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抱っこして抱いて

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そこそこレアなレイの勃起姿の撮影完了。スマホをポケットに戻し、そのままズボンごと下着を掴んでズラし、陰茎を飛び出させる。

「……!」

愛おしそうに、すまなさそうに俺の顔を撫でていたレイの手が止まる。まん丸な、死んだ魚のような目が、少し不気味で可愛い瞳が、ギョロっと動いて俺の陰茎を見つめる。

「相変わらずいいちんぽしてますね、疼いてきました……予約取れてないのに見物なんてするもんじゃありませんね」

《同意~、ヤりたくなってきたぜちくしょう。気分萎える話しようぜ》

これからが本番だというのに、見物人達は踵を返す。シュカの言葉とセイカの翻訳を聞いていたから理由は分かるし萌えるけれど、やっぱり残念だ。

「……残念だったなレイ、見せつける相手居なくなっちゃったよ」

「そうっすね……俺の恥ずかしいとこ見られるだけの前戯より、せんぱいが俺に興奮して、俺のこと愛してるのが一番分かる本番こそ一番見て欲しかったんすけど」

「まぁ、みんな見えるし聞こえる距離には居るから……まだまだ見せつけられるよ。可愛い声抑えちゃダメだからな?」

シュカとアキだけが見物人じゃない、俺達を気にせずバーベキューをしているフリをしているだけだ。落ち込んでいるハルと、ガリガリと音を立てて飯盒から焦げた米を剥がしているリュウ以外は全員こちらを気にしているんじゃないか?

「産んだはいいけど育てられそうにないので、その方は赤ちゃんをコインロッカーに入れて立ち去りました……それから数年後、女性はそのコインロッカーの前で泣いている子供を見つけます。迷子でしょうか……お父さんは? と聞くと分かんない……お母さんは? と聞くとその子供は……お前だ! と」

《うおっびっくりした……ん? どゆこと?》

「……その迷子は女性が昔コインロッカーに詰めた赤ちゃんだった、ってことですね」

《赤ちゃん生きてたんだ、よかった》

「いや多分幽霊ですよ。怪談ですからね、これ」

《幽霊って育つの?》

「そういえばそうですね、まぁ育つこともあるでしょう。次、秋風さんの番ですよ。ロシアの伝統的な怪談とかないんですか? 四谷怪談的なヤツ」

《伝統的かどうかは知らねぇけど……》

コンロの周りに戻ったアキとシュカは恐怖で性欲を萎えさせようとしているようだ。

《テレビがテレビを消せと喚くんだ。黒い手がお前を絞め殺しに来るぞ、今マンションの下まで来てる! 黒い手がお前を絞め殺しに来るぞ、扉の前に居る! ってな》

「メリーさん系ですね」

《警告を聞かずそのガキは絞め殺され、テレビは黒い手が子供を絞め殺した! って喚く》

「じわじわ寄ってくる系は臨場感あって楽しいですよね。現在地に合わせてアレンジしてもいいかもしれません」

「なんだ、怪談か? よーし、洒落怖読破経験ありの歌見お兄さんも参加するぞ~」

聞いていたら萎えそうだ、俺は聞かないようにしよう。

「せんぱぁい、ホラーなら後で何個でも話してあげるっすから、俺に集中して欲しいっす……」

「そのつもりだったよ、でもレイもちょっとあっち気にしてたろ?」

「……やっぱり海外の怪談はちょっと気になるんで。なんかよくある型の話でちょっと残念っしたけど」

「知らない型の話が欲しいよな~。あ、レイ、立つからちょっとどいてくれ」

「立ってするんすか?」

俺の太腿に膝をつくのをやめたレイは右足をズボンと下着から抜き、開脚出来るようにした。ちょうど言おうと思っていたことだ、以心伝心気分で嬉しい。

「俺立ってられる自信ないっすよ……」

「レイは軽いから抱っこくらい出来るよ、俺」

ずっと鈍痛を感じていた太腿をさすりながら立ち上がり、足首を回し、手首を回し、肩を回し、首を回す。

「……そんな身体固まってたんすか?」

「そうでもないけど、ほら、もし途中で攣ったりしたら危ないし?」

俺よりは狭い肩を、けれどハルやセイカを思い出せば華奢とは言えない骨太な身体を、抱き寄せる。顎に手を添えて唇を重ね、レイの腹に陰茎を押し付けて腰を突き出し、シャツを捲る。

「……足上げて」

「立ち対面っすか? 身長差的にかなりしにくいと思うんすけど……」

レイの右膝の裏に腕を回し、尻の右側を鷲掴みにする。

「首に腕回して」

「はいっす……ぅ、やっぱり背伸びしなきゃっすね、入れても浅くなりそうっすよ?」

背を曲げてレイの左足をすくい上げる。ふわりと浮かんだ彼をしっかりと抱き締めて真っ直ぐ立ち直し、ぽかんとしている彼の後孔に陰茎を押し当てる。

「へっ……? 浮い……」

両膝の裏に腕を通し、腰で手を組めば磐石。レイを落とす心配はない。

「ぃっ、ひっ、あぁあああっ!? あぅ、あっ、ぁ……せ、せんぱっ……せんぱいっ? 足、足つかにゃいっ……す」

ぴゅるぴゅると漏れ出した精液が俺のシャツを白く汚していく。完勃ちさせた陰茎がもう縮んだ。

「……っ、ふぅ……そりゃそうだよ、駅弁だもん」

以前はリュウとした体位だ。レイはリュウよりも重いように感じる。レイの方が僅かに背が低いけれど、抱き締めた感覚ではレイの方が厚みがあるから、そこまで意外ではないけれど。

(やっぱりレイたそ骨太ですよな。引きこもりの割には二の腕とかも割としっかりしてますし……ちょっと鍛えりゃすぐゴツくなるタイプでは?)

足はリュウの方が細いけれど、レイの方が足が長い。むっちりとした太腿が多く楽しめて嬉しい特徴だ。

「あっ、ふ……ぁあっ! 待っ、待って、これぇっ、しゅご、挿さるぅっ! せんっ、せんぱいっ、ちゃんとっ、ちゃんと抱いてぇっ」

「ちゃんと?」

一気に入れるのは流石に可哀想かと結腸手前で止めていたが、焦らされていたレイには逆に辛いことだったのか。

「分かった」

レイの体重を支える腕にぐっと力を込め、腰を僅かに引き、また突き出して結腸口をとんと優しく叩く。そのままレイの腰に腰をゆっくりと近付けていく。

「ぁ、ゔっ!?」

ぐぽっ、と結腸口が開き、レイは俺の陰茎を全て受け入れ、腰同士が触れ合った。

「……っ、はぁ……ぁあ、トロットロ、最高……レイ、全部入ったぞ。どうだ? ちゃんと抱いたことになったよな?」

「ひっ、ひ、ぅ、ぅあっ……ぉ、くっ……おぐっ、挿さっ……せん、ぱ……ぁ、う……ィく、イっ……んぅううっ……!」

ぎゅうぅっと後孔が強く締まる。温かく柔らかい腸壁がうねり、俺の陰茎を扱く。

「ぅ、あっ、はぁっ……ちゃ、ちゃんと抱いてってぇ……こう、じゃ……にゃくてぇっ、挿しゃりすぎないようにっ、抱っこぉ……ちゃんと、ひてっ、欲し……」

「…………えっ、そっち? ご、ごめん……」

「ん……きも、ひぃ……から、いいっす……せんぱい……へへ、せんぱい……で、いっぱい」

俺が支えていることに信頼を寄せてくれているようで、レイは俺の首に回していた手を片方離し、自らの腹を撫でた。
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