冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
上 下
1,003 / 2,054

楽しいお風呂の時間

しおりを挟む
太陽が傾き始めた。まだ空の色も変わらないうちに俺は彼氏達に声をかけ、海から上がらせた。もっと泳ぎたいと文句を言う者も少なくなかったが、逆らう者は居なかった。

「荷物持ったなー? 帰るぞ!」

坂道を上っていく彼氏達を見上げ、水着の裾から覗く太腿などに口角を上げる。殿を務める役得に鼻歌を歌いながら帰路に着いた。

「さっさとお風呂入りた~い、みっつん見てきて~」

「はいはい」

今日も先に帰ったカンナが風呂に入っているはずだ。俺は彼氏達を待たせて一人で風呂に向かった。

「……! みぃくん」

カンナは既に脱衣所に居た。火傷跡の乾燥防止のためなのか保湿クリームを頭などに塗っている。

「やぁカンナ、可愛いな」

バスタオルでカンナの胸から下を包むようにして引き寄せ、身体を拭いてやる。

「俯かないで俺を見てくれよ。いつも隠してる可愛い目、こんな機会くらいはじっくり見たいんだ」

照れて俯いてしまったカンナにそう語りかけながら、彼の小さな顎に手を添える。力づくで顔を上げさせたりはせず、あくまでも促す程度に指に力を込めると、カンナはそっと顔を上げた。

「……うん、可愛い。綺麗な目だな」

火傷跡は保湿クリームを塗っていたから舐めない方がいいだろう。ガラス玉のような大きく丸く可愛らしい瞳だけを今は構おう。

(こうして見るとやっぱりカミアたまと双子だなって感じしますな、生き写しでそ)

本来ならば眉の形も髪質も同じで、親しくならなければ見分けなんてつかないような美少年達に成長していたのだろう。

「みぃ、く……もぉ、むり。ぼく……顔、あつい」

あの忌まわしい事件さえなければ、硫酸をかけた異常者さえ居なければ、カンナはみんなと一緒に風呂に入って、カツラが取れる心配もせず激しい遊びにも参加して、何の憂いもなく日々を幸福に過ごせていただろう。

「……みぃ、くん?」

憎い。顔も知らない犯人が。とうの昔に檻の中だろう男が、憎い。カンナと揃いの爛れた皮を剥がしてやりたい。

「みぃくんっ」

「……ん? なんだ? カンナ」

「も、離して……みぃくん、かっこ、よくて……ぼく、照れちゃ……顔、あつい。早く、出て……みんなに、お風呂……ゆずら、なきゃ……だし」

「あぁ……そうだな、ごめんごめん」

つい考え込んでしまった。俺はカンナを離し、バスローブを羽織りタオルを頭に被せて鏡で顔が見えないか確認するカンナを眺めた。

「また、ね。みぃくん」

タオルで頭と顔を隠したカンナはぱたぱたと階段を駆け上がり、寝室へと戻った。俺は彼氏達を連れて風呂に入った。みんなの裸を眺められる最高の時間だ。

「ハルちゃん髪ほどいて~」

「メープル、おすわり」

「とりりーん、そっちシャンプーない~?」

各々の声が浴場に響く。俺へのものではない呼びかけを聞くのもまた乙なものだ。

「ねーねーアキくん、あの後さぁ、みっつんに乗せてもらったんだけどさぁ、すぐ沈んじゃったんだよね~。なんでアキくん人一人乗せたまんまスイスイ泳げんの?」

ハルがセイカを抱っこしているアキの前に腰を下ろした。

《知らね》

「……し、知らないって」

「えぇ~?」

「ぁ……でも、普段から俺、秋風に言われて腕立て伏せの時とかに背中に乗って重りになってるから……慣れてるのかも?」

「なるほど~……? だからアンタあんなブレずに乗ってられたんだ、体幹ヤバ~いってこのめんと話してたんだよね~」

片足立ちもままならないくせに、座った状態での体幹はいいのか……とセイカとハルの会話を盗み聞きしながら思う。じゃあ騎乗位とかも得意になってきているのか? と妄想を膨らませる。

「秋風はウェットスーツだから掴むところあるけど、鳴雷じゃ上何も着てないから持つとこなくて辛くないか?」

「それ以前の問題だったけど~、確かに~」

「ずっと胴体挟んでなきゃいけないから、太腿結構痛くなるぞ。今も結構辛いし……」

《なんだスェカーチカ足痛いのか? マッサージしてやるよ》

セイカがため息をつきながら太腿をさすると、すかさずアキが泡まみれの手で彼の太腿を揉みしだく。

「ひぁっ……!? やめろバカっ!」

《痛ぇ》

突然の接触に驚きながらもセイカはアキの手をぺちんと叩いた。大した痛みはなかっただろうに、アキはぷらぷらと手を揺らしてのアピールを欠かさない。

「ぁ……わ、悪い、話してる最中に」

「や、俺は別にいいけどさ~……なんか、みっつんみを感じる~。俺にはあんまやんないけど、何かあるとしぐしぐのお尻とか触っててさ~……あ、でもしぐしぐ嫌がんないから~、どっちかってーと今のっぽいのはしゅーかな?」

「呼びました?」

「わ、しゅー。何、うわ泡まみれ」

「天正さんと木芽さんにじゃんけんで負けてシャワー使用権が後回しになりまして」

そちらの様子ももちろん俺は見ていた。同時に身体を洗い終えた三人は同時にシャワーに手を伸ばし、じゃんけんをし、シュカは負けていた。負けを煽ったリュウの頭を叩いていた。

「あっそぉ。えっとね、今アキくんがせーかの足揉んで怒られてたから、みっつんみを感じるな~って話してた。しゅーよくみっつんに痴漢されて殴ってるじゃん?」

「あぁ……」

シュカはチラリと俺を見た。

「そういえば以前は集まると私に手マンして欲しがって擦り寄ってきてましたが、今回の旅行ではまだ来ていませんね。水月似のあなたが悶える顔はいつでも見たいので、いつでも来て構いませんよ?」

《腹痛ぇからケツイキしたくねぇんだよな、適当に誤魔化しといてくれ》

「えーっと……ちょっと、尻の調子が悪いから……いいって」

「おや、そうなんですか。通りで……水月レベルの性豪のあなたが水月に一度も抱かれに行かないのはおかしいと思ってたんですよ。切れちゃいましたか?」

「まぁ、そんなとこ。治るまでは……って感じ」

そうだったのか……だから全然俺にじゃれに来ない、むしろ避けているような……なんだ、嫌われた訳じゃなかったんだな。

《適当に誤魔化せって頼んだけどさ、何つったの? 何かめっちゃ納得してるじゃん》

《尻切れたって言ってみた》

《は……!? いやっ……それは、カッコ悪いだろ、他のんなかったのかよ》

《咄嗟に思い付くのなんかこれくらいだ。それともアザ白状した方がよかったか?》

《……いや、戦闘で傷を負ったなんて不名誉知られるくらいなら、ケツで遊び過ぎたって汚名を着た方がまだマシだ》

抱き締めているセイカの肩に顎を乗せ、アキはズーンと暗い雲を背負ったように落ち込んでいる。

「どしたのアキくん、なんか……落ち込んでない?」

「……ムラムラするから話振らないで欲しかったとか……聞かれたから言っちゃったけど尻のこと知られたくなかったとか」

「あ~……ごめんね? ほらしゅー、しゅーも謝る」

「えぇ……? ごめんなさい」

納得がいっていなさそうな表情ながら謝るシュカ、推せる。

「えっちなことなんか頭から吹っ飛ばせるように~、夜はいっぱい遊ぼ~ねっ。俺とゲームしよゲームっ。しゅーもしよ~?」

「眠くなければ」

俺はそのゲーム大会には参加出来ないな、とネザメの様子を見る。ネザメは泡を使って犬の毛を立て、ハリネズミのようにして遊んでいた。
しおりを挟む
感想 469

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

嫁さんのいる俺はハイスペ男とヤレるジムに通うけど恋愛対象は女です

ルシーアンナ
BL
会員制ハッテンバ スポーツジムでハイスペ攻め漁りする既婚受けの話。 DD×リーマン リーマン×リーマン

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...