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ポケットゥーンの森

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掃除や後孔の洗浄で冷えた身体を温めるため、再び湯船に浸かった。

「……夏場なんだし何回もこんなしっかり温まらなくていいんじゃないのか?」

「でも旅行中に風邪引いたら最悪だろ? 夏風邪はタチ悪いらしいしな」

なんて話しながら温まり、風呂を出た。まずセイカの右足を拭いて義足を付けさせ、自力で立たせた。

「……ん、ありがとう」

自立可能になったセイカはバスタオルを持ち、一人で身体を拭き始める。俺はバスローブを着てまず髪を乾かした。

「よし……セイカ? 大丈夫かっ?」

乾かし終えてセイカの方を見ると、彼は着替えもせずバスタオルを抱いて洗濯機にもたれていた。机で居眠りをする学生のような体勢だ。

「んー……腰ダルい」

「せっかく温まったのに風邪引いちゃうぞ。ほら服着て、着てから休め」

「ずっとそのカッコだったお前が言うなよな……」

下着とズボンを履くのは手伝ってやり、俺もバスローブを脱いで寝間着に着替えた。

「鳴雷ー、運んで」

「はいはい」

いつもの寝間着姿のセイカをおぶり、脱衣所を後にする。

「セイカからねだるなんて珍しいよな、嬉しいよ、もっと甘えたり頼ったりしてくれていいんだからな」

「お前のせいで腰がダルいからな。あ、そろそろ下ろしてくれ」

リビングの前でセイカは俺の背から下りた。俺に甘えているところをみんなに見られたくなかったのかな? 可愛い。

「ただいまぁー」

「おかえりなさいっすせんぱい」

「みっつーん! 対戦しよっ」

歌見、レイ、ハルは携帯ゲーム機を持ち寄っている、何のゲームの対戦中だろうと画面を覗き、俺も持っているソフトだったのでOKを出した。

「ゲーム機取ってくるからちょっと待っててくれ」

寝室にゲーム機を取りに行き、ついでにシュカも連れてきた。

「お、とりりん寝とったんちゃうん」

「水月が何度も出入りするので目ぇ覚めました、部屋割り決めるらしいですしもう少し起きてます」

「そーなん、ジュース飲む?」

「ありがとうございます」

「どれする? オレンジとリンゴとモモとレモンと~……」

ソフトを入れ替え、ゲームを起動する。対戦の準備を進めているとネザメとミフユが画面を覗きに来た。

「そのゲーム機、街中で広告を見かけたことがあるよ。どんなゲームなんだい?」

「これは色んなモンスターを捕まえるゲームですね」

「へぇ……? わ、可愛いね。あ、この黄色い子見たことがあるよ」

「で、捕まえたモンスターを戦わせるんですが……」

「こんな可愛い子達が戦うのかい?」

「意外と凶暴なんですよ」

「へぇ……」

「野蛮なゲームだな、もっとネザメ様の教育にいいゲームを見せろ」

「後ででいいです?」

教育にいいって……ネザメは子供か? まぁいいや、平和なゲームならいくらでもある。

「みっつーん、用意出来た~?」

「あぁ」

「このめんに負けちゃったんだよね~、みっつんには勝ってやる!」

「旅パなら旅パって言ってくれないと……こっちも旅パ用意するじゃないっすか」

「霞染はどう見ても厳選とかしてるタイプじゃないだろ」

対戦のために育て上げたモンスターも居るが、ハルは対戦ガチ勢ではないようなのでストーリー攻略に使ったモンスターを対戦に出した。

「よしよしいい調子……っあぁドロポン外れたぁ!」

「……俺ハイドロ派」

「俺ドロポンすね。カノンと聞き分けつかないじゃないっすか」

「カノンはカノンって言うだろ」

「かげぶんしん積みまーす」

「やだ命中百も当たんなくなるじゃんヤな戦法~! と見せかけて必中技!」

「あぁっ!? 嘘だろそいつ特攻のが高いのにそれ覚えさせるか……!?」

そこそこの接戦だったが、何とか俺が勝った。次は可愛らしく拗ねたハルの応援を受けながら歌見との対戦だ。

「対あり水月ぃ~、がんば~」

「頑張るよ。じゃ、先輩、対戦よろしくお願いします」

「あぁ、厳選ガチパでよかったな?」

「えぇもちろん」

歌見はそこそこやり込んでいるようだ。

「……水月、このモンスターは……まさか!」

「はい、やどみが型です」

「うわ嫌い! クソ、コイツ対策は今回居たか……?」

「……これどっちが勝ってるんだい?」

「まだ何とも言えないって感じ~?」

歌見はネットで有名な戦法をなぞっているようなので、その弱点を突いて倒してやった。セオリー通りでないハルの方が動揺が多かった分苦戦したかもな。

「クソ……仇取ってくれ、木芽」

「はーい、っす。せんぱい、容赦しないっすよ」

「あぁ、来い!」

三人の中ではレイが一番のガチ勢だろう、気を引き締めなければ。

「あ、色違いじゃん。この色も可愛い~」

「他の色も居るのかい?」

「四千分の一~? くらいで~、珍しい色の子が出るんです~。いいな~、俺も一匹はたまたま見つけたんだけどな~」

まぁ、色違いなら厳選過程で俺も何体か捕まえた。特に驚くことは……待てよ?

「……おい、レイ、まさかお前これ……色違いパか?」

「色違いサイズ最大6V夢っすよ、当たり前じゃないすか」

「サイズは別にいいだろ……」

「推しは全サイズ集めたいじゃないっすか」

かなりのやり込んでいるガチ勢ではあったが、気に入ったモンスターしか使わない主義のようだったので若干の偏りがあり、それを突いて何とか倒せた。

「ふぅ……愛のない勝利に固執したパーティで何とか全勝」

「自分で言うんすねそれ。はぁ……あのタイミングの交代ちょすいは読めなかったす、アレさえなければな~」

「もー見てりゃ絶対勝てないの分かった……他のんやろ他のん。あ、これ持ってる? やろやろ、これなら四人協力じゃん」

ソフトを変更し、仕切り直し。

「これはどういうゲームなんだい?」

「色を塗り合って陣地合戦をするゲームです。ブキは水鉄砲なんでこれならいいですよね、ミフユさん」

「ふむ……」

今回は俺達の間での対戦ではなく、四人でチームを組んでネットの海を漂い、どこかの四人チームと対戦することになった。

「……待ってこのめんとみっつんウデマエX?」

「それがどうした? B+のハル」

「えー、歌見先輩Aっすか?」

「お前ら持ってるゲームの数俺の数倍なのになんでそんなにやり込めるんだよ……ブキどうする?」

前衛や後衛などの相談を軽く行い、対戦に潜った。

「みっつん達に引っ張られて強い人にしか当たらないんですけど~。もういいや俺オフロだし壁の影からバシャバシャしよ」

「俺は真面目に竹筒やってるのに……」

「俺も真面目にホクサってるっすのに……」

「っし溜まった。ジュースここ置くぞ」

「うわコイツ煽るタイプじゃんムカつく~! みっつんコイツ! コイツ撃って!」

勝率は半々といったところだった。

「はぁ~……俺足引っ張ってなかった? もう対戦イヤ……島持ってる? 島見せて島」

再びソフトを変更。

「これは?」

「借金返済した後島を好き放題改造したりカブで大儲けしたり大損したりするゲームです」

「ちゃんと説明しろ水月! どうぶつ達とスローライフを送れるゲームだよ、紅葉」

「ふむ、これはなかなかネザメ様の教育に良さそうだな」

ミフユはやはりネザメを子供扱いしている気がする。

「このめんの島ヤッバ……なんか、画風が違う。ぁ、この服可愛い~! ねぇねぇこのマイデザちょーだ~い?」

「レイのとこの住人ピンク色の子ばっかりだな」

「歌見せんぱいんとこの島民代表女の子なんすね」

「ウエディングドレス着てるけど男だぞ」

「俺に嫁ぎたいってことですか!? あっ俺今女の子だった……」

「あっ女の子なんすねそのツタンカーメン」

対戦ではなく自分で作り上げた自分だけの無人島を見せ合うだけなので、今回は誰も悔しがらず落ち込まず平和に過ごせた。
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