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天然の煽り

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普段、セイカはここまで恥ずかしがることはない。多分この浴場が広くて声がよく響く上に壁や床が白っぽくて開放感があるからだろう。薄暗いアキの部屋や狭い病院のベッドの上とは感覚が違うのだろう。

「ひぁあっ……!?」

多少の恥じらいはスパイスだが、多過ぎるとノイズになる。俺はおあいこならばいいだろうと謎理論を展開し、セイカの乳首にしゃぶりついた。必死に乳首を吸うなんて赤子のような真似を男子高校生がするのは恥ずかしいだろうとセイカには説明したし同意も取ったが、実は俺はこれを恥ずかしいとは思わない。

(美少年の乳吸うとか誰にでも出来ることではありません、誇るべきことなのですから恥ずかしいとかありえませんぞ~!)

残念ながらセイカはしっかりと身体を洗ってしまって汗の味や匂いなどはないが、肌の感触を顔の皮膚で味わったり、乳首の硬さや弾力を唇や舌で楽しむのもイイ。指での愛撫と比べた時のデメリットはセイカの顔が見られないことだけだ。

(言葉責め出来る方なら口は空いてた方がいいんでしょうが、わたくし口下手ですからな)

俺の足の上で膝立ちになっているセイカは俺の頭を抱き締めてはいるがその力は弱く、彼が快感に仰け反った際に彼を支えているのは九割俺の腕だ。信頼を感じて胸が温まる。

「んっ、ぁ……ひぅぅっ……! ひぁっ、ぁ、鳴雷ぃっ……! ひゃんっ!?」

母乳をねだる赤子のように乳首をひたすら吸っていたが、不意に思い立って歯を使ってみた。まずは前歯で甘噛み……力加減に気を付けて、乳首と乳輪の境目を歯で挟んでみる。

「噛んっ……!? んっ、ぅう……」

「……痛かったか?」

「あっ……だい、じょうぶ……」

「正直に言ってくれ、本当に痛くなかったのか?」

セイカはこういう時に嘘をつきがちだ、本当のことを聞き出せなくても表情で何となく分かるだろうから、丸めていた背をセイカの顔を見るために一旦伸ばした。

「……本当に、大丈夫……痛くはなかった。ただ、その……刺激が強すぎて? って言うのかな……む、胸、全体的にビリビリしちゃって」

「ふぅん……? 気持ちよかった、ってことだよな?」

「…………よすぎる、から……あんまりしないで」

これがわざとではなく天然で、言葉通りの意図なのだから驚きだ。そんなふうに言われて控えめに甘噛みをする男がどこに居る? 誰だって虐めて欲しいんだなと解釈してしまうセリフと表情だ。

「ひゃんっ!」

はむ、と再び乳首を噛む。コリコリとした感触は指や唇だけでなく歯も楽しませてくれる。犬用歯磨きグッズみたいに乳首の噛み心地の人間用歯磨きグッズ商品化してくれないかな、俺絶対買うよ。

(あー、でも……乳首のコリコリ具合はこのサイズだからこそみたいなとこありますし、歯磨きならこっちのがいいかも)

セイカを支えるのは左腕だけで足りるだろうと判断した俺は右手をセイカの股間に下ろした。硬くなり始めたばかりの陰茎を握り、軽く揉んでやった。

(……いやてぃんてぃんモデルの歯磨きグッズとか怖くて噛めませんぞ。劣化してきて噛みちぎっちゃったら絶対ヒュンってなりまっそ)

前歯だけで噛むのをやめてセイカの乳首を強く吸い、今度は奥歯で甘噛みをする。まだ乳首が小さいハルやシュカには出来ない愛撫だ。

「ひぁっ!? あっ、ぅ……うぅうっ……! やっ、ぁ……これっ、だめぇっ! 乳首ぃっ、ぜんぶ気持ちっ……ぜんぶだめぇっ! これ無理っ、これむりぃっ! きも、ひっ……よしゅぎっ……!」

前歯は薄いが、奥歯は厚い。線の刺激と面の刺激ではそりゃ後者の方が大きいだろう。指でぎゅっと押し潰すのに似ていないのだろうか、肉の柔らかさがなく凹凸のある歯は指よりも気持ちいいのだろうか。

「むりっ、むりぃっ! むりだって……あっ、ぁ、あぁっ!」

膝立ちをしているセイカの右膝は俺のふくらはぎにくい込んでいるのだが、快楽に喘ぐ彼は俺から逃げようというのか足をしょっちゅう動かす。正直、くい込んで痛い。左太腿の断面は俺の太腿に乗っていて、こちらもまたぐりぐりと俺の足を抉るように動く。そこそこ痛い。

「やっ、ぁあぁっ! やっ、だ、ぁあっ! やだって、鳴雷ぃいっ!」

セイカの胸に吸い付いている俺の頭をセイカは強く抱き締めている。右腕は爪が生える手ごとないからいいのだが、左手はたまに頭皮を引っ掻くから困る。ちょっと痛い。

「ひっ、ぃ、ぅうぅっ……! ちっ、くびっ、きもちぃのぉっ、もぉむりっ、むりっ……! んっ……くっ、ぅううんっ!」

足と頭への甘やかな痛みに耐え、セイカの乳首を優しく噛み続け、とうとう彼を絶頂へと導くことが出来た。胸にかけられた精液は俺にとって勲章に等しい。

「ふー……胸でイけたな。途中下ちょっと触っちゃったけどイく時にはお尻撫でてただけだし、乳首だけでイったって見ていいよな? セイカにしちゃ結構出てるし……今のイキ方気に入った?」

セイカの胸から口を離し、力が抜けてしまっている様子の彼の太腿の裏と背に腕を回し、転ばせるようにお姫様抱っこに移した。セイカは一瞬怯えたように目を見開いたが、絶頂直後なのもあってかすぐに元の恍惚混じりのジト目に戻った。

「……っ、はっ……はぁっ、無理って、やだって、言ったのに」

「無理じゃなかったし、イったんだから嫌でもなかったろ?」

「…………乳首ジンジンする」

「片っぽだけ赤くなっちゃったな」

ついさっきまで噛んでいた乳首をピンッと弾く。

「ひぁっ……!? さっ、触るなよぉっ……今は……敏感、なんだよ」

「うーゎちょっかいかけまくりたくなる反応。男の煽り方完璧に分かってんじゃん……天然? それとも誰かに習った?」

わざと劣情を煽れるような性格じゃないと分かっているのに、強制売春の過去は俺の脳の底にこびりつき、どこかの外道に染み込まされた癖があるのではと疑わせる。

「はぁ……? 何、煽り方って……俺やだって言ったんじゃん、理由もちゃんと……習ったって、何を?」

「…………なーんでもない!」

顔を覗かせた汚泥のような感情がまた心の奥底に沈む。

「それよりセイカ、そろそろ本番と洒落込みたいなぁ……いいかな?」

硬く張った陰茎をセイカの太腿にごりっと押し付けて、セイカの視界が俺で埋まるように彼の顔に顔を寄せる。

「床硬いし滑るし、座位かなぁ。対面と背面どっちが……」

「お腹痛い」

「えっ!? 大丈夫か? 冷えたのかな。お湯浸かるか? トイレ行く?」

「ぁ、違くて……えっと、ぎゅーってなってる。鳴雷のが、その……欲し、くて」

「……疼いてるってことか? 腹痛じゃないんだな? よかったぁ……はぁー何それエッロ最高かよ」

心配と安堵と欲情を数秒の間に押し込まれて俺の頭はパンク寸前だ。ゃ、破裂しそうなのは頭だけじゃなかったな。
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