冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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人を乗せて泳ぐ難しさ

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寝ているリュウの乳首を弄り、上の口をたっぷりと犯してやった。彼は睡眠中のイタズラを咎める素振りは見せず、俺の首に腕を絡ませ、もう一度キスをせがんだ。

「んっ……」

まだ明瞭にはなっていないだろう頭で、胡乱さの残る瞳で、必死に俺を求める。そう感じさせるリュウの視線と仕草は俺の胸をときめかせた。

「……っ、は、ぁ……水月、水月ぃ……寝とったのにぃ……水月、どないするん? ここでシてもうたら流石に年積はん怒るんちゃう? そこの影とかどや?」

リュウが指したのはテントのすぐ隣の何もないスペース、テントの影が差しているがシートは敷かれていない砂浜だ。

「ヤらないぞ?」

「へっ?」

魅力的なお誘いではあるが、砂浜の上でとなると砂が体内に入る恐れがある。口に少し入っただとか、身体が砂まみれになっただとか、その程度ならいい。しかし後孔に砂が入り込んで、その上擦ってしまったら、か弱い粘膜にどんな影響が出るか分からない。まぁ、そんな深刻な事態にはならないと思うが、海辺で青姦ってよく聞くシチュだし。

「な、なんでぇ、するつもりでしたんちゃうん。俺もう、ケツっちゅうか腹っちゅうか……熱ぅなってもうてんのに」

「知らねぇよお前の発情なんか。俺はただ寝てるお前にちょっとイタズラしたくなっただけだ、ヤりたいとまではなってねぇよ」

当然嘘だ。ヤりたくて仕方ない。

「そんな殺生なぁ……ひどいわ水月、ひどいわぁ」

そう訴えるリュウの頬は赤く、息は荒い。俺の辛辣な態度に興奮しているようだ。

「あぁそうそう……俺今から海で遊ぼうかと思ってるんだけど、お前ここに残ってオナニーとかするなよ? 自慰は禁止だ、分かったな?」

「そんなぁ……勃っとるもん冷やして無理矢理萎えさせたええ水月とはちゃうんやで、ナカの疼き腹冷やしても止まらんのやで」

「知るか。禁止だ。いいな」

「……我慢はするけど……早めに手ぇ出してな? 後生やから…………行ってらっしゃい」

潤んだ瞳の上目遣いの破壊力は凄まじい。押し倒したくなる欲情を必死に押し殺し、粗雑を演じた返事をして立ち上がった。張って痛む股間を押さえたまま波をザブザブとかき分けて海に入っていった。

(ふぉお……冷えますな)

昂った雄の象徴が海水で冷やされていく。完全に萎えるのを待っていると、彼氏達が俺に気付いて駆け寄ってきた。

「水月~!」

「せんぱい!」

「……! みぃ、くん……!」

ハルが右腕に、レイが左腕に、出遅れたカンナが胴に抱きつく。ハルとレイがそこもあったかと目を見開いているのが可愛らしい。

「ふわぁ……水月、起きたのか。両手に花どころじゃないな」

歌見は欠伸をしながらゆっくりとやってきた。

「先輩も花の一つですよ」

「はは。ぁー……眠、じゃあな、お前の交代で寝てくるよ」

別に交代制ではないし、二人以上でも眠れる広さはあるのだから俺が寝ている間でも来ればよかったのに、と思いつつテントへ戻っていく歌見を見送る。

「ん……?」

「どうしたんすかせんぱい」

今、海面に座ったセイカがそこそこのスピードで滑らかに移動していったような。いやいやそんなゲームのバグみたいな謎現象、現実では起こらないだろ……起こらないよな?

「や、今セイカが正座でサーフィンしてたような気がして」

「あぁ……アレね」

よかった、俺にだけ見える何かなどではないのだと胸を撫で下ろす。

「アキく~ん! ちょっとぉ~!」

座った姿勢のままセイカがこっちに来る。いや、違う、泳いでいるアキの背に跨っているだけだ。アキがしぶきを立てないように泳ぐ上、全身黒づくめだからパッと見つけられず、奇妙な光景に見えていたのだ。

「はるー、なに、です?」

「うわっ……!?」

アキが身体を起こし、セイカが海に落ちる。海面でびったんと背中を打ったようだが、アキに引き上げられたセイカは不機嫌そうな顔をしているだけ。痛みや海水の誤飲はないようだ。

《下ろしてから起きろよな……》

流されないよう溺れないようアキに抱きついている。可愛い、羨ましい、俺に抱きついて欲しい。既に三人に抱きつかれているから背中くらいしか空いてないけど。

「みっつん……お兄ちゃんが呼んでたよ」

「にーに? にーに! 起きるするしたです」

「ん、あぁ、起きたよ。いや悪いな、別に呼びたかった訳じゃないんだ。セイカが座って海面を滑ってるみたいに見えて……シュールな怪奇現象かと」

「泳ぐの疲れて……テント戻って休むって言ったんだけど、疲れたんなら泳がなくていいからって無理矢理乗らされて、下ろしてもらえなくて」

「アキぃ、ラプラスかお前は」

「海の上を人を乗せて進むのが好き、っすね」

人の背の上では体力が回復しないものなのか、それとも精神的な疲労か、セイカは疲れた顔をしている。

「いいじゃん楽しそ~。イルカに乗ってるみたいな感じ~? ちっちゃい頃憧れたな~、イルカに乗るの! ねぇねぇアキくん、俺乗せてよ。ね……せーか、言ってくれない?」

「ぁ……うん」

ハルとセイカはまだまだ会話すらぎこちない。けれど、ハルがセイカと話す気になってくれただけでも大きな進歩だ。

《秋風、俺みたいに霞染がお前に乗りたいって》

《かす……何?》

《霞染……えっと、ハル》

アキはハルの苗字を覚えていなかったようで、セイカは遠慮がちにハルの名前を声に出した。

《あぁハル! ハル俺に乗りてぇの? 嫌》

「……嫌だってさ」

「なんでぇ!?」

《嫌な理由は?》

《逆に何でハル乗せなきゃいけねぇんだよ》

「逆にどうして乗せないといけないの、だって」

「どうしてって……の、乗りたいから?」

意外と渋るんだな、アキ。いつもみたいに可愛く短く「だ!」と返事をしてハルを乗せてやるかと思っていた。

《俺は乗り物じゃねぇんだぞ》

「自分は乗り物じゃない、って」

「うぐ……確かに。で、でもぉ、せーかいいなら俺もいいでしょ?」

《俺がいいなら霞ぞ……ハルもいいだろ? 何でそんなに嫌がるんだよ、乗せてちょっとグルっと泳いでこいよ面倒臭ぇ》

《嫌! 俺ぁスェカーチカ以外の乗り物にはならねぇ! 兄貴に乗っかってりゃいいだろ、ベッドの上でもな!》

「…………鳴雷に、乗れば? だって」

言葉の意味は分からないが声色は荒っぽく聞こえた。セイカの歯切れの悪さからしても、アキが少々翻訳しにくい表現の悪口を使ったことは明らかだ。

「あそっかぁ、みっつん……ねぇみっつぅん」

「はいはい分かったよ。海よりベッドの上で俺のに乗って欲しいんだけどな」

「うわぁ……」

「そ、そこまで引かなくてもいいだろセイカ!」

「いやぁ……思考回路似てるんだなって」

まずはおんぶのようにしてハルを背負う。身体を倒し、クロールを──

「ごぼごぼごぼ……」

──しようとしたら、沈んだ。人一人の重りがこんなにも負担になるとは。

「み、みっつん!? 大丈夫!?」

「せんぱい! そんなっ、せんぱい、俺も乗せてもらおうと思ってたのに……!」

「みぃくんっ……」

三人に引っ張り上げられ、海面に顔を出して咳き込む。

「げほっ、ごほっ……ご、ごめん、重かった訳じゃないんだ、いつもとバランスが違って……」

「ごめんねみっつん、もう俺ワガママ言わないから」

「ハル……いいんだよ、ハルの股の感触を背に味わいながらなら俺死んでもいい」

「…………みっつん、罪悪感失せた」

計算通りだ、あえて下ネタで返すことにより深刻さを消し、ハルの心にしこりを残さないようにする高等テクニックだったのだ。いや、嘘じゃないから。マジで計算通りだから。真剣にセクハラ発言して本当にドン引きされた訳じゃないから。
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