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表裏一体

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SとMは表裏一体。虐められたいMだからこそ同じMの虐め方が分かっていていいSになれるだとか、虐めて欲しいMを虐めているのだからSの方こそ奉仕する側であり真の主人はMであるだとか、そんな話を稀に聞く。
まぁ、俺は別にその説を支持したりはしてないけど……否定もする気はない。その判断が出来るほどの知見がない。

(語源の方の本って虐待拷問殺害みたいな内容なんで現代的な感覚に当てはめるとSMってかリョナですよな~とか思っちゃったりして。何が言いたいかと言いますと……意地悪されるとキュンとするからMとか! 好きな子に意地悪したくなっちゃうからSとか! そんな単純な話ではないと思うのですよSMとは! しっかりSMプレイしてたネザメちゃまですらM堕ち出来ちゃう訳ですからな、自分がどちらかなんて分かるはずないのでそ)

ネザメだってまだ自分がM側だと心底認めた訳ではないはずだ。緊張や照れでいっぱいいっぱいなところを俺に言い負かされたとか、そんなに言うなら試しにM側もやってやろうだとか、まだその程度の気分だろう。

(ネザメちゃまのこれからはわたくしにかかっていますぞ!)

ネザメの趣味が広がるか否かの瞬間だ、集中して正解を摘み取れ、俺。

「…………っ、ひ……ぅ、うぅっ……!」

耳の裏側をゆっくりと舐める。身体を強ばらせるネザメの頭を撫で、肩を優しく抱く。これで安心感を与えられれば耳への愛撫も受け入れられやすくなるはずだ。

「ネザメさん、すごくイイ声出てますよ。俺もっと聞きたいです、素直に出していってくださいね」

「……っ、な、情けなく……ないかい?」

「まさか。素敵です」

「本当……? よかった、ぁ、んっ……! 耳っ、ぃ、ひっ……! ひぁああっ……!」

声が少し出やすくなったように感じる。喘ぎ声に言及するのは羞恥心を煽って黙らせてしまう危険性もあるが、今回のように上手く行けば枷を外す効果がある。これからも褒める相手とタイミングを見極めていかないとな。

「ぁ、んっ……んひっ! ひ、ぁ、あぁあっ……ゃ、水月くぅんっ! 耳がっ、ぁ、あぁっ……! 変に、なるぅぅ……!」

俺に抱きついた手が俺の背に爪を立てている。シャツを脱いでいれば引っ掻き傷をつけられただろう。

「ぁ、ふっ、ふぁあ……! み、耳っ、耳ぃ……ぐひゅっ、ぐちゅ、て」

耳の中に唾液をたっぷり絡ませた舌を入れ、隅々まで舐め回す。ネザメは俺の下でピクピクと足を跳ねさせ、俺に自身が感じている快楽の大きさを教えてくれている。

「鳴って、りゅぅうっ……! んひっ、ひ、ぁあっ! みひゅ、きのっ……音がぁ……ぁあっ! あひゃまにっ、響きゅぅ……」

耳を舌でほじくるぐちゅぐちゅという音が頭の奥まで響いているのだろう、何とも言えない逃げ出したくなる快感には俺も覚えがある。

「こりぇっ、ひゃめっ……ひゃめ、らのぉっ……のぉみしょ、溶けてりゅう……」

もう何を言っているのか分からない。可愛いにも程がある。もっともっと可愛い反応が見たい、でももう噛むのも舐めるのもやったし後は──あぁそうだ。

「んみゃぁあぁああーっ!?」

吸うのを忘れていた。

「ぁ……ひゅっ」

「ストップ! 一旦離れろ鳴雷一年生!」

ネザメの耳を全て口に入れてぢゅう~っと吸ってみた。塗り込んだ自分の唾液を回収する形になったが、ネザメの絶叫が聞けたので満足だとホクホクしているとドクターストップならぬミフユストップがかかった。

「えっ……ぁ、は、はいっ」

すぐに起き上がり、ネザメから離れる。ミフユはネザメの顔色を見、呼吸のリズムを確認し、ため息をついて顔を上げた。

「二分休憩」

「あ……は、はい。分かりました」

せっかくノって来たのだからもっと続けたいのになぁと思いつつ、ぐったりとしたネザメを眺める。顔が赤い、赤過ぎる、色白だから余計分かりやすいのだろうか、確かに……うん、ちょっと休憩した方がいいかもしれない。そうやって納得したのに、目を開けたネザメは俺に向かって手を伸ばした。

「水月、くん……? なんで、遠いの……水月くん、水月くん……」

うわ言のように俺を呼ぶネザメに手を伸ばす前に、俺はミフユに視線を送った。ミフユは顔を顰めつつも目を閉じて頷いた。

「すいませんネザメさん、あんまり顔が赤いのでちょっと休憩入れた方がいいかと思いまして」

俺はすぐにネザメの隣に寝転がり、彼の背に腕を回して後頭部を撫でた。

「……勝手に決めないでおくれ」

ネザメはぷぅっと不機嫌そうな顔をすると、俺の胸に顔をうずめた。

「はぁ……あ、聞こえるね、水月くんの心臓……ドクドク鳴ってるよ。ふふ、少し早いかな? 水月くん……ちゃあんと生きているね、ふふっ」

「ネザメさんがそんな可愛いことするから早くなっちゃうんですよ」

ネザメを抱き締めたまま寝返りを打ち、再び仰向けの彼に覆い被さる形となる。ミフユにチラリと視線をやると、彼は渋々といった様子で頷いた。

「続きしますよ、ネザメさん。まさか耳だけなんて思ってませんよね?」

「……うん。僕のこと……抱くんだろう? 気乗りしないけど、愛される方がいいなぁと思ってしまったから、もう仕方ないよ」

「…………抱きませんけど」

「え……? どっ、どうして、嫌々じゃあないよ? まだ少し躊躇いとか戸惑いとか、そういうのがあるってだけで、僕……僕も、君に愛されてみたいのに、どうして」

「ネザメさん……ミフユさんに手ぇ出し始めたのがあんまり前なんで忘れちゃいました? 準備、結構必要でしょう」

ネザメの右手首を握って引っ張り、緩めておいたズボンの中へと導く。下着越しに俺の熱に触れたネザメは顔を更に赤くしていく。

「……俺の、ネザメさんのより大きいし……ねぇ?」

チラ、とミフユを見る。ネザメも俺にならってミフユを見た。二人分の視線にミフユは少し居心地悪そうにしながら、小さく頷いた。

「百戦錬磨のシュカだって一番イイって言ってくれるんです。俺のはなっが~くて、ふっとくて、かったぁいですよ? 処女なネザメさんのお尻なんて、今ちょっと慣らしたくらいじゃ避けちゃいますよ」

「……そうか、ミフユの時もそういえばやったね、拡張……ミフユは小柄だからネットの情報よりも随分気を遣ったよ」

「早く抱いて差し上げたいので、ガンガン拡張していきましょうね。ネザメさんは俺のが入るようになるまで毎日毎日ずーっとバイブを入れっぱなしにするんです。大丈夫、俺キット持ってますから。小さいのから、だんだん大きいの……二十四時間お尻拡げて、俺を目指してくださいね、ネザメさん」

鼻先が触れ合う距離でそう言ってやると、ネザメは小さな声で「ひゃい……」と返事をしてくれた。
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