻訳を待ってセイカの方を向くと、彼は深いため息をついて嫌そうな顔をして躊躇いながら口を開いた。

「その……尻、されながら……前、口で……して欲しい、って」

「俺とセックスしながら誰かにフェラして欲しいって?」

「……多分」

「なるほど~。流石俺の弟! ワガママだな。まぁ誕生日だしな、それくらい言いたいよな。でも俺の一存で返事は無理かなぁ」

「俺はいいっすよ」

レイが一番に手を挙げた。アキは俺の手を離し、レイの元へと駆け、抱きついた。

「このめー、えっちするです?」

「可愛い……! えっちするっすよ、どこでも舐めてあげるっすからね、して欲しいことなんでも言って欲しいっす!」

アキはレイの腰に腕を回し、一人捕まえたとでも言いたげな顔で俺の元に戻ってきた。俺の目の前でレイの頬にキスをし、レイから手を離した。

「可愛いっすねぇアキくん。一緒に住んでた頃が懐かしいっす」

アキはキョロキョロと彼氏達を見回す。品定めするような目つきだ、実際そうなのだろう。

「しゅーか、えっちするです?」

シュカに狙いを定め、彼の元に駆けて腕に抱きついて首を傾げる。この可愛らしいおねだりを断れる人間などこの世に居ないだろう。

「嫌ですよ」

居たわ。

「今日はあなたの誕生日だから仕方なく水月をあなたに独り占めさせてやろうとは思ってました、それだけです。水月とヤれもしないのに裸で水月と同じ空間に居るなんて拷問ですよ、嫌です」

「だ……」

アキは残念そうに、多分「分かった」という意味の声を出し、とぼとぼとシュカから離れた。

「秋風くん、僕も参加していいかな?」

《……お前虐めんのは楽しいけどなぁ。今日は誕生日だし、俺は何にもせず気持ちよくしてもらおうと思ってたんだよな》

「えっと……紅葉に対して何かするのは楽しいけど、今日は誕生日ってことでみんなに色々されるプレイがいいから、その……」

「僕はミフユとずっと色んなプレイをしてきたんだよ? 緊縛も色んなやり方を心得ている。僕ほどしてあげる側が得意な者は居ないよ」

それもそうだ。ポンコツだし俺に対しては少しのMっ気を見せたからすっかり失念していたが、ネザメは俺のSの師匠でもある。

《やる側自信あるってさ》

《ほーん? まぁいいや、来たいんなら来いって言っといてくれ》

「来たかったら来てってさ」

「期待されていないようだね……悔しいけれど、それでこそやりがいがあるというものだよ」

アキが来て欲しかったのはレイとシュカだけなのだろう。彼はセイカを抱えると俺の隣に並んだ。部屋に行こうと、そう言っているように感じた。

「じゃあアキの部屋でしようか」

俺の寝室を使えばシュカに文句を言われるだろう。俺は彼氏達を先導し、アキの寝室に向かった。

《……俺参加するって言ってなくね?》

《いいからいいから》

《俺何もしないからな……》

扉を開け、中に入るとアキはまずセイカをベッドに置いた。

「セイカもするのか?」

「俺はしない……部屋の隅っこに居るからクッション一個くれ」

《俺このめのプレゼント取ってくる。じゃあな》

アキが何かを言って部屋から出ていった。セイカいわくレイからのプレゼントを取りに行ったらしい。まずはディルドの型取りをやらされそうだな。

「君のプレゼントは随分と気に入られたようだね、僕も一風変わったアダルトグッズにすればよかったかな……まさか、宝石が眩しくて嫌だなんて言うとは……いや、よく考えれば分かったことだよね。はぁ……いや、いや、いつまでも落ち込んではいられない、これからのプレイで取り返すよ」

「ネックレスつけてましたし、喜んで入ると思いますけど……」

と返事をしつつクッションを部屋の隅に置き、セイカをその上に座らせる。

「ありがと。ついでにそこで充電してるの取ってくれないか?」

「これか?」

見覚えのないタブレットをセイカに渡す。

「どうしたんだこれ、何世代か前のヤツだよな。今となっちゃ動作遅そうだけど」

「お前のママ上に貸してもらってるんだ」

聞けば、転入試験の勉強用にと俺の母が貸したものらしい。母は最近使っていないタブレットに勉強用のアプリを幾つか入れ、セイカに渡したようだ。万が一にも壊したくないからとセイカはタブレットを部屋から出さず、俺は今の今まで見ることがなかったという訳だ。

「じゃあずっと勉強してたのか!? へぇー……えらいなぁセイカは」

「そんな……このくらいじゃ全然足りないよ。しかしすごいよなぁ、無料でこんな問題集解けるなんて……鳴雷、本屋でバイトしてるんだよな? 経営大丈夫そうか? こんなアプリあったら参考書とか売れないだろ」

「あー……どうかな、俺ただのバイトだから分かんない」

そのアプリは月額料金のかかる有料サービスだということはセイカには伝えない方がいいだろう。申し訳なさで勉強に手がつかなくなったら本末転倒だ。

「……っと、そうだ。ローション温めなきゃ。俺もちょっと出るよ、アキ帰ってきたら準備しに行ったって言っといてくれ」

「ん」

「俺もオモチャ取りに行くっす」

「……それじゃあ僕も道具を」

セイカに一人留守番を頼み、俺達は散り散りとなった。けれど「アキを楽しませたい」という一つの目的の元動いている。
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